名探偵、最後の挨拶? コナン・ドイル ガイ・リッチー 『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』
世界で最も有名な探偵のイメージをメタメタにぶちこわした、2009年(日本公開は2010年)の映画『シャーロック・ホームズ』。シャーロッキアンの怒りとは裏腹に大ヒットを飛ばしたため、すぐに続編が作られることになりました。本日はその『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』、紹介いたします。
ブラックウッド卿の怪事件を解決したホームズ&ワトソン。一件落着ということで、ようやくワトソンは婚約者と結婚式をあげる。しかしめでたいムードもつかの間、事件の後ろで糸を引いていたヨーロッパの犯罪王・モリアーティ教授が本格的にホームズに牙をむき始める。そしてその第一の標的として、無二の親友であるワトソン夫妻の命が狙われる。
前回は「超常現象としか思えない不可能犯罪の謎を暴く!」的な要素もあったリッチー版『ホームズ』。ですが今回はほとんど推理してねー(笑)。まあ頭もまったく使ってないわけじゃないですが、基本的にアクション一辺倒で、前作以上に肉体>頭脳なホームズとなっています。まるで時代をもう少し遡ったインディ・ジョーンズという感じ。脚本が前作のアンソニー・ペッカムから、ほとんど名前を聞いたことのないキーラン・マローニー&ミシェル・マローニー夫妻に変わったことがその一因かもしれません。
その分スケール的には前作よりもワイドになりました。イギリス・ロンドンだけにとどまらず、フランス、オーストリア、スイス・・・と各地の名所が映し出され、さながらヨーロッパ周遊旅行といった趣があります。
突飛なようで意外と原作のマイナーなキャラもちゃんといかしてるんだな・・・というところは今回も健在です。一人目はホームズの兄、マイクロフト。ホームズ以上の天才で、その頭脳を文字通り大英帝国のブレーンとして働かしている・・・という設定だったかと。一説によるとマイクロソフト社の社名は彼から取ったそうです(ウソです)。ただ今回の劇場版ではあんましキレ者としての活躍は見られなかったかな。むしろ「変人」としてのイメージの方が強い(笑) 世界中のマイクロフトファンを敵に回したんじゃないかなあ・・・って、そんな人がどれほどいるんだろう。
もう一人はもうちょっと名が知られている「犯罪界のナポレオン」モリアーティ教授。前作でもちょろっと名前が出てきましたし、かなり以前の別のホームズ映画でもオチとしてその名前が使われておりました。原作ではホームズ最大のライバル」として扱われておりますが、実際に登場したのは「最後の事件」ただ一篇ではなかったかなー こちらはマイクロフトと違って、原作どおりの堂々たる悪者として描かれております。モリアーティの片腕であるモラン大尉もちゃんと登場しているのが心憎いですね。
さて、昨今のBLばやりゆえか、いろんなところで「ホモ映画♪」とか言われちゃってる本作品。確かにこの映画のホームズのワトソンへの依存ぶりは普通じゃありません。ただ、「ホモ」というのとはちょっと違うと思うんですよ。いわゆるひとつの「かまってちゃん」ってやつですね。無二の親友が誰かと楽しそうにしてると、自分に注意をむけてほしくてたまらなくなってしまうタイプ。それを素直に表せなくて、まわりくどい仕方で盛んにアピールしてるところがまた面倒くさい(笑) まともな大人のすることじゃありませんが、こういう何かの才能が突出してる人って、往々にして幼児性をひきずってるもんですからねえ・・・ え? わたしは違いますよ? 本当に、あなたになんてかまってほしくないんだからね!
[壁|_-)チラッ
さて、『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』ですが、前作ほどではないものの現時点で制作費の四倍以上は稼いじゃってるので、普通にまた続編が作られてしまう気がします。
「次の対戦相手はルパン(もちろん一世の方)か?」なんてことも言われてますが、ルパン一世は人殺しはしないので、そうすると前二作と比べて平和なムードになりそう。じゃあ同時代の悪者ということで切り裂くジャックならばどうか? そうすると今度はすごくホラーな作風になりそう・・・
獲らぬ狸の皮の話をしたようです。『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』は現在全国の劇場で公開中。下のイラストは宮崎駿氏も関わった『名探偵ホームズ』版モリアーティ。映画版と比べてかわいいことw
Comments
伍一くん☆
BL流行が影響する随分前の原作の時点で、ホームズのワトソン大好きはすごいみたいね。
そんなワトソンもまんざらでもないかんじで、新婚の奥さんを捨て置いてホームズとふたり旅に出てしまう~☆
でも奥さんもそういう二人をなんだかんだいって、温かく見守ってかげながら手伝っているところなんて、本当に素敵♪
続編ねー
この映画で丁度第1次大戦が始まろうとしている予感だったので、年号と事件で検索してみたら、「イギリス陸軍ノーフォーク集団失踪事件」なんてのがあったよ。
ホームズが解決するにはもってこい?
