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April 23, 2012

ライアンと、そのカーチェイス  ニコラス・ウィンディング・レフン 『ドライヴ』

Drive1『ラースと、その彼女』『ブルーバレンタイン』『ラブ・アゲイン』と地味ながら評価の高い作品に次々と出演しているライアン・ゴズリング。そのライアン氏の最新作が、同日公開となった『スーパーチューズデー』と『ドライヴ』であります。スパチューはこちらではまだ公開予定がないのですが、『ドライヴ』の方はなぜか一週遅れてかかりました。ご紹介いたします。

昼はカースタントと車の整備を、夜は強盗たちのドライバーを引き受けている謎めいた若者「ドライバー」。アパートや連絡先を絶えず変え、人との関わりを極力避けていた彼だったが、隣室に住む健気な母子と知り合ったことから、「ドライバー」の静かな生活に不穏な嵐が吹き荒れる始める…

犯罪映画にもケレンミをひたすら追及した「派手系」と、リアルな描写でみせる「地味系」とがあります。『ワイルドスピード』や『トランスポーター』は派手系。『ペイバック』や『ザ・タウン』は地味系。ほんでこの『ドライヴ』はどっちかといえば地味系に属する犯罪映画です。
たとえば冒頭のカーチェイス、派手系であれば平気で逆走したり歩道を走ったりするわけですが、この『ドライヴ』の主人公はそんな無茶はしません。ライトを消して物影に隠れたり、入り組んだ交通網を巧みに利用して警察の追跡を逃れます。まあこんな風にスマートに仕事が進むのは本当に冒頭のそこだけなんですが(笑)

そういったおさえたタッチや、けだるいまったりとしたスコアやヴィジュアルが、犯罪映画にしてはかなり独特なムードをかもし出しています。その辺はデンマークでキャリアを積んでいた監督ニコラス・ウィンディング・レフンの手腕でしょうか。

ただわたしが最も印象に残ったのは音楽や映像よりも、主人公でありながら本名さえ語られない主人公「ドライバー」の個性でした。
最初のうちはとにかく生気に乏しい。感情もほとんど表さないし、口数も少ない。上手に追っ手をまいても歓声ひとつあげない。大都会の孤独な生活が彼をそんな性質に作り上げていったのでしょうか。
しかしキャリー・マリガン演じるアイリーンと触れ合ううちに、彼の笑顔や優しい側面が徐々に見えてきます。やっぱり幾ら一匹狼を気取っていても、人はどこかで他の誰かのぬくもりを求めているものです。
ここで終われば「ちょっといい話」で済むのですが、そうは問屋が卸しません(笑) 後半は映画も「ドライバー」も、それまでとうってかわったような血みどろバイオレンスを繰り広げることになります。

この「ドライバー」の出自、結局映画では謎のままなのですが、わたしは勝手にあれこれ考えてしまいました。若いに似合わず度胸が座っていて、プロの犯罪者たちとも十分に渡りあう腕っ節を持っている。恐らく特殊部隊かなにかで高度な殺人技術などを叩き込まれ、その道で活躍していたものの、殺伐とした世界に嫌気がさして俗世に戻ってきた・・・ そんなところではないかなと。
ところが鑑賞後に原作パラ読みしたら全然違ってました。あははははcoldsweats01 まあ映画版で潔く彼の過去をぶった切ったのは正解ですね。それによって「ドライバー」のミステリアスさが一層引き立っていますから。まるで都会の孤独が産み出した妖精さんか、下界に降りてきて人間の生活を楽しんでいる神様のような雰囲気さえあります。そう考えれば整備屋のあんちゃんがなんであんなに強いのか、むりやり納得することもできますし。

Drive2『ドライヴ』は現在全国の主要都市で公開中。東京方面ではもうちょっとやってると思いますが、ジョイランド沼○では今週金曜までのようです。あと同監督による中世時代劇『ヴァルハラ・ライジング』もいまやってるんですが、全国で二館しかかからない上にレイト限定みたいなのでこちらは観られなさそう。さめざめ


