火星の往生 E・R・バロウズ アンドリュー・スタントン 『ジョン・カーター』
南北戦争で勇名を轟かせた冒険家ジョン・カーターは、黄金を求めて入った洞窟に温泉がわいているのを発見する。よいこらこれはいい気持ち、と湯につかるカーター。すると彼はたちまち現代日本のバスルームにタイムワープしてしまったのだ。恐るべし、平たい顔族・・・!!
はい! つまんないですね! 本当はカーターさんはバルスームという謎の惑星にワープします。温泉は出てきません。そして飛んだ先の火…バスルームではじょわじょわと気色悪い生き物が繁殖していて、カータンは彼らと仲良くなったりぶっ殺したりするのでした…
わたしの親というのは漫画やアニメに厳しい人でして。そんな環境でわたしはもっぱら学校の図書室で物語への飢えを満たしておりました。そこで出合った作品で、特に今でも印象に残ってるのは福島正美氏が編集した「SFこども図書館」。『宇宙少年ケムロ』『合成人間ビルケ』『逃げたロボット』etc… そんな名作群の中にこの『ジョン・カーター』原作、エドガー・ライズ・バロウズの『火星の王女』もあったのでした。
クライマックスのあたりとかすっぽり忘れてるんですが(笑)、突然火星にやってきたカーターが見知らぬ土地で異形の友を得て、スーパーマンのような活躍を見せる。そんなストーリーにドキドキワクワクしたものでした。その『火星の王女』をピクサーのエース、アンドリュー・スタントンが映画化するとなったら面白くないわけがない!…とかなり期待していたんですが… ええと、良かった点からいきましょう
まず目を引くのは「重力が軽いから」ということでカーターが見せるジャンプ・アクション。このネタ、たぶん『スーパーマン』や『のび太の宇宙開拓史』にも利用されてると思うのですが、それこそスーパーマンのように高いビルでもひとッ飛び!ってくらいの大ジャンプを見せてくれます。そんで空中を飛んでる飛行機をぶっ壊してまた飛び降りたりする。ありえないけどこのアクションが実に爽快です。
バルスームの風変わりな景色も目を楽しませてくれます。。特にトンボのような形状でふわふわ漂ってる飛行機は優美かつ独創的。こんなのミクロマンのオモチャであったかな…
で、悪い点というかなんというか(笑) アンドリュー・スタントン監督がこれまで手がけた『ファインディング・ニモ』と『WALL・E』。「魚が大海で愛児を探す!」「人類のいない世界でロボが愛に目覚める!」そんな今までになかったようなコンセプトがまず偉大でした。それに比べると今回の『ジョン・カーター』はなんだかこないだの『ア○ター』の別バージョンのように見えて仕方ありませんでした。本当は『アバ○ー』の方がこっちの原作を意識してるようなんですけどね。偉大すぎるゆえに真似されまくって、新鮮味がなくなってしまったオリジナルの悲劇、とでも申しましょうか。
あと『ニモ』も『ウォーリー』も一途に愛を求める主人公たちを手に汗握って応援せずにはいられませんでした。ジョン・カーターさんにはその点ちょっとフラフラしてるように見えました。これは単にわたしの好みですが、恋の駆け引きを楽しんでるかのようなイケメンにはどうも感情移入しづらいです。
そんな『ジョン・カーター』は本国で公開されるやいなや「ディズニー史上最大のぶっこけ作品」と評されてしまいました。実際はその後世界で少々持ち直し、制作費くらいは稼いでるんですが当初あった三部作構想は消滅したとみてよいでしょう。でもまあこれはこれでそれなりに終わってますし、続編は作らなくてもよいと思います。
スタントン監督はこれでもうアニメしか作らせてもらえないかも… ま、それはそれでいっか♪(しどい)
Comments
いったいどんな映画か想像もつかなんだけど、
南北戦争と聞いてすぐ思いだすのは、スタインペックの怒りの葡萄ですわい。あの映画は子供心にずっしりときたものです。
伍一くんの親、漫画に厳しかったんだ。日本昔話のTVもだめだったのー?
抑制されてもやるときゃあるのよね。子供って。
平たい顔族って、うけました。
Posted by: hino | May 11, 2012 09:58 AM
伍一くん~☆
どう見ても阿部ちゃんじゃん!と思ったら、バスルームにかけてたのね。(笑)
そうかー、親が子どもに無理を押し付けると反動がでちゃうんだね。それともアニメは駄目だけど特撮はOKだったの?
親も一緒になってアニメ見てても結局アニオタになったけどね。(爆)
こんなところでhinoちゃん発見!元気~??
Posted by: ノルウェーまだ~む | May 12, 2012 10:22 AM
>hinoさん
南北戦争ンスコ~
こんばんは。まあ一言で言うと『アバター』みたいな話です(あっ)
南北戦争×映画というとわたしが思い出すのは『キートン将軍』ですかね~ あと西部劇の名作の主人公は南北戦争の負け組が多いです
>日本昔話のTVもだめだったのー?
そういう穏やかなのはOKでした。ダメだったのは激しいヤツとかくだらないギャグ漫画とかね
「平たい顔族」というのは「テルマエ・ロマエ」に出てくる言葉なんすよ。この漫画はhinoさんにおすすめ
Posted by: SGA屋伍一 | May 13, 2012 06:55 PM
>ノルウェーまだ~むさん
こんばんは~ つまんないネタにおつきあいいただきありがとうございます 温泉都市熱海もルシウスにはいろいろ見習わなきゃ、と思うわけですよ
>親が子どもに無理を押し付けると反動がでちゃうんだね
まさにそれですねw アニメ特撮に限らずうちのオカンはバトルものがお気に召さなかったようで… 隠れて観てましたけどねw
まだ~むさんやhinoさんみたいに愉快なお母さんだったらよかったのになあ。まあ違うところで愉快なところはありますが
Posted by: SGA屋伍一 | May 13, 2012 07:08 PM
こんばんは!(*^^*) 久しぶりのカキコで〜す!
私は、それなりに楽しめたけど、評判はすこぶる悪いですよね。
そういえば、私ん家もマンガは低俗もの!って扱いで
よく友人から借りて隠れて読んでたなぁ〜・・・。
そのせいか、私も学校の図書館には大変お世話になりました。
私の場合は、ナルニアとかツバメ号とアマゾン号とかカッレくんとか
ファンタジー系が多かったです。
今でも結構好きなので、成長してないですね〜(笑)
Posted by: ルナ | May 22, 2012 12:07 AM
>ルナさん
ご復帰おめでとうございます~! こちらでは今週いっぱいで終了ですがほめておられる方もそれなりにおられますよん
ルナさんのおかあさんも厳しい方だったのですね。でも親の目から隠れて読むというのがまたスリリングなんですよね(笑)
残念ながらわたしはそのころはあまりファンタジー系にははまらず。ドリトル先生くらいかな? あとポプラ社発行のホームズ・ルパン・乱歩にも大変お世話になりました
>今でも結構好きなので、成長してないですね〜(笑)
いやいや、ファンタジーだってけっこう奥が深いですからね!
Posted by: SGA屋伍一 | May 23, 2012 09:05 PM
ホント、伍一さんの言うとおりに、『アバター』に、してやられているっていう感じの映画、この所、多い感じですね。
Posted by: まみっし | May 28, 2012 01:25 AM
>まみっしさん
ですね~ だから工夫して斬新に見せることが大切なんですよね(口で言うのは簡単だ)
ところで『テルマエ・ロマエ』、映画は観てませんが原作は面白いですよ!
Posted by: SGA屋伍一 | May 28, 2012 09:18 PM