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December 25, 2012

センターウォーズ エピソード1 ピーター・ジャクソン 『ホビット 思いがけない冒険』

Photo十年前ハリー・ポッターと並んでファンタジー映画の一大ブームを巻き起こした『ロード・オブ・ザ・リング』(以下『LOTR』)。その前日談が同じくピーター・ジャクソンの手によって三部作で映像化となりました。第一部にあたる『ホビット 思いがけない冒険』をご紹介します。

かつてドワーフの王国として栄えたエレボール。だが王は欲に任せてその地に黄金をかき集めたため、王国は金を好物とする竜スマウグに襲われ、のっとられてしまう。
流浪の身となったドワーフの貴族トーリンと仲間達は王国の奪還を誓い、魔法使いとして名高いガンダルフに助力を請う。ガンダルフはそれを引き受け、一行に身のこなしのすばやいホビットのビルボ・バギンズを加えることを提案する・・・

わたくし実はそんなに指輪世界の熱心なファンではないのですが、冒頭のホビット庄のシーンを見たらなんともいえない懐かしさがこみあげてきました。まるで十年前にタイムスリップしたような気分。で、旧作ではホビット庄のパートが終わると急転してホラー顔負けの追跡劇が始まるわけですが、今回はもう少しほのぼのしてます。
これは『LOTR』がトールキンの一大叙事詩の集大成であったのに対し、『ホビット』は子供のためのおとぎ話として書かれたからでしょう。ピージャクらしいグロ怪物も出てきますが、『LOTR』の時と比べてどこかユーモラスです。お話もあちらこちらに分散せずに基本的にビルボ1人の視点で進んで行くので、すごくわかりやすかったです。

あともうひとつ『ホビット』の特徴を挙げるとすると、「望郷」というのがストーリーの中心となっていることです。ドワーフたちは故郷に帰ることが目的で旅をしています。そんな彼らの願いをかなえてやりたいがために、そしてまた我が家に帰るためにビルボは冒険を続けます。そんなテーマと共に歌われる主題歌『はなれ山の歌』がまた郷愁の念をかきたてます。わたし、実家に住んでますけどね。

で、この原作、『指輪物語』に比べるとそんなに長いものではないんですよね。『指輪』が単行本で全9巻もあるのに対し、こちらはせいぜい上下巻。なのに『LOTR』と同じく、今回も三部作でほぼ同じボリュームで映画化するようです。前作がちょこちょこはしょって約9時間に収めたとすれば、今回は色々オリジナルのエピソードを付け足して均等を図るというところでしょうか。ピーちゃん・・・ 無茶しやがって・・・
なぜそこまでして『LOTR』に尺を合わせるのか。これは私見ですが、ひとつにはたぶんピージャクはスターウォーズ六部作と同じことがやりたいんじゃないでしょうかね。『LOTR』に出てきた要素を小出しにしながら、前に書ききれなかった謎を明らかにし、最終的には全てのミッシングリンクがつながっていくという。オタクってやつはすげえもんを観るとついつい「オレもあんなのが作りたい!」と思うものなのですよw
もうひとつは男子たるもの、やっぱり続編(正確にはプリクエルですが・・・)をやるからには前のものに劣るものは作りたくない!という思いがあるんじゃないでしょうかね。ただでさえ前日談というのは「ん~、大体最後どうなるかわかってるし~」ということで盛り上がりにくいものです。しかし分が悪いからこそ、勝負心ってやつはいっそう燃えあがるもの。ピージャクとしては前作『ラブリーボーン』が微妙だっただけに、ここは一丁漢を見せねばならんでしょう!

で、そのオトコ勝負、全米では見事にシリーズ最高のスタートを切って華々しい勝利をつかみとったようです。が、対照的に日本では初登場4位というアレレな結果に。ハリー・ポッター終了と共に、ファンタジー映画のブームも完全に終了してしまったということでしょうか・・・
ビルボを演じるのは実力派マーティン・フリーマン氏。『銀河ヒッチハイクガイド』で宇宙を旅し、『レンブラントの夜警』でフルチンになり、今や欧州の芸術・文学映画を代表する存在といっても過言ではありま・・・ありますけどありません。日本で彼の作品がこんなに大々的に公開されるのは初めてのことなのに、早くも沈没気味でなんとも気の毒なことであります。
Photoそのフリーマン氏、ジャン・ポール・ベルモンドをモデルにした寺沢武一先生の『コブラ』に似てると思うのですよ。で、描いてみたんですが・・・
『ホビット 思いがけない冒険』は現在全国で上映中。来年には第二部『スマウグの荒らし場』、第三部『行きて帰りし物語』が公開予定。どうかDVDスルーということになりませんように・・・

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Comments

伍一くん☆
今回は絵の事には触れずにおきましょう。

さて、実は私もそれほど「指輪世界」に思い入れが無いものですから、案の定10分ほど寝ていたようです。
でもとにかく旅に出て、何か怪しげな生き物に追いかけられて、逃げて助かってまた追いかけられる・・・というのは、「ロードオブザリング」も同じなので、途中抜けても大丈夫!と私は勝手に思っています。

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 26, 2012 at 12:19 AM

>ノルウェーまだ~むさん

>今回は絵の事には触れずにおきましょう

なんで!? こんなにそっくりなのに!