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April 20, 2012

時には子のない母のように ドゥニ・ヴィルヌーヴ 『灼熱の魂』

Photo首都圏から四ヶ月ばかり遅れて上映。レバノン生まれの劇作家の戯曲を原作としたカナダ映画で、第83回アカデミー賞外国語映画部門を最後まで受賞作と争った『灼熱の魂』、ご紹介いたします。

現代のカナダ。プールで急に具合を悪くし、ほどなくして息を引き取った一人の女性がいた。彼女は双子の子供達に奇妙な遺言を遺していた。それぞれ会ったことのない父と兄を探し出し、封のされた手紙を渡し、しかる後に双子に宛てた手紙を読め、というものだった。母にあまり良い感情を抱いていない弟は相手にしなかったが、姉はその遺志を遂げようと母の故郷である中東へと渡る。そこで彼女が知ったのは、あまりにも壮絶としかいいようのない母の半生であった。

作品の舞台となる中東の某国、都市名はチラホラ出てくるんですが、肝心の国名が出てきません。わたしが物知らずなんでわからないんだろうな~と思ったら、あえてぼやかしてあるというか、架空の国・歴史のようです。ただこの映画で語られる多くの悲劇・・・宗教上の対立、それゆえに起きる紛争、容赦なく引き離される親子や恋人達、子供さえ容赦しない虐殺・・・は、頻繁にニュースで見聞きするように、中東では珍しくない「現実」なのでしょう。

昨年同じ時期に公開されていた『サラの鍵』と、よく並べて語られていた本作品。たしかに国家の暴力に翻弄された、一人の女性の秘められた過去を徐々に解き明かしていく・・・という構成が良く似ています。作品の大きな柱が「母性」であることも共通しています。よく似た親がらみの話といえば、最近『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』と『ヒューゴの不思議な発明』がありましたが、父の謎を追いかける話がハートウォーミングタッチになるのに対し、母の謎を追う話はどうしてトラウマ必至の残酷物語になるんでしょうね・・・
あと『サラの鍵』はすでに終わった過去の物語をいまにつなぐ物語であるのに比べ、『灼熱の魂』は現代なおも続いている問題にいかにけりをつけるか、という話だと思いました。

さて、ここからは例によってネタバレざます・・・

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観終わったあとわたしが感じたのは、ヒロイン・ナワルはどうしてここまで残酷な事実を子供達に明かさねばならなかったのか?ということでした。そんなショッキングな秘密は、それこそ墓場の中まで持っていけばいいのに、と思いました。
でもあとからつらつら考えてみるに、彼女は例え子供達を傷つけても、伝えたい感情があったのかなと。その感情とは、早い話が「愛heart04」です。
彼女は思ったのかもしれません。長男が結果的に殺人&拷問マシンとなってしまったのは、母親の愛情を自分が与えてやれなかったからではないかと。であれば、彼に「母はお前を何があっても愛している」と伝えねばなるまいと。
そして双子の方ですが、弟のセリフからもわかるように、親子の関係はあまりしっくりいってなかった様子。そりゃあ双子が生まれた経緯を考えれば普通の親子のようにニコニコ愛せないのは当然のことと言えます。しかし経緯はどうあれ自分の子がかわいくないわけはない。素直に愛したいのに父親のことを思い出すとそうできない・・・ 彼女はずっとそんなジレンマを抱えていたのでしょう。だから双子達に、「素直に愛情を示せなかったのはこういう事情があったからなのだ」と知らせたかったのだと思います。

果たしてそうやって愛情を伝えたことで子供達は救われたのでしょうか。救われた、とわたしは信じたいです。
ちなみにこの作品の原題は『Incendies』。フランス語で「火」や「火事」をあらわす語だということです。たぶんその「火」とは、ナワルの怒り・復讐の炎だとわたしは考えます。怒りは確かに人にエネルギーやパワーを与えます。でもやはり幾ら怒りを燃やしたところで、誰も救われはしないし、何も解決しない。全てを明らかにして「許し」というリセットをして、初めてそれぞれは前に進めるのでは・・・という作者からのメッセージが感じられました。ずっと抱えられていたナワルの怒りが消えた場所がプールだというのがなんとも象徴的です。

