ノルウェイのオリ マリウス・ホルスト 『孤島の王』
『Dr.コトー収容所』という題も考えました・・・ 某まだ~むさんから時々お話を聞くものの、イマイチ縁遠いというイメージをぬぐえない極北の国・ノルウェー。そのノルウェーから今年は二本の映画がやってまいりました。一本は『トロール・ハンター』(見逃した・・・)。そしてもう一本が本日ご紹介する『孤島の王』です。
首都オスロの南方75キロに位置する孤島・バストイ。1900年から70年にかけて、そこには非行少年たちを矯正するための施設があった。人を殺した罪でそこに送られてきた少年、エーリング。彼はいかめしい教官たちを前にしても一向におじけることがない。バストイから脱走することしか頭になかった彼だったが、同日に入所した少年の身に起きた事件をきっかけに、大人たちの「支配」に不満を爆発させるようになる。そんなエーリングを、もうじき出所することになる優等生オーラヴは複雑な思いで見ていた・・・
いわゆるひとつの「実話に基づく物語」。わたしが「少年院」と聞いて思い出すのはエグ系格闘漫画『軍鶏』の冒頭。もしくは『あしたのジョー』のやはり序盤。さぞかし執拗で残酷なリンチの描写がえんえんと続くんだろうなあ~・・・と思っていたら、意外にも?さわやかなところも多い作品でした。
若いに似合わずすでにいっぱしの「無頼」の空気をまとっているエーリング。そんなエーリングにも気さくに手をさしのべ、力になろうとする心優しきオーラヴ。そんな二人が時に激しくぶつかりあいながら、次第に心を通わせていく。こ-ゆーのにあたし弱いんです。
あと若く純粋であるがゆえに、自分を守ることも考えず理不尽なことに対して全力でぶつかってしまう。そんな姿がくたびれた大人から見るととても清々しく、痛々しかったりして。
大人といえばタイトルにある「王」である院長についてもいろいろ考えさせられます。演じるは今年四本もの公開作に出演しているステラン・ステルスガルド。「同級生によるいじめ」と「大人からの虐待」という違いこそあるものの、この映画にはいま騒がれている事件をどうにも連想させるところがあります。
院長とて一応それなりの理想を持った人物であったことにはまちがいありません。刑務所送りになるとこだったエーリングをひっぱってきたことや、部下に対して「彼らを愛で導かねば」と言ってることからもそれはうかがえます。
ただ彼の理想には自己満足的・独善的なところがわずかとはいえ「なかった」と言えるでしょうか。そして部下の犯した罪を保身のために見逃そうとしたことにより、彼の理想はガラガラと崩れ落ちていきます。
彼を責めることは簡単です。しかし果たして自分が同じ立場に立たされたときに、見て見ぬフリをしないと断言できるでしょうか。「しない」とはっきり言える人間でありたいものです。
先にも述べたように実話を基にした作品。どの程度事実なのかいささか気になるところです。ちらっと紹介記事などを見てみましたら、実際はもっと悲惨な結末だったようです。ただ主人公二人に関してはなんとなく創作なんじゃないかな・・・と思うのですが。
『孤島の王』はまだぽつぽつこれから上映のところもありますが、東日本では大体終わってしまったかな・・・ 10月にはDVDが出るようです。
左のイラストは吉岡秀隆氏が熱演してた某お医者さんのつもりです。全然似てないけどねー!
Comments
伍一くん☆
確かに似てないねー(爆)
でも題名はグッジョブ!
その某まだ~むですが、なかなかに面白い作品だったよね。
実際は悲惨な結末って、これ以上哀しい結末があるのね・・・
私は福本作品の「無頼伝 涯」を思い出しておりました。
Posted by: ノルウェーまだ~む | July 20, 2012 12:52 AM
>某まだ~む(笑)さん
お返事遅くなってしまってすいません・・・ いまごろはもう屋久島でしょうか?
Dr.コトーは現在連載中断中だそうですよ(笑)
なんかこの事件を調べてると「虐殺」という語が出てくるのですよね。映画では子供達は殺されてなかったけど、実際は・・・だったのかもしれません
>私は福本作品の「無頼伝 涯」を思い出しておりました
ビックコミックスペリオール最新号に福本先生の描かれた「ネコバス」が出てましたが、いろんな意味ですごかったですよ!!
Posted by: SGA屋伍一 | July 23, 2012 09:09 PM
こんばんは!(。◕‿◕。)
全体を通して、寒さを感じる映像で・・・夏に見て良かったです。
冬だったら、もっと寒かったかも・・・(笑)
院長の保身の態度は、時期的にどうしても、例の事件を
連想してしまいますよね〜。
本当は、もっと悲惨だったのかぁーーー
軍隊に踏み込まれてますからね〜。
時代的にも、ありえる気もしますが、
犯罪者といえども、なんかあんまりいい気持ちはしないですよね。
Posted by: ルナ | July 23, 2012 11:40 PM
これ、すごく期待してたのでそうでもなかった、、、、
トロールハンターの方がぜんぜん好みだな〜
伍一が好きそうなのにあれを逃しちゃったのはもったいなかったね、大画面の方が断然オススメだったよ〜。
50インチくらいの大きなTVで見るしかない
私が「少年院」と聞いて思い浮かべるのは、、、
「不良少女と呼ばれて」
古っ!!
Posted by: mig | July 24, 2012 10:00 AM
あ、そういえばTB届いてなかったよ〜、、、、
Posted by: mig | July 24, 2012 10:01 AM
>ルナさん
あはは。たしかに納涼にはもってこいの一本ですね! 皇帝ペンギンもいいですよ!
これ東京や大阪では3,4ヶ月前にやってるんですよね。地方で遅れて観たら実際のニュースとシンクロしてしまったというのもなんとも不思議なものです
映像では射殺されてる子供はいなかったので「よかった~」と思ったのですがね・・・ やはり子供相手に軍隊というのは「大人気ない」というほかないと思います。まあまだユニセフもないし、子供の人権とかいまほど確立されてない時代だったのでしょうね。ただ今だって子供達がどこでも大切にされているかといえば・・・
Posted by: SGA屋伍一 | July 25, 2012 09:45 AM
>migちゃん
>伍一が好きそうなのにあれを逃しちゃったのはもったいなかったね
ああ! せっかく忘れかけてたのにまた思い出してしまった!
やっぱり横浜の明るい時間でやってる回に行っておくべきだったな・・・ どこかの名画座でかからないかな・・・ さめざめ・・・
>「不良少女と呼ばれて」
ねばねばねばねばねば くら~い♪
流行ったね(笑)
TBごめん。いま送る(遅)
Posted by: SGA屋伍一 | July 25, 2012 09:49 AM