クロノスじいさん大噴火 ジョナサン・リーベスマン 『タイタンの逆襲』
ギリシャ神話の世界を現代のCG技術で甦らせ、全世界でまあまあの、日本ではそれなりのヒットとなった『タイタンの戦い』(当ブログのくだらないレビューはコチラ)。その『タイタンの戦い』が二年ぶりに帰ってまいりました(はええ!) いかにもって感じな続編タイトルとなった『タイタンの逆襲』、ご紹介いたします。
神ゼウスを父に持つ英雄ペルセウスが、ジャック・スパロウもかなわなかった海の怪物コラーゲンを倒してからはや数年。ペルセウスは愛妻イオとの間に一子をもうけたが、妻は制作上の都合か還らぬ人となっていた。
一介のウミンチュとして穏やかな暮らしを続けていた親子のもとに、ある日折り合いの悪いゼウスじいさんが凶報を携えて訪ねてくる。かつてコラーゲンをさしむけた「名前を言ってもいい」ハデスおじさんが、さらに暴れん坊で健康にいい黒酢(クロノス)ひいじいさんと手を組んでまた悪巧みを練っているというのだ。「もう実家とは関わりありません」とつっぱねるペルペル。だがひいじいさん配下の怪獣軍団はすでにペルセウスたちの住む村へと向かっていたのだった…
前回のネタよりもさらにつまらない… しかも中途半端だ。でも書かずにはいられない。性ですね。
前作『タイタンの戦い』はギリシャ神話の有名なエピソードを(一応)忠実に映像化した作品でしたが、今回は映画オリジナルのお話を勝手に作っちゃっております。たしか元のギリシャ神話ではクロノスは一族と共に地下に封じ込められてそれっきりではなかったかな。ただ独自のストーリーを作ったはずなのに昨年秋に公開された『インモータルズ』とこんなに似てしまったのはどうしてなんでしょうね… まあハリウッドではよくあることです。
前回のレビューでわたしは「ギリシャ神話の神々は『自然』の象徴である」と書きました。今回も同じことが言えると思います。前作では「たとえ自然が人間にやさしくなくても、人は自然とうまくつきあっていかなければならない」ということが語られました。確かにいつの時代でも自然の力は強大です。しかし現代においては人間もまた自然・地球にとって脅威となっております。映画ではオリンポスの神々の衰退としてそれを表現しています。自然に敬意を払わず破壊を続けるならどうなるか。まるでこの映画のクロノス神の復活のように、人間にも地球にも取り返しのつかない災いが臨むことでしょう。それを回避するにはどうすればよいのか。やはり自然を敬い、それを守っていくしかない。作品ではそれがペルセウスとゼウスの和解として語られております。絶対監督も脚本家もそんなこと考えちゃいねーよ、というツッコミは甘んじてお受けいたします
ゼウスとペルセウスの親子関係、なんかに似てるなあ~と思ったら『美味しんぼ』の海原雄山と山岡士郎のそれにそっくりですね。そんなわけで彼らのぎこちないコミュニケーションを微笑ましく見守っておりました。
一方で完全に和解できそうもないのはクロノスのひいじいさん。なんつったって身の丈ウン十メートルはあろうかという怪獣のようなお方。ゼウスとペルセウスはまだ親子と言われれば「あー、そうかもね」とも思えますが、こちらのひいじいさんとゼウスじいさんはあまりにもルックスに隔たりがありすぎです。本当に血はつながっているのか? クロノスはどうやって子供をこさえたのか? 謎は深まるばかりです。
あとこれも忘れちゃいけない。当ブログ名物怪獣チェックです。
・キマイラ・・・この映画の中で一番よくできてた怪獣。ちゃんと「尻尾がヘビとして独立してる」というとこを再現してるのがポイント高いです。出番が冒頭だけというのがちと悲しい
・サイクロップス…もよくできてました。めったに映像化されることのない怪獣なので活躍シーンは大変貴重です
・クノッソス宮殿・・・ これ怪獣じゃないけど(笑) 『エイリアンVSプレデター』の構造が絶えず変形していく迷宮を、さらにバージョンアップさせた感じでナイスだったので書いておきます。それにひきかえ微妙だったのが
・ミノタウロス…『インモータルズ』よりはマシでしたがデザインが正直「やっつけ仕事」な感が否めません。
・終盤に出てきたインドのシバ神みたいなヤツ…たぶんこの映画のオリジナル。CGだけあってよく動いてました。『タイタンの戦い』オリジナルを手がけたレイ・ハリーハウゼンの映画に確かこんなん出てきたのでそのオマージュかも
ちなみに今回は前作をてがけたルイ・レテリエ監督ではなく『世界侵略:ロサンゼルス決戦』が記憶に新しいジョナサン・リーベスマン氏がメガホンを取っております。そのせいか知らないけど一作目よりもなんだかあっさりしたタッチだったような… 売り上げも世界で三億儲けた『~戦い』の半分くらいしかいかないというさっぱり具合。レテリエ監督は「三部作にしたい」と言っていたけど、この分ではここで終りかもな
一応きちんと終わってますが「いや、まだ続きが観たい!」という方は劇場に行って売り上げに貢献してください。そろそろラスト一週かも…
Comments
伍一くん☆
たまには「神々は自然の象徴」とマジメな事を書いていて、うんさすが!って思ったらやっぱり・・・
でもクロノスじいさんとゼウスが似てなさすぎって納得ですわ。
神への祈りをマジメにやったら自然災害から免れるかっていったら怪しいですが、自然に対する敬意はもうすこし払わないといけないでしょうね。
Posted by: ノルウェーまだ~む | May 27, 2012 12:13 AM
神の怒り。。。『イムモータルス』でも、確かに似た所ありましたね。
関係ないけど、あの世からの、モンクの怒りっていうのもあるのかなぁ?
Posted by: まみっし | May 28, 2012 01:30 AM
>まだ~むさん
こんばんは。タイタンスコ~
自分はいつだって真剣一直線ですよ! やっぱり奥さんも和田アキ子なみのジャンボサイズだったんですかね!
>自然に対する敬意はもうすこし払わないといけないでしょうね。
いまちょうど日本ではもっとクリーンなエネルギーを、とか叫ばれてますからね… 自然に還元できないものを作るとこういう形でしっぺがえしが来るんですよね(マジメ)
Posted by: SGA屋伍一 | May 28, 2012 09:15 PM
>まみっしさん
こちらにもどうも。とりあえずわたしは『インモータルズ』よりはこちらを評価してます。こっちには怪獣が出てるので!(笑)
モンク…って僧侶のことでしたっけ? それとも『叫び』が有名なノルウェーのあの人でしょうか
Posted by: SGA屋伍一 | May 28, 2012 09:23 PM
ゴッド伍一☆
うーん、これはなんとももう感想まるでないよ、
リーアムとええっと、もうひとりが似てるってことしか。。。
美味しんぼは1冊だけ読んだことある☆
トップの写真わかった!
ビックリマンチョコのゼウスじゃない??
ごめん感想がほんとにないのこの映画、、、、
Posted by: mig | May 29, 2012 08:18 PM
>migちゃん
感想がないところがんばってコメントくれてありがとう!(笑)
美味しんぼは実はわたしもあんまり読んだことがないんだ… 最初の方でフォワグラよりアン肝の方がうまいって書いてあったような。でもたまには食べてみたいなあ、フォワグラ
最後の絵はビックリマンで正解~ 今回なんかこれとコラボしてたらしいので
ビックリマンチョコってあの中田英寿もあつめてるらしいよ。それこそビックリだよね…
Posted by: SGA屋伍一 | May 30, 2012 01:09 PM