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December 09, 2011

プロ野球で十倍せこく勝つ方法 ベネット・ミラー 『マネーボール』

111209_211705♪やーきゅううーをするんならー こうゆーぐあいにしやしゃんせー 最近脂の乗ってるブラット・ピットが大リーグであったプロジェクトXばなしを製作・主演。『マネーボール』、ご紹介いたします。

かつてイングロリアス・バスターズの名キャプテンとしてナチスを震え上がらせたビリー・ビーンは、今は弱小球団アスレチックスのゼネラルマネージャーとして奮闘していた。だが苦労して育てあげた選手たちは、名が知られるとすぐ高額の年棒で他球団に持っていかれてしまう。業を煮やしたビーンは限られた資金で勝ち星をあげるために、ある研究家のとなえた「マネーボール理論」を取り入れることにするのだが…

一言で言えば野球版『ジャイアント・キリング』みたいな話ですね。お金のない貧乏球団が、金にものを言わせて選手をかき集める悪者球団?にどうやって勝つか。それが簡単にわかれば誰も苦労はしないわけですが。でもこちらは実話で、しかもある程度の成功をおさめたというから驚きです。

「マネーボール理論」とはなんぞや。わたしもそんなに詳しくはないのですが、映画を観た限りでは「出塁率至上主義」みたいな考え方でしょうか。見栄えがよくなくても、長打力がなくても、四球でもなんでも出塁率が高い選手を起用するという考え。そういう選手というのはどこの球団もあまり高い金を払ってまでほしがらないため、比較的安い資金で集められるというわけ。こういう考え方、大阪のおばちゃんと似たものがありますね。彼女らは多くのお金を持ってるということよりも、安いお金でいいものをゲットできたことに喜びを感じるようなので。
理論的には辻褄があってるものの、実際にやってみて成功する保証はどこにもない。実際映画でも前半ではなかなか思うように機能せず、ブラピに感情移入すればするほど胃が痛くなってきます。

しかし多少の誇張はあるんでしょうけど、実績のない選手ってのはこんなにも発言権がないものなんですかね・・・ 上層部の判断で、突然一方的に「クビだ」とか「あそこへ行ってくれ」とか言われてしまう。もちろんビーンもその点では情け容赦ありません。だからか彼はあまり選手と親しくなろうとしません。「観客席で観てるとチームが負けることが多い」というジンクスも手伝って、大体控え室のテレビかマイカーのラジオで経過を追っています。その姿のなんと孤独なこと。
そこまでして勝利を追い求める動機のひとつは、彼が若いころ、大金につられて大学進学を棒にふったこと。そして結局野球選手として大成できなかったという背景があります。金持ち球団のやり方に踊らされたゆえに、怒りを感じるがゆえに、彼は手段を選ばず勝ちにこだわり続けます。

そんなビーンの癒しとなっているのが、離れて暮らしている娘のケイシー。控えめだけどいつも父親のことを案じているその姿に、こんなできたお嬢ちゃんがこの世に実在するのかと思わずにはいられません。そして選手の前では星一徹よろしく物に当たりまくるビーンも、ケイシーの前では決して声を荒げたりはしません。そんな父娘のきずなに胸がほっこりいたしました。

脚本家は『ソーシャル・ネットワーク』のヒットが記憶に新しいアーロン・ソーキン。これまた金とプロジェクトを主題とした実話映画で、ビーンの強引なやり方は『ソーシャル~』のザッカーバーグを彷彿とさせないでもないです。でもビーンと娘や、彼の片腕の太っちょとの交流のせいか、あちらよりはさわやかな印象を覚えました。

111209_211953_2来期も続投となった広島カープ監督、野村謙二郎氏にぜひみてほしい作品。もっとも昨今の中日を見ていると、勝率が高くても必ずしも客が来るとは限らないような・・・

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Comments

発言権っていう話ではないと思うよ。要はチームに必要な選手かどうか、判断基準はそこだけだし、選手の側も自分を必要としてくれているかだけだから。その辺は驚くほど向こうの選手はドライだし、合理的なんで日本人が考えるほど感情の部分は無いと思う。
勝ちに拘るのはそれが一番ファンが求めていることで、その意味では落合監督みたいだなぁと。でも科学的統計とは別の部分で、ドラマ性があってそこにも夢を求めるのが野球の良いところかなって、そう思いました。

