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March 09, 2012

トラは死して何を残す ダニエル・ネットハイム 『ハンター』

Hauntaer2エンターテイメントからアート系の作品まで幅広くこなす「異貌」の俳優、ウィレム・デフォー。そのデフォー氏の最新作は、オーストラリアの大自然を舞台にした孤高の男の哀切な物語。『ハンター』ご紹介します。

多くの戦場を行き巡り、凄腕の傭兵として名高いマーティン・デビッド。彼の次の仕事はバイオ企業の依頼により、オーストラリアに生息する幻の獣「タスマニア・タイガー」を仕留めることだった。企業はその生体サンプルを極秘裏に入手して利益を独占することを目論んでいたのだ。デビッドは研究に来た大学教授と身分を偽ってかの地に赴く。だが彼はホストファミリーの一家と触れ合ううちに自分の生き方に戸惑いを感じるようになる。そんな思いをよそに、タイガーのサンプルを狙うライバル企業の手は、デビッドの周囲にそっとしのびよっていた。

・・・ともっともらしくストーリーを紹介してみましたが、実はわたし冒頭十分ばかりぼーっとしてて肝心な部分をかなり聞き逃しておりました。だもんで、デフォーさんはてっきり大学の研究者だとばかり思い込んでいました。お話が進むにつれ、なんで貴重なタイガーを殺そうとしてるのかとか、なんで研究に来たのに命を狙われにゃならんのだと増していく混乱。かなりモヤモヤした心境で劇場を出ました。おうちに帰ってネットでお話を調べて、ようやっと「そういうわけだったのか!」と納得しました(笑)
いやあ、たった十分集中してなかっただけですっかりお話がわからなくなってしまうんだから映画って怖いですねえ・・・ ていうかそういう大事なことはもっと大きい声で折に触れ二度三度と繰り返し言ってくれないと!!

まあそんなあやふやな状態でもなんとかわかったのは、人を遠ざけていた男が行きがかり状人と触れ合うことによって、静かに心を溶かしていく様子とか。流れ者と健気な人妻と無垢な子供、そして彼らに包み込んでいく不穏なムードは西部劇の名作『シェーン』を思い出させます。
動物好きとしては姿を消して久しいタスマニアタイガーの姿を見られるという点で貴重な作品であります(たぶんCGだと思うけど)。お尻の方に入ってるワンポイントの縞模様がなかなかにチャーミング。これ「タイガー」と呼ばれてますが、実は狼の一種。序盤にはタスマニアデビルという別の耳慣れない生き物も登場し、混乱に拍車をかけてくれます。
タスマニアタイガーを探すお話としてはかなーり前に田中邦衛主演の『タスマニア物語』という映画もありました。そっちは『北の国から』をもっとぬるーくしたようなそれなりに心温まる映画でしたね。

ウィレム・デフォーがここまでクローズアップされたという点でも貴重な作品。『スパイダーマン』や『スピード2』のイカレタ役が印象的な彼ですが、ヒゲをモサモサはやしてるとちょっぴり癒し系に見えてくるから不思議です。

Hantaer1とまあ紹介してまいりましたが、早くも大体公開おわっちゃてるかな・・・ なんかこの映画に関してはいろいろ申し訳ない気持ちでいっぱいです。
デフォーさんは先ごろ亡くなられたテオ・アンゲロプロス氏の遺作『第三の翼』でも主演を張っているようなので、近々またスクリーンで観られるやもしれません。フォー!

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Comments

伍一くん~~☆
絵が・・・・・・・・・・

映画の最初の10分が大事なのって、大昔から言われているけど、最初の10分でタラタラしていて寝ちゃうことって多いよね~
それで、ものすごい重要なこと聞き逃したーっ!って思ったら案外別に何も無かったりもして・・・(苦笑)
いずれにしてもウトウトしちゃうと、そのあとボーっとしてしまって、全体的なイメージがダウンするよね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | March 10, 2012 09:51 AM

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんばん。実は絵の漫画は読んだことないんです。2ちゃん系まとめサイトなどでよく「とうとう終了か!?」と話題になってますねw

