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September 27, 2012

電光石火抜刀斎 和月伸宏・大友啓史 『るろうに剣心』

Rrun1原作もアニメ版も観てなかったのですが、やっぱ幕末もの好きだし、「力入ってますよ!」的なアピールを猛烈に感じたので観てまいりました。『るろうに剣心』、紹介いたします。

時は幕末。暗殺剣を振るい、人々から恐れられていた「人斬り抜刀斎」という男がいた。しかし幕府の敗北が決定的となった鳥羽伏見の戦いを境に、抜刀斎は歴史から忽然とその姿を消す。
時代は移って明治。江戸であの抜刀斎が辻斬りを繰り返しているという噂が流れる。同じ流派で「活人剣」を唱える神谷道場の道場主・薫は、流派の汚名をすすぐべく抜刀斎を探していた。そんな折、薫は抜刀斎の人相書きをしげしげと眺めるひょうひょうとした「緋村剣心」という流浪人と出会う・・・

原作は1990年代に週刊少年ジャンプで連載され、人気を博したコミック。「少年にはうけにくい」と言われた時代劇、しかもマイナーな明治時代もので大ヒットを飛ばした、孤高の(笑)作品であります。
それがなぜ完結から十年以上経った今になって実写映画化されることになったのか? スタッフ・キャストに大河ドラマ『龍馬伝』に関わった名前が何人か並んでいるところを見ると、「『龍馬伝』のメンバー・カラーで一発派手な時代劇を作ってみようよ!」という企画だったのかもしれません。実際佐藤健くん演じる緋村剣心は『龍馬伝』で彼が演じた「人斬り以蔵」と通ずるところがあります。

で、作品の出来ですが、脚本的には色々苦しいところがありました(笑)。例をあげてみると逃亡した女を追って警察で殺戮の限りをつくした偽抜刀斎が、すぐ近くにその女がいるのにろくに探しもしないで帰っちゃったりとか、はたまた仲間であったはずの愚連隊はいったいなんで偽抜刀斎に斬られちゃったのかとか・・・ そういう細かいところが気になりだすとキリがない映画です。

しかしこの映画にはそういう細かいアラを補ってあまりあるものを感じました。「多少のキズはパワーと情熱でごまか・・・振り切れ!」 そんな製作陣の想いがよく伝わってきましたcoldsweats01特に佐藤君を初めとした若い役者さんたちの熱演ぶりは見ていて清々しいものがありましたね。
剣心というキャラは幾つもの「顔」をもっています。ふだんのぼけっとした顔、剣を取った時の凛とした顔、過去の罪を悔い打ちしおれている顔、そしてそれらのさらに奥底に潜んでいる悪魔の顔・・・など。
これらを演じ分けるのはやはりそれなりの演技力が要求されますが、『仮面ライダー電王』で様々な人格を演じた経験が生きたのでしょう。みごとに剣心になりきっていました。特にクライマックスで「人斬り」の顔に戻ったときなどはぞわぞわっと背筋が冷たくなりましたよ。

さらに特に後半冴え渡る殺陣もひきつけられるものがありました。香港風の派手な立ち回りもある一方で、日本独自の「静と動」を意識したチャンバラが見られたのは嬉しかったです。じっと動かず、ためてためて、一瞬のうちに決着がつく・・・ 新感覚もけっこうですが、こういう黒澤明や山田洋次が築いてきた伝統を絶やさないようにしてほしいものです。

あと個人的にツボだったのは神谷道場をはじめとする日本家屋の風景とかね。こういう屋敷にセピア調の色彩や夕暮れの光が差し込む映像がわけもなく好きなもので。
明治というと明るくほんわかしたイメージがありますが、その裏面にスポットをあててたところもよかったですね。平和な時代のために戦ってきた武士たちですが、本当に平和になってしまったら用なしになってしまったという皮肉。そんな「負け組」の武士にも様々な群像があるところは山田風太郎の「明治もの」を思い出しました。恐らく原作の和月先生は山風に影響を受けていると思うのですがどうでしょう。