Photo_2『灼熱の魂』は公開が終わってしまったとこも多いですが(沼津も今日まででしたcoldsweats01)、東北・九州・四国などではこれからかかるところもある模様。てゆうか5月2日にはもうDVD出るじゃん・・・
しかし『ムカデ人間』など配給してる一方でこういうの重厚なのも扱ってるアルバトロスフィルムは、本当にわけがわからない会社であります。


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April 17, 2012

叙情と奇妙な暴拳 谷口悟朗 『スクライド・オルタレイション QUAN』

Photo_2異能の者たち「アルター使い」が多く住むかつて神奈川と呼ばれた場所「ロストグラウンド」。カズマと劉鳳、二人の若き獣の激突は、暴力がうずまくその地にさらなる混乱をもたらす。その混乱に乗じ、大いなる力を得ようと企む一人の男がいた。彼の名は無常矜持。己の野望のためにためらうことなく他者を食い物にする無常の暴挙に、カズマと劉鳳の怒りが爆発する。彼らの燃え盛る感情は、やがてロストグラウンドに本土からの大軍団を呼び寄せることに…

十年前の感動を思い出させてくれた『スクライド・オルタレイション TAO』からはや半年。無事後編となる『QUAN』の公開とあいなりました。そしてもう終わってます。どうもすいません。
昔のアニメの総集編にも関わらず川崎チネチッタで週末興行成績第1位となった『TAO』。それにくらべると今回はあんまし熱い話題が聞こえてこないな~と。実際三週目で早くも上映回数が減らされちゃってたし。これなら余裕だろ~と思い、予約も取らずに池袋シネマサンシャインシティに向かったのですが、間違ってました・・・
二十分前だというのにソールドアウト寸前。ブクロくんだりまで来て空振りで帰るはめになるところでしたよ(笑) ただそんな状況だったもんで、取れた席が前から3列目の一番はじ。観にき~wobbly いっそのこと後ろに回って立ってみようかと思いました。そう、これは仁王立ちになって腕組みして観るのがふさわしい映画です(といいながら、次第に慣れてずっと座ってみてましたcoldsweats01

んで、内容について・・・ですが、『TAO』とほとんど変わりません。バトルバトルバトルバトルバトル… ひたすらその繰り返し。たまにちょこっと泣かせ。違うのはどう考えても和解出来なさそうだったカズマと劉鳳が、無常という共通の敵が出来たことによってだんだん気心が知れてくるところでしょうか。結局最後は殺しかねんくらいの勢いでガチンコやってますけどね。あと平井久司の絵で保志総一朗と白鳥哲が共演するとどうしてか血みどろの殴り合いに発展しますよね。

残念だったのは『TAO』含めて、旧シリーズでわたしがツボどころだったセリフがことごとくはずされてたところかなあ。「これだけは、これだけはかえしてもらうーっ!!」とか「それさえあれば、何もいらない・・・ この命さえも」とか「そんでもってケンカだ! ケンカをやってやるゥーッ!!」とか。しかしまあ、なくても十分に熱さというか暑さは伝わってきましたよん。

さて、先のセリフがなかったことからもわかるように、今回の『QUAN』ではTVシリーズとは別のラストシーンが用意されてます。TV版は「もうやるだけやりつくしたわ! 終り!」というくらい完膚なきまでの「終り」感がみなぎっていたのですが、今回はなんだか「まだまだ幾らでも続けられますよ~ん」という感じだったなあ。最近2000年代のアニメの続編が次々と作られてますが、『スクライド』もそのうちできちゃうんでしょうか。

Photo_3『スクライド・オルタレイション QUAN』は7月中ごろにDVDが発売予定。そんでもってケンカだ! ケンカをやってやるゥーッ!!

