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January 29, 2013

理想の現実 ジョナサン・デイトン&バレリー・ファリス 『ルビー・スパークス』

Rsps2『駆ける少年』を観終わって映画館を出たらそれはもう見事な雪景色。いまのうちに帰った方がいいのだろうか・・・ とも思ったのですが、もう一本観たい映画があったので意を決してシネクイントに向かいました(笑) それがこの作品『ルビー・スパークス』。はじめはま~ったく興味なかったんですけど、Twitterなどで熱い呟きを見かけるにれ観賞意欲がギラギラと高まってきまして。本当にのせられやすい・流されやすい体質であります。それではあらすじから。

若くして天才作家の名声を得たカルヴィン。だが彼はデビュー作以降スランプが続き、見事な一発屋としての日々を送っていた。ある時夢でカルヴィンは自分が理想としていた女の子と出会う。思わずその夢のことを文章に書き留めるカルヴィン。ところがその翌日驚くべきことに、夢の中の少女「ルビー・スパークス」が忽然とカルヴィンの前に姿を現す。これはいよいよノイローゼかとパニックに陥る彼だったが、共に過ごすうちにルビーが夢でも妄想でもない、現実の存在であることを認めざるをえなくなる。

いやいやいや・・・ なかなかにぶっとんだお話であります。まったく特殊撮影がなくても、これだけファンタジックな世界が描けるってちょっとすごいですね。
ちなみに空想上の産物であったルビーちゃんがなぜ現実の存在になったかということに関して、もっともらしい説明とか科学的なこじつけは一切ありません。大した思い切りの良さです。その辺のヒントはカルヴィンが愛用しているのが今時のPCではなく古式ゆかしいタイプライターであるところに隠されている気がします。もう今では使われない古めかしい道具には、なんか魔法が宿っていてもおかしくないような、そんな雰囲気があります。

そういう独特な発想は楽しいんですが、あまり恋愛経験もなく、めったにその手の映画もみないわたしにはこそばゆいところも色々ありました。そんな立場なりに感じたのは恋愛というのはうまくことが運びすぎてもかえって味気ないものなのかな、と。思い通りにならなかったり思いがけないことがあったりするからこそ、成就したときの喜びもまた大きい。反面、本当にダメになった時のショックもまた、はんぱなくでかい(笑)
これは仕事や趣味、交友関係にだって同じことが言えますが、こと恋愛はそのふり幅が大きい気がします。

もうひとつ感じたのは芸術に秀でてる人、感性の豊かな人っていうのは、それこそ絵にも描けそうなくらい明快で細かい異性の「理想象」を持ってるんだなあということ。わたし「理想の女性像を語ってみろ」と言われてもあんまし具体的に答えられませんからね・・・  熱狂的に信奉してるアイドルや女優もいないし。その辺の想像力をもっと磨いていけば立派な小説の一本も書けるんでしょうか。

その理想のヒロインを演じているゾーイ・カザンちゃんはこの作品の脚本もてがけています。自分で作った「理想の女の子」を自分で演じるなんて・・・ あなたよっぽど自分のルックスに自信があるのね? 自分ほどかわいい女の子はいないって思ってるでしょ? その自信、なんかむかつくんですけど!?
でも確かに彼女演じるルビー・スパークスは不思議な魅力に満ちています。男なら一度はこんな天然ちゃんに振り回されてみたいなあ、なんて。自分の中ではソフィー・マルソーとかYOUとかその辺のカテゴライズに含まれるタイプの女子。

その相手であり主人公でもあるカルヴィンを演じるのは若手の演技派ポール・ダノ。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のエセ牧師、『カウボーイ&エイリアン』のドラ息子、『ルーパー』のちゃらい殺し屋と、痛い役ばかり見てきましたが、今回は等身大の親しみやすい草食系男子を好演していました。ラブコメマンガよろしく女の子の反応にその都度一喜一憂する姿も痛いっちゃ痛いですけど。

Rsps3『ルビー・スパークス』は当初三館くらいしか上映が決まってなかったんですが、新宿武蔵野館にムーブオーバーも決まり、その他の上映館もちょぼちょぼ増えている模様。
冒頭で書いたとおり帰りの電車がなくなるかもしれない恐怖に耐えながらの観賞となりましたが、幸い積雪にも関わらず小田Q線はなんとか動いてました。えらいよ小田Q! 