Posted by: ノルウェーまだ~む | April 10, 2012 09:35 PM
>ノルウェーまだ~むさん
おばんです&さっそくおかえしありがとうございます
女を置いて男二人で旅に出てしまう… それってまるっきりまだ~むがこないだ観てた『僕達急行』みたいじゃないですかw
そういえば今回けっこう鉄道の場面もありましたが、アリバイトリックとかまったくからみませんでしたね。
>イギリス陸軍ノーフォーク集団失踪事件
それはもしかして英国版『第9軍団のワシ』みたいな話でしょうか(笑) あとで調べてみます。ちなみに『ワシ』はこちらでは6月公開なので楽しみにしております
Posted by: SGA屋伍一 | April 10, 2012 11:06 PM
伍一つぁん
私皆が言うのきいてワトソンへの愛知ったというか
へぇっって思ったけど単なる焼きもちやききなんだとおもってたわ☆
ジュードは3が創られるかは、日本のヒットにかかってるっていってたけどまたできちゃうのかなぁ
ここはジュードのイラストできてくれなくちゃ!
最後の人はだぁれ?
Posted by: mig | April 11, 2012 08:52 AM
>migちゃん
こんばんばん
友情と愛情の境目というのはけっこうあいまいだよね。友情と性愛の間はかなり隔たってると思うけど
興行収入は2位→4位→3位→3位→5位 ヒットといえばヒットかな・・・ ちなみにずっと上にいたのは『ドラえもん』w
最後の人(犬)はアニメ版モリアーティ教授。わたしらが中学生くらいの頃にやってたんだよね
Posted by: SGA屋伍一 | April 11, 2012 09:59 PM
伍一さん、こんばんわ。
ホームズとワトソンの関係についてのつっこみ、面白く拝見しました。(笑)
いずれにしても、仕事するのに絶妙のコンビっていいですよね。それぞれ違う持ち味が同じタイミングでワークする場合と、同じ持ち前によって、ずれたタイミングでフォローするとか。
Posted by: まみっし | April 15, 2012 03:43 AM
>まみっしさん
こんばんは~(こちらはいま夜です)
現実では 仲良し=いい仕事ができる とは限らないんですけどね~ 仲がよすぎるとなんかなあなあになってしまったりして。かといってあんましチームがギスギスしててももちろんよくないし
理想は三谷幸喜さんの映画・ドラマによくあるようなパターンでしょうか。『ラジオの時間』とか『王様のレストラン』とか。英国では三谷作品って普通に観られるのかな?
Posted by: SGA屋伍一 | April 15, 2012 10:15 PM
こんばんは。
前作もちょっとブロマンス的臭いがありましたが、これはもうやりすぎて同性愛とは違うものになってる気もします。
それよりも前作でヒロインだったアイリーンが冒頭で死んじゃったことがショックです。
ホームズとアイリーンのツーショットも好きだったので。
3はあるんですかね?
家の中に隠れてタイプライターをいじるホームズ。
ん?ホームズが家にいるのに誰が郵便を届けたんでしょう。
あれはマイクロフトの私物だから届けるのはおかしいし。
そう言えば今回のアイリーンの役回りは・・・
Posted by: 大吉 | April 15, 2012 11:35 PM
>大吉さん
こんばんは

実は「ブロマンス」という単語どういう意味なのか知らなくて、「ラブロマンスの短縮形?」とか考えてたんですが、いま検索してようやくわかりました
こういう関係、ホ○までいかなくてもわりとよくあると思うんですよね。腐女子の皆さんからしたらかっこうの燃料でしょうけど
アイリーンは峰不二子みたいでわたしもお気に入りだったんですけどね。先日「1」を見直して改めていいキャラだなあと。それに比べると今回のノオミ・ラパスはいまひとつ魅力に欠けてたかなあ・・・
人をだまくらかすのが上手な彼女だけに、わたしもこっそり生き延びてると信じたいところです
Posted by: SGA屋伍一 | April 16, 2012 10:47 PM
こんばんは
たしかに今作は「ほとんど推理してねー」ですね。
ホームズのイメージをますますぶっこわす大胆素敵な変装の数々やおちゃらけぶり。
ホモというよりは「かまってちゃん」というのも頷けます。
しかしあの新婚の花嫁を列車から突き落とすあたり
「本音だろ~~」と思わずつっこんでしまいましたわ。
これはますますグレードアップして3作目までいきそうですね。
生還してくれなきゃ困るわけだし・・・・。
なんだかんだ言いつつ,やっぱり3作目も観にいってしまいそうです。
しかしこのシリーズ観てから原作を読み返すと
なんだかホームズのそれまでのイメージが原作まで変わってしまいそう。
Posted by: なな | April 19, 2012 10:16 PM
>ななさん
こんばんは

いや~、もうNHKでやってたドラマシリーズも終わって久しいし、若いみなさんはすっかりこのホームズがスタンダードになっちゃったんじゃないでしょうか
女子同士でもこういう関係ありそうですよね。「○○ちゃんの一番の親友はわたし!」みたいな。友人の恋人をはしげたから突き落とすとかはないでしょうけど
とりあえずロバート・ダウニーJrは次はアイアンマンの方の「3」が控えているようです。その前にアベンジャーズもありますが
あと今気づいたのですが、ジュード・ロウの方はこういうシリーズ物に出たのはたぶん初めてですよね
Posted by: SGA屋伍一 | April 20, 2012 09:59 PM