さまよえるニッポン人 赤根和樹 『コードギアス 亡国のアキト 第1章 翼竜は舞い降りた』
第1期終了時の異様な盛り上がりに、「これはもしかして『エヴァ』を超えるのでは?」と思わされたTVアニメ『コードギアス』。残念ながら第2期終了と共にそのブームも沈静化していきましたが(・・・)、完結から4年経った今になって4部からなる新作劇場版が公開されることとなりました。『亡国のアキト 第1章』、ご紹介しましょう。
大国ブリタニアに征服され、地図の上から消滅してしまった日本。そこにとどまった者も、外国へ逃げ延びた者も、下層民としてさげすまれ貧しい暮らしを送っていた。
欧州でブリタニアと激しく火花を散らすEU連合においてもそれは変わらなかった。それどころか旧日本人からなる「wZERO」部隊は正規軍を救うための捨石として、生還率ゼロに等しい作戦に投入される。一人、また一人とwZEROの兵士が自爆していく中、操縦席で不敵な笑みを浮かべる少年がいた。彼の名はヒュウガ・アキト。アキトの駆るマシン「アレクザンダ」は凄まじい機動性で、優位を示していたはずの敵部隊を圧倒していく。
旧『ギアス』においても日本人が虐げられる描写は多々ありましたが、今回はさらにそれが徹底しています。収容所に押し込まれている様子はほとんどナチスものにおけるユダヤ人のよう。戦場で命を散らしたとて、誰一人として悼んではくれません。それでも「家族が市民権を得られるなら」と、笑って特攻していく少年達・・・ これが泣かずおられましょうか
そんな中一人だけ異様な空気を放っているのが主人公のアキト。普段は物静かながら、いざ戦いとなると「うひゃひゃひゃひゃ、死ねえ!」とラリったような状態で敵機をなぎたおしていきます。その姿はさながら自分の命も敵の命もを玩具にして弄んでいるように見えます。
正直番外編の製作が決まったと聞いてた時は、たぶん前よりは小ぢんまりしたものになるだろうな・・・とあまり鑑賞意欲がわきませんでした。しかし予告でみたらなんとどハードで、『装甲騎兵ボトムズ』っぽいこと。その自分好みの世界観にたちまち「観にいかなくては!」とテンションがマックス状態になりましたw
そんなタッチのためか、そして50分というワクのためか(・・・)、『反逆のルルーシュ』にあったようなラブコメキャピキャピ描写はすっかりなりを潜めました。この辺が物足りないというファンの方もおられましょうが、ああいうのになじめなかったわたしとしては、この路線に諸手をあげて賛成いたします。
とりあえず他に重要人物としてはアキトの上司である美少女レイラ・マルカル、地下社会で不良少年たちをたばねる佐山リョウ、ブリタニアの将軍でアキトの血縁らしきシン・ヒュウガ・シャイングなどがいます。
問題はレイラ以外、どなたもこなたも人の命など屁とも思っていないアナーキストであるということ・・・ ああ、だから「アキト」なのか!? ともかく、TVでは深夜でもないかぎり放映できないような危険人物のオンパレードです。
あと忘れちゃいけないのがメカ描写。特に序盤のアレクザンダのバトルシーンはメカマニア必見です。人型のくせに血をクニャクニャと這い、バッタのように飛びかかる。この辺のきめ細かい動きはやはり劇場版ならではだと思いました。
作品では中盤にもう一回派手なメカアクションがあり、クライマックスあたりでまたやらかしてくれないかな~と期待していたらあとはドラマ部分で締めくくられてしまいました。むーん。
やはり50分という尺ゆえか、今回は本当に導入部だけで終わってしまった感があります。「起承転結」の「承」にあたる第2章では一層はじけたドラマ・アクションを期待しております。
『コードギアス 亡国のアキト』はまだ第1章が全国で転々と公開中。そして第2章は来年春公開だそうです。春よ来い・・・
Comments
SGAさんこんばんわ♪
テレビ本編も終了して大分経つものの、未だコミカライズなどでアナザーストーリーのような作品がぽんぽん出てる辺りに改めて人気の高さをうかがい知る事が出来ますけども、本作もまた世間での評価の高さが頷ける面白さなのを鑑賞して実感しましたねぇ。
冒頭のナイトメアの戦いから自分もかなーり引き込まれちゃいましたし、かねてから知りたいと思ってたEU側の物語もシリアスな展開が割と多くてこれもまた見応えあり♪アキトやレイラをはじめ、ギアス持ちのシンなど各キャラクターの謎や出生も一癖ありそうな人達ばかりに見えるので、50分と言う短い尺もイイ意味で次作への期待を高めてくれた感じがします。
情報があまりにも伏せられてるせいか、個人的に来月公開の『エヴァQ』に今の所熱くなるものを感じていないので、1章でこのクオリティなら自分もエヴァ以上にまたハマる可能性もあるかもしれませんねぇwエヴァ超えはハードル高いですけど、せめてエヴァに並ぶ劇場アニメとして来年は賑わいを見せて欲しいですね♪
Posted by: メビウス | October 18, 2012 09:54 PM
>メビウスさん
こちらから行こうかと思ってたんですが、出遅れてしまってすいません
そういえば劇場でもらった冊子にスピンオフ漫画の一話が出てました。『漆黒の蓮夜』と『双貌のオズ』だったかな? 『漆黒~』の方はちょいと興味ありです
『ガンダム00』でもヨーロッパの勢力は一番影が薄かったですねw 不死身のコーラサワーいうパイロットがいましたがメインのストーリーにはからんでこなかったし・・・ その点ではこうやってちゃんと語られる舞台が与えられた『コードギアス』の方が優遇されているかも
これからEUは衰退の一途をたどっていくようなので、アキトやレイラにとっては過酷な展開が待ち受けているとは思いますが、覚悟を決めて見守っていきたいと思います
そういえば『エヴァQ』ももうすぐですね! わたしは普通に楽しみですが、「特報」として流された謎のピアノ演奏の映像が言い知れようのない不安をかきたてます(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | October 19, 2012 04:21 PM
ところがぎっちょん!
>不死身のコーラサワー
お〜い、SGAやん〜
この男の嫁、マネキン大佐忘れてね〜?2ndシーズンでは反乱組率いてアロウズに叛旗をひるがえしソレスタに協力してた彼女はAEUの戦術予報士よ。
気がつくと、直接ではないが、ヒゲひろしことサーシェスもAEUの傭兵、カタロンの中心人物クラウスも実は元AEU(彼専用イナクトも実はある)。
スメラギさんも元AEUで、影薄いなんてトンデモ無い(笑)。
揚げ足取りしてたらゴメンな〜と言う事で。m(__)m
Posted by: まさとし@ | October 20, 2012 07:04 PM
>まさとしさん
つっこみサンクス
あら・・・ こうしてみるとけっこういますね。AEU勢。でも「元」がつく人が多いような。主要キャラ育成のファームのようなポジションか?w
思い返せばマネキンさんはなぜコーラと結婚したのか?というのが『00』の大きな謎のひとつです
Posted by: SGA屋伍一 | October 21, 2012 06:06 PM