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June 16, 2012

パーツ・アバウト・マイ・マザー 井上靖 原田眞人 『わが母の記』

Whk1これまた二週間前のことですが、珍しいことにオカンが「映画を観にいきたい」と言うのでつれってやりました(親孝行だなあ)。その映画とは文豪・井上靖原作の『わが母の記』。それではご紹介します。

高度経済成長期半ばの1964年。人気作家の伊上洪作は天城で隠棲していた父を亡くす。一人残された母は次第に痴呆が進み、洪作の一家はその世話に振り回される。母のためにあれこれ手を尽くす一方で、洪作には未だ消えないわだかまりがあった。彼は幼いころ、天城に里子に出されたことがあった。それを洪作はずっと「自分は捨てられた」と思い続けていたのだが…

そういやむかし国語の教科書に出てましたねえ。井上靖の『しろばんば』。まさに井上先生が天城に預けられてたころに、同年代の少女にほのかな思いを抱いたとか、そんな内容ではなかったかな。
そんな風に井上先生はわが静岡県にゆかりの深い方であり、近隣には「井上靖記念館」まであるのですが、最近まですっかり忘れてました。ごめんなさいcoldsweats01

もちろんお話の中心にいるのは井上先生とそのお母さんなんですが、わたしはなんというか「一昔前の金持ち一家」の生活を覗き見させてもらったようで楽しゅうございました。たぶん先生が『氷壁』で一発あてて名作家としての地位を確立をころの話なんでしょうね。そんな豪勢で上品な井上家を、三人の可憐なお嬢さんが彩ります。
わたしが一番萌えたのは菊池亜希子さん演じる病弱な次女。ず~っとおどおどびくびくしてるんですが突然「『処女の泉』が最後まで観たかったのにい!」と切れて泣いたりするところがまたかわいい。
最近大変だった宮崎あおいちゃんも相変わらずかわいいですね。なんせ未だにセーラー服を着ていて何の違和感もないというのが本当にすごい。そんなあおいちゃんともはや日本を代表する母親女優となってしまった樹木希林さんがなごやかに談笑している図を見ていると、いやされすぎてでろでろに溶けてしまいそうになるのでした。

もっともこの映画はほのぼのしてるだけでなく、老人介護の大変な面も見せてくれます。世話に手がかかる、目が離せない、というのも大変でしょうけど、なにより血を分けた親子であるのに、子供の自分のこともわからないというのは辛いでしょうね。
うちのオカンもグループホームに預けられている自分の母(わたしにとっては祖母)のことを思い出しては色々胸をつかれるところがあったようです。祖母もだいぶ痴呆が進んでいるようなので・・・ そして遠からぬ未来、わたしも同様の悩みを抱えることになるんでしょうね。
ただ井上先生はお母さんがぼけたことによって、ようやく彼女の本心を理解することができたようで。皮肉といえば皮肉ですが、わかりあえぬまま死に別れてしまう親子もいることを考えればそれは幸福なことなのでしょうね。

Whk2『わが母の記』はすでに大体公開終了してしまったようですが、まだ一部の劇場でかかっているようです。『東京タワー』『悪人』と並べて「樹木オカン三部作」としたいのですがどうでしょう。
ちょっとまったりしたテンポの映画だったので、うちのオカンは絶対途中で寝てしまうと思ったのですが、無事最後まで起きてました。やればできるじゃねえか!

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Comments

伍一くん☆
やればできるじゃねえか!じゃないよ~(笑)
そりゃ、「母と自分」「自分と息子」の想いで観る映画、寝ている場合じゃないでしょう??
いつかこの子は私を背負ってくれるのかな?と思いながら見ていらしたはず。
車だけでなく、背中にも乗せてあげましょうね。

Posted by: ノルウェーまだ^む | June 17, 2012 at 05:12 PM

>ノルウェーまだ~むさん

こんちは~ 返事が遅れてすいません。昨日も夜中の二時半まで仕事してたもので。ひーこら
いやあ、ほんとウチのオカンあんまし映画にむかない人なんですよ。いままでちゃんと寝ないで観られたのは『ファインディング・ニモ』とドキュメンタリーの『オーシャンズ』くらいではないかしら
背中に乗せたらわたしの腰がくだけてしまうかも・・・

Posted by: SGA屋伍一 | June 19, 2012 at 03:52 PM

こちらにも。
まあ私とまったく同じことを!
わたしもこの作品,母を連れていきました。
母は字幕が読めないので(読む気がない)
邦画しか見ないのでこの作品の他は
「おくりびと」とか「おとうと」とかも連れていきましたが。
自分がどーしても観たかった作品ではないので
なんの予備知識もなく観始めたら
「なんだ,しろばんばの井上靖の話か!」と。
小学生のときの愛読書でした。しろばんば。
けっこう長編で,主人公の少年の,
おぬいばあさんとの土蔵暮らしのこまごまとした様子が
なんだか一番印象的で。
舞台になった伊豆地方はSGAさんのお近くですね。
ブログに書いてないけど,程よく感動した作品で
親孝行もできてよかったです。私も。

Posted by: なな | June 26, 2012 at 10:25 PM

>ななさん

こちらにもありがとうございます。そらまた面白い偶然で(笑) 
わたしも実はそんなに興味ある映画ではなかったのですが、たまにはつきあいでこういうしっとりした映画を観るのも悪くないな、と思いました

「しろばんば」、たしか教科書では一部分だけが違う題で掲載されてたんですよね。「少年老いやすく学なりがたし」とか「一寸の光陰軽んずべからず」という言葉はこの小説で覚えました。いまもまだ教科書に出てるのかな

そちらも自然豊かなところでしょうけど、伊豆もまたいいとこですよ。遠いですけど気が向いたらぜひおこしくださいhappy01

Posted by: SGA屋伍一 | June 28, 2012 at 11:22 PM

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