近頃ハダのツヤがいい感じ これが ペドロ・アルモドバル 『私が、生きる肌』
悪いわね やばいよね スキンケア 大事よね♪ スペインが誇る鬼才映画監督、ペドロ・アルモドバル。ま、わたし彼の作品はTVで『オール・アバウト・マイ・マザー』を観たくらいで、あんましよく知らないのですが、「最新作はビックリするよ!」という噂を聞いてはりきって観てまいりました。『私が、生きる肌』、ご紹介します。
高名な医師として知られるロベルト・レガル。彼の自宅の地下には、ある謎めいた女が監禁されていた。全身をタイツで覆われたその女は、その暮らしに慣れているようでありつつも、時折自らを傷つけたりもする。ロベルトは憎まれ口を叩きながらも彼女を甲斐甲斐しく世話するのであった。
果たして二人はどのような関係なのか。ロベルトの留守中に起きたある事件をきっかけに、物語は数年前へとさかのぼる…
いやあ、今回はあらすじを書くのが難しい。「衝撃の結末!」という惹句はよく聞きますが、こちらは「衝撃の中盤!」という感じの作品。肝心の部分は書きませんけど、カンのいい方は避難されたほうがよろしいかも。
いってみれば風変わりな復讐譚でもあります。ただそんな復讐の仕方があるものか? そもそもそれは復讐なのか? その点でまず度肝を抜かれます。
それと重なりますが、中心の男女二人の行動・心理が観ている間はさっぱり理解できません。いや・・・ あなたのしたかったのはこういうことじゃなかったの? 結局何がしたかったの?と幾たびもつっこみたくなります。ただそのわけのわからんところがこの映画のキモだと思うのです。
ときどき「登場人物の行動がまったく理解できない」とか「こんな人現実にまずありえない」という感想を目にすることがあります。エンターテイメントはそれじゃまずいかもしれませんが、わたしなどは「そういうのはわからないから面白いんじゃないかな」と思ったりするわけです。
劇中でビデオのヨガの先生がこんなことをおっしゃいます。「あなたの中にある心。それはあなただけの隠れ家であり、誰もそこに攻めてくることはできない」・・・だったかな。うろ覚えですが。
もしかしたら時折その人のことを理解できた、わかりあえた、と思うことがあるかもしれませんが、やっぱり何を考えているか、何をしたいかということは本人にしかわからないよね・・・という事実をつきつけられた気がしました。
さて、冒頭でも述べたようにわたしペドロ監督の作品はこれを含めてふたつっきゃ観てないのですが、強引に印象など語らせてもらうと(なんて恐れ多い)、どうもこの方は
1・変態性欲 2・おカマさん 3.親の愛情
を題材とされることが多いようですね。最近でこそ大人の女性の愛を語る人・・・みたいなイメージがありますが、初期のころのタイトルを見るとけっこうエロエロなものが多くてニタリとさせられます。エッチ!
そんな倒錯した世界と純粋な子供への愛が、普通に同時進行で語られてるのが(無茶ですけど)これまた印象ふかい。ただ父親の愛はいささか独善的に、母親の愛はひたむきに物悲しく描かれているように感じられました。
アート指向の作家さんにはゲイが多いと聞きましたが、この方もまたゲイなんだそうで。こんなにねっとりと女性の裸体を映しておいて、それでゲイなんすか… やはり人間というやつはよくわかりません。それとも普通に両刀使いなんでしょうか。
『わたしが、生きる肌』は現在シネマライズほかで上映中。それにしてもヨーロッパの名匠ってどうしてこうややこしい名字の人が多いんでしょうね。アルモドバルとかアンゲロプロスとかハルストレムとかカウリスマキとか・・・ 芸名?くらいシンプルでいこうや! 山田太郎とか鈴木一郎とかでいいよ!
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監督: ペドロ・アルモドバル
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たしかに、やばい作品でした!
映像は、美しいのだけど
内容は、かなりの悪趣味です。
いやぁ〜〜、バンデラスが演じるロベル
病んでるゎぁーーー!!!