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January 27, 2013

ボーイズ・ビン・アンビシャス アミール・ナデリ 『駆ける少年』

Kks1最近注目を集めているイラン映画。その雄の1人、アミール・ナデリ監督の伝説のデビュー作がこのほど正式公開されたので、東京はオーディトリウム渋谷まで観にいってまいりました。『駆ける少年』ご紹介します。

ペルシャ湾岸の廃船に1人住む少年アミル。親はいないし辛いこともあるけれど、アミルは日々を元気に暮らしていた。空き瓶集め、列車との競走、異国からやってくる飛行機や雑誌・・・ 仲間たちと楽しくはしゃぐ一方でアミルは胸の中に熱い感情の塊を抱えていた。

親のない子が1人で働きながら生きていく・・・というと大抵はかわいそうな話になりがちです。しかしアミル君にはそうした悲惨さはあまり感じられません。子供ながら彼の生活力はなかなか大したもの。そりゃ贅沢はできないでしょうけど食べるものにはそれほど困ってないようだし、遊びや趣味にお金を払う余裕さえあります。
とりわけアミルくんが好きなのが飛行機。彼はしょっちゅう飛行場に通ってはいずこから飛んでくる飛行機に向かって歓声をあげます。TVゲームなどの高価なおもちゃは持っていなくても、そばに大きな乗り物が見られる場所があれば子供たちは十分毎日が楽しいのかもしれません。

アミル君は朗らかで子供らしい半面、年不相応なほどにギラギラした一面もあります。自分が集めたビンや売り物の氷水を横取りされると野獣のような必死さでもって、それを取り返そうとします。また「字が読めない」と言われた悔しさから、せっかく買った雑誌をビリビリに引き裂いてしまったりする。学校に通い始めたアミルが寄せてくる波に向かって文字の暗記を叫ぶシーンもまたそういう気迫に満ちていました。

ぎゃんぎゃんとしたわめき声や、子供が作業場で駆け回る姿は、ちょうど今オーディトリウムの上の階でやっているロシア映画の衝撃作『動くな、死ね、甦れ!』とも通じるものがありました。両方とも監督の自伝的作品であるところも似てますし、製作年代もけっこう近いです(『駆ける少年』が1985年、『動くな、死ね、甦れ!』が1989年)。
ただ『動くな、死ね~』にあって『駆ける少年』になかったものは同年代の女の子とかエロ要素とか。ロシアの田舎と違ってイスラム社会は性モラルに厳しいということなんでしょうかね。

タイトル通り、この映画にはアミルが疾走するシーンがふんだんに織り込まれています。(いまはまだできることに限りがあるけれど、きっといつか広い世界に出て挑戦してやる) 少年の駆けていく姿にそんな力強い意志を感じました。実際彼は後に世界的に有名な映画監督となり、日本の映画館のロビーで毎日お客さんに挨拶してるわけですからね。

Kks2『駆ける少年』はもう渋谷での上映は終わってしまいましたが、これから神奈川、大阪、富山、大分などの劇場を回っていくようです。
ちなみにわたしが観にいった日はけっこうな雪の日で帰りの電車が出るかどうか、びくびくしながらの観賞となりました(笑) 無事帰れたどうかは次回『ルビー・スパークス』のレビューにて


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January 23, 2013

バック・トゥ・ザ・アートネイチャー ライアン・ジョンソン 『LOOPER/ルーパー』

Looper年明け早々、またずいぶんヘンテコな映画を観てしまいました。若手で人気上昇中のジョセフ・ゴードン・レビットが、あのダイ・ハードにダイ変身!? 『ルーパー』、ご紹介します。

貧富の差が進み、世相が荒廃したアメリカ。そこでは「ルーパー」と呼ばれる奇妙な殺し屋たちが暗躍していた。彼らの仕事は未来から送られてきたターゲットを射殺し、死体を始末することだった。
ルーパーの1人ジョセフは麻薬とパーティーでうさを晴らしながら、組織の指示のもと仕事をこなす日々を送っていた。だがある日彼の元に送られてきたのは数十年後の自分だった・・・

