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October 31, 2012

妖精は志村けん クリス・ルノー カイル・バルダ 『ロラックスおじさんの秘密の種』

Rl1ねえ、見てこの時計。ごっついでしょ~ 違うって! コピー商品じゃないよ! ・・・・ってそりゃあ「ロレックス」だ!
つまらぬボケですいません。『ロラックスおじさんの秘密の種』、ご紹介します。

何もかもが人工物で作られている町、スニードヴィル。そこでは木さえもプラスチックやガラスで出来ていて、人々は町を牛耳るオヘア社長から新鮮な空気を買って暮らしていた。スニードヴィルで暮らす少年テッドは、憧れの女性オードリーが「本物の木が見たい」と言っているのを聞き、自然の木を見つけるために街の外に出る。そこで木について知っているという男ワンスラーと出会ったテッドは、なぜ世界から木が消えたのか、えんえんと長い話を聞かされることに・・・

この作品全米ボックス・オフィスで二週連続のトップとなり、『塔の上のラプンツェル』以来の大ヒットを記録したというので、さぞかし子供たちにもわかりやすいシンプルな筋立てのアニメなんだろなーと予想しておりました。ところがこれがなかなか一筋縄ではいかないお話になっておりまして。
まずストーリーが現在パートと過去パートに分かれていて、それらが交互に同時進行で語られて行きます。こういうの一般作品ではちょくちょくある手法ですが、子供向けアニメでは珍しいと思うんですよね。
もうひとつ、これは一人の男の贖罪の物語でもありまして。若気の至りで野望の赴くまま突き進んだら、いつの間にか取り返しのつかないことになってしまった・・・という流れなんですが、この辺登場人物に感情移入してるとけっこう胸にズズーンと来て落ち込みます。そういうところは『ベルセルク』の「黄金時代編」と似ているかもしれない(ホンマか!?)。まあそういう哀しい部分があるからこそ、最後はしみじみ感動できるのですが。

本当に志村けんが声を演じているけったいな生き物からは想像もできない展開でした。ちなみにこの「ロラックスおじさん」、基本的には過去の話に出てくるだけで現代編のテッド君とは全然からまないんですよね。それなのにタイトルやポスターでは主人公みたくどどーんと目立ってます。
原作は1971年に出版されたドクター・スースの絵本。オレが生まれる前じゃねえか!! 読んでないのでどの程度脚色されてるのかは正直わからないのですが、このころから心ある人たちは自然を大切にすることや人工物の限界を訴えていたわけですよね。だのに40年経っても状況は悪くなるばっかりで・・・ はっ 暗くなってしまったwobbly そうですね。映画のセリフにあったように「まだ間に合う」という前向きな気持ちを忘れないようにしたいものです。

というわけでさすが米国で長年愛されてるだけあって、笑えるだけでない深いお話になっておりました。ただここんとこのCGアニメ、一昨年の『トイストーリー3』や『怪盗グルーの月泥棒』に比べると「何度でも観たい!」と思えるような突き抜けた勢いが足りないような。実は今回も本編よりも前座の『グルー』スピンオフの方が楽しかったりしてcoldsweats01 そういう点では来年の『モンスターズ・インク』プリクエルや『怪盗グルー』続編には期待しております。

Rl2『ロラックスおじさんと秘密の種』は現在全国の劇場で上映中。今週で四週目なのですが、6位→5位→6位→6位と地味な位置をキープしつづけております。いつまで保てるかな?


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October 29, 2012

家庭人ポール トーマス・マッカーシー 『WINWIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』

Ww1もう少し懐かしい話になってしまいましたが、今年の五輪でも女子アマレスの強さは際立っていましたね。そんなアマレス人気にあやかってか本国封切りから一年半も経って(静岡東部ではさらに三ヶ月遅れ)、こんな映画が公開されておりました。『WINWIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』、ご紹介します。

マイクは連戦連敗のダメ弁護士。当然商売はあがったりで、事務所の修繕もままならない有様だった。ある裁判で痴呆の進んだ資産家を担当したマイクは、手当て目的で彼の後見人になることを決める。ところがそれがもとで、マイクは老人の孫のカイルを家に居候させることになってしまう。カイルはマイクがコーチを務めるアマレスチームでズバ抜けた才能を発揮。最初こそぎこちなかったものの、いつしか二人の間には親子のような絆が芽生え始める。

というわけでアマレスは主題(テーマ)というより素材(モチーフ)という感じでしょうか。監督・脚本は『扉をたたく人』のトーマス・マッカーシー(わたしこれ観損ねてるんですが・・・)。メインはあくまでカイルとマイクの心の交流。『扉をたたく人』で太鼓がはたしてた役割を、こちらではアマレスが務めているというわけ。
余談ですがわたくし長年の間アマレスのルールがよくわかりませんでした。そこで思い切って調べてみたら、基本的には「相手の両肩を地面に付けたら勝ち」ということのようです。そんな簡単なことだったのか・・・ 

