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November 24, 2011

シカゴ線大爆破 ダンカン・ジョーンズ 『ミッション:8ミニッツ』

111123_213400ミッション道々ウン… おっと。『月に囚われた男』で一躍注目を集めた気鋭の監督、ダンカン・ジョーンズの第二作。『ミッション:8ミニッツ』、ご紹介いたします。

アフガンでヘリのパイロットを務めていたスティーブンは、突然見知らぬ列車の中で目を覚ます。向かいの女性は彼に親しげに呼びかけるが、それは聞いたこともない男の名前だった。混乱が加速していく中、ついには大爆発を起こす列車。だがスティーブンは再び別の場所で意識を取り戻す。スピーカーから語りかける声は言った。列車での記憶は、死者の残留思念をもとに高精度に再現されたものであること。そしてプログラムの限界である8分以内に、なんとかして爆破事件の犯人を見つけてほしいと・・・

ぶっとんでるな~(笑) あはは。このあとスティーブンは犯人探しに再チャレンジすることになりますが、映画の上映時間は約二時間あるので、二回や三回で見つかったら到底間が持ちません。そんなわけで何度も何度もどつかれたりキモ悪がられたり死んだりを繰り返すスティーブン。心の底から「お疲れ様」と言ってあげたくなります。
こういう映画、時々ありますね。わたしは勝手に「巻き戻しもの」と呼んでおります。
タイムマシンや超能力を使って、あるいは強引な構成によって過去に戻り、失敗を帳消しにしようとしたり、隠された真実を暴き出そうとする話。どんなのがあるかといえば『バンテージ・ポイント』とかアニメ版『時をかける少女』とか、そのものズバリの『タイムマシン』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作とか。小説では西澤保彦氏の『七回死んだ男』というのもありました。あと何回もやりなおさないと真のエンディングにたどりつけないという点では、ゲームソフト『かまいたちの夜』なんてのも思い出します。
そう、大抵一度や二度のやりなおしではうまくいかないというのもこの「巻き戻しもの」の特徴ですね。
ただこのスタイル、見せ方・やり方が上手でないと観客としては「またこのシーンかよ。飽きたよ」と言いたくなってしまいます。そういう点ではこの『ミッション:8ミニッツ』、決して単調な繰り返しにはなっておらず、主人公に関する秘密も小出しに明らかにしていったりして、観る者のテンションを下げない工夫がなされています。

監督は最初にも述べたようにダンカン・ジョーンズ。前作『月に囚われた男』ではしきりに「あのデビッド・ボウイの息子が!」ということで騒がれて、邦題までパパの映画をもじっておりました。が、今回はほとんどその手の宣伝はなされず。実力をもって「親の名声は必要ない」ことを証明したってとこでしょうか。
そういえば前作と同様、こちらでも「自分は本当に自分なのか」というアイデンティティの問題を扱っております。たぶん物心ついてからずっと「デビッド・ボウイの~」という扱いを受けていたであろうダンカン監督。自分が誰かの付属物でないこと、自分の存在を証明することは、彼にとって人一倍重要なテーマなのかもしれません。まあこの脚本はダンカン監督が一から作ったものではなく、すでに出来てたものをジェイク・ギレンホールに頼まれて監督することになったそうですが それでも作中で描かれる親子の葛藤を観ていると、ついつい「ボウイさんちもこんなだったのかしら」などと憶測してしまいます。

イカはラストについて触れてるので、これから観ようかという方はご遠慮ください。

映画の終わり方というのも難しいもので。ハッピーエンドで万事解決、という映画も悪くはありません。むしろ好きな方です。ただそういう映画って悲しいかな、よほどカタルシスがぶっちぎりでない限り、あっという間に忘却の彼方に消えてしまうんですよね。ひどい時なんて劇場を出て一時間もするともう忘れてる時もあります。
かといってあまりにも悲惨だったり救いようのないENDも当然気持ちよくありません。それどころか「なんでこんな映画金払って観てるんだろう…」ととことんむなしい気持ちになるものです。
いい加減わがままで申し訳ありません。要するにわたしにとって理想的なエンドとは、決してハッピーエンドではないけれど、悲劇の中にかすかに慰めや希望の光を感じさせるような、そんな締め方。
その点ではこの映画、なかなか理想的でした。ラスト五分前までは(笑) そこで終わってくれりゃあ感動の涙に埋もれて「ウンウン、よかったね」という気持ちで映画館を出られたのですが、本当にそのあとの五分で涙はひっこみ頭はパープリンになってしまいました。ほんとうにあの時の涙を返してほしいです
まあそうですね。まあとりあえず印象に残るエンドではありましたが。

111123_213549そんな『ミッション:8ミニッツ』、すでに公開がだいぶ縮小気味になってきました。あと一週間がヤマでしょうか。ご興味持たれた方はお早めに。
仮に過去に戻れたとしたら、どの辺を修正しようかな~ ・・・ありすぎて困る


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Comments

誰?w

とりあえず一番の被害者はどっかいっちゃったショーンでしょう。
体乗っ取られたわさ…。

Posted by: KLY | November 24, 2011 11:13 PM

>KLYさん

デビッド・ボウイさんのつもりだったんですが・・・ あんまり似てませんね! はい!
ショーン・・・ すでに名前も忘れてましたw KLYさんは覚えていてあげてください・・・

Posted by: SGA屋伍一 | November 25, 2011 10:23 PM

伍一くん、みっしょんみちみちんすこ~☆
デビッド・ボウイってどんなだった?