ある意味なかなかの衝撃作でした。
妻と娘を亡くして以来、完璧な肌の開発研究に打ち込む
天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。
彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。
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これは衝撃的。真相には驚いたし、あまりにもアブノーマルな世界観に圧倒された。
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ある日、セカという男がやってきて、モニターに写ったベラの姿を見て、彼女を強姦する。この時帰宅してきたロベルは彼を射殺するのだが、ロベルは強姦されたベラとその日のうちに交わろうとするが「まだ痛い」そんな彼女の言葉はまだ疑う事もないものだったのだが…。
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あなたは、
これを愛と呼べるか――
−感想−
OH! シンジラレナーイ!!
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Tracked on May 14, 2013 01:23 PM
Comments
伍一くん☆
究極のもちもちお肌が手に入れられるなら、移植手術もアリかしら・・・(笑)
よく理解できないようであり、よく理解できるようなそんなロベルトはやはり愚かな男なのでしょう。
♪か~いぞ~うにんげんなのさっ
改造人間創りと言うより、生きたダッ○ワイフ作りのようでもありましたね。
Posted by: ノルウェーまだ~む | June 22, 2012 11:05 PM
おはよ、
初期タイトルはエッチなのがおおいかな?
でもアブノーマルであってエッチではないよ?
オールアバウトマイマザーとか、母親の愛を描くことが多いのはほんと。
監督は両刀ではなく完璧にゲイなんだよね、
女性は母親しか愛せないってことかな。
ペネとはめちゃめちゃ仲良しなんだけど
次回作もペネロペなんだって♡
でもこの博士の行動はわけわからない面白さって感じではないんじゃ。
愛する女性を2人奪われ狂ってしまったんだよね。
他にも面白い作品ばかりだから観て欲しいけどあまりDVDって借りないんだったっけ??
機会あったらぜひ〜★
Posted by: mig | June 23, 2012 08:37 AM
>ノルウェーまだ~むさん
おかえしありがとうございます。
そうよねえ、あたしたちそろそろお肌の曲がり角だし・・・
やっぱりいくら勉強ができても、ブラックジャック並の天才外科医であっても、バカはバカなんですかね~
>生きたダッ○ワイフ作りのようでもありましたね
まだ~む、表現が直接的です・・・
♪人に素肌を見せられぬ オモチャのようなこのカラダ
Posted by: SGA屋伍一 | June 23, 2012 11:28 PM
>migちゃん
こんばんばん。おかえしありがと~
とりあえず初期タイトルを見てみると「セクシリア」「欲望の法則」「バチあたり修道院の最期」「アタメ 私をしばって! 」などなど。あはは
>監督は両刀ではなく完璧にゲイなんだよね
そ、そうなのか・・・ やはりゲイ術の道は奥が深い・・・
ペネロペと女同士?の友情があるというのは、なんだか微笑ましい話だね
>でもこの博士の行動はわけわからない面白さって感じではないんじゃ。
愛する女性を2人奪われ狂ってしまったんだよね。
そういう見方もあるか・・・ 心理学に詳しい人だったらこの博士のぶっとんだ思考も理詰めで説明できたりするんだろうか
とりあえず『トーク・トゥ・ハー』は前から観たいと思ってる一本
Posted by: SGA屋伍一 | June 23, 2012 11:41 PM
まああたしも「わからない」「ありえない」的な感想書くことあるからねえ。。。遠回しだけど(笑)
これは、わからんなりに突き抜けてぶっ飛んだのがよい!(笑)ということで好き。
わからんもんを作るなら、とことんぶっ飛ばないとだめっすね。中途半端に遠慮してると「ありえん」とか書きたくなるけど、ここまできたらもう何も言うことありましぇん。
Posted by: rose_chocolat | June 26, 2012 12:34 PM
>rose_chocolatさん
うふふ。ごめんあそばせ
突き抜けるならとことん突き抜ける。中途半端がいちばんよくない
そうですそのとおり! と拍手したくなりますが、何事も煮え切らない男としては耳が痛くもありますね(笑)
最近の映画では三池監督の『愛と誠』も相当ぶっとんでるという話ですが、ちょっと観にいく余裕がなさそう・・・
Posted by: SGA屋伍一 | June 28, 2012 11:07 PM
ご存知のとおり、私はこの映画の美術を大いに気に入りました。
ストーリーは、ちょっと無茶苦茶ですけどね!