話を元に戻して。これはちょっと邦題&予告編(公式サイト)がずれてると思うなあ。やたらと「ダメ」を強調してるけど、少なくともカイル君は「ダメ少年」ではないです。過去に不幸な境遇からちょっとした過ちを犯してしまったくらいで、アマレスを再開してからは一生懸命前向きに生きています。この辺の流れは『ベストキッド』などを思い出します。違うのはマイクはそんなにレスリングが強くなさそう・・・ということです。
マイクの場合もそんなに「ダメ」という印象はうけません。強いて言うならちょっとした出来心でズルをズルズルと続けていたりするところがダメかなあ。・・・あ、けっこうダメだわ(笑)。でもそういうことって誰にでもありうることで、それを「ダメ」というのは少々酷ではな気がします。

その他の登場人物もあたたかく愛すべき人たちばかりで、明らかにダメダメなのは元妻をストーカーしてるマイクの親友と、ドラッグばかりやってて息子を省みてこなかったカイルの母親くらいです。
クライマックスでマイクとカイルの絆には危機が訪れます。大好きだったからこそ、信じてたからこそ湧き上がる「許せない」という思い。そんな少年のヒリヒリした感情に胸を痛めつつも、「でも許してあげてほしい」。そう願わずにはいられませんでした。

マイクを演じるのはベテラン、ポール・ジアマッティ氏。これまで観た中では『交渉人』のお調子者、『幻影師、アイゼンハイム』の人情味溢れる警部、『レディ・イン・ザ・ウォーター』の傷ついた男やもめ、『シンデレラマン』の主人公を支えるセコンド役・・・ などなど。ひかえめで人間臭く、情が篤いそんな役が多い方です。脇で誰かを光らせるポジションが多かった彼ですが、今回ははれてご自分がメインの役どころです。やったね! これはジアマッティファンにはたまらないでしょう! ・・・と思っていたらわたしが知らなかっただけで、『サイドウェイ』とか『アメリカンスプレンダー』とか、主役で光っていた映画もそれなりにあったのね。いつかそれらも観てみたいものです。

ここ最近観た中ではもっとも小ぢんまりした、身近な世界を描いた作品でありました。だからこそしみじみと暖かさが伝わってくるような。まあわたしの本領は怪物映画とかヒーロー映画なんですが、そういう人がどんどん死んでいく映画ばかり続けてみてると最近は胃もたれを起こすのです。合間にこういう心のお野菜を取り入れることによって、怪物映画も健全に楽しめるというか(なんだそりゃ)

Ww2『WINWIN』はすでにDVDが発売中。うちの近所でもDVDが発売されてから上映されました・・・ 太っているのにこんな時間までグダグダビールを飲んでいる、そんなダメ人間なあなたにおすすめします。決してわたしのことではありま(略)

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October 26, 2012

ジェイソン新生 トニー・ギルロイ 『ボーン・レガシー』

Br1チュイーン! チュイーン! 「モビー」のあの調べにのせて、ジェイソン・ボーンが帰ってきた! と思ったら、あれ?顔が微妙に違う・・・ そんなシリーズ第四作『ボーン・レガシー』ご紹介します。

ジェイソン・ボーンの反撃によりスキャンダルが明るみになったCIAは、その生き証人・・・自らが作り上げた「人間兵器」たちを抹殺することに踏み切る。アジア、中東、世界各地で葬られていくエージェントたち。アラスカで訓練に励んでいたアーロン・クロスもその対象だったが、彼は天性のカンと機転でCIAの前から姿をくらませる。だがアーロンにはひとつの弱みがあった。組織から定期的に支給される薬を服用しないと能力が低下するのだ。それを克服するため、彼は自分を担当していたシェアリング医師を探す。だが彼女もまたCIAの標的となっていた・・・

というわけで主人公を一新してのシリーズ再開となりました。当初は従来どおりマット・デイモン主演とポール・グリーングラス監督で直接の続編を作る予定だったそうですが、監督とマッチョ君が相次いで降板したため、このような仕様となったようです。だもんでマット君演じるボーンは今回画像でしか登場しません。そもそもタイトルに「レガシー(遺産)」ってありますしね・・・
新主人公は最近躍進著しいジェレミー・レナー演じるアーロン・クロス。風貌といい切れのいいアクションといいマット=ボーンを彷彿とさせますが、性格・出自は微妙に異なります。
まず記憶喪失後のボーン君はナイーブで人を殺めるたびにメソメソしていましたけど、アーロン君は生き延びるためにはためらいなく追っ手をバシバシ始末していきます。あとボーン君はなんとなく育ちがよさそうで坊ちゃん坊ちゃんしたところがありましたが、アーロン君は少年院に入っていたことがある模様。そんで頭もあまりよくなかったようで・・・ 彼が執拗に薬を欲するのはそれに知能を高める働きもあるからなんですよね。
こう書くと粗暴なヤクザ者みたいな感じしてきますけど、ヒーローらしくちゃんと純真なところもあります。例えば自分をあれこれ人体実験してたヒロインに対しても、世話になったことにキチンと「ありがとう」と言う。こういうの、なかなかできることじゃありませんよ!
ヒロインといえば前半は守ってもらってるのにギャアギャアわめいてアーロンを困らせるわ、自分の罪に対して「会社の命令だもん!」と開き直るわ、まことにむかつきますw まあこのヒロインもアーロンと行動するうちにだんだん反省するようになり、後半では彼を身を挺してかばうようになるんですけどね。

