ファイト・ウィズ・ウルヴズ ジョー・カーナハン 『THE GREY 凍える太陽』
今年ステラン・スカルスガルドとならんで四本もの出演作が公開されたリーアム・ニーソン(まあ『ダークナイト・ライジング』なんてほんの数十秒でしたが)。今日はその四本の中で最も出番が多く(主演ですし)、最も公開規模の小さいこの映画を紹介します。『THE GREY 凍える太陽』です。
主人公は極寒の地アラスカで、石油採掘場の護衛として狼狩りを生業としている男・オットウェイ。彼は最愛の妻を亡くしてから生きることに意味を見出せなくなっていた。ふと思い立って基地を離れることにした彼だったが、オットウェイの乗った飛行機はトラブルを起こして雪原に墜落。生き残ったのはオットウェイを含む七人だけだった。さらに彼らは狼の群れたちにを付けねらわれ、一人、また一人と野獣の牙の犠牲となっていく。
わたしがこの映画を観たいな、と思った主な動機は、このストーリーがジャック・ロンドンの名作『白い牙』を彷彿とさせたので。しかも舞台はアラスカと来てる。まちがいなくスタッフはロンドンを意識しておりますね(断言)。
あと自分、モサモサした肉球のついている動物が好きなので。特に狼はいいですね。猫の次くらいにいい。
闇夜の中に狼の赤い目が徐々に浮かび上がってくる絵とか、雪原に付けられた肉球跡にじんわりと血が流れ込んでくる描写なんか本当たまらんかったですよ。
たしかに主人公達の身になってみればとても恐ろしい。でもやっぱり可愛い もし何かのウンコにならなければならないとしたら、わたしは狼のウンコになりたいです。できたら食べるのは死んだ後にしてほしいものですが・・・
さて、オチャラケはこれくらいにして、以下は珍しくマジメな話(なんじゃそらー)。
この映画はもちろんフィクションでありますが、意識してるのかしてないのか、二つの点で現実とシンクロしていました。
一つはオットウェイ演じるリーアム・ニーソンに関して。彼も2009年に奥さんを事故で亡くされています。ニーソン夫妻はおしどり夫妻として知られていたので、その喪失感は相当なものだったと思われます。
もう一つは製作の一人であるトニー・スコットに関して。皆さんご存知のように先日彼は衝撃的な死を遂げました。「生きること」と「死ぬこと」をテーマにしたこの映画を作りながら二人は何を考えていたのか・・・ そう思うとなにやら複雑な気分になってきます。
以下ラストまでネタバレで
死を願っていたオットウェイですが、狼たちの群れを前にして必死で戦い続けます。その理由は「どうせ死ぬなら自分の満足のいく仕方で死にたい」というものでした。「単なる自己満足」という人もいるかもしれませんが、人間誰しもいつかは死ぬわけですし、できたら自分の望む形で死を迎えたい・・・というのは当たり前の感情です。
そしてカーナハン監督は死の瀬戸際まで全力を尽くして戦う男たちを、肯定的に描きます。
ほぼ確実に生き残れない状況でそれでもファイティング・ポーズを取るオットウェイが、まるで『男組』ラストの流全次郎のようで、わたしは身震いいたしました。そしてもし彼ならば奇跡を・・・と思わずにはいられませんでした。
『THE GREY 凍える太陽』はすでに上映終了したところもありますが、東北から関東にかけてこれからぽつぽつとかかるところもあるようです。『おおかみこども』を観た方はぜひこちらもセットで観て、リアルの狼とはどんなものか理解してください。
そういえば先日遭難した漁師さんが、「サメに体をかじられながらも逆に絞め殺した」なんつー話もありましたね。やはり男なら諦めずに最後まで戦わねばなりません。
Comments
伍一くん☆
先日ははるばる来て頂き、珍妙な題名の映画にお付き合いいただきましてありがとうございましたっ!
まさかそれだけの為に状況してくれるとは、ついぞ思わなかったのでビックリ。
呼んでおいてビックリはないやろーですね。(笑)
ラストのオオカミ兄さんカッコイイ!
男は最後まで闘うっていうのも、カッコイイ!!
闘え!伍一っ!
Posted by: ノルウェーまだ~む | September 22, 2012 12:26 AM
>ノルウェーまだ~むさん
こんばんは! こちらこそご招待いただいてどうもありがとうございました!
映画も面白かったし、松崎しげるも見られたし、浅草見物もできたしで本当~に充実した1日でしたよ! いや、マジで(笑)
いつもお世話になるばっかりで申し訳ないっす。いつかご恩返しさせていただきます
ラストのおおかみにいさんは例の『おおかみこども』のキャラクターです。この映画はまだやってると思うのでできたらまだ~むにも観て欲しいな~
>闘え!伍一っ!
いや、やっぱ平和が一番っすよ(おーい)
Posted by: SGA屋伍一 | September 22, 2012 10:24 PM