ムーンウォーズ 帝国の逆襲 ティモ・ブオレンソラ 『アイアン・スカイ』
前回と「空」のつく戦争映画つながり?ということで。東欧の癒し系No.1のフィンランドから、今年を代表するヘンテコ映画が飛び出しました。『アイアン・スカイ』、ご紹介します。
大統領選たけなわのアメリカ。ペイリンさんに良く似た女性大統領は有権者の心をつかむため、黒人の宇宙飛行士を初めて月に送り込む。無事にロケットは月面に着陸するが、彼らを待ち受けていたのはなんと、第二次大戦時に月へ避難してきたナチスの残党だった・・・
(笑) 最近こんな話どこかで読んだことがありました。大和田秀樹先生の麻雀政治漫画『無駄ヅモ無き改革』です。こんなアホな話をほぼ時を同じくして二人の作家が思いつくとは・・・ 世の中って面白いですね!
もうひとつ思い出したのはティム・バートンの名作?『マーズ・アタック!』です。侵略SFを徹底的にパロディに仕立て上げたという点で。ただ火星が月に、宇宙人がナチスに変わっただけでぐっと現実味が増してくるから不思議です(ナイナイナイ)。
謎なのはこれの製作国がフィンランドとドイツとオーストラリアだとゆうことです。まあドイツはナチス発祥の国であるのでわからないでもないですが。・・・ってゆうかあんたら反省せんかい!
とりあえずメインで作ってたのはフィンランドであるようです。あのムーミンやサンタクロースや『かもめ食堂』のフィンランドがねえ・・・ 「世界で最も教育水準が高い」と言われてるかの国がこんなバカ映画をねえ・・・ おバカとSFを愛する気持ちは世界共通だということでしょうか。
しかしそこは腐っても?癒し系。お笑い映画とはいえチ○コとかウ○コとかは出しません。ムンムンしたお色気は漂ってましたが。多いのは政治・国ネタですね。特にアメリカは色々痛烈に皮肉られてました。例えば「どこか戦争ふっかけてくれないかと願ってたのよ!」「任期中に戦争を始めた大統領は必ず再選するから!」など。このギャグはちょっと笑えないというか、シャレになりません
あと劇中で『独裁者』が効果的に使われてましたが、そういえばチャップリンの幾つかの作品とも似てるところがありました。単なるドタバタ喜劇のようでありながら、ちくりと世界の指導者たちにむけて皮肉を語るあたりがね。
そんな風にチャップリンにリスペクトを捧げているのにも関わらず、なぜか彼の母国のイギリスではたった1日(しかも平日)しか公開されなかったそうです。イギリス紳士はよほどナチスを茶化して語られるのがお嫌いなのでしょうか・・・
そんなうっかりちゃっかりぶりとは裏腹に、メカ描写は目を見張るものがありました。銀河を背にを飛び交う無数の宇宙戦艦や、月基地の最終兵器「神々の黄昏」がギュイーンと動き出すシーンなどは中二オヤジとしては胸が熱くなりましたよ。決して予算は多くはないはずなのに(カンパで約1億円集めたそうです)。この監督に普通にマジメなスペースオペラも作ってほしくなりましたが、果たしてそれが実現する日は来るでしょうか。
『アイアン・スカイ』はまだやってるところではやってるはずです。まだ公開してから一ヶ月経ってないし。わたしの良く行くTOHOシ○マズO田原では三週間で終わりましたが。まあやってくれただけ感謝であります。ついでにマジメなナチスものの『ソハの地下水道』も近場の劇場でやってくれんもんですかの~
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