あと前三作との大きな違いのひとつは、今回は「守るアクション」が中心になっていたことですね。自分ひとり生き残るためならまだなんとかなるかもしれませんが、か弱い女性を守りながら凄腕のエージェントと戦わねばならないというのは実に至難の業であります。果たしてアーロンはそのインポッシブルなミッションをやりとげることができるでしょうか・・・

一方でこれまでと同じ「ボーン」シリーズの醍醐味もきちんと引き継がれています。その場にあるものを利用する「伊藤家の食卓」的な裏技とか、目を楽しませてくれる異国の町並みなど。
難点はいささか尻切れ的な幕切れになってしまったことですかね。でもまあ、アーロン・クロスの物語はこれ一本で終わっていいと思います。これ以上続けるとまたボーン君と同じ悲劇を味わうことになってしまうかもしれないし・・・ あれ、うっかりネタバレしてしまってるような?

Br3そんなわたしの願いもむなしく、すでにさらなる続編が決定しているとの噂。ただ売り上げはトントンだしレナー君は「ちょっと休みたい」と言ってるようだし、本当に実現するのかしら。
『ボーン・レガシー』はまだやってる劇場もありますが、今日で終了したところもちらほら。フィリピンとバイクが好きな人はぜひごらんください。


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October 23, 2012

ムーンウォーズ 帝国の逆襲 ティモ・ブオレンソラ 『アイアン・スカイ』

Photo前回と「空」のつく戦争映画つながり?ということで。東欧の癒し系No.1のフィンランドから、今年を代表するヘンテコ映画が飛び出しました。『アイアン・スカイ』、ご紹介します。

大統領選たけなわのアメリカ。ペイリンさんに良く似た女性大統領は有権者の心をつかむため、黒人の宇宙飛行士を初めて月に送り込む。無事にロケットは月面に着陸するが、彼らを待ち受けていたのはなんと、第二次大戦時に月へ避難してきたナチスの残党だった・・・

(笑) 最近こんな話どこかで読んだことがありました。大和田秀樹先生の麻雀政治漫画『無駄ヅモ無き改革』です。こんなアホな話をほぼ時を同じくして二人の作家が思いつくとは・・・ 世の中って面白いですね!
もうひとつ思い出したのはティム・バートンの名作?『マーズ・アタック!』です。侵略SFを徹底的にパロディに仕立て上げたという点で。ただ火星が月に、宇宙人がナチスに変わっただけでぐっと現実味が増してくるから不思議です(ナイナイナイ)。

謎なのはこれの製作国がフィンランドとドイツとオーストラリアだとゆうことです。まあドイツはナチス発祥の国であるのでわからないでもないですが。・・・ってゆうかあんたら反省せんかい!
とりあえずメインで作ってたのはフィンランドであるようです。あのムーミンやサンタクロースや『かもめ食堂』のフィンランドがねえ・・・ 「世界で最も教育水準が高い」と言われてるかの国がこんなバカ映画をねえ・・・ おバカとSFを愛する気持ちは世界共通だということでしょうか。

しかしそこは腐っても?癒し系。お笑い映画とはいえチ○コとかウ○コとかは出しません。ムンムンしたお色気は漂ってましたが。多いのは政治・国ネタですね。特にアメリカは色々痛烈に皮肉られてました。例えば「どこか戦争ふっかけてくれないかと願ってたのよ!」「任期中に戦争を始めた大統領は必ず再選するから!」など。このギャグはちょっと笑えないというか、シャレになりませんshock
あと劇中で『独裁者』が効果的に使われてましたが、そういえばチャップリンの幾つかの作品とも似てるところがありました。単なるドタバタ喜劇のようでありながら、ちくりと世界の指導者たちにむけて皮肉を語るあたりがね。
そんな風にチャップリンにリスペクトを捧げているのにも関わらず、なぜか彼の母国のイギリスではたった1日(しかも平日)しか公開されなかったそうです。イギリス紳士はよほどナチスを茶化して語られるのがお嫌いなのでしょうか・・・

そんなうっかりちゃっかりぶりとは裏腹に、メカ描写は目を見張るものがありました。銀河を背にを飛び交う無数の宇宙戦艦や、月基地の最終兵器「神々の黄昏」がギュイーンと動き出すシーンなどは中二オヤジとしては胸が熱くなりましたよ。決して予算は多くはないはずなのに(カンパで約1億円集めたそうです)。この監督に普通にマジメなスペースオペラも作ってほしくなりましたが、果たしてそれが実現する日は来るでしょうか。

Photo_2『アイアン・スカイ』はまだやってるところではやってるはずです。まだ公開してから一ヶ月経ってないし。わたしの良く行くTOHOシ○マズO田原では三週間で終わりましたが。まあやってくれただけ感謝であります。ついでにマジメなナチスものの『ソハの地下水道』も近場の劇場でやってくれんもんですかの~


