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October 10, 2012

ゲイ・オブ・ザ・デッド ジェイド・カストロ 『レミントンとオカマゾンビの呪い』

Ros1今年で五回目を迎える浅草の一風変わったフィルムフェスティバル、その名も「したまちコメディ映画祭」。仲良くさせていただいてるノルウェーまだ~むさんのお誘いで初参加してまいりました。今年は秘宝系一押しの『キャビン・イン・ザ・ウッズ』、スーパースター・ラジニカーント主演の『ボス、その男シヴァージ』といった作品が注目を集めたようですが、わたしが誘っていただいたのはフィリピンの作品『レミントンとオカマゾンビの呪い』。 ・・・・なんだ! この破壊力抜群のタイトルは! それではご紹介いたします。

フィリピンの田舎町に住むいたずらっ子のレミントンは、オカマを見つけるといつも「バクラ!バクラ!(オカマの意味)」とはやしたてて喜んでいた。ところがある日それが墓地にいた謎のオカマの激怒をかい、「将来オカマになる」という呪いをかけられてしまう。
それから時がたち、イケメンの青年に成長したレミントンは、進路と恋のことで悩んでいた。ある晩親友と出かけていた帰り道、レミントンは毛むくじゃらで筋肉ムキムキの男に襲われる。それ以来普通の男の子だったレミントンは、腰つき、喋り方、さらには性的嗜好までどんどんオカマ化していってしまう。
折りしも、街ではオカマを狙った連続殺人事件が起きていた・・・

ちょいバレしてしまうと、レミントンへの呪いと連続殺人はまったく別の事件です。ま、こういう強引な筋立てがアジアン・コメディの醍醐味ってやつでしょうか。
わたしが思い出したのはクローネンバーグ監督の名作『ザ・フライ』。あれは体がどんどんハエ化していく恐怖を描いた作品でしたが、こちらはどんどんオカマになってしまう恐怖を描いた話・・・ ってそれちょっとひどくない? オカマをオバケかなにかと一緒にしてしまうって!? 失礼にもちょーほどがあるって感じ! どんだけーーー!!
・・・という非難を恐れたのでしょうか。作品ではいたるところにオカマへの賛辞が語られます。いわく、人々に明るさとおしゃれをもたらす存在。いわく、生涯を戦いに捧げた尊敬すべき人々。・・・ほめすぎてかえってイヤミになってる感もありますが、聞いていると「オカマってえらいんだなあ」という気持ちになってくるから不思議です。

MCの方も説明しておられましたが、フィリピンという国は本当にオカマが多いんだとか。それこそ「街の風景に自然とオカマが溶け込んでいる」んだそうで。国全体が歌舞伎町二丁目みたいなものなんでしょうか。おそろ・・・ とても愉快な国ですね! そういえば今度の東京国際映画祭にもオカマを主人公にした映画が上映されると聞きました。どんだけ・・・

オカマについてあれこれ語ってしまいましたが、タイトルにある「ゾンビ」もちゃんと出てきます。一応これ、ホラーでもあるみたいなので(笑) でもぜんっぜん怖くありません。むしろ爆笑します。そういえばコメディ・ホラーの傑作『スペル』をパク・・・意識したフシがあちこちに見られました。
いったいどういう流れでゾンビが出てくるのか? レミントンの呪いは果たして解けるのか? 連続殺人の犯人は? その答えを知りたければぜひご自分の目で・・・ と、言いたいところですが残念ながらこの映画まだ配給がついてないそうです。必見! これを観ずして今年のコメディは語れない!・・・というほどの作品でもないのですが、オカマとフィリピンへの理解を深めるためにもぜひ多くの方に観て欲しいものです。

さて、この作品の上映前にスペシャルゲストとして『電人ザボーガー』『ロボゲイシャ』の井口昇監督と歌手の松崎しげる氏が登壇しておられました。この二人がオカマゾンビと何の関係が? 何の関係もありません(笑) 井口氏の新作『デッド寿司』のプロモーションのために強引に出てきたようです。油断ならねえ! さすがしたコメ映画祭!

