明日は明日の風が吹くのか 311仙台短篇映画祭映画制作プロジェクト作品『明日』
あの衝撃の3月11日から、もう一年が経とうとしております。あの時の思いを忘れないために・・・というわけでもないのですが、先日仙台短篇映画祭で特別に作られた『明日』というプロジェクト作品を東京は写真美術館まで観てまいりました。新進気鋭の作家たち40人が「明日」をテーマに作った約三分の短篇映画を、一気に40本まとめて上映するという企画でございます。上映作品ならびに参加された監督たちの一覧はコチラです。
お目当てはこのブログでも何度か取り上げている片岡翔氏の『超スーパーギガゴーレムSVプラス超リーサルウエポンⅡアンドギガ』。タイトル長え! 氏の唯一?のシリーズキャラクターであるコタロウ君が登場する第四作。お家の中でダンボール製のロボットスーツを作るコタロウ君と弟のシシマル君。自慢の長い名前をボディに書いたり、股間にホースを付けたり、その作業はとっても楽しそう。二人が公園に出かけるともう一人のお友達がやってきて、三人の愉快なバトルが始まります。
これだけ書くととってもほのぼのした作品みたいですけど、出かけるときにコタロウ君がつぶやくある言葉。そして子供三人しかいないがら~んとした町の風景がそこはかとない不安をかきたてます。
これからの時代、子供たちはいろんなものから身を守らなければなりません。そんなうすら寒い世界を嘆いているようでもあり、不自由な中でも明るい子供たちを微笑ましく見守っているようでもありました。
やはり自主映画の雄として名を馳せている今泉力哉監督も出品しておられました。『Mother said.I sing.Wife listens.』という作品。若い妻を前に、この世の理不尽さをギターに乗せて歌う一人の男。独特なユーモア感覚が持ち味な作家さんだと思ってましたが、こちらではまた違った叙情的な風景を見せてくれます。そういえば3.11の直後、氏も政府に対して憤りのつぶやきを繰り返していたな・・・なんてことを思い出したり。徒党を組んで青筋立ててそれを叫ぶのではなく、さびしげに語りかけるように訴えているのがらしいですね。
ほかに特に印象に残ったのは松尾貴史氏の芸と女子高生のパンチラが鮮烈だったタカハタ秀太監督の『びんた』。あ、これはyoutubeで普通に観られますね。百聞は一見にしかず。どうぞ。
一人の人間の一生を意外な形で表現した平林勇監督の『Matou』も面白かったです。おもいがけないサービスにちょっと「ウホッ」となったり(これこれ)。平林監督はやはり311を題材にした『 663114』という作品でも話題を呼んでいます。
さらに漫画の中の男の子が駆け出していくウイスット・ポンニミット作品『明日』
よくあるティッシュ配りの風景が下着と震災への議論につながっていく鈴木太一作品『ベージュ』
震災の日に娘の婚約者を待つことになったお父さんの狼狽を描く日原進太郎作品『アイツがやって来る』
二人の珍客に振り回される映画監督の受難劇、冨永昌敬作品『妻、一瞬の帰還』 『武闘派野郎』
・・・などがツボにはまりました。
この 「311仙台短篇映画祭映画制作プロジェクト作品『明日』」、今後も散発的に各地で上映される模様。とりあえず今月十日よりキネカ大森、札幌のシアターキノ、横浜のブリリアショートシアターなどでも観られるようです。詳しい情報はショートピース!公式ツイッターよりどうぞ。『サイタマノラッパー』の入江悠監督、『萌の朱雀』の河瀬直美監督、 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の瀬田なつき監督、『マイバック・ページ』の山下淳弘監督らも参加されてますので、ファンの方はぜひご覧ください。約3分とはいえ、一気に40本を観るのはなかなかの体力勝負ですけどね!
Comments
お☆レビュー ありがと!
最初の絵がかわぃぃ
あ、松尾さんのはyoutubeでみれるんだ!?
あれオモシロかったな。私、松尾さんて気付かずみてたの(笑)
翔のも、実は深いオチというのが気に入ってる★
Posted by: mig | March 11, 2012 09:20 AM
>migちゃん
こちらにもサンクスアゲイン
松尾さんは『朝まで生テレビ』のパロディビデオで一人で十何人もの政治家に扮していたことがあったな。さすが芸達者
最初の絵は『よつばと!』という漫画に出てくる「ダンボー」というキャラ。フィギュアも出てるんだよ
スーパーギガゴーレム(略)もいつかフィギュア出るといいなあ
Posted by: SGA屋伍一 | March 11, 2012 10:28 PM