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October 22, 2012

戦争を知ってる子供たちから 大林宣彦 『この空の花 長岡花火物語』

100725_204454大林宣彦監督といえば、『時をかける少女』をはじめとする「尾道三部作」で有名な大ベテラン。その大林監督が相当ぶっとんだ映画を作ったというので下高井戸まで行って観てまいりました。『この空の花 長岡花火物語』、ご紹介いたします。

天草の新聞記者・玲子の元へ、はるか昔に別れた恋人・片山からの手紙が届く。新潟で教師を務める片山は、生徒と長岡花火の日に上演される劇を作っていて、その芝居をぜひ玲子に観て欲しいと手紙で訴えていた。
記者としてその地に惹かれるものもあった玲子は、意を決して長岡へ向かう。そこで玲子は戦前から現在に至るまでの長岡の壮大な歴史を追体験していくことになる。

いや~、期待に違わぬ実験精神てんこもりな作品でした。開始早々から登場人物が「第4の壁」である観客たちに向かって何度も語りかけるわ、日本映画なのにセリフと同時にひんぱんに下に字幕が出るわ。さらに戦前の人物が現代の長岡に普通に実体で登場し、なぜか一輪車の編隊を組んでクルクル回り続けます。
また基本的には太平洋戦争における長岡空襲と21世紀の「今」を、花火を通じてつないだ映画であるのですが、それに長崎の原爆や中越地震、東日本大震災のエピソードまでが挿入され、そのスケールの壮大さにはちょっと圧倒されました。

大林作品でわたしが観たものというと『転校生』『少年ケニヤ』『漂流教室』『青春デンデケデケデケ』・・・といったところ。どの作品にも多少実験的なお遊びのようなものはありましたが、『この空の花』と比べるとどれも技法的には普通の映画でした(笑) 老境の域に達して突然のこの破天荒ぶりには驚くばかりです。それまで普通にわかる話を作っていた宮崎駿監督が、『崖の上のポニョ』であっちの世界に突き抜けていってしまった時と同じ印象を受けました。あるいは昨年の東日本大震災が、監督のものづくりに多大な影響を与えるほどにショックだったということなのか。

そんな風にある意味「いっちゃってる」映画ではありながら、監督の訴えたいことはストレートに伝わってきます。劇中で繰り返し使われている「戦争にはまだ間に合いますか?」というフレーズ。これだけ聞くとちょっとわかりづらいですけど、映画をみていくと「戦争が起こる前にみんなに伝えて止めなければ」という意味であることがわかります。
この平和ボケした日本で戦争なんて・・・と思う方もおられるかもしれませんが、最近の領土問題や歴史の様々な例を考えると絶対にないとはいいきれません。ましてどこぞの都知事の「戦争も辞さず」なんて発言を聞きますとね・・・
他国から強く弾劾されれば腹も立つかもしれません。でもそこで思い出してほしい。毎年夏になるとなんであんなに戦争を振り返る番組が放送されるのか・・・ということを。ああいう悲劇を二度と繰り返さないためではないでしょうか。
特に最近の報道やネットでの発言を見聞きしていると、日本と周辺国家の仲を悪くしようとする何らかの「巨大な力」が働いてるような気がしてなりません。個人としてそういう「力」に負けたくないな、と思うのでした。

ツボだったのは山下清画伯を元「たま」の石川浩司さんが演じてらしたこと。昨年『たまの映画』を観て「こんなに面白い人だったのか!」と改めて感じたのですが、芦屋雁之助さんが亡くなった今、本当にこの方ほど裸の大将が似合う人はいないと思います(笑) また『たまの映画』で聞きほれた「パスカルズ」の演奏がちょこっと聴けたのも思いがけない耳福でした。

Pic0007b『この空の花 長岡花火物語』はさすがにほとんどの上映が終了しましたが、渋谷のアップリンクではいまだロングランが続いているようです。すごいな・・・ 七月からずっとかけてるんだ・・・ 個性的な映画、突き抜けてる映画、そして花火が好きな人には熱烈におすすめいたします。
ちなみに上下の画像は長岡の花火ではなく熱海のものです。そりゃ長岡とは比べるべくもありませんが、こちらだってそれなりに見ごたえあるんですよ・・・

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October 15, 2012

さまよえるニッポン人 赤根和樹 『コードギアス 亡国のアキト 第1章 翼竜は舞い降りた』

Cgba1_2第1期終了時の異様な盛り上がりに、「これはもしかして『エヴァ』を超えるのでは?」と思わされたTVアニメ『コードギアス』。残念ながら第2期終了と共にそのブームも沈静化していきましたが(・・・)、完結から4年経った今になって4部からなる新作劇場版が公開されることとなりました。『亡国のアキト 第1章』、ご紹介しましょう。

大国ブリタニアに征服され、地図の上から消滅してしまった日本。そこにとどまった者も、外国へ逃げ延びた者も、下層民としてさげすまれ貧しい暮らしを送っていた。
欧州でブリタニアと激しく火花を散らすEU連合においてもそれは変わらなかった。それどころか旧日本人からなる「wZERO」部隊は正規軍を救うための捨石として、生還率ゼロに等しい作戦に投入される。一人、また一人とwZEROの兵士が自爆していく中、操縦席で不敵な笑みを浮かべる少年がいた。彼の名はヒュウガ・アキト。アキトの駆るマシン「アレクザンダ」は凄まじい機動性で、優位を示していたはずの敵部隊を圧倒していく。