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April 13, 2012

ガンズ・アンド・メタモルフォ-ゼズ 大畑創 『へんげ』『大拳銃』

Photo知る人ぞ知るマニアックなSF・ホラーを多く上映してくれる渋谷の名物映画館「シアターN」。そのシアターNからまたひとつ(ふたつ?)ヘンテコな映画が飛び出して参りました。新進気鋭の大畑創監督の手による『大拳銃』『へんげ』、あらすじを続けてご紹介いたしましょう。

『大拳銃』:経営に失敗し、閉鎖寸前にまで追い込まれたある町工場。そこへ暴力団らしき男から、「拳銃を密造してくれないか」という依頼が入る。工場主の縣は弟や妻と共に、やむなくその仕事を引き受ける。やがて仕事が進むうちに、縣は次第に「あるもの」を作る欲求に駆られていく・・・

『へんげ』:閑静な住宅に住む門田夫婦。二人は深く愛し合っていたが、夫の吉明は突然別の何かにとりつかれてしまう奇病に悩まされていた。次第にエスカレートしていく吉明の奇行。ついにはその身体までが醜く「変化」していく。妻の恵子はなんとか夫を支えようと努力するが・・・

この二本を観ようと思った理由は三つ。ひとつはTwitterでフォローしている自主映画の雄・今泉力哉監督が熱くプッシュしていたから。二つ目はこういう一本の尺で同じ監督の二本の映画をかけるというスタイル、めったにないせいか妙にひかれるんですよね。例をあげるなら『赤い風船』&『白い馬』とか、『ルンバ!』&『アイスバーグ!』とか。三つ目は読売新聞夕刊の映画欄で「新たな才能の登場に感動した」と激賞されていたこと。こういう新聞評って日本の新人作家はめったにほめたりしないのでね。こりゃ確認せねばなるまいと小田急線で東上したのでしたcoldsweats01

で、観てみて素材的にはそれほど目新しいものはなかったあな、とcoldsweats01 『大拳銃』の市井の人々がのっぴきならない状況に追い込まれていく様子はコーエン兄弟の諸作を思い出させるし、『へんげ』はあんまし言うとネタバレになりますが、『ザ・フライ』『ガメラ3』『渇き』、そしてカフカの『変身』を連想させます。この二本の際立っている点はむしろ作品の持つ「空気」でしょうか。恐らくは低予算で作られているがゆえに、すごくわたしたちの実生活に近い雰囲気が漂っているんですよ。ハリウッドでの大作特撮映画ではなかなかこういう感覚、出せないと思うんですよね。そんな身近な世界と、そこに侵食していく非日常のアンバランスさが、なんというか「珍味」的な味わいをかもし出しております。

方やバイオレンス、方やホラーのジャンルにわけられる作品でありながら二本とも夫婦というものの不可解さを描いている点でも珍味っぽいですね。特に奥さんキャラの行動が予測不可能でなかなかに怖い。一方で、ああこういう人っていそうだなあ、という説得力も感じられたりして。
ご夫婦の状況が 『大拳銃』・・・貧乏・ドライ 『へんげ』・・・わりかし裕福・情熱的 とコントラストをなしている点も面白かったです。

あともうひとつこの二本に共通してるテーマは、「暴発」でしょうか。おとなしくつつましく生きてきた人々が、理不尽な抑圧にさんざんさいなまれたあとに大爆発してしまう。このカタルシスのパワーは尋常ではありません。ただすっきりさわやかな開放感という感じではありません。さんざん暴れまくったあとで、「これからどうなるんだろう」とふっと我に返ってしまうような、おさまりの悪い余韻を残していきます。

Photo_3『へんげ』及び『大拳銃』は好評につき、現在シアターNでロングラン公開中。お茶の間のあったかさ?が感じられる風変わりな特撮に興味のある方はぜひ足を運ばれてみてください。

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April 09, 2012

名探偵、最後の挨拶? コナン・ドイル ガイ・リッチー 『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』

Sh1世界で最も有名な探偵のイメージをメタメタにぶちこわした、2009年(日本公開は2010年)の映画『シャーロック・ホームズ』。シャーロッキアンの怒りとは裏腹に大ヒットを飛ばしたため、すぐに続編が作られることになりました。本日はその『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』、紹介いたします。

ブラックウッド卿の怪事件を解決したホームズ&ワトソン。一件落着ということで、ようやくワトソンは婚約者と結婚式をあげる。しかしめでたいムードもつかの間、事件の後ろで糸を引いていたヨーロッパの犯罪王・モリアーティ教授が本格的にホームズに牙をむき始める。そしてその第一の標的として、無二の親友であるワトソン夫妻の命が狙われる。

