ディス・伊豆・ビルド 大町孝三 『つづく』
これももう~二週前の話なんですが、mixiで何度かご一緒に飲ませていただいた方が関わった作品が、なんと近場の駿東郡清水町で上映されるというので観てまいりました。株式会社トーイン初の製作映画となる『つづく』、ご紹介します。公式サイトはコチラ。
東京で小さな設計会社を営む笠原は、若き日にそれなりに恋もあったのだが初老になっても未だ独身。そんな彼のもとに大手の帝都建設より、とあるプロジェクトの設計コンペの依頼が入る。なぜ自分のところに業界屈指の帝都建設が… 笠原はいぶかしむ。そのことを尋ねても担当の北村裕香はありきたりの回答ではぐらかすばかり。そして帝都建設内部でも笠原設計を参加させることに疑問の声が上がっていた。笠原は自分の意思に関わらず大企業の勢力争いに巻き込まれていく…
冒頭15分は正直なかなかの我慢タイムでした(笑) ふだん観ている映画と違ってあまりにも等身大の世界だったものですから。わたしも小ぢんまりした土木系の会社に勤めてるし… しかし笠原さんが大会社の派閥のさや当て(というか一方が勝手に攻撃してるだけなんだけど)に翻弄されるあたりがまるで『課長 島耕作』のようで、そのあたりから興が乗ってきました。
しかしお話はだんだん企業ドラマから、笠原さんの切ない過去やヒロイン北村佑香の秘められた心情にせまっていく方向へ向かいます。別にアリバイ殺人が起きるわけではないんですが、そういった謎が徐々に明かされていく展開は一種のミステリーと言っていいかもしれません。
あとわたくしタイトルなどからコテコテの人情ドラマを想像していたのですが、笠原さん演じる比賀健二さんの穏やかなムードや軽妙な脚本の力もあって、全体的にほっこりしたユーモアのあふれる作品となっておりました。
その比嘉健二さんは長年教職を務め、現在は伊豆で「セルフビルド」というプロジェクト(詳しくは公式サイトをご覧ください)に携わっておられる異色の経歴の方。たまたま監督がこのセルフビルドについて取材しているうちに映画の骨子が出来上がっていったとか。
この『つづく』、当初は六本木のシネマロサというとこで昨年秋にレイト限定で上映されたとのこと(連日盛況だったそうです)。それがどうしてこんな地方で上映されたかといえば、ぶっちゃけ伊豆が舞台だったからですね。そんなわけで時折うつる地元の風景も目を楽しませてくれました。
特に夕焼けの赤澤で子供のようにはしゃぐ比嘉さん=笠原さんが初老のおじさんなのにとても美しく見えました。この辺が映像の力というか映画の力だと思います。
またヒロイン裕香演じる栗原瞳さんはわたしにとっては『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』でなじみ深い方(笑) ライダーではいささかエキセントリックな演技が印象に残っておりましたが、こちらでは物静かな大人の女性を時に悪魔的に、時に凛として演じておられました。
上映終わって帰ろうとしたら舞台挨拶があったのはなかなかのサプライズでした。シネプラザサントムーンには出来たときからしょっちゅう通ってますが、ここで舞台挨拶に立ち会ったのは本当に初めてのことでしたよ… そんなわけでなかなか貴重な体験をさせていただきました。
『つづく』はこれからも幾つかの地方で上映を計画中とのこと。となりのイラストは栗原さんが演じてた『仮面ライダー555』のスマートレディのつもり…
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