旧『ギアス』においても日本人が虐げられる描写は多々ありましたが、今回はさらにそれが徹底しています。収容所に押し込まれている様子はほとんどナチスものにおけるユダヤ人のよう。戦場で命を散らしたとて、誰一人として悼んではくれません。それでも「家族が市民権を得られるなら」と、笑って特攻していく少年達・・・ これが泣かずおられましょうかcrying
そんな中一人だけ異様な空気を放っているのが主人公のアキト。普段は物静かながら、いざ戦いとなると「うひゃひゃひゃひゃ、死ねえ!」とラリったような状態で敵機をなぎたおしていきます。その姿はさながら自分の命も敵の命もを玩具にして弄んでいるように見えます。

正直番外編の製作が決まったと聞いてた時は、たぶん前よりは小ぢんまりしたものになるだろうな・・・とあまり鑑賞意欲がわきませんでした。しかし予告でみたらなんとどハードで、『装甲騎兵ボトムズ』っぽいこと。その自分好みの世界観にたちまち「観にいかなくては!」とテンションがマックス状態になりましたw
そんなタッチのためか、そして50分というワクのためか(・・・)、『反逆のルルーシュ』にあったようなラブコメキャピキャピ描写はすっかりなりを潜めました。この辺が物足りないというファンの方もおられましょうが、ああいうのになじめなかったわたしとしては、この路線に諸手をあげて賛成いたします。

とりあえず他に重要人物としてはアキトの上司である美少女レイラ・マルカル、地下社会で不良少年たちをたばねる佐山リョウ、ブリタニアの将軍でアキトの血縁らしきシン・ヒュウガ・シャイングなどがいます。
問題はレイラ以外、どなたもこなたも人の命など屁とも思っていないアナーキストであるということ・・・ ああ、だから「アキト」なのか!? ともかく、TVでは深夜でもないかぎり放映できないような危険人物のオンパレードです。

あと忘れちゃいけないのがメカ描写。特に序盤のアレクザンダのバトルシーンはメカマニア必見です。人型のくせに血をクニャクニャと這い、バッタのように飛びかかる。この辺のきめ細かい動きはやはり劇場版ならではだと思いました。
作品では中盤にもう一回派手なメカアクションがあり、クライマックスあたりでまたやらかしてくれないかな~と期待していたらあとはドラマ部分で締めくくられてしまいました。むーん。
やはり50分という尺ゆえか、今回は本当に導入部だけで終わってしまった感があります。「起承転結」の「承」にあたる第2章では一層はじけたドラマ・アクションを期待しております。

Cgba2『コードギアス 亡国のアキト』はまだ第1章が全国で転々と公開中。そして第2章は来年春公開だそうです。春よ来い・・・


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October 13, 2012

セプテンバーだよ人生は エリック・トレダノ オリヴィエ・ナカシュ 『最強のふたり』

Sk21今日ご紹介するのは、昨年の東京国際映画祭で三冠を達成し、全世界で『アメリ』を抜いて「最もヒットしたフランス映画」となったこの作品。もうわたしがあれこれ言うまでもないんですけどねcoldsweats01。『最強のふたり』、ご紹介いたします。

フィリップはある事故で首から下が動かなくなってしまった美術批評家。資産家ゆえ人を雇うことには不自由しなかったが、その気難しさや繊細さから、彼につく介護士は誰も長続きしなかった。そんな時、ドリスという黒人の青年が介護士の面接にやってくる。ドリスは失業手当が目的なので、雇ってくれなくてもいいとフィリップに言う。その率直さが気に入ったフィリップは彼を採用。初めは慣れない仕事に閉口していたドリスだったが、次第にスムーズにこなせるようになっていく。そしていつしか二人の間には立場を越えた友情が芽生えていく。

すんません。以降はストーリー半バレくらいで書いていきます。m(_ _;)m
この話、驚くべきことに実話がベースとなっているのですが、わたしが思い浮かべたのはファンタジーの『メリー・ポピンズ』でした。この場合ポピンズさんにあたるのはもちろんドリスくんです。
お金もちなんだけどぎこちないある家族のところへ風変わりなお手伝いさんがやってきて、不思議な力でみんなを幸せにして去っていく・・・ みたいなところがね。まあわたし『メリー・ポピンズ』、観たことないんですけど(おーい)。
もちろんこのお話のメインはドリス&フィリップなわけですが、フィリップの秘書やお家を取り仕切っているおばさん、反抗期に入っているフィリップの娘らとドリスのふれあいもまた痛快なものでした。
ドリスという青年は得がたい資質を持っています。それは「人を楽しくさせる」という才能。なかなかむずかしいですよね、人を楽しませるというのはw 気が進まないままやってるとそれが相手に伝わってしまって、結局どちらも白けてしまう。でもドリスは相手を楽しませると同じくらい、自分も楽しんでる。こういうのってやっぱり天から与えられた才能なのだと思います。
もっとも与えてるのはドリスだけでなく、彼もまたフィリップとの友情から色々なものを得ています。身の上を聞くと彼は「家族から必要とされてない」という思いに囚われていたようです。しかしフィリップや屋敷の人々から頼りにされるうちに、彼もまた寂しさを癒されていき、本当の家族との絆も取り戻していきます。屋敷を出て行く時の彼は明らかに門をくぐったときよりも成長しています。