この映画の主人公は、マイフェアレディのヒギンズ教授と同じで、自分の作品を愛したのだと思うのです。
母親の言う通り、なまじっか愛妻に似せて作ってしまったのが最悪だったようです。
Posted by: サワ | June 30, 2012 11:26 PM
>サワさん
けっこう観た人によって意見わかれてますよね、この映画。絶賛してるひともあれば爆笑してる人もあり、怒ってる人もあり
後々語り草になる映画ってそういうもんだと思います
>マイ・フェアレディ
なるほど。あちらはもっとさわやかでかわいい作品と聞きましたが、骨子は同じかもしれませんね。わたしは『痴人の愛』とかも思い出してました
Posted by: SGA屋伍一 | July 01, 2012 10:12 PM
こんばんは!(*^^*)
たしかに、ここまでぶっ飛んでると、なんか凄いなぁ〜と
感心してしまいました!
理解は出来ませんが・・・・(~_~;)
>やはりゲイ術の道は奥が深い!
ほんとに、そうですね〜〜〜。
Posted by: ルナ | July 04, 2012 12:00 AM
>ルナさん
こんちはっす
ネチネチと痛めつけて復讐するのかと思いきや、まさに「想定の斜め上をいく」という言葉がぴったりあてはまります
山岸凉子先生のバレエ漫画に「美を極めた人には『オネエマン』が多い」とありました。そういえば映画監督にも多いですよね、ゲイ・・・
Posted by: SGA屋伍一 | July 05, 2012 10:48 AM
こんばんは。
ハハハw タイトル最高。あと最初の一行目も。
あっそういえばSGAさん、山岸凉子のテレプシコーラ読んでくれたんでしたっけね。
これはかなり今年気に入った作品でした。
変態最高!
Posted by: とらねこ | August 05, 2012 09:50 PM
>とらねこどん
こんにちは。。。
ぱふぃの音楽ははわたしたちの青春時代のBGMだったからねい。今晩男二人でカラオケに行くことになりそうだけど、久しぶりに歌おうかしらん
そういえば山岸先生、新作連載してますね。「けさらんぱさらん」という地味な作品。わたしとしてはテレプシコーラがあれで終りって納得いかんのだが
あ、この映画の話してないな。。。 変態万歳!ってことで!
Posted by: SGA屋伍一 | August 06, 2012 03:41 PM
SGA屋伍一さん、お久しぶりです。
>ただそのわけのわからんところがこの映画のキモだと思うのです。
そうなんですよね、私もroseさんと同感で
監督の”わけのわからん”究極の発想も凄いけど、
それを”わけのわからん”まま演出しちゃうのも潔いなと感心しましたよ~。
>それにしてもヨーロッパの名匠ってどうしてこうややこしい名字の人が多いんでしょうね。
確かに、日本人がヨーロッパ人の名前を言うと
舌を噛んじゃいそうな名前の人が多いですよね。。。
ヨーロッパ人は滑舌が抜群に良いのかもしれないですね。^^
Posted by: BC | September 08, 2012 06:22 PM
>BCさん
どうも~ こちらにも来てくださってありがとうございます
アルモドバル監督ってかなりの地位と実績のある方だと思うのですが、それでも守りに入らずこういうわけわからん発想ができるってすごいと思います。あ、アルドモバルだっけ? アルバドモル?
とりあえず向こうの映画人の名前をたくさん覚えて発声練習にとりれたら、滑舌とか早口言葉とかすごく上達しそうな気がします。舌をかんで重傷を負う確立も高いですけど
Posted by: SGA屋伍一 | September 10, 2012 09:45 PM