前回は「超常現象としか思えない不可能犯罪の謎を暴く!」的な要素もあったリッチー版『ホームズ』。ですが今回はほとんど推理してねー(笑)。まあ頭もまったく使ってないわけじゃないですが、基本的にアクション一辺倒で、前作以上に肉体>頭脳なホームズとなっています。まるで時代をもう少し遡ったインディ・ジョーンズという感じ。脚本が前作のアンソニー・ペッカムから、ほとんど名前を聞いたことのないキーラン・マローニー&ミシェル・マローニー夫妻に変わったことがその一因かもしれません。
その分スケール的には前作よりもワイドになりました。イギリス・ロンドンだけにとどまらず、フランス、オーストリア、スイス・・・と各地の名所が映し出され、さながらヨーロッパ周遊旅行といった趣があります。

突飛なようで意外と原作のマイナーなキャラもちゃんといかしてるんだな・・・というところは今回も健在です。一人目はホームズの兄、マイクロフト。ホームズ以上の天才で、その頭脳を文字通り大英帝国のブレーンとして働かしている・・・という設定だったかと。一説によるとマイクロソフト社の社名は彼から取ったそうです(ウソです)。ただ今回の劇場版ではあんましキレ者としての活躍は見られなかったかな。むしろ「変人」としてのイメージの方が強い(笑) 世界中のマイクロフトファンを敵に回したんじゃないかなあ・・・って、そんな人がどれほどいるんだろう。

もう一人はもうちょっと名が知られている「犯罪界のナポレオン」モリアーティ教授。前作でもちょろっと名前が出てきましたし、かなり以前の別のホームズ映画でもオチとしてその名前が使われておりました。原作ではホームズ最大のライバル」として扱われておりますが、実際に登場したのは「最後の事件」ただ一篇ではなかったかなー こちらはマイクロフトと違って、原作どおりの堂々たる悪者として描かれております。モリアーティの片腕であるモラン大尉もちゃんと登場しているのが心憎いですね。

さて、昨今のBLばやりゆえか、いろんなところで「ホモ映画♪」とか言われちゃってる本作品。確かにこの映画のホームズのワトソンへの依存ぶりは普通じゃありません。ただ、「ホモ」というのとはちょっと違うと思うんですよ。いわゆるひとつの「かまってちゃん」ってやつですね。無二の親友が誰かと楽しそうにしてると、自分に注意をむけてほしくてたまらなくなってしまうタイプ。それを素直に表せなくて、まわりくどい仕方で盛んにアピールしてるところがまた面倒くさい(笑) まともな大人のすることじゃありませんが、こういう何かの才能が突出してる人って、往々にして幼児性をひきずってるもんですからねえ・・・ え? わたしは違いますよ? 本当に、あなたになんてかまってほしくないんだからね!
[壁|_-)チラッ

Sh2さて、『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』ですが、前作ほどではないものの現時点で制作費の四倍以上は稼いじゃってるので、普通にまた続編が作られてしまう気がします。
「次の対戦相手はルパン(もちろん一世の方)か?」なんてことも言われてますが、ルパン一世は人殺しはしないので、そうすると前二作と比べて平和なムードになりそう。じゃあ同時代の悪者ということで切り裂くジャックならばどうか? そうすると今度はすごくホラーな作風になりそう・・・
獲らぬ狸の皮の話をしたようです。『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』は現在全国の劇場で公開中。下のイラストは宮崎駿氏も関わった『名探偵ホームズ』版モリアーティ。映画版と比べてかわいいことw


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April 05, 2012

キャッツと豆の木 クリス・ミラー 『長靴をはいたネコ』

Nhn2♪びっくりしたニャ びっくりしたニャ びっくりしたびっくりしたびっくりしたニャーオ♪
本日はシャルル・ペロー原作の名作童話でもあり、『シュレック』シリーズのスピンオフでもある『長靴をはいたネコ』、ご紹介します。

御伽噺のキャラクターたちが住む不思議な世界で、凄腕の剣士として名前を知られている「長靴をはいた猫」プス。ある晩、彼は酒場で長年捜し求めていた「魔法の豆」の情報を手に入れる。だが情報を元に向かった場所で、プスの前に立ちはだかった者がいた。彼女の名はフワフワーテのキティ。そしてプスはキティに導かれて、因縁浅からぬ旧友「ハンプティ・ダンプティ」と再会する…