この時のふたりの別れがさっぱりしているのがまたいいですね。フィリップは寂しいけれど「これは君の一生の仕事ではない」と言って彼を解雇する。ドリスは彼の自分を思う気持ちがわかっているから、「このままいい暮らしがしたいのに」とごねずに笑って出て行く。ただ馴れ合うよりも本当に潔い大人の友情と言えます。

そんなふたりの友情を彩るのが映画ではちょくちょく使われるアース・ウィンド・アンド・ファイヤーの名曲『September』。訳詩を調べたらコチラにありました。
「僕の気持ちは君と一緒さ 君の心と手をつないで君のことを考えている」
明らかにコレ男女間の恋の歌ではありますが、フィリップとドリスの絆と重なっているようにも思えます。そういえばこの映画の原題は『Intouchables(触れ合わざる者たち)』でありました。題名に偽りありじゃん!

Sk22少し前の『君を想って、海をゆく』などもありましたが、フランスでは有色人種に対して少なからず排他的なところもあるようです。その一方でこういう人種も立場も越えた友情の例を聞くとなんか嬉しくなっちゃいますね。
『最強のふたり』はそろそろ終了のところもありますが、評判を聞きつけてかこれから上映されるところも多くあるようです。もう十月も半ばですが、劇場に『セプテンバー』を聴きにいってみるのはいかがでしょう。

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October 10, 2012

ゲイ・オブ・ザ・デッド ジェイド・カストロ 『レミントンとオカマゾンビの呪い』

Ros1今年で五回目を迎える浅草の一風変わったフィルムフェスティバル、その名も「したまちコメディ映画祭」。仲良くさせていただいてるノルウェーまだ~むさんのお誘いで初参加してまいりました。今年は秘宝系一押しの『キャビン・イン・ザ・ウッズ』、スーパースター・ラジニカーント主演の『ボス、その男シヴァージ』といった作品が注目を集めたようですが、わたしが誘っていただいたのはフィリピンの作品『レミントンとオカマゾンビの呪い』。 ・・・・なんだ! この破壊力抜群のタイトルは! それではご紹介いたします。

フィリピンの田舎町に住むいたずらっ子のレミントンは、オカマを見つけるといつも「バクラ!バクラ!(オカマの意味)」とはやしたてて喜んでいた。ところがある日それが墓地にいた謎のオカマの激怒をかい、「将来オカマになる」という呪いをかけられてしまう。
それから時がたち、イケメンの青年に成長したレミントンは、進路と恋のことで悩んでいた。ある晩親友と出かけていた帰り道、レミントンは毛むくじゃらで筋肉ムキムキの男に襲われる。それ以来普通の男の子だったレミントンは、腰つき、喋り方、さらには性的嗜好までどんどんオカマ化していってしまう。
折りしも、街ではオカマを狙った連続殺人事件が起きていた・・・

ちょいバレしてしまうと、レミントンへの呪いと連続殺人はまったく別の事件です。ま、こういう強引な筋立てがアジアン・コメディの醍醐味ってやつでしょうか。
わたしが思い出したのはクローネンバーグ監督の名作『ザ・フライ』。あれは体がどんどんハエ化していく恐怖を描いた作品でしたが、こちらはどんどんオカマになってしまう恐怖を描いた話・・・ ってそれちょっとひどくない? オカマをオバケかなにかと一緒にしてしまうって!? 失礼にもちょーほどがあるって感じ! どんだけーーー!!
・・・という非難を恐れたのでしょうか。作品ではいたるところにオカマへの賛辞が語られます。いわく、人々に明るさとおしゃれをもたらす存在。いわく、生涯を戦いに捧げた尊敬すべき人々。・・・ほめすぎてかえってイヤミになってる感もありますが、聞いていると「オカマってえらいんだなあ」という気持ちになってくるから不思議です。

MCの方も説明しておられましたが、フィリピンという国は本当にオカマが多いんだとか。それこそ「街の風景に自然とオカマが溶け込んでいる」んだそうで。国全体が歌舞伎町二丁目みたいなものなんでしょうか。おそろ・・・ とても愉快な国ですね! そういえば今度の東京国際映画祭にもオカマを主人公にした映画が上映されると聞きました。どんだけ・・・

オカマについてあれこれ語ってしまいましたが、タイトルにある「ゾンビ」もちゃんと出てきます。一応これ、ホラーでもあるみたいなので(笑) でもぜんっぜん怖くありません。むしろ爆笑します。そういえばコメディ・ホラーの傑作『スペル』をパク・・・意識したフシがあちこちに見られました。
いったいどういう流れでゾンビが出てくるのか? レミントンの呪いは果たして解けるのか? 連続殺人の犯人は? その答えを知りたければぜひご自分の目で・・・ と、言いたいところですが残念ながらこの映画まだ配給がついてないそうです。必見! これを観ずして今年のコメディは語れない!・・・というほどの作品でもないのですが、オカマとフィリピンへの理解を深めるためにもぜひ多くの方に観て欲しいものです。

さて、この作品の上映前にスペシャルゲストとして『電人ザボーガー』『ロボゲイシャ』の井口昇監督と歌手の松崎しげる氏が登壇しておられました。この二人がオカマゾンビと何の関係が? 何の関係もありません(笑) 井口氏の新作『デッド寿司』のプロモーションのために強引に出てきたようです。油断ならねえ! さすがしたコメ映画祭!