この「ルーパー」が仕事をしている映像がなかなかに奇妙であります。サトウキビ畑をバックにブルーシートが敷かれていて、そこに手足を縛られた人間がパッと突然現れます。間髪入れず離れたところから銃弾をお見舞いするルーパー。「未来では死体を始末することがほぼ不可能」ということでこんな職業が生まれてしまったそうです。こういっちゃなんだけど、わたしにだって出来そうなごくシンプルな作業。
ただ、幾ら簡単な上に高額な報酬をもらえるとしても、人の命をポンポン奪うような仕事はやっぱりイヤですよねえ。だから予告編を観たときには「この主人公、到底好きになれないなあ」と思ったものでした。
ところがジョセフに親に捨てられてストリート・チルドレンとして暮らしていたという過去があったり、平気なフリをしていても精神的に参りつつある様子などを観ていると段々情が移ってきます。この辺は脚本の力か、単にわたしが情にほだされやすいということなのか。
あともう一つ特に奇妙だったのが、現在のジョセフが未来のジョセフをけっこう必死になって殺そうとすること。失敗したら現時点で相当むごたらしい目にあわされることがわかっているので、それもまあわからないではないんですが、幾ら未来のとはいえ自分自身ですからねえ。そんなに割り切れるものだろうか・・・とは思いました。

以下は後半・結末についてネタバレしていきますのでご了承ください。
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前半はそんな風に奇妙な風味や超展開を混ぜつつ、一応はスピーディーなエンターテイメントとして進んでいきます。ところが後半ジョセフがとある母子とめぐり会ってから、お話は突然まったり展開になっていきます。
母として生きようとする女性と過ごしていくうちに、彼女らを守ってやりたいと願い始めるジョセフ。自分がかつて母に捨てられた身であるがゆえに・・・ そして未来のジョセフもまた、伴侶が殺されてしまうという運命を変えるために過去の世界で奔走します。

「自分のためだけに生きる人生はむなしくはないか」「なぜこの世にはこんなにも理不尽な悲劇が多いのか」「将来極悪人となるとわかっていたら、子供とはいえ殺さなければいけないのか」
タイムトラベルや超能力といったトンデモな要素と共に、そういう深刻な問いかけを投げかけてくるスタイルは、あの人に似ていると思いました。そう、ハリウッドきっての個性派インド人監督、ナイト・M・シャマランです。シャマランっぽい力技なオチもありましたしね。
監督のライアン・ジョンソン氏はこれまで『ブリック』『ブラザーズ・ブルーム』といった二本の犯罪映画をてがけております。前者が製作費の五倍儲けたのに対し、後者は儲けが製作費の四分の一・・・ 菊池凛子が出ているにも関わらず日本未公開(DVDスルー)なのはそのためか。
しかしまあこの『ルーパー』では六倍以上の売り上げをたたき出し、評者達の支持も高いので見事に息を吹き返したというところでしょうか。

「ただ母に髪をなでてもらいたかった」という思いをひきずり、少年のまま大人になってしまったジョセフ。その願いはラストに思わぬ形で実現します。そう考えるとある意味これもハッピーエンドなのかも・・・ そう自分に言い聞かせつつ劇場を出ました。

C139b02f5281ca7430e34afad90debd7というわけで『ルーパー』は現在全国の劇場で上映中。初登場5位くらいだったのであと二三週しかやってないかも・・・
いま1人の主演であるブルース・ウィリスは今年日本で5本の新作が公開予定(うち4本がアクションもの)。ハゲてなお意気盛んだな~と頼もしく思う次第であります。


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January 21, 2013

新・劇画ヱヴァQ 庵野秀明 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』Bパート

最近ネットが不調気味でまたしても間が空きました・・・ 本日は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』について再度書きます。新年元旦にライダーと一緒に張り切って観てきました(笑) 今回は設定の考察・・・というか確認。なんかもう理屈では通用しない世界に突入してしまったので、そんなことを確認してもむなしい気がしますが・・・
ちなみに単純に感想を書いたAパートの記事はコチラ。そして言うまでもなく完全ネタバレです。