40手前のわたしが思い出す『長猫』のアニメといえば、むかーし東映で作られた三部作。ネズミを助けてしまったために猫の国を逃亡せざるをえなくなったぺロが、刺客に追われながら世界各地で大冒険するという痛快なストーリー。特に3作目の『80日間世界一周』はまた改めてぜひ観てみたいものです。

さて、今回登場する「猫」ですが、こちらもたぶん童話に基づいた設定のキャラなんでしょうけど、どっちかといえば『シュレック』シリーズのサブキャラと言った方がしっくりきます。原語版ではアントニオ・バンデラスが演じてるということもあって、「怪傑ゾロ」のイメージも加味されたあのニャンコ。たしかシュレックの相棒にはもう一人と言うか一頭、ドンキーというやかましいロバがいたはず。一作目から出てる彼をさしおいて猫のスピンオフを先に作ってしまうって・・・ そいつはあまりにもドンキーが気の毒ではないでしょうか! でもあのキャラでお客が呼べるかといえば、正直首を傾げざるをえません。ロバより猫を選んだドリームワークスの判断は賢明と言えるでしょう(しどい)

で、この猫とマザーグースの卵人間がジャックの豆の木を使って大冒険するわけですよ。構成要素が見事にてんでバラバラです。なんか「適当に思いついた面白いもの、全部ぶちこんじゃえ」って感じですよね。大体猫と卵が親友同士って、ファンタジーだとしても脳みそがウニになりそうです。まあこのごった煮と言うか闇鍋みたいなところがこのアニメの特色であります。

鍋のメインは当然ネコ(おえー)なんですが、それに負けず劣らず目立っているのが卵のハンプティ・ダンプティ。だいたい「歩く卵」って時点でメチャクチャキャラ立ちしてますからねえ。その上IQがすごく高くて性格がねじくれまがってて、声が勝俣州和って・・・ もう今年はこれを越えるインパクトのキャラクターには出会えない気がします。
そんなキャラ立ちまくりな卵とネコが、フィルム・ノワール顔負けの友情と裏切りを繰り広げてくれるたりするから侮れません。

面白いのは先ごろ公開され、アカデミー賞アニメ部門を共に競った『ランゴ』と共通するところが多いということ。どこかすっとぼけた風来坊が、町のひとたち?から非難をあびながらも捨て身の行動でそれを賞賛にかえていく… 今アメリカに求められているの英雄像ってのはそういうものなんでしょうか。まあ途中かなりアートにつっぱしった『ランゴ』とくらべると、『ネコ』の方はぐっと子供たちにもわかりやすいエンターテイメントになっています。

あと意識してるのかしてないのか謎ですが、スタジオジブリを思わせるモチーフがあちこちに見られます。「すごいぞ! ラ○ュタは本当にあったんだ!」とか、『カリ○ストロの城』みたいな屋根の上のアクションがあったりとか、『ナ○シカ』『もの○け姫』を思わせる森や怪物が出てきたりとか。「ダンディなネコ」というのも『耳を○ませば』や『○の恩返し』にも出てきましたし。ジブリ作品は今ではあちらのアニメ作家の必修科目みたいなものなので、もしかしたら監督なりのジブリオマージュなのかもしれません。

Nhn1_3『長靴をはいたネコ』は、現在全国各地の劇場で公開中。いい映画なんだけど、興行では例の青い猫型ロボットに大きく水を開けられている模様。おそるべしドラ○もん!