>案の定10分ほど寝ていたようです。

またですか・・・ 幾ら寝る子は育つといってもこのままでは育ちすぎて巨人になってしまいますよ

まあ確かに途中で少々睡眠休憩しても支障のないストーリーではありました。OP、ゴラムのくだり、岩の巨人のシーン、クライマックスくらいですかね。見逃しちゃいけないあたりは

Posted by: SGA屋伍一 | December 26, 2012 at 11:07 PM

こちらにもお邪魔します。

まだ~むさんが触れない代わりに自分が触れましょう。・・↑のパイプ咥えてる人ってコブラですよね?


まあそれはともかく(ぇ)、自分も実はそれほど指輪のファンじゃないのですが、それでもやっぱり中つ国の幻想的な世界観は魅力的でしたね。人物とか色々忘れてる部分もありはしましたけど、それでも歳を取らない便利な設定の種族たちが多いせいか、一度顔を確認すれば『あ、そう言えばこの人、前3作にいたいた。エージェント・スミス♪』って感じで、思い出しながらも楽しんでましたねw
とはいえ、初登場4位はちょっと危ない・・かな?^^;結構お腹一杯になれたので、個人的には1年後もまたスクリーンで鑑賞したいものです。

Posted by: メビウス | December 27, 2012 at 02:50 AM

>メビウスさん

こちらにもどもども
コーブラー ラブラビュ~ アレクサンドラ・アジャが映画化するという話は進行してるのかな

意外と『LOTR』マニアじゃない人たちも楽しめてるようですね、この映画。前作よりシンプルな分敷居が低いのかもしれません
前のキャラクター関連でいえばギムリの親父がパーティーにいるらしいですが似てない上にほとんど活躍してないので全然わかりませんでしたw 

続きはさすがに映画館でやるとは思いますが、もしかするとこのHFRってやつはこれ一回で終わってしまうかも・・・ 

Posted by: SGA屋伍一 | December 27, 2012 at 10:42 PM

突然で申しわけありません。現在2012年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票は1/17(木)締切です。ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
なお、twitterも開設しましたので、フォローいただければ最新情報等配信する予定です(http://twitter.com/movieawards_jp)。

Posted by: | December 29, 2012 at 11:41 PM

えっとぉ〜、すみません!!!私はバリバリの『LOTR』ファンです!
なので、らしくもなく初日に観に行っちゃいました!!!(^^;)
あの音楽と中つ国の世界観に浸れただけで、楽しい170分でした。
もう、早く続きがみたいです。
ただ、日本では興行はいまいちみたいなので、
心配ですが、もう3部作のほとんどは出来てる感じなので、
上映は必ずあると思いますよ〜。
まだまだこれから、レゴラスの父エルフとか、人間界とか、ドラゴンとか
色々登場するんですから・・・・(~_~;)

Posted by: ルナ | December 30, 2012 at 12:31 AM

>日本インターネット映画大賞さま

毎年お疲れ様です。余裕がありましたら投票いたします。よろしく~

Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2012 at 06:23 PM

>ルナさん

謝られることはございませんよ! 謝らなきゃいけないのはこっちcoldsweats01
そっか。指輪ファンにとってはまさに待望の公開だったのですね。監督が決まるまで難航した時期は、きっとやきもきされたことでしょう
次回はタイトルにもなってるのできっとエラゴン、じゃなくてドラゴンが大暴れするんでしょうね~ 楽しみです

Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2012 at 06:38 PM

経緯が分からないのですが、どうせ謝るなら土下座でいきましょう。

ホビット3部作が終わったら・・・いよいよ『ラブリー・ボーン』の前日談が!・・・『キングコング』の前日談『ジャック・コング』とかでもいいぞ(観にいくかどうかは別として)。

Posted by: ふじき78 | January 05, 2013 at 08:35 AM

>ふじき78さん

とりあえず漫画ゴラク連載の土下座漫画『謝男』は傑作ですね
『キングコング』の続編は『クイーンコング』じゃないかな? 意地でも観に行かないけどね!
というか彼にはマジで『ロストワールド』を作ってほしいです

Posted by: SGA屋伍一 | January 05, 2013 at 10:53 PM

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