ラストは本当に興ざめってかんじだったね。
せっかくの途中までの突っ走った面白さが、ぷしゅーっ!ってなっちゃった。

Posted by: ノルウェーまだ~む | November 26, 2011 11:11 AM

やっぱり、そうですよね。
なんでラストをあんな訳の分からない事にしたのか、釈明が聞きたいと思います。
普通にハッピーエンドで良かったのにねぇ。

Posted by: サワ | November 27, 2011 07:12 PM

>ノルウェーまだ~むさん

紙がないから手で・・・ おおっと

ボウイについては実はわたしもよく知らないんですw 一時期氷室京介や布袋寅泰のあのバンドと混同していたくらいで

前作『月に囚われた男』ってけっこうあっさりした終わり方だったんですよね。もしかしたらそれを反省してこうなっちゃったのかも

Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2011 09:49 PM

>サワさん

みなさん、やっぱりオチに関しては首をひねっておられるようですね
ただ作品自体の評価は決して悪くはないですね

監督としては謎を残しておくことで、すぐに忘れられないようにしたかったんじゃないでしょうか。あるいはSFに詳しい人なら合理的に解釈できるのかな?

このハッピーなんだけど強引な結末、『マトリックス・レボリューション』に近いものを感じますw

Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2011 09:58 PM

こんばんは!(*^^*)
そういえば、元の身体の持ち主はお気の毒ですよねぇー。
どこに、行ったんだろう・・・(~_~;)
あのラストは、パラレルワールドもあり!ってことなんでしょうねぇ〜。

えっと〜デビッド・ボウイは、70〜80年代に独特な衣装やメイクで
活躍したロック歌手で、「地球に落ちてきた男」「ジャスト・ア・ジゴロ」
「ハンガー」「ラビリンス」などの映画で主役をはった俳優でもあります。
ちなみに、ダンカン・ジョーンズが小さい頃、離婚して
ダンカン・ジョーンズを引き取って、再婚もせずに育てているので、
結構仲の良い親子のようですよ〜。

Posted by: ルナ | December 01, 2011 12:17 AM

>ルナさん

お返しありがとうございます

どこ行っちゃったんでしょうね・・・ それこそパラレルワールドかしら
ヒロインが好きなのも本当はスティーブンじゃないわけで。あとから色々ボロが出そうだな・・・

デビッド・ボウイ、そういえば『ラビリンス』に出てましたね! 懐かしい~ ルナさんずいぶんお詳しいようで
ボウイさんはよいお父さんだったのですね。「悪いけど、パパのいう『愛』は僕のところには届いてこなかった」と息子に言わせたジョン・レノンに、ツメの垢を飲ませたい

Posted by: SGA屋伍一 | December 01, 2011 10:55 PM

伍一っちゃん

君はマメだね〜うんうん、いいことだ☆
私なんてA型なの?ってほど下調べとかしないでいくからすぐ間違えちゃう。電車の件よかったわ。
それにしても夜にはいないで温泉だけって電車は別だし殆ど女子とは交流ないね(笑)

kLYさんとの上のやりとり笑える!
私でヴィッドボウイってわかったよ☆この顔のTシャツあるもんね。
(サラジェシカがSATCで着ててパルコに売ってたの狙ってたの)

あ、映画の話してない。
皆ほどいいと思わなくて普通かな。
こじんまりしたストーリーだし短編で十分かと。
あとミシェルモナハン好きじゃないの。
ミッション違いのインポッシブルにはラストだけ出て来たのよ〜。

Posted by: mig | December 16, 2011 10:55 PM

>migちゃん

昨日はお疲れさんでした~ レス遅れてごめん
いや~、一人のときはけっこう適当なんだけどね。みんながこっちに来てくれるとなるとなんか色々気をまわしてしまって
それだけに狙った時間・場所でみんなに会えたときは「やったー!」と思ったよ。なんかこの映画と全然関係ないはなしだけどまあ列車つながりということで(笑)

ミッシェル・モナハンは目を引くような美人ではないけど、落ち着いてる感じがいいなあ、と思う。最近になってようやく名前覚えたんだけどね

Posted by: SGA屋伍一 | December 18, 2011 08:09 PM

あのオチ、あまり評判よくないんですねぇ?
確かに首をひねったけれど、涙を返せ!とは思わなかったです(笑)
しかしショーンさんのことはちょっと気になった
1作目の『月に囚われた男』よりも、好きでしたー。

『かまいたちの夜』と、あと『弟切草』もよくやりました。
発売はどっちが先だったっけ。

Posted by: kenko | December 30, 2011 01:58 AM

>kenkoさん

こんばんは。おかえしありがとうございまする
いやあ、全体的にはいい映画だと思うんですけどね。ストップモーションのシーンがあまりにもよく出来ていたのに、なにもそのあとでひっくりかえさんでもと
わたしは『月に囚われた男』の方が好きかな。宇宙メカが出てくるから(笑) 主人公の薄幸ぶりはどっこいどっこいですねい・・・

>『かまいたちの夜』と、あと『弟切草』もよくやりました

『弟切草』の方が『かまいたち』より先かな。『弟切草』はただお話を読むだけのソフトだったのに対し、『かまいたち』は自分で選択していく形式だったような

Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2011 09:39 PM

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