叙情と奇妙な暴拳 谷口悟朗 『スクライド・オルタレイション QUAN』
異能の者たち「アルター使い」が多く住むかつて神奈川と呼ばれた場所「ロストグラウンド」。カズマと劉鳳、二人の若き獣の激突は、暴力がうずまくその地にさらなる混乱をもたらす。その混乱に乗じ、大いなる力を得ようと企む一人の男がいた。彼の名は無常矜持。己の野望のためにためらうことなく他者を食い物にする無常の暴挙に、カズマと劉鳳の怒りが爆発する。彼らの燃え盛る感情は、やがてロストグラウンドに本土からの大軍団を呼び寄せることに…
十年前の感動を思い出させてくれた『スクライド・オルタレイション TAO』からはや半年。無事後編となる『QUAN』の公開とあいなりました。そしてもう終わってます。どうもすいません。
昔のアニメの総集編にも関わらず川崎チネチッタで週末興行成績第1位となった『TAO』。それにくらべると今回はあんまし熱い話題が聞こえてこないな~と。実際三週目で早くも上映回数が減らされちゃってたし。これなら余裕だろ~と思い、予約も取らずに池袋シネマサンシャインシティに向かったのですが、間違ってました・・・
二十分前だというのにソールドアウト寸前。ブクロくんだりまで来て空振りで帰るはめになるところでしたよ(笑) ただそんな状況だったもんで、取れた席が前から3列目の一番はじ。観にき~ いっそのこと後ろに回って立ってみようかと思いました。そう、これは仁王立ちになって腕組みして観るのがふさわしい映画です(といいながら、次第に慣れてずっと座ってみてました)
んで、内容について・・・ですが、『TAO』とほとんど変わりません。バトルバトルバトルバトルバトル… ひたすらその繰り返し。たまにちょこっと泣かせ。違うのはどう考えても和解出来なさそうだったカズマと劉鳳が、無常という共通の敵が出来たことによってだんだん気心が知れてくるところでしょうか。結局最後は殺しかねんくらいの勢いでガチンコやってますけどね。あと平井久司の絵で保志総一朗と白鳥哲が共演するとどうしてか血みどろの殴り合いに発展しますよね。
残念だったのは『TAO』含めて、旧シリーズでわたしがツボどころだったセリフがことごとくはずされてたところかなあ。「これだけは、これだけはかえしてもらうーっ!!」とか「それさえあれば、何もいらない・・・ この命さえも」とか「そんでもってケンカだ! ケンカをやってやるゥーッ!!」とか。しかしまあ、なくても十分に熱さというか暑さは伝わってきましたよん。
さて、先のセリフがなかったことからもわかるように、今回の『QUAN』ではTVシリーズとは別のラストシーンが用意されてます。TV版は「もうやるだけやりつくしたわ! 終り!」というくらい完膚なきまでの「終り」感がみなぎっていたのですが、今回はなんだか「まだまだ幾らでも続けられますよ~ん」という感じだったなあ。最近2000年代のアニメの続編が次々と作られてますが、『スクライド』もそのうちできちゃうんでしょうか。
『スクライド・オルタレイション QUAN』は7月中ごろにDVDが発売予定。そんでもってケンカだ! ケンカをやってやるゥーッ!!
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