Rruni2そういえば剣心のモデルは岡田以蔵というよりやはり人斬りと称された河上彦斎なんだとか。山風はその彦斎を主人公とした「おれは不知火」という短篇も書いてますので、ご興味おありの方はご一読のほど。ちくま文庫から出ている『地の果ての獄』下巻に収録されています。
左は佐藤くんのイメージで書いてみたんですが、やはり似ないね~bearing

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September 24, 2012

やさしいワルほど気をつけよう エリック・ヴァレット 『プレイ 獲物』

Pre2グレイの次はプレイ・・・ というわけでもないんですが。ヨーロッパのプチ残酷系の映画をよく配給してくれるアルシネテランさん。そのアルシネさんが今度はフランスの息詰まるサスペンス・アクションを沼津にもってきてくれました。『プレイ 獲物』をご紹介します。

フランクは銀行強盗で服役中の身。あと少し耐えれば刑期を終え、愛する妻子のもとへ戻れるはずだった。しかし同房の穏やかな男モレルをかばったことから、彼の刑期は延長されてしまう。さらに災難は続き、フランクが隠した大金を狙う元仲間達が妻子の周囲に現れ、その安全を脅かし始める。フランクは先に出所するモレルに妻子を助けてくれるよう頼む。快く承諾したモレルだったが、このことがフランクを一層地獄に追いやることになろうとは・・・

ちょいとネタバレになりますが、このモレルという男が実は筋金入りのサイコキラー。そのことを彼を知って脱獄するフランクを、さらに腕利きの美人刑事が追います。フランクは標的を追っかけながら、自分も逃げなくてはいけない。なんだって一番辛いの挟まれる立場です。中間管理職の皆さんならよくおわかりいただけるのでは。上司からは怒られ、部下たちは言うことを聞かず・・・ と、話が横道にそれました。

少し前フレンチ・アクションといえば『TAXI』や『トランスポーター』といった「おバカ系」が主流でしたが、最近では『96時間』や『すべて彼女のために』といった「ネチネチ監禁系」も台頭してきています。で、この『プレイ』もそんな一本・・・なのかな。ハリウッドの影響を受けつつもフランス独自のセンスも随所に見受けられます。
まず刑務所からしてオシャレでこぎれいな内装。さすがはおフランスでございます。それどころかファーストシーンは主人公とかみさんの房内での熱烈なベッドシーンだったりします。いくら性に自由な国とはいえ、そんなことまで許してしまっていいものでしょうか!? はあはあ
オシャレなのは警察の面々もそう。特にフランクを追う刑事さんは刑事さんにしておくのはもったいないほどのド美人。その美貌で高級コールガールに化けて潜入し、マフィアのボスを叩きのめしたりしてます。この刑事さんが美人であることはストーリー上まったく必然性がないのですが、眺めていて目の保養になったのでとてもよかったと思います。

それに対しどこまでも泥臭いのが主人公のフランク(泥棒だけに・・・)。彼はスーパーヒーローでもエリート軍人でもないので、アクションのシーンがいちいち痛々しいんですよ。こう血がじくじくにじみ出るような、骨がズキズキうずくようなそんな感覚がよく伝わってきましたshock。だけれどこの人異常にしぶとくて、常人ならもうぶっ倒れてるだろ・・・という傷を抱えながら警察の包囲網をするするっと潜り抜けていきます。そういうところもハリウッドの王道アクションとはちょっと違いましたね。

興味深いのはフランク、モレルそれぞれに、彼らの素性を知りながらも献身的に尽くす女性がいること。マジメにコツコツ働いてるわたしがいっこうにもてないというのに、なんでこんな凶状持ちたちがこんないい目を見てるんだ・・・と少なからず怒りに震えました。個人的な怒りはとりあえず置いとくとして、やっぱり危険な男ってやつにある種の女性たちは惹かれるんでしょうかねえ~ それとは少し違うかもしれませんが、服役中の男性に熱心に愛情を注ぐ女性の話も時々聴きますし。世の中わけわからんことばっかりですよ・・・

