« 地中海美少年伝説 ルキーノ・ヴィスコンティ 『ベニスに死す』 | Main | ネットで観られる猫目映画 片岡翔 『蹴缶-第5回全日本缶蹴グランプリ』『象煮』ほか »

November 15, 2011

赤いシグナル非情のサイン うしおそうじ・井口昇 『電人ザボーガー』

111029_143719♪いーかりーのでんーりゅうー! ほっとおーばしーるー!
本日は正直「え!? なんで!?」という思いが否めないのですが、ともかく35年ぶりの復活をとげた伝説の特撮ヒーロー『電人ザボーガー』、紹介いたします。

時代はたぶん昭和。政治家が次々と誘拐され、生気を吸い取られるという奇怪な事件が起きていた。それは怪人悪ノ宮博士率いる秘密結社「∑」の仕業だった。父を∑に殺された熱血青年・大門豊は、秘密刑事となってパートナーのロボット、ザボーガーとともに悪ノ宮に立ち向かう。
色々あって25年の歳月が過ぎた。大門はある悲劇のためにすっかり抜け殻のようになっていた。そんな大門の前に、「私を助けて」と請う謎の少女と、宿敵悪ノ宮が姿を現す。

このたびの映画化で多少は知れ渡ったかもしれませんが、特撮ドラマ『電人ザボーガー』を実際にごらんになった方はどれほどおられるでしょう。特撮ブーム華やかなりし1970年代、円谷・東映に続く第三の雄、ピープロが製作した意欲作でありました。巨大なものと相場が決まっていたヒーローロボットをあえて等身大のサイズに設定して、主人公(人間)とコンビを組んで戦わせるというところがなかなか斬新でありました。ひいきめに考えてあげると、アシモフの名作SF『鋼鉄都市』を意識していたのかもしれません。
だがしかし、です。当時のガキんちょからすれば「うお、すげー」と思えたザボーガーも、ひねた大人になった今の目でみますと、どうにもおかしいところが色々あります。冷静に考えて、どう考えてもあのバイクがあんなスマートな人型に変形するわけはない、とか。
ですから『ザボーガー』が現代に復活すると聞いても、たぶんまともな形でのリメイクではないだろうな、とは思ってました。大体ピープロヒーローを平成の世に蘇らせてもギャグにしかならないということは、『モテキ』で大ブレイク中の大根仁監督が『ライオン丸G』で証明済みではないですか。しかも監督は『ロボゲイシャ』や『片腕マシンガール』の井口昇氏という。果たして予感は当たりました(笑)

第一印象は「多少は熱のこもった三池版ヤッターーマン」というものでした。たしかにオリジナルへのオマージュ度は半端ではありません。当の昔に忘れ去ったあんなキャラ、こんなシーンをこれでもかと詰め込んであります。しかしなぜなのでしょう・・・ ドラマ版の要素を再現すればするほど、どうしてもギャグになってしまうのです。そのあまりにもかっとんだセンスにいまひとつついていけず、ずっとポカーンとしている内に映画は終わってしまいました(笑) まあよかった点といえば、いつも一緒に映画を観ると大体微妙そうな顔をしているウラヤマさんが「とっても面白かった!」と言ってくれたことくらいかしら。

ところがどすこい。です。鑑賞からほどなくしてこの映画のことを思い出していたら、なんだかだんだんと愛着がわいてきてしまったのですねえ。いや、こんなことはちょっとめずらしい。鑑賞直後は大門やミスボーグのやかましい声にさえぎられて、ザボーガーのひたむきな愛やさびしさに気づかなかったのであります。
ザボーガーは大門に命じられないと動くことができません。そして戦闘用のために言葉を話す機能もついてません。ですから何の感情もないよくできた機械なのかと思ってたのですが、実は彼なりの自我があったことがストーリーの中盤で明かされます。とち狂った大門の命令に逆らい、主人に拳を見舞うザボーガー。それはもしかしたら愛の奇跡だったのかもしれません。この時のザボーガーの心情を後から思い返してみると、泣けて泣けてしょうがありません。

思えばこのロボット、ドラマ版のころからかわいそうなヤツなんですよ・・・(注意:今からドラマ版の結末をばらします)

最後の敵を倒すため、無茶なミサイル連射で壊れるザボーガー。ですが主人の大門は一寸のためらいもなく彼を置いて敵の基地から脱出してしまいます。一件落着したあとに、ダメ押しのようにかぶさる「ザボーガーを失ったが、大門の心に悔いはなかった」というナレーション。少しは悔いてやれよ!
後半は板尾創路が主演ということで是枝裕和監督の『空気人形』とかぶるところも色々あり。必要な時にだけいいように使いまくり、他に好きな対象ができた途端にさくっと忘れられてしまう。本当に男って(板尾って)身勝手だと思いませんか?