その『デッド寿司』、どういう映画かというとなんとスシの怪物が人を襲うというスシ版『ピラニア』みたいな話 ・・・よくわかりませんね。とりあえず予告編をごらんください。
20120917_145113_2_2ちなみに横の画像は主題歌『寿司のメモリー』を熱唱する松崎氏。クリックするとでかくなりますが、反射しちゃってしげるさんの黒さが全然わからないのが口惜しい。
♪お寿司に大切なのは 人を襲うことだけと マグロが教えてくれた ・・・とかそんな歌詞。浅草でこんなすごいものが見られようとは夢にも思いませんでした。
なにが飛び出すかわからない「したまちコメディ映画祭」。十分堪能させてもらいました。ぜひ末永く続いていってほしいものです。まだ~むさん、本当にありがとうございました!


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Comments

伍一くん☆
こちらこそ!
こんなとんでもない映画にお誘いしてしまって・・・・
いや、「ボス~」のほうも誘ったからねー

愛すべきオカマちゃんへの賛辞がちりばめてあって、なんだか可笑しかったですね。
オカマをバカにしている風潮なのか、オカマは自然なことで気にしていないのか、彼ら(彼女ら?)がいると周りが明るくなっていいことばかり・・・と褒めているのかよく判らなかったですが・・・
ちなみにカラーの絵は何?

Posted by: ノルウェーまだ~む | October 11, 2012 02:07 AM

>ノルウェーまだ~むさん

どもども! そう、初めは「シヴァージ」の方に誘ってくださったんですよね。こちらの都合で翌日の方にしていただいて本当にありがたとうございました
「ボス」とか「キャビン~」なんかは普通に公開されそうですが、この「オカマゾンビ」は果たして今後観られるかわかりませんからね! そう考えると一番おいしいプログラムと言えるかも

オカマえお一生懸命ほめていましたが、反面いろいろギャグのネタにもしてましたよねw これを観てオカマさんがどう思うか聞きたいものですが・・・

>カラーの絵

あれ? こんなシーンありませんでしたっけ? クライマックスでオカマゾンビが大暴れしてたときピンクのスカーフがお月様にくるくるっと巻かれていく・・・

Posted by: SGA屋伍一 | October 11, 2012 10:52 PM

こんばんは〜。
遅くなってスイマセン・・。最近は旅行記事ですっかり更新が遅くなってしまって・・。
浅草は久しぶりに行きましたが、ノンビリ散策出来て良かったですね〜。柳通りの雰囲気なんて、江戸下町情緒満載で良かったな〜。

映画もそれなりに楽しめました。ラジニカーントの観客の大フィーバーぶりは噂に聞いて羨ましかったけど、この作品のお祭りっぷりもなかなか楽しかったですし。
松崎しげるの生歌も聞けたしねー。

Posted by: とらねこ | October 21, 2012 08:14 PM

>とらねこさん

おいでませ・・・ 法事だったんだっけ? お疲れ様でした
そうそう、その節は案内してくださってありがとうございました。お上品なお店で食べた「粟ぜんざい」、とってもおいしかったですよ。
歴史情緒とオカマと松崎しげる・・・ まったくもってカオスな浅草見物でありましたw

とりあえずアレだ。色の黒さではラジニに負けてなかったと思うよ、松崎氏。『寿司のメモリー』は「もう人前で歌うことはないと思う」と言ってたから、生で聞けたことはきっと一生の宝物になるはず! あ、あと生井口昇監督も見られたしね! 

Posted by: SGA屋伍一 | October 22, 2012 09:10 PM

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’11年、フィリピン 原題:Zombadings 1: Patayin sa shokot si Remington 監督:ジェイド・カストロ 脚本:レイモンド・リー、ジェイド・カストロ、山本道子 製作:ジェニファー・アレハンドロ、タミー・ベヘラノ他 キャスト:マート・エスクデロ(レミントン)、ローレン・ヤン(ハンナ)、カービー・ザモラ(ジグス)、ユージーン・ドミンゴ したまちコメディ映画祭にて見て来ました! 上映前に、井口昇監督と松崎しげるのトークがありました。さらに、ビックリプレゼントで、松崎し... [Read More]

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