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November 02, 2012

カラスと共に去りぬ ジェームズ・マクティーグ 『推理作家ポー 最期の5日間』

Photo今年はエドガー・アラン・ポー生誕203周年、没後163周年にあたります。・・・どっちも半端じゃん! にも関わらず突然こんなポー記念映画のようなものが出来てしまいました。『推理作家ポー 最期の5日間』ご紹介します。

1849年アメリカ。詩人・作家として名高いポーは久しぶりに古巣のボルティモアに戻ってきたが、酒とスランプのため懐はすっからかんであった。そんな折り、彼が書いた小説『モルグ街の殺人』『落とし穴と振り子』に酷似した殺人事件が起こる。犯人にまったく心当たりがなく、当惑するポー。さらに追い討ちをかけるように、殺人鬼の魔の手はポーの恋人エミリーにも忍び寄る。

いきなりネタバレしますと最後にポーは死んじゃいます。まあこれは歴史がそうなってまして、タイトルもそうなってますから。しかし彼の死には謎が多く、その真相に関しては様々な説があるそうです。記録によると恋人と将来を誓い合ってルンルン(死語)だったはずのポーはなぜか「異常な泥酔状態」で発見され、そのまま帰らぬ人となったとのこと。この作品はもちろんフィクションですが、その謎に関して想像と遊び心を働かせて独自の答えを提出しております。

ポーの作品を想起させるアイデアがあちこちに盛り込まれていますので、彼の作品を知っていれば知っているほど楽しめると思います。と言いながらわたしもそれほど読んでるわけではなく、その上かなり前の話。とりあえず子供の頃読んだ『落とし穴と振り子』はかなり面白かったなあ・・・ と思っていたら序盤でめっちゃえぐい形で使われておりました。そこ以外はそれほど大したことないんですけど、とにかくこの「振り子シーン」のえぐさは相当なものなので、残酷シーンの苦手な人は目をつぶっていてください。
他は『モルグ街の殺人』『大鴉』『赤き死の仮面』『アッシャー家の崩壊』などが重要なところで使われております。特に『大鴉(The Raven)』はこの映画の原題でもあります。どういう内容の詩かというとこういう内容なんですが・・・ 暗いポエムだな、おい。日本の作家でいうと太宰治にも近いものがあると思うのですが、ポーという人は女性に救いを求めている一方で、どこか死にも強い魅力を感じているところがあります。映画ではそんな彼の相反する二つの面が上手に描かれていたと思います。
あとわたしが評価したいのは、おおよそハッピーエンドにはならなそうなお話なのに、クライマックスの後でなんかすごいさわやかな気持ちにさせられたこと。振り子ギロチンではあんなにおえっぷな気分になったのにねえ。振り子だけに振り幅の広い映画でありました。
ほかにも片っ端からなんでも酷評する批評家とか、作品の評価をめぐって大炎上とか、この頃からあったんだな~なんてところにもニヤニヤいたしました。
Photo_2『推理作家ポー 最期の5日間』は現在全国の劇場で上映中ですが、そんなにヒットしてないので上映期間も残りあと一週くらいかと思われます。
もひとつ言わせてもらえるならこの人、60篇以上書いてる小説の中で推理小説はたった5篇しか書いてないんですよね。ですから正しくは「怪奇・幻想作家」だと思います。


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Comments

こんばんは!(^_^) 
なるほど!言われてみれば・・・ちょっと太宰治系ですよね。
自信があるふりしてるわりに、世間の評価が気になる繊細な性格って
芸術家には多い気がしますが、
何でも、最初に始めた人って、やっぱりすごいと思うのですよ〜。
まあ、死んでから有名になっても、本人はうれしくないと思うのですが
何百年たっても、読み継がれたり、こうして作品になったりするのは
作品だけでなく、本人も魅力的だということでしょうね〜。

Posted by: ルナ | November 04, 2012 11:57 PM

>ルナさん

どもー
太宰もそうですが芸術系の才能に秀でてる人というのは、代わりに人格が壊れていることが多いようで。凡人でよかった!(・・・)

おっしゃるとおり彼がいなければ「推理小説」はこの世に生まれなかったかもしれないわけで。五本しか書いていなくてもその功績は大いに評価されるべきですね

死んでからメジャーになる人も多いですよね。ゴッホとか宮沢賢治とか
ポーさんの場合は貧乏でもとりあえず名は売れてたようなので、彼らにくらべればまだいいほうかな?

Posted by: SGA屋伍一 | November 05, 2012 10:58 PM

伍一君☆こんばんはー
BIGLOBEがメンテ5日間もしてくれて、すっかり暇だった私です。
なるほどー勉強になりましたわ。
私も彼の推理小説は、ほんとーに昔、子どもの頃読んだきりでしたので、どんな内容かもうっすらなのですが振り子のシーンだけはさすがにその異様さでよく覚えておりました。
何度か夢に見ちゃったもんねー

ポーは芸術家だったわけですね。
死への憧れと繊細な感情は、先日見た「チキンとプラム」と似ている所があります。
手に職がないとただの病んでいる人になっちゃうけど、芸術家だと美しく見えるものなのですねぇ。

Posted by: ノルウェーまだ~む | November 06, 2012 12:25 AM

伍一ん。

>最後にポーは死んじゃいます
いきなりネタバレ!?


でも最後の5日間ってつくの多い気が、、、、
(゚m゚*)

きいろいゾウ、良かったよ。
原作読んでから観る?観てから読む?

Posted by: mig | November 06, 2012 10:43 AM

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんはー ビッグローブ大変だったようですね。実は一回そちらにコメント入れたんですけど見事にはじかれちゃいまして
たいがいの図書館には『モルグ街の殺人』『黄金虫』くらいはおいてありますよね。『モルグ街』の犯人?とか覚えてませんか? そういえばこの映画ではあれのトリックをネタバレしなかったのはえらかったけど、謎も放置になってしまったような
『振り子』は子供のころのトラウマを見事によみがえらせてくれました・・・

>手に職がないとただの病んでいる人になっちゃうけど、芸術家だと美しく見えるものなのですねぇ。

ですね。そして現実には「ただの問題児」の方がよっぽど多いと思います(笑) 『チキンとプラム』は当然まだ観てませんが同作者の『ペルセポリス』はおすすめですよ

Posted by: SGA屋伍一 | November 07, 2012 10:11 PM

>migちゃん

いきなりネタバレしてごめんw まあこれは坂本龍馬の話で「最後に暗殺される」っていうようなもんだし・・・

>でも最後の5日間ってつくの多い気が、、、、

はて、ほかになんかあったかな・・・ とりあえず「最後の」で思い出すのは『最後の猿の惑星』だね! 『アルゴ』にも出てきたし!

原作付き映画は映画観て面白かったら原作も読むという感じかな。映画はできれば結末を知らない状態で観たいから。ネタバレしてなんだけどw

Posted by: SGA屋伍一 | November 07, 2012 10:18 PM

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