その『デッド寿司』、どういう映画かというとなんとスシの怪物が人を襲うというスシ版『ピラニア』みたいな話 ・・・よくわかりませんね。とりあえず予告編をごらんください。
20120917_145113_2_2ちなみに横の画像は主題歌『寿司のメモリー』を熱唱する松崎氏。クリックするとでかくなりますが、反射しちゃってしげるさんの黒さが全然わからないのが口惜しい。
♪お寿司に大切なのは 人を襲うことだけと マグロが教えてくれた ・・・とかそんな歌詞。浅草でこんなすごいものが見られようとは夢にも思いませんでした。
なにが飛び出すかわからない「したまちコメディ映画祭」。十分堪能させてもらいました。ぜひ末永く続いていってほしいものです。まだ~むさん、本当にありがとうございました!


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October 08, 2012

役者VS犯罪者(&編集者) 内田けんじ 『鍵泥棒のメソッド』

Photo昨年暮れから『サラの鍵』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『ヒューゴの不思議な発明』といった外国の「鍵映画」の傑作が幾つか公開されました。それからやや遅れましたが、わが国代表の「鍵映画」もようやっとお目見えです。『アフタースクール』の鬼才・内田けんじ監督による『鍵泥棒のメソッド』、ご紹介いたしましょう。

売れない役者の桜井はあるショックなことがあって自殺を図るが、見事に失敗。なんとなしに銭湯へいく。桜井が体を洗っていると、後ろで一人のいかめしい男が豪快にすっころんで気を失ってしまった。桜井は出来心で男のロッカーの鍵を、自分のものとすりかえてしまう。その鍵でラッキーなことに大金と立派な車をゲットする桜井。だが車のトランクからはなんと血まみれのナイフが出てきたのだった・・・
一方頭を打ったことで記憶を失ってしまった男は、すりかえられた鍵から自分が「サクライ」なる人物だと思い込んでしまう。演技の仕事をしていればやがて記憶が取り戻せるかと、男は懸命に芝居に励むのだが・・・

これに事情で早急に誰かと結婚しなければなくなった、水嶋香苗なる女性編集者や、桜井を伝説の殺し屋だと思い込んで仕事を依頼する暴力団組長などがからみます。

『アフタースクール』ではクライマックスで世界がぐるりと回転するようなどんでんがえしがありましたが、今回はそういう仕掛けはございません。「意外な事実」も途中で幾つか判明しますが、前作のようなド派手な一本技ではなく、要所要所で上手に有効をとっていくような感じ。ですからこの映画の面白みはオチよりも、こんがらがったストーリーがどんな風に転がっていくか・・・そういうところにあります。
一方で『アフター~』と共通しているのは「奇妙なズレ」「ちぐはぐ感」が満載なところでしょうか。「明らかにおかしい!」ってほどではないんだけど、どことな浮いてるというか、不自然なセリフやしぐさ。この映画でいうと香川照之氏演じる「男」が、桜井のちゃらい服を自分のものと思い込んでがんばって着ている様子とか、堺雅人氏演じる桜井が一生懸命「殺し屋」らしく振舞っている様子などです。
この二人の演技は堺氏には申し訳ないけれど、香川さんの方が断然面白かったです。すくなくとも中盤まではこの映画は「香川照之で笑う映画」と言っても過言ではありません。堺さんも悪くはないんですけど、最近彼はいろんな面でウッチャンナンチャンのウッチャンに非常に似てきた気がします。とはいえクライマックスでは彼も「勧進帳」並み(と言うほどでもないか?(^-^;))の大一番を見せてくれます。

そんなうっかりちゃっかりした話の合間に、心温まる人生へのメッセージが織り込まれていたりして。「何もかもうまくいかなくても、生きていりゃいいこともある」ということとか、「やっぱり人間、お金がありゃいいってわけではない」ということとかね。特に後者は自主映画出身の内田監督がさらっと言ってる点がすごい。なんか自主映画の人っていつも資金繰りに苦労している印象があるので・・・ 偏見でしょうか。

ちなみにタイトルの「メソッド」とは、直訳すれば「手法」ですが、ここでは「メソッド・アクティング」という演技法を指しているとのこと。例えば大工を演じるのであればしばらくの間実際に大工として働いて、限りなく本物の大工に近い演技をする・・・ということでいいのかな・・・ マーロン・ブランドは『波止場』で、ジェームス・ディーンは『エデンの東』で、それぞれそんな演技法を試みたとのこと。緒方拳さんも『魚影の群れ』では実際に地元の漁師さんたちに混じってマグロ漁をやったんじゃなかったかな? 一つの役のためにそこまで努力する方って本当に頭が下がりますね。
この映画では殺し屋になりきろうとする役者や、自分を役者だと思い込んでる素人さんが出てくるわけですが、そんな彼らが下手なりに一生懸命演技に取り組んでいる姿を見ていると、お芝居って面白いなあ、奥が深いなあとあらためて思うわけです。素人なりに。

556206460『鍵泥棒のメソッド』は現在全国の映画館で上映中・・・ でありますが、「メガヒット!」ってほどでもないようで、フランス映画の『最強のふたり』にすら抜かされてる有様(^^; なぜだ・・・ 派手さはありませんがよく作りこまれててよく笑える一本。おすすめです! 猫も出ます!