>映画の最初の10分が大事なのって、大昔から言われているけど

サッカーでも最初と最後の両5分が最も得点の入りやすい「魔の時間帯」と言われてますからね。油断は禁物なのです!(説得力なし!)
この映画は眠くなったってわけじゃないんですけど、ちょっと別のこと考えてたのがまずかったですね。シネコンでかかるエンタメ系の話なんかは途中ぼーっとしてても話がよくわかる作品が多いんですが

Posted by: SGA屋伍一 | March 10, 2012 10:52 PM

おはよぉ☆

珍しく寝ちゃった?
なんかこの映画、いいたい事はわかるけど
パッとしない作品だったなぁ。こういうのって映画にされても、、、、って感じも。
劇場でわざわざみなくても良かったかな。デフォーさんは頑張ってたけどネ。
最初の絵は誰??

Posted by: mig | March 11, 2012 09:18 AM

>migちゃん

お返しサンクス
寝てはいなかったんだけど、この直前に見た「3.11 明日」の情報量がものすごくて、ちょっとすんなり頭に入っていかなかった。ははは

>劇場でわざわざみなくても良かったかな

それを言われたら東京までわざわざ観に行ったわたしの立場はw というわけで、とってもイイ映画だった!と思うことにする。シネマスクエアとうきゅう、いい椅子だったしな。話わかってなかったけど・・・ 
最初の絵は『ハンター×ハンター』という漫画のキャラ。くわしくはまだ~むに聞いて~

Posted by: SGA屋伍一 | March 11, 2012 10:22 PM


アハハ、東京まできてみた伍一んの立場
 ナイね(笑)

シネマスクエア東急、へんな場所にあるでしょー?
広くてみやすいのはいいけど不評なんだよね。(とくに私に)
しかもあそこで観て混んでたこと1度もないからいつかつぶれるかも、、、
ちなみに今はジュードのシャーロックホームズが渋谷はあそこで行くのが面倒、、、、

Posted by: mig | March 12, 2012 11:54 AM

>migちゃん

>東京まできてみた伍一んの立場
 ナイね(笑)

ナイスとどめ
東京で観る時はわざわざ遠出までしたのに損した気分で帰りたくないんで、多少微妙でも一生懸命自分をごまかすんだよね。いや、これはこれでアリなんだと、と。
それでも自分をごまかしきれなかったのが『ホームズ』監督の『リボルバー』だったなあ(笑・シネマライズで観たのよ・・・)

シネマスクエアとうきゅうさんは『モンガに散る』以来一年ぶり二度目でした。新宿といやピカデリーやバルトがあるから、いろいろ工夫しないと経営難しいだろうね

Posted by: SGA屋伍一 | March 12, 2012 10:20 PM

うわーシネスクまで行ったんですかあ・・・ 乙です。
あそこ古いし段差ないから見づらいでしょ? 平成の最初、昭和の終わりくらいからあったシアターだからねえ。 当時ミニシアターってこことル・シネマくらいだったし(→遠い目) そろそろ大規模改修しないとだめかも。
ということでぜひともシネコンで観たくて無理矢理行っちゃいました。 109系(MM横浜・川崎・GM)は時々期間限定でミニシアターものをかけてるのでチェックしてみてね。ポイントたまるし。

ということでデフォーさまです。 私そんなにこれダメじゃなかったです。
反骨精神がもうちょっと描かれてればと思ったけど、許します(笑)

Posted by: rose_chocolat | March 18, 2012 09:01 AM

>rose_chocolatさん

こんばんは~ 遅ればせながらご卒業おめでとうございます
上にも書きましたけど椅子はよかったですよ(笑) 確かに全体的に年季が入ってるなあ、という気はしましたが。ミニシアターの走りみたいなとこだったんですね

川崎チネチッタは何度か行った事ありますが、109系ははて・・・ まだないかな? キックアスはTOHO川崎で観ました

最後の行動、あれも鑑賞時には「ちょっと待てー!」と思いました。でもお家にかえってストーリーをちゃんと調べたらそういう事情だったのかと多少は納得がいきました。でもやっぱりもっといい方法はないのかな~と考えちゃいますね 

Posted by: SGA屋伍一 | March 18, 2012 11:38 PM

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