111115_185922そんな人形の孤独な愛に胸を打たれた人が多かったのか、『電人ザボーガー』は現在新宿バルトほかで絶賛上映中。でもこの映画を楽しめるのは、非常に限られた人たちだけだと思いますw 特にお子さんを一緒につれていくと若干きまずい思いをすることになりますので、その点くれぐれもお気をつけください!


|

« 地中海美少年伝説 ルキーノ・ヴィスコンティ 『ベニスに死す』 | Main | ネットで観られる猫目映画 片岡翔 『蹴缶-第5回全日本缶蹴グランプリ』『象煮』ほか »

Comments

確かに非常に限られたひとだけかもしらん…(苦笑)
そもそもこういう系が好きじゃないとねぇ。『ロボゲイシャ』は
見たけど『片腕マシンガール』は観てないのよね。
そうだ、いっつもレンタルしなきゃとおもって忘れてる!

Posted by: KLY | November 15, 2011 at 11:40 PM

伍一さーん。

面白そうですよ、この映画。というか、伍一さんのレビューがやたら面白かった。下のほうの絵も。

伍一さん、『ガンダム』の次なる新作、観る予定ですか?あ、別に何も映画館でとは限らず。。。。

先生、更に、こんな事、ここですみませんが、相当前にシェーってやってたイヤミというキャラが出てくる漫画って何だったか分かりますが?急にとても思い出したくなってしまってます。

Posted by: まみっし | November 16, 2011 at 08:12 PM

>KLYさん

どもー わたしが観たときはやっぱり「いかにも」な人たちが多かったのですが、その中にチラホラと今風のギャルや年配のご夫婦も。そういった人たちが楽しめたならよいのですが(笑)

実はわたし、井口昇作品は初鑑賞。AVでもたぶんお世話になってないと・・・ 思う・・・ ロボゲイシャは前々から観たいな~と思っております

Posted by: SGA屋伍一 | November 16, 2011 at 10:51 PM

>まみっしさん

こんばんは~ たぶん三池監督の『ヤッターマン』がOKなら大丈夫だと思います(笑)

ガンダムの新作というのは劇場で数ヶ月置きにやってる『UC』のことでしょうか? つい最近第4話が上映されたと聞きましたが
それとは別に今テレビでも『AGE』というシリーズもやっております。にぎやかなことで…

「シェー!」のイヤミが出ていたのは赤塚不二夫大先生の『おそ松くん』ですよ。わたしに答えられる質問でしたら遠慮なくどうぞ~

Posted by: SGA屋伍一 | November 16, 2011 at 10:55 PM

ボクが売った旧ザボーガーのDVDBOX(2万で買ったのに、買取り価格がたったの4000円)が、いまだに店頭で順調に売れ残ってま~す。だれか、買ってよね~。。。

先生、更に、こんな事、ここですみませんが、相当前に天は人の上に上に人を作らずバモラ~!!って全力でやっててお亡くなりになった両性具有の国連事務総長が出てくる漫画って何だったか分かりますか?

Posted by: 大体微妙そうな顔の人。。。 | November 17, 2011 at 10:04 PM

>大体微妙そうな顔の人。。。さん

はじめまして。。。 いつぞやは「くたびれた小室哲哉」なんて言ったりもしましたね。好きに呼んですいません。。。

DVDボックス、まだ残ってますか。それはきっと「買いなおせ」ということなんだと思いますよ。さあ、本当に売れてしまうその前に!