☆エヴァ
まず本作のタイトルであり主役ロボ?のエヴァについて。前作『破』までで零号機~六号機(Mark6)までが確認されました。今回新たに登場するのはまず「コネメガネ」こと真希波・マリ・イラストリアス専用機である8号機。あれ? 7号機は・・・ 
Evaqb2エヴァはそれぞれ無脊椎系の小動物をモチーフとしているというのが私の説ですが、この8号機はたぶんヒトデかタコが元ネタなんじゃないかなあという。左はうろ覚えの記憶とボケた画像をもとに描いてみました。実物とはかなり異なる可能性があります。
二代目?綾波レイもMark9(9号機)と呼ばれる新機体に登場します。これがまあ外見的には零号機とあんまり変わらず。全身がコアという設定のため(これよくわかってないんだけど)、一部が欠損してもトカゲの尻尾のごとく再生できるという特技を持っています。前に「芋虫がモチーフでは」と書きましたがここまで来るともうアメーバというか単細胞生物ですね。
そしてクライマックスに登場する複座式の13号機。またしても番号をすっとばしていきなり「13」です。庵野さん、どうしてあなたは順番通りにいけないんですか!
ぱっと見、初号機とあまり変わらないのですがカラーリングがやや暗くなったせいか蝶というよりカブトムシっぽい印象を受けます。この13号機には「隠し腕」も備わっているため展開するとよけい昆虫っぽく見えます。
あと葛城ミサト率いるヴィレのリーダー鑑であるAAAヴンダー。エヴァではないんですがエヴァをエンジンとして動き、羽のような翼を持っていることから飛行機というよりかは生体メカに近い気がします。

☆使徒
おさらいしておきますとネルフ地下にはりつけにされてたのが第二使徒リリス、『序』で出てきたのが第四~第六、『破』で出てきたのが第三と第七~第十。で、今回明確にカヲル君が第一使徒であることが明らかにされました。さらに終盤ではエヴァMark6に隠れてた最後の「第十二使徒」が登場します。あれ? 十一は・・・? 庵野さん、どうしてあなたは(略) 空白の十四年の間に二体の使徒が攻めてきて、なんとかネルフが撃退したという経緯でもあったのでしょうか

☆なんちゃらインパクト・人類補完計画
第二使徒リリスと他の使徒が接触するとサード・インパクトが起きるというのが前作までの定説となっておりました。しかし実際にニア・サード・インパクトを起こしてしまったのはシンジ君。恐らくリリスの分身である綾波と融合してしまったことが引き金となったものと思われます。
で、旧シリーズでは「人間は固体では限界があるのでみんな融合しちゃって一つになろうよ」というのが人類補完計画の最終目的だったと記憶してます。が、今回では人為的になんちゃらインパクトを引き起こして新たな種を創造しよう・・・という風に変更になっていました。こんだけ天変地異が起きたら新しい種が生まれるどころかゴキブリさえ絶滅してしまう気がするんですが・・・

☆ロンギヌスの槍・カシウスの槍、ゼーレ

ロンギヌスの槍は旧作にも出てきましたね。使徒の活動を停止させる役割があるようです。ところが今回もう一本「カシウスの槍」なる新しいアイテムが登場します。カシウスとはキリストを槍で突き刺したロンギヌスの別名。ということはこの二本の槍って限りなく同じものなんじゃ・・・ 「ビートたけしの槍」って言うか「北野武の槍」って言うかの違いですよね
クライマックスではこの槍についてあーでもないこーでもないとよくわからない議論が繰り返されるのですが、とりあえず碇ゲンドウの狙いはシンジ・カヲル君をだまくらかして第十二使徒を目覚めさせ、カヲル君を無効化・排除すること。そんでゼーレから人類補完計画の主導権を奪い取ること・・・だったのでしょうか。
ネルフの上部組織であるゼーレさんたちは旧版では「フリーメ-ソンみたいな偉いおっさんたち」という印象でしたが、新劇場版では最初から板状だったため、人間とはまた別物という感じでした。今回「はるか永く生きてきた」みたいなことを言われていたので、恐らく神か宇宙人のような存在なのでしょう。地球を実験場にして使徒やら人間やらをこさえてきたのは彼らだったのかもしれません。

Evaqb1すでにどこかのサイトで書かれてるようなことしか書けなかった・・・ 反省。
本日発売の映画秘宝誌では年鑑ワースト3位に選ばれてしまった『エヴァQ』ですが、興行的には収益50億を突破し、さらに追加上映館も決まったとのこと。この勢いを駆って完結編まで盛り上がってほしいものです。
また少し間を空けて、0パートではTV版20~26話の思い出を書きます。

