そう、魂に火をつけろ 谷口 悟朗 『スクライド・オルタレイション TAO』
皆さんは『スクライド』というアニメをご存知でしょうか? たぶんアニメが好きな人でないと知らないと思います。今から10年前、監督・谷口 悟朗(『コードギアス 反逆のルルーシュ』)、脚本・黒田洋介(『機動戦士ガンダム00』)、キャラクターデザイン・平井久司(『機動戦士ガンダムSEED』)という今見ると超豪華な布陣で製作されたSF格闘アクション。熱心なファンを獲得するも、一般にはそれほどブレイクしなかったこの作品が、最近のリバイバルブームにのって帰ってきました。二本の総集編からなる『スクライド・オルタレイション』の前編『TAO』、ご紹介します。
近未来日本。神奈川の一部で突如として陸地が異常なほど隆起する怪現象が発生する。外界と隔絶されたその領域は人々から「ロストグラウンド」と呼ばれることになった。異常はそれだけにとどまらなかった。その地で生まれた新生児の中から、意志で物質を生じさせる「アルター能力」を有する者が現れたのだ。「アルター使い」の出現はロストグラウンドの治安をさらに悪化させた。これは失われた大地にあって野獣のように戦いを求める男・カズマと、理想のために阿修羅となった男・劉鳳の物語である。
知らない人に簡単にそのカラーを説明するとしたら、『北斗の拳』に『ジョジョの奇妙な冒険』を足して、もうちょっと絵柄をスッキリさせたような感じでしょうか。使い手と一体となっていたり、分身のように出現したりするアルターは、『ジョジョ』に出てくる「スタンド」と良く似ています。それだけなら単なるマネっこアニメにすぎないわけですが、『スクライド』が際立っているのはその「熱さ」でしょうか。
日本のSFアニメの主人公というと線の細い美形で、「どうせ僕なんか!」と涙をポロポロ流してるようなキャラが多いですが、カズマはその対極にいるような存在。腹の立つヤツや理不尽なことに対しては考えるより先にパンチをぶっぱなします。そして自分に敗北を味わわせた相手に対しては煮えたぎるような執念でもってリベンジを挑みます。
ライバルとなる劉鳳も一見流川楓似のすかした二枚目ですが、カズマの激しさに対して容赦ない怒りをもって答えます。そんな二人の激闘にそえられるセリフがまた熱い。
「お前の名前を教えろ、刻んでやる!」
「お前がオレのスイッチを入れた!」
「それはオレの行く道だ! オレの前に立ちふさがるな!」
などなど。
それらの言葉には最近すっかりぬるぬるになってデブデブになったわたしの胸にもズキュウウウンと響くものがありました
んで、特に前半部分で心に残ってるものというとカズマの相棒である「君島」くんの生き様でしょうか。君島はカズマや劉鳳のようなアルター能力を持っていない、ごく普通の青年。なので金と頭でもってうまく立ち回ることを身上としています。そんなドライを気取っている君島が、『TAO』クライマックスで意地になり、命をかける場面があります。これ、テレビで観たときは泣いたっけなあ・・・ 当時は今ほど涙もろくなかったのに。もちろん今回は鼻水まみれでした。
『スクライド・オルタレイション TAO』は来年2月にはDVDが出ますが、現在川崎・池袋でも16日まで上映予定です。そして来年三月には第二部となる『QUAN』が公開予定。そんでもってケンカだ! ケンカをやってやるうウーッ!!
Comments
「みんカラ」でホンダリアン主宰者にブラックリスト扱い(つまりクビだね)されていたので、元のHNに戻しました。ま、今まで通りよろしくです。
>スクライド
実は新作なんて知りませんでした…………。
「スクライド」と言われてシェリルしか思い浮かばない私はただのスケベでしょうか?
「けいおん!!」はリタイアしたので年内に「RAILWAYS2」は見たいと思ってます。
Posted by: まさとし3055 | December 18, 2011 01:13 PM
>まさとし3055さん
さびしい記事にコメントありがとうござります
わたしも公開を知ったのは直前くらいでしたね。新作といっても上に書いてあるように再編集版です。でも新規カットも多数あり、それを足した13話分を上手にまとめてありましたよん
シェリル・・・ そんなにお色気キャラだったかな? メインヒロインのほか二人に比べれば露出度は高いかもしれませんが
そういえば電車映画では今年頭に『アンストッパブル』という実話モノの映画がありましたよ。アメリカの鉄道事故の話ですが、鉄道好きなら面白いんじゃないかな
Posted by: SGA屋伍一 | December 18, 2011 08:20 PM