>相当前に天は人の上に上に人を作らずバモラ~!!って全力でやっててお亡くなりになった両性具有の国連事務総長が出てくる漫画

ああ、それは『魁!!KO義塾・ポルトガル編』の1エピソードですね。。。 ってそんなマニアックな漫画わたしが知るわけなかろー!!

「両性具有 国連事務総長 バモラ」でyahoo検索してみましたが見事に一個もひっかかりませんでしたよ。。。

Posted by: SGA屋伍一 | November 17, 2011 at 11:07 PM

鬱がこのところ酷いですが・・・・・・(コレは真面目に:泣)
君がこのような作品を取り上げるから~(笑)。

なんとも懐かしい作品がリメイクされたもんですね。
>あのバイクがあんなスマートな人型に変形するわけはない
今だと「オートバジン」という例も出てきたりしてるだけに・・・ね。

昔再放送で見ていた記憶があるので。

ガンダムとか出てきたので・・・・・・。
ガンダムAGEは今回も見てませんが、今回はグラハムのような
濃いキャラやフラッグのような愉快な量産型いないので
このままスルーかも??
プラモのブレードライガー買って、調子こいて
コマンドウルフまで確保したのに・・・・・
全然製作が進みませんな・・・・・・。
またなつかしネタよろしく!(違

Posted by: まさとし@葛城 | November 17, 2011 at 11:37 PM

>まさとしさん

辛いところおいでくださりありがとうございます。こんな記事でも多少の慰みになりましたら嬉しいかぎりです

旧作の変形映像はゲッターロボなみに無理無理感にあふれてますが、この新作映画の方はトランスフォーマーの影響かCGで自然に変形してましたねえ。ご興味おありでしたら予告編のほうごらんください
http://www.zaborgar.com/movie/index2.html

ガンダムAGEはぶっちゃけ敵メカがゾイドです(笑)
あとジム系のジェノアスというの、わたしはなかなか気に入ってるんですが青少年たちの反応はあまり芳しくないかな…

あとなつかしヒーローの話題といえば新春にゴーカイジャーとギャバンが共演するそうですよ! これまたなつかしい!

Posted by: SGA屋伍一 | November 18, 2011 at 10:25 PM

伍一さん、

このアップ、何故か何回も読み返してしまい、そして失礼ながら一人で爆笑。冷静に読まなくちゃと反省までしました。

なつかしの(ヒーローでは無い)ヒーローで思い浮かぶのには、『ジャミラ』っていうのもありますが。

『おそ松くん』、、、そうでした。ありがとうございました。

Posted by: まみっし | November 18, 2011 at 11:05 PM

>まみっしさん

いや~ ブログを長く続けてるとネタもどんどんマンネリになっていくのですが、そういう暖かい声に支えられてなんとかやっておりますcoldsweats01
で、なぜそこで唐突にジャミラ(笑)
名前とかスタイルとかは笑えますが、ウルトラマンの怪獣の中でも特にかわいそうなヤツじゃなかったかな~

>『おそ松くん』、、、そうでした。ありがとうございました。

どういたしまして
ちなみに六兄弟の名前は おそ松、一松、チョロ松、トド松、カラ松、十四松です(どうでもいいことですが。。。)

Posted by: SGA屋伍一 | November 19, 2011 at 11:08 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/53254072

Listed below are links to weblogs that reference 赤いシグナル非情のサイン うしおそうじ・井口昇 『電人ザボーガー』:

» 電人ザボーガー [LOVE Cinemas 調布]
1974年~75年に放送された人気特撮ヒーロー『電人ザボーガー』を『ロボゲイシャ』の井口昇監督がリメイク。主人公の大門豊の青年期と熟年期という二部構成で、宿敵シグマとの対決を描いている。青年期の大門を「炎神戦隊ゴーオンジャー」の古原靖久、熟年期の大門を『脱獄王』の板尾創路が演じる。共演に竹中直人、柄本明、渡辺裕之、山崎真実、佐津川愛美ら演技派が揃う。... [Read More]

Tracked on November 15, 2011 at 11:38 PM

« 地中海美少年伝説 ルキーノ・ヴィスコンティ 『ベニスに死す』 | Main | ネットで観られる猫目映画 片岡翔 『蹴缶-第5回全日本缶蹴グランプリ』『象煮』ほか »