また話が横道にそれましたcoldsweats01 本道に戻しますとこの手のサスペンスというのは、できるだけ主人公を窮地に追い込んだほうが面白いと思うのですよね。見ていて「あー、こりゃあ絶対にハッピーエンドは無理だな」ってくらいに。その点でもこの作品よくできていたと思います。本当にバッドエンドだったかどうかはご自分の目でお確かめください。

Pre1・・・と書きましたが、この『プレイ 獲物』、もう沖縄でしかやってなかったcoldsweats01 ていうかめっちゃ上映館少ない・・・ よく沼津でかかったなあ。ご興味もたれた方は来年一月にDVDが出るみたいなのでそちらでどうぞ。
ところでアルシネさん、『ブラック・ブレッド』はこちらに持ってきてくれないのですか。色々事情はおありでしょうけどできましたらお願い!wink


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September 20, 2012

ファイト・ウィズ・ウルヴズ ジョー・カーナハン 『THE GREY 凍える太陽』

Gurei2今年ステラン・スカルスガルドとならんで四本もの出演作が公開されたリーアム・ニーソン(まあ『ダークナイト・ライジング』なんてほんの数十秒でしたが)。今日はその四本の中で最も出番が多く(主演ですし)、最も公開規模の小さいこの映画を紹介します。『THE GREY 凍える太陽』です。

主人公は極寒の地アラスカで、石油採掘場の護衛として狼狩りを生業としている男・オットウェイ。彼は最愛の妻を亡くしてから生きることに意味を見出せなくなっていた。ふと思い立って基地を離れることにした彼だったが、オットウェイの乗った飛行機はトラブルを起こして雪原に墜落。生き残ったのはオットウェイを含む七人だけだった。さらに彼らは狼の群れたちにを付けねらわれ、一人、また一人と野獣の牙の犠牲となっていく。

わたしがこの映画を観たいな、と思った主な動機は、このストーリーがジャック・ロンドンの名作『白い牙』を彷彿とさせたので。しかも舞台はアラスカと来てる。まちがいなくスタッフはロンドンを意識しておりますね(断言)。
あと自分、モサモサした肉球のついている動物が好きなので。特に狼はいいですね。猫の次くらいにいい。
闇夜の中に狼の赤い目が徐々に浮かび上がってくる絵とか、雪原に付けられた肉球跡にじんわりと血が流れ込んでくる描写なんか本当たまらんかったですよ。
たしかに主人公達の身になってみればとても恐ろしい。でもやっぱり可愛いheart01 もし何かのウンコにならなければならないとしたら、わたしは狼のウンコになりたいです。できたら食べるのは死んだ後にしてほしいものですが・・・

さて、オチャラケはこれくらいにして、以下は珍しくマジメな話(なんじゃそらー)。
この映画はもちろんフィクションでありますが、意識してるのかしてないのか、二つの点で現実とシンクロしていました。
一つはオットウェイ演じるリーアム・ニーソンに関して。彼も2009年に奥さんを事故で亡くされています。ニーソン夫妻はおしどり夫妻として知られていたので、その喪失感は相当なものだったと思われます。
もう一つは製作の一人であるトニー・スコットに関して。皆さんご存知のように先日彼は衝撃的な死を遂げました。「生きること」と「死ぬこと」をテーマにしたこの映画を作りながら二人は何を考えていたのか・・・ そう思うとなにやら複雑な気分になってきます。

以下ラストまでネタバレで

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死を願っていたオットウェイですが、狼たちの群れを前にして必死で戦い続けます。その理由は「どうせ死ぬなら自分の満足のいく仕方で死にたい」というものでした。「単なる自己満足」という人もいるかもしれませんが、人間誰しもいつかは死ぬわけですし、できたら自分の望む形で死を迎えたい・・・というのは当たり前の感情です。
そしてカーナハン監督は死の瀬戸際まで全力を尽くして戦う男たちを、肯定的に描きます。
ほぼ確実に生き残れない状況でそれでもファイティング・ポーズを取るオットウェイが、まるで『男組』ラストの流全次郎のようで、わたしは身震いいたしました。そしてもし彼ならば奇跡を・・・と思わずにはいられませんでした。