Posted by: KLY | December 09, 2011 11:49 PM

野球映画といわれてすぐ思い浮かぶのは
「メジャーリーグ」ぐらいしか知らないけど、
このような切り口のもあるんですね。
というまえふりはともかく・・・・・
>やんのか、コラ
こいつ、今年は不憫でしたね。
マスコットなのにバク転失敗不調で2軍行かされたり
日本シリーズではバク転失敗で相手チームマスコットに
介抱される珍事も(爆)。
何とトラッキー共々、某可動フィギュア化されて
今うちに居ますが・・・・・・・。

Posted by: まさとし@葛城 | December 10, 2011 09:51 AM

>KLYさん

毎度ありがとうございまする
そうですね。本気ででかいことを達成したいのであれば非情さを求められることもある、というのはわかってるんです。それでも自分の意志とは関係なく行き先を決められてしまう選手の心情を思うとやりきれないものがあったのでした。行き先がある選手はまだいいとしてもそれすらない選手は特にね・・・ ま、この辺は野球に限った話ではないかな

落合監督といえば完全試合を達成できそうなとこでピッチャーを変えてしまって、批判をあびたこともありましたね。こういう采配なんか「夢がない」という人もいるでしょうけど、それもまた野球の面白さのような気もします

Posted by: SGA屋伍一 | December 10, 2011 11:21 PM

>まさとし@葛城さん

まいどー
私も実は野球映画というとそれこそ『メジャーリーグ』くらいしか観てません。『フィールド・オブ・ドリームス』というのもあったけど、あれは「野球映画」と言ってしまっていいものか。あ、あと『キャプテン』や『逆境ナイン』の実写版とか見たことありました

>ド○ラ

そうそう、今年はバク転失敗でよく話題にのぼってましたね

>日本シリーズではバク転失敗で相手チームマスコットに
介抱される珍事も(爆)。

これこそ感動のドラマですよ。映画化希望(笑)
今度痔の手術をすると聞いたので、しっかりなおしてまたがんばってほしいものです

Posted by: SGA屋伍一 | December 10, 2011 11:27 PM

伍一くん、いねむりんスコー☆
こんばんは。
私なんてそもそも野球に興味がないものだから、最初のほう寝ちゃって、???がいっぱい出ちゃったわ。
今頃気が付いたけど、マネーボールって漢字で書くととんでもないね(爆)コホッ・・・

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 11, 2011 05:08 PM

伍一さん、こんばんは。

ビリー。ああいう我慢という過程。リスクを取って決断した事に対して逃げられないという責任感と孤独感。投資家の立場、マネージメントという立場、そして選手という立場の違い。人は皆、思うようには事を運べずパーフェクトでも無いという現実を再確認させてくれるストーリー。
そして何といっても娘の歌が実に良かったです。

Posted by: まみっし | December 12, 2011 05:26 AM

>ノルウェーまだ~むさん

すやすやおやすみんすこ~
野球はね~、実際にやってみると興味がわくかもしれません。今度やりましょう、野球(どうやって?)
ツイッターでは「インモー(タルズ)に金球にTINTIN・・・ 何か狙ってるのか?」なんてつぶやいてた人がいましたよ(きゃっ)

Posted by: SGA屋伍一 | December 12, 2011 02:32 PM

>まみっしさん

こんにちは~
イギリスは野球に興味が薄い国だと思うんですが、さすがにブラピ主演ということでこの映画も普通に公開されたのですね
前半はビーンさん、本当によくモノに当たってました。それだけ新しいやり方を選んだこと、続けることにプレッシャーがあったのだと思います。おっしゃるように人はパーフェクトではないし、思うようにいかないこともある。そんな人間たちがやってるから、野球(に限りませんが)って面白いんでしょうね

>そして何といっても娘の歌が実に良かったです

おおげさに感動を盛り上げようとするのではなく、最後にさらっと歌の中で暖かい思いを伝える演出が心憎かったですね!

Posted by: SGA屋伍一 | December 12, 2011 02:40 PM

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