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January 15, 2013

イナズマイザートリ~ン 『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム 』

20130115_171623正月明けでボーっとしてたら更新が一週間空いちょりもしたw 気を取り直して新年最初に観た映画『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE 大戦アルティメイタム』ご紹介いたします。相変わらずタイトル長。そして新年最初がコレだったんかい・・・

天の川学園を卒業してから五年後。かつての仮面ライダーフォ-ゼこと如月弦太郎は、教師としてかつての母校に戻ってくる。かわらぬ朗らかさで生徒たちに接する玄太郎だったが、クラスの風田三郎たちは「超人類の代表」と名乗って超能力を見せつけ、彼に挑戦状を叩きつける。風田たちの真の教師になるため、弦太郎はかつての仲間たちに助けを請う。
一方五年前、仮面ライダーウィザードこと操真晴人は魔界からやってきたという怪人「アクマイザー」の罠にかかり、ある女性の夢の中に囚われてしまう。その世界では「ポワトリン」という正義のヒロインが人々から熱狂的な支持を集めていた。

どうですか・・・ このとっちらかったあらすじ・・・ しかしまあ、ライダー映画との付き合いももう十二年以上になりますから、個人的にはこれくらいどってことありません。今回は恒例となりつつあるゲスト石ノ森ヒーローの解説と共にダラダラ語ります。

・イナズマン

うっひゃあ、みなさん知ってますか、イナズマン? 原作は「超能力」「人類の進化」をテーマとしたかなりSF色の強いヒーローもの。なぜかお色気描写もてんこもりでございました。このイナズマンの特色は一回の変身で完全体になれないこと。その前に一定の時間、中継ぎ的ポジションの「サナギマン」という岩男にならなければなりません。今回はこの二段変身をちゃんと再現し、さらにイナズマンが原作よりの生き物っぽいデザインになっていたところがポイント高かったです。
ストーリーも、まあよかったかな。甘くあーまく評価して。

・美少女仮面ポワトリン

わたしあんまりこの子のこと知らないんですよね・・・ のでウィキぺディアの項目をご覧ください(おーい)。
さくっと読んでみたところ、石ノ森先生が「これはもう脚本家の浦沢義雄氏の作品」と語っているのが面白いですね。あと後の「美少女戦士」セーラームーンにも影響を与えているようです。
正直ポワトリンはじめ女子キャラの見せ場の度に「ピンピロリ~ン」と効果音が入るのは恥ずかしかったです(40近い男が1人でライダー映画を観にいくのは恥ずかしくないのか?)。
しかしまあポワトリン演じる入来茉里ちゃんはなかなかかわいかったし、このポワトリンに関してはなかなか強烈なオチが用意されていて感心しました。わたしは思いいれないけど、これ昔のファンが観たら怒るだろ・・・ ちなみに脚本は旧シリーズと同じ浦沢義雄氏。見上げたセルフパロディぶりです。

・アクマイザー3

今回ライダー達のメインの敵になるのがこのアクマイザー3。オリジナルでは魔界の戦士が正義に目覚めて人間のために戦う、というストーリー。オリジナルでは怪人の方が素の姿で、必要なときだけ人間体になるというところが斬新でした。またこの手のヒーローものにしては珍しく幾分悲劇的な結末を迎えたのも印象に残っております。
だから今回のリメイクでは幸せになってほしかったんですが、もう全然別キャラというか、血も涙もない悪役として出てきました。なんせ声がデーモン小暮だしね・・・
夏の『キョ-ダイン』もそうだったけど、どうして中島かずきさんはそういうことをするのかなあ。まあ石ノ森漫画ではヒーロー同士が壮絶な同士討ちを演じることもちょくちょくあったので、その辺のオマージュなのかもしれません。

Mvtfw『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム 』は大ヒットにつき今月いっぱいまでやってるようです。これで最近スクリーンに出てない石ノ森ヒーローはあとロボット刑事に変身忍者嵐、超人ビュビューンくらいでしょうか。
あと春にはまたあの物量企画『スーパーヒーロー大戦』第二作がひかえているそうです。今度は宇宙刑事も参戦するそうで・・・ ウルトラが参戦する日も遠くないかも。

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January 08, 2013

ジャンバルジャンがんばるじゃん! ビクトル・ユーゴー トム・フーパー 『レ・ミゼラブル』

Photoビクトル・ユーゴーの不朽の名作が、近年ミュージカル化されてロングランを続けております。そのミュージカル版を、今度は『英国王のスピーチ』のトム・フーパーが映画化。『レ・ミゼラブル』紹介いたします。