Gurei1『THE GREY 凍える太陽』はすでに上映終了したところもありますが、東北から関東にかけてこれからぽつぽつとかかるところもあるようです。『おおかみこども』を観た方はぜひこちらもセットで観て、リアルの狼とはどんなものか理解してください。
そういえば先日遭難した漁師さんが、「サメに体をかじられながらも逆に絞め殺した」なんつー話もありましたね。やはり男なら諦めずに最後まで戦わねばなりません。

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September 18, 2012

学園煉獄 朝井リョウ 吉田大八 『桐島、部活やめるってよ』

20120915_213018朝井リョウ氏による印象的なタイトルの青春小説を、『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』などの吉田大八監督が映画化。スポーツものかと思いきや映画オタクも感涙必至の『桐島、部活やめるってよ』、ご紹介します。

そこはどこにでもある普通の高校(少しレベルは上の方かもしれない)。バレー部のキャプテンでエースの桐島。桐島の親友で、やはりスポーツ万能だが半帰宅部になってしまっているヒロキ。桐島の彼女で校内有数の美人と噂されるリサ。バドミントンに情熱を傾けているミカとカスミ。オタク丸出しで映画製作にいそしむ前田。
学校生活を楽しんでいた彼らだったが、突然桐島が部活をやめてしまったことをきっかけに、心の中に不穏なさざなみが揺れ始める。

実は登場人物はまだ他にもちらほらいまして、物覚えの悪いわたしは冒頭話についていくのが大変でした。彼らをグループわけするとおおむねこんな感じでしょうか。
・放課後3ON3に興じている桐島の親友たち
・ルックス高めの仲良し女子四人組
・桐島のチームメイトであるバレー部の部員2名
・ヒロキに片思いしている吹奏楽部のアヤ
・女子たちから敬遠されている映画オタクの前田くんとその相棒

実は肝心の桐島は話題に出るだけで実際の画面には登場しません。一週間近く経っても一向に姿を現さない桐島に、登場人物はどんどん苛立ちを募らせていきます(あくまで対岸の火事、みたいなキャラもいますが)。
そんな桐島を通して見えてくるのは、各人の「好きなもの」への思い。迷いなく好きなものに情熱を傾けられる者。才能に恵まれているのに、好きなものが見つからない者。好きだと思ってたのに実はそうでもなかったことに気づいてしまった者。好きなんだけど能力が追いついていかないゆえに歯がゆい思いをしてる者、などなど・・・ 桐島くんは果たしてどうだったのでしょうか。生徒たちの会話から察するにその日の前まではバレーに並々ならぬ情熱を注いでいたことは確かです。だけどある時本当に好きではないことがわかってしまったのか。あるいは好きなままでいたいからこそやめてしまったのか? その辺は藪の中であります。
あと男子は「好きなもの」が部活だったりスポーツだったりするのに対し、女子は普通に恋愛対象である場合が多かったりして。

そんな風に今時の若い子たちの繊細な心理が、モノローグを排した乾いたタッチで描写されます。もうじき40に手が届くわたしにも普通に共感できるところが多く、嬉しい反面、自分に「いいかげん大人になれよ」とも思いましたcoldsweats01
登場人物の中で一番身近に感じたのはオタクの前田くん。女子達からはキモ悪がられ、映画秘宝を握り締めて「今月号はすごいよ!」と叫ぶ彼。これが共感せずにいられようか! 反面もっとも縁遠く感じたのはイケメンでモテモテでなんでもできてしまうヒロキくんでした。実際この二人は同じクラスであるということ以外、クライマックスまでまったく接点がありません。
(以下はネタバレで参ります)