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April 02, 2012

消火のホース スティーブン・スピルバーグ 『戦火の馬』

Photoオスカー関連作品が続きます。本日は作品賞含む6部門にノミネートされながら、結局無冠に終わった(ああ・・・)『戦火の馬』、ご紹介します。

時は第一次大戦直前。貧しい小作人のテッドは農耕馬を買いに市場へ出かけるが、領主に対する意地のためについ競走馬のサラブレッドを買ってしまう。しかし息子のアルバートはその馬「ジョーイ」に並々ならぬ愛情を注ぎ、従順には程遠いジョーイに畑を耕させることに成功する。
しかし喜びもつかの間、悪天候で作物が台無しになってしまったことから、ジョーイは結局軍馬としてイギリス陸軍に売られてしまう…

そんなわけでオスカーではイマイチかんばしくなかった本作ですが、わたしはと~っても良かったです。確かに欠点も幾つかありますが、それ以上にわたしの泣きツボにズボズボとはまってしまった作品でした。
よく「泣ける!」という映画のコピーを目にしますけど、やっぱ人によって泣けるポイントってそれぞれ微妙に違うもんじゃないでしょうかね。で、わたしの場合「ええーん、悲しいよー、死なないでー」と身も世もなく泣き崩れているシーンではあんまり泣けなかったりします。
じゃあどういうのに弱いかというと、本当はすごく辛いのに必死にやせ我慢してる姿とか、誰かのために自分のことも省みずに一生懸命になってる姿とか。そしてバカ、ぼんくらが右往左往したり、ひたむきににがんばってる姿にも非常に弱いんです。

たとえばジョーイの最初の主人となるアルバートですが、本当に馬のことしか考えてない筋金入りの馬馬鹿です。ジョーイが家にやってきたその時から頭にあるのは馬馬馬馬・・・・ ただそれだけ。「もうチ○コに毛も生えてるだろうにちっとは女の子のことにも興味を持てよ」とツッコミたくなるほどです。現代でいえばオタク君が車やバイクに夢中になるのにちょっと似てるかもしれません。
大体彼のオヤジにしてからがトラクターを買いにいってフェラーリを買ってきてしまうような大馬鹿ですからね。その息子のアルバートがお利口さんに育つはずもありません。
だけどそんな馬馬鹿君がみんなに馬鹿にされながらもがんばって畑を耕したり、去っていくジョーイを「うまー、うまー」と必死でおいかけていく姿にはもう泣かずにはいられないのでありますcrying
以降はどんどんネタバレしていくので未見の方はご了承ください。

horse
horse
horse
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さらにジョーイ君は行く先々で頭の悪そうなあんちゃんたちとめぐり合います。
乗り手を失って敵側のドイツ軍に捕まるジョーイ君。このとき彼の担当となる二人の兄弟がこれまたいかにもなボンクラで。状況判断が甘いと言ってしまえばそれまでなんですが、それゆえに彼らのたどる末路にも涙を誘われました。

で、わたしの鼻水が最も噴出したのは戦地に放り出され、鉄条網でがんじがらめになってしまったジョーイを、イギリス・ドイツの二人の兵士が憎まれ口を叩きながら助けるシーン。
お互い馬のために命の危険をおかすほどのやさしさがあるのに、意地を張り合いながらもつかの間いいコンビになれたのに。なんでお前らが殺し合いなんかしなきゃなんねえんだよと、そのことが悲しゅうて悲しゅうて。
ぼんくらたちは悪くないんです。そんなぼんくらを戦争に行かせる国が悪い!! ああ、もう!!
と、やり場のない怒りがぐらぐらとこみ上げてきたのでした。

ドイツ人だろうとフランス人だろうとみんな英語をしゃべってる、そのことに違和感を感じる方もおられるでしょう。でもこれは児童文学原作だからいいのです! カルピス名作劇場ではハイジだってペーターだって日本語しゃべってたじゃないですか!!
「展開が早くてついていけない」という意見も聞きます。そうですね、わたしもこれ全五回くらいのテレビシリーズだったら一番ふさわしい長さになったような気がします。でもそれではお馬さんが雄大に走る姿をスクリーンで見ることはできないだろうし… むずかしいところであります。

Photo_2ちなみにこの『戦火の馬』、舞台版も作られて好評を博したそうです。馬はいったいどうしたんだろう・・・ 本物を使ったのか? それとも「ライオンキング」的演出だったのか? と頭の中を「?」が駆け巡りましたが、実際は二人の人が見事に着ぐるみを操演したと聞きました。そんな手があったとは…

『戦火の馬』はまだ全国の劇場で上映中ですが、もう一日一回のところも少なくありません! まだの方はお早めに!(本当にこればっかりだな!)


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