いわゆる王政復古の時代のフランス。家族のためにパンひとつ盗んだ罪で、19年の徒刑を課されたジャン・バルジャンという男がいた。元囚人に対する世間の冷たい仕打ちからさらに罪を重ねたジャン・バルジャンだったが、自分をかばってくれた高徳の司教ミリエルの愛に触れ、まっとうに生きようと決意する。それから数年後、マドレーヌと名を変えたジャン・バルジャンは、貧しさと不幸ゆえ身も心もズタズタになったファンテーヌという女性と出会う。ファンテーヌを安心させるため、ジャン・バルジャンは彼女の娘コゼットを引き取る約束をするのだが・・・

日本では長らく『ああ無情』のタイトルで知られていた作品。わたしもその題の児童向け版を読んだことがあります。しかし最近ではミュージカルのヒットゆえか『レ・ミゼラブル』という原題の方が通りがいいようです。それ以前に描かれたみなもと太郎先生のコミック版(上のイラスト参照)もこっちの題でしたが。
長い間間違って覚えておりましたが、『Les Misérables 』とは「かわいそうな人々」「悲惨な人々」という意味なんだそうです。なるほど。かわいそうで涙ちょちょ切れる話の乱れ撃ちでございましたよ・・・

ちなみに原作は文庫本で普通4,5冊はあります。ジャン・バルジャンとは関係ない話とか当時の世相についてもえんえんと書かれているのでこのボリュームになってしまったみたいですが、それでもそんな大長編を三時間でどうやって納めてるのか、ずっと疑問に思っていました。で、観てみてなるほど、駆け足にはなっていましたがなかなか上手に山場だけ集めた「短縮版」となっておりました。
欧米の人々にとって『レ・ミゼラブル』の映像化、舞台化というのはこちらでいえば『忠臣蔵』に近いものがあるかもしれません。有名でみんな知ってる話なので、尺の問題もあるし細かいところはどんどんはしょる。その代わり肝心な場面はとことん盛り上げる・・・というあたり。ええ、とても見事な盛り上げっぷりでございました。観賞しながら「む・・・ 歌と音楽で強引に感動に持ち込もうとしてるな? ふっ! その手に乗るかよ!」なんて思っていたのですが、みごとに持っていかれましたね(笑) ジェット噴射のように鼻水がすっとんでしまいました。

たぶんこのお話の主人公はジャン・バルジャンとコゼットだけでなく、当時フランスに生きていた貧しい人々全てなのでしょうね。長い年月苦しめられてきた囚人たち、生活苦ゆえに身を売る娼婦たち、体制を打破しようと理想に燃える若者たち、飢えていても明るさを失わない浮浪児たち、どんな時でも強かさを失わない小悪党たち・・・ 時代も国もかけ離れていても、彼らがとても身近に感じられるのはなぜなんでしょう。そして貧しくても輝かんばかりの生気に満ち溢れているのも不思議であります。

ヒュー・ジャックマンのジャン・バルジャン、アマンダ・セイフリッドのコゼット、ラッセル・クロウのジャベール、どれも役にぴたっとはまった大熱演でございましたが、さらに印象に残ったのはアン・ハサウェイ演じるファンテーヌとサシャ・バロン・コーエン演じるテナルディエ。アン・ハサウェイはこれまで「コメディメインの女優」というイメージがありましたが、髪をばっさり切ってげっそり痩せた姿で熱唱するシーンなどは実に迫力がありました。
もう1人サシャ・バロンのテナルディエは原作の卑屈な人物とは若干趣が違いましたが、これはこれで役者の破天荒なキャラも手伝って痛快な悪役になっておりました。

あと大概ネタバレですが特に胸を打ったのはラストシーン。最初にも書きましたがストーリーはほぼ知ってたので意外性というのはほとんどなかったんですが、最後の最後であくまで原作にそいながら、なおかつ原作を飛び越えた光景を見せてくれました。このシーンもまた、「主人公は貧しき人々」ということをよく表していたと思います。

Photo_2『レ・ミゼラブル』は現在全国の劇場で上映中。現時点で洋画ではトップであります。名作の力ってやっぱりすごいですね。
そしてヒュー・ジャック・バルジャンはこのあとミュータント化してアメリカへ渡るという話。その秘められた物語は今年公開される『ウルヴァリン:サムライ』で語られるそうです。おお! オラやっぱりそっちのおヒューさんの方が楽しみだな!