しかし終盤で起きたある事件をきっかけに、二人はほんのわずかな間だけ気持ちを通い合わせます。先日観た『鍵泥棒のメソッド』もそうでしたが、わたしこういう話に弱いんです。「なんでもできていいよな、お前は」と思っていたヒロキ君だって、心の中にある種の空洞を抱えていて、好きなものに純粋に打ち込んでいる前田君のことをまぶしく思っている。そのことになんだか安心したりしました。

んで、ここで前田くんが映画やフィルムに対する思いを淡々と、しかし力強く語るんですが、ここがすごくよかったです。わたくし正直いま映画界を賑わせている「フィルムとデジタルの質の違い」というやつがよくわかりません。でも八ミリカメラを通してぼやける映像を見て、フィルムの良さというものが少しだけわかったような気がします(ま、そこもデジタルで撮ってんですけどね・・・)
あと前田君はなぜ映画を作り続ける理由について「こちらの世界とあちらの世界がつながっているように感じられて」と語ります。その時の演じている神木隆之介君のニッコニコした表情があまりに可愛らしくて思わず抱きしめたくなりました(←キモいぞー)。ヒロキ役の東出昌大君はこれが俳優デビュー作になるそうですが、初めてで戸惑ってたところへ神木君が色々励ましてくれて「すごく嬉しかった」と語っていて、それがまたなんとも微笑ましく感じられました。

ただ映画はさわやか・すこやかなばっかりでなく、青春のほろ苦さややるせなさも十分に描かれています。下手すると高校時代のトラウマを思い出してずーんと落ち込んでしまう可能性もありますんでその辺どうぞお気をつけて。

20120914_225926『桐島、部活やめるってよ』はもうほとんどの劇場で公開が終わってしまいました。またタイミング逃してるよ! ただ都内のシネリーブル池袋では1日一回上映になってしまったものの続映中で連日満席を記録してるとか。まちがいなく今年の邦画を代表する一本ですので、ご興味抱かれた方はぜひ。

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September 11, 2012

ちょっと振り向いてみただけの宇宙人 リドリー・スコット 『プロメテウス』

Pmt1バイオレンスの名匠リドリー・スコットが実に『エイリアン』以来33年ぶりに宇宙SFに挑戦。ていうかこれ、すごく『エイリアン』っぽいんですけど・・・ そんな『プロメテウス』、ご紹介します。

近未来、地球の各地で異星人が関わったと思しき遺跡が発見される。遺跡に描かれた絵は、みな宇宙の同じ座標を示していた。まるでここまでやって来い、とでも言う様に。
大企業ウェイランド社の社長は巨万の富を投じて、その衛星LV-223に向かう探索チームを結成。その中には気鋭の考古学者エリザベス・ショウの姿もあった。宇宙船プロメテウス号は遥かな距離を航行し、やがてLV-223に到着。ショウたちは果たして人類以外の知性と遭遇することができるのだろうか。

最初に「『エイリアン』っぽい」と書きましたが、すでに皆さんご存知のように、この作品『エイリアン』シリーズと同じ世界を舞台にしたお話です。最近はやりのビギニングものというか、エピソード1的な位置づけ。日本の宣伝ではその辺についてほとんど触れられなかったので「?」と思ったものでした。
で、予告編からあの「スペースジョッキー」が姿を現しているということで、ファンの間では話題を呼んでいました。おお! っていうかスペースジョッキーって何? 調べたところによると「『エイリアン』一作目で謎の宇宙難破船内部で ミイラ化していた異星人」とのこと。一作目はビデオで一回しか観てないので完~全に忘れてたな~

ただポスターからもろホラー調だった『エイリアン』と比べると、いささかムードが異なるところも。まず冒頭のシーンで宇宙人がある行為に及ぶのですが、どうやらそれが人類誕生の遠因となった模様。彼らはなんのために人類を創造したのか・・・ 映画はそんな謎で観客をひっぱります。まあ、この謎結局明らかにならなかったんですけどね。