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October 04, 2012

死神の国のアリス ポール・W・S・アンダーソン 『バイオハザードV リトリビューション』

Bh41洋画不振が続いている昨今。ドル箱のハリポタシリーズも昨年終わってしまいましたし、スパイダーマンもかつての勢いはありませんし・・・ そんな日本において最後の牙城ともいえるのが映画版『バイオハザード』。本日は大ヒット驀進中の『V リトリビューション』をご紹介します。

アリスはアメリカの地方都市に住む平凡な主婦。優しい夫と愛らしい娘に囲まれ、幸せな日々を送っていた。それはいつものように夫を送り出そうとした時だった。なんと家に突然ゾンビがやってきたのだ。

・・・あれ、なんか違いますね。ここで前作『Ⅳ アフターライフ』のラストを思い出してみましょう。強敵ウェスカーを倒し、仲間達を解放したと思ったのもつかの間。今度は空からアンブレラ社の大部隊がアリスたちを襲撃します。絶体絶命か・・・と思われたところでエンドロールへ(ひどい終り方だ)。
そしてまたアンブレラに捕まってしまうアリス。導入部のホームドラマは果たしてアリスの見た夢なのでしょうか? ともかく敵地から逃れるため、いつものようにアリスの大脱走劇が始まります。

曲がりなりにもⅠ~Ⅲまでスケールが拡大してきたこのシリーズ。ところが『Ⅳ』ではまたぐっとせばまってしまった感があっていまひとつノレませんでした。まあ監督が閉所好きのポール・W・S・アンダーソンに戻ってしまったのでそれは仕方ないのかもしれません。あ、その辺のことは前にも書いたか。
『V』も実は「一施設の中をあちこち徘徊する」というコンセプトは一緒なのですが、単調だった前作に比べると今回は「世界の都市を模したヴァーチャル空間」が背景になっていたせいか、なかなか見ていて飽きませんでした。その上謎のホームドラマまで挿入されています。
冒頭のスローモーション巻き戻しとか、ゆっくり水の中に沈んでいくアリス、真っ白な通路を集団で駆けてくるゾンビ・・・そういったシャレオツな?映像センスも楽しませていただきました。作品によって多少の波はありますが、こういうアンダーソン監督の美術感覚というのはもっと評価されてもいいと思います。

さて、この映画シリーズの主人公の名がなぜ「アリス」というのかといえば、もともとは『不思議の国のアリス』から来てると思うのですよね。実際一作目は『ホラー版アリス』と(無理やり)言えなくもない作品でした。『Ⅱ』では早くも全然関係ない話になってしまいましたが。
ところが今回は「赤の女王」の復活もあり、だいぶ一作目&『アリス』の世界に戻ってきたような気がします。ジャバウォックみたいな怪物も出てきますし、不条理につぐ不条理のような展開も『アリス』を想起させます。まあ終盤はごく普通の格闘アクションになってしまいましたが。

他に注目できる点としては、やはり一作目や二作目のなつかしーキャラたちが、ショッカーの再生怪人みたくカムバックしている点ですね。ロドリゲス姉さんとか角切りにされた隊長のキャラなどはさして思い入れなかったからいいんですが、カルロスは死に様に心震えたこともあって、あの扱いが不憫でなりませんでした。
あとゲーム派から多大な支持を得ているジル・バレンタインも久々に大活躍です。そういえば前作の時にも「再登場する」と聞いたのですが、結局どこに出ていたのかわからず劇場を出ました。そしたら最後にちょこっと出てきた金髪ロングのお姉さんがそうだったのですね・・・ だからわたしは髪型とか髪色とか変わるともう誰だかわからなくなっちゃうんですよ! 人の顔がなかなか覚えられない性質なので! 特に外人はね! ・・・逆ギレしてすみません。ちなみに記事上のイラストがビフォー・ジル、下の画像がアフター・ジルです。相変わらず似てませんが、雰囲気だけわかってください。

Bh42毎度ちゃんと終わらない劇場版『バイオハザード』。もう今回は最初から期待してませんでした。宣伝で「次回への最終決戦にむけて!」とか言ってる時点でもうねw ついでに言うと「次回で最後」というのもアテにならないと思います。こんだけ日本から熱い支持があるんですから、いっそのこと望む声がある限り続けりゃいいと思います。
近日中には世界観を別にしたCGアニメ版『ダムネーション』も公開されるようですね。ま、わたしはそっちの方はいいかな・・・


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