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January 07, 2013

生きるんだよスパーキー! ティム・バートン 『フランケンウィニー』

20121214_210020年が明けて一週間近く経ちましたので、そろそろこのボロブログも再開いたします。新年一発目の記事はいまやすっかりヒットメーカーとなったティム・バートンが贈るストップ・モーションアニメ『フランケンウィニー』をご紹介します。

カミナリがよく落ちる町、ニューホランドで暮らす少年ヴィクターは、内向的な性格のためなかなか友達ができないでいた。仲良しの愛犬スパーキーさえいれば友達なんていらない、ヴィクターはそう思っていた。しかしある日スパーキーは不慮の事故で死んでしまう。悲しみにくれるヴィクター。だがヴィクターはある日理科の授業で得た知識を元に、スパーキーを電気で生き返らせることを思いつく。

舞台のとなる町の名前が「新オランダ」なのは、名作犬物語の『フランダースの犬』がオランダの話だからでしょう(←まちがい。ベルギーでした。バカ!)
しかしバートンもこういう話好きですね。死者が生き返ったりとか、生きてるのに埋めちゃったりする話。『シザーハンズ』『コープス・ブライド』『ダーク・シャドウ』と今回でもう四回目ですよ! 恐らくそれはエドガー・アラン・ポーが描いたゴシック小説へのリスペクトゆえなんでしょうけど。
そういえばわたし『コープス・ブライド』の感想で似たようなこと書いたなあ・・・と思って読み返してみました。そしたらびっくり、あの作品の主人公の名も「ヴィクター」というんですね。時代と年齢の差こそあれ、二人はほぼ同じキャラと考えてよいでしょう。『コープス・ブライド』ではスパーキーと似た輪郭の骸骨犬も登場してましたっけね。余談ですがわたくしバートンのデザインした犬は犬というより大きなトカゲに見えて仕方ありません。

あの世からよみがえってきた怪物って普通なら恐怖の対象にしかなりませんが、バートン作品では問題児でありながら、愛すべきお茶目なお友達として描かれています。それはオタク人だったバートンにとって、モンスターや幽霊こそが架空の友達だったからでしょう。
ヴィクターのクラスメイトがそろってホラーな顔立ちをしてる理由もその辺にある気がします。せ○し男にボリス・カーロフのそっくりさん。日野日出志の漫画に出てきそうな少女。子供たちには悪いけど、まるでオバケ屋敷のようなクラスであります。そんな中で異彩を放っているのが目つきの鋭い日本人少年ヒロアキ。なんで並み居るモンスターたちに混じって日本人がいるのか。たぶんバートンとしてはゴジラにそっくりなクラスメイトを出したかったんじゃないでしょうか。でもさすがにそこまで人間離れした子供を出すのは無理があります。そこで「ゴジラといえば日本製」ということで、ぐっと妥協して?日本人のキャラを出すことにしたのでしょう。ゴジラ=日本。その認識、まちがってないぜ! バートン!! 

無理やり話を主題に戻します。生きてる以上、愛するものとの死は避けられないものです。しかしそんな現実なぞしったこっちゃないね!というのがバートン流。彼の世界の中では、仲良しはいつまでも仲良しのまま永遠に生き続けるのでしょう。確かにおとぎ話の中くらい、そんな甘優しい世界があってもいい気がします。

Photoそんな『フランケン・ウィニー』は現在全国で大ヒット公開中・・・のはずでしたが、バートンにしては珍しくいまひとつな成績なようです。やっぱしジョニデが出ないと女子たちは観にこないのかね・・・ ちなみにジョニデが出てこないのは『ビッグフィッシュ』以来9年ぶり。恋女房のヘレナ・ボナム・カーターが出てこないのは『スリーピー・ホロウ』以来の13年ぶりです。
バートンさんの次回作は『モンスターポカリプス』というこれまたわかりやすいタイトル。今のところジョニデは出ないようですが、どうしたのかしら・・・ とうとう破局したのかしら・・・ ヴィクターとスパーキーのように、バートンとジョニデもいつまでも仲良しでいてください!


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