うっかりネタバレしちった・・・ このあともどんどんばれていきますので未見の方はご了承ください。
進化論が一般的な日本では「何者かが人間を造った」と言われると違和感ありまくりかもしれませんが、世界ではそのように信じている人も多くいます。進化論というのは言ってみれば「全て偶然の所産」という考え方ですからね。それじゃさびしい、自分達がこの世にいるのは何か目的があるはずだ、と考えたくなる人もたくさんいるということです。この映画に登場するウェイランド社長もそんな風に感じている一人。
ところがどすこい、そんな彼の期待に対して人類の「エンジニア」が示したリアクションは見ていて目が点になるようなものでした。この辺に関してはツイッターで教えてもらったこちらの記事(『プロメテウス』 エイリアンに反する人類の起源)で、とても深~い考察がなされていますので、そちらをご覧ください。
そんな風に「失楽園」と結びつけて考えると、いろいろとうなずけるものがありました。要するに、「エンジニア」にとって人類とは失敗作にほかならなかったのかな、と。人類の遺伝子の行き着く先があの「エ○リアン」だとするならば、ジョッキーさんたちが必死こいて人間たちを抹消しようとしたのも納得がいきます。
聖書の「失楽園」のくだりには「お前(蛇)と女との間また お前の胤(子孫)と女の胤との間に敵意を置く。彼はお前の頭を砕き,お前は彼のかかと を 砕くであろう」なんて記述もあって、これもまた色々深読みできそうです。

とまあ、宗教的に考察しようと思えば幾らでもできるのですが、そこはやっぱりゲテモノ宇宙人映画なので馬鹿馬鹿しいテイストも満載です。特に注目に値するのがパンツ。思えば『エイリアン』一作目はパンツに始まりパンツに終わった映画と言えなくもないですが、今回もいきなり宇宙人がでかいブリーフみたいなのはいてて爆笑しました。他にもヒロインのノオミ・ラパスさんが下はパンツ一丁で大活躍する?シーンがふんだんにあり、人類とパンツの関係性について考え込まずにはいられませんでした。

Pmt2すでに続編も決定している『プロメテウス』は日本では初登場4位という「・・・」な結果でしたが、まだ一応全国の劇場でやってると思います。パンツの好きな人はぜひ3Dでごらんください。
ところでこないだネットショッピングに興じていたら、明らかにエイリアンの宇宙船らしきものを見つけてしまいました。
←これなんですが・・・ 地球は狙われている!かも!


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September 04, 2012

アベンジだよ! 全員集合! ジョス・ウェスドン 『アヴェンジャーズ』

Av3四年前にこんな記事を書いたんですが、いやはや、まさか本当に実現するとはね・・・ 2008年の『アイアンマン』から始まり、『インクレディブル・ハルク』『アイアンマン2』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』と続いたマーベル・シネマティック・ユニバースの総決算『アヴェンジャーズ』、紹介いたします。

北欧神話の世界からもたらされた「宇宙を支配できる」という謎の物体コズミック・キューブ。邪神ロキはそれを手に入れようと地球に降り立ち、異星の軍勢「チタウリ」を呼び寄せようとする。だが地球には彼らさえ舌を巻く強力な守護者達がいた。永い眠りから醒めた超人兵士キャプテン・アメリカ。怒りを糧とする緑色の巨人ハルク。鋼鉄を身にまとう科学の申し子アイアンマン。そしてロキの兄である雷神ソー。だが彼らは立場や考えの違いから激しくぶつかりあう。果たして超人たちは一致団結してロキとその軍勢を退けることができるのか?

アメコミの魅力のひとつに「同じ会社のキャラは同じ世界を共有している」というのがあります。強引に例えるなら、少年ジャンプのキャラが全て同じ世界に存在しているようなもの。しかし映画では基本一人のヒーローをクローズアップしなければならないため、こうした「世界の共有」が表現されたことはありませんでした。
ところがマーベルは四人のヒーローの映画をそれぞれ作った後、それらを合体させるという離れ業によってこのクロスオーバーを実現させました。まさに前人未到、前代未聞のプロジェクトです。もし途中でどれかが大コケしたらそこで企画はストップしてしまったかもしれませんしね。さらにこの6本に費やされた予算と撮影のスケジュールを考えると頭がクラクラしてきます。
ちなみに『アイアンマン2』で登場した女スパイ「ブラック・ウィドウ」や『マイティ・ソー』にチラッと出てきた弓の名人「ホークアイ」もこのチームに参戦いたします。

だからもう、この映画に関しては無事完成したという時点で十分満足してしまってる自分がいます(笑)。内容なんか丸っきりなくたっていいのですよ! 「作ることに意義がある」まさにそんな映画。そりゃ長年のファンからしたらあともう一息、そこでこのセリフを入れてくれたら、というところも色々ありました。でも内容もそれなりにありましたし、出来も決して悪くなかった。これで文句をつけたらおてんとう様からバチがあたります。

メンバー一人一人が魅力的であり、それぞれに見せ場があります。ただリア充でありプライドの高そうなアイアンマンとソーには今回あまり肩入れできず(笑) アイアンマンのメカ描写にはいちいち心震えるものがありますけどね。彼はもうずっとアーマーを着っぱなしでいいんじゃないかと思いました。
逆に俄然感情移入してしまったのがハルクとキャップ。ハルク(変身前)は他が「俺が俺が」と自己主張する中、一人だけ控えめにモジモジしてるところにすっごく親近感を感じました。でもここぞという時ぼそっとつぶやくんですよね。「ボクはいつも怒ってる」って… 我々気弱人間の怒りを代弁してるかのようなキャラです。そんなハルクが片っ端から宇宙船や味方の基地をぶっ壊す(えっ)シーンは実に気分爽快でした。

もう一人応援したくなったのはキャプテン・アメリカ。彼は彼で常人よりも十分強い存在ですが、他の人間離れしたような連中と比べると明らかにパワー的に見劣りがします。ブルースとトニーの専門用語バリバリな会話についていけず頭を抱えているシーンなんかも我々一般人に非常に近いcoldsweats01
ほんで決戦の場面においてアイアン、ハルク、ソーらが空中をぶんぶん飛び回ってる中、彼は地上でコツコツ地道に戦ったり市民の避難誘導に精出したりしてます。目立たないかもしれないですけど、やっぱり世の中にはこういう仕事をする人も必要ではないでせうか。

あと意外にも悪役のロキにもなんか同情しちゃいました。ひねくれてて高慢ちきでおおよそ好きになれそうもないキャラなはずなんですけど、なんか彼、やることなすこといちいちウッカリしてるんですよ。「こいつもしかしてウケ狙いのためにわざわざボケをかましてるんじゃないか!?」と思えるほどです。あと軍勢を率いてることは率いてるんですが、そいつらが人間でも十分渡り合える程度の強さなので、彼一人でアヴェンジャーズ全員を相手にしてるような感さえありました。そしてアヴェンジャーズは岩をも砕けるほどの力でロキにツッコミをかましまくります。そんなツッコミに必死で耐えるロキにいつしか「がんばれ・・・ がんばれロッキー!」と応援している自分がいましたcrying

20120904_192855_3というわけで世界で第三位のヒットを飛ばし、今なお数字を伸ばし続けている『アヴェンジャーズ』。当然こんなドル箱を配給のディズニーが放っておくはずもなく、すでに次なるプロジェクトが進行中です。
①2013年 5月3日「アイアンマン3」
②2013年 11月8日「ソー:ザ ダークワールド」
③2014年 4月4日「キャプテン・アメリカ:ザ ウィンター・ソルジャー」
・・・と全米で公開された後、2015年には『アヴェンジャーズ2』で再び全員集合。
さらに宇宙を舞台にしたヒーロー活劇「ガーディアンズ オブ ザ ギャラクシー」(2014年 8月1日)もこれに参戦予定。また公開日は未定ながらエドガー・ライト監督が長年暖めてきた『アントマン』も合流が噂されています。
アヴェンジャーズを支援する諜報組織「S.H.I.E.L.D.」のTVドラマも決まったそうで・・・ ああもう、広がるだけ広がれ! ヒーローの世界はまさに無限大!なのです!


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