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October 18, 2011

西太后の暗殺団 テディ・チャン 『孫文の義士団』

Sonnbunn2そういえば最近香港の映画って観てないっす。『レッドクリフ』以来かな? 第4回アジアン・フィルムアワードほか、数々の賞に輝いた『孫文の義士団』、ご紹介します。

時は1906年。腐敗した清王朝を倒すべく、孫文は仲間たちと各地で蜂起の計画を練っていた。このことを苦々しく思っていた時の支配者・西太后は、孫文が香港で同志たちと会談を開くという情報を入手。500人もの暗殺団をかの地にさしむける。孫文の支援者である豪商リー・ユータンは血気盛んな若者たちをつのり、会談の間なんとか彼を守り抜こうと決意するのだが・・・

で、この義士団の主なメンバーですが、まずユータンさんの人力夫。父を殺された劇団員のお嬢ちゃん。少林寺から逃げ出して豆腐屋をやっている大男。バクチ三昧で女房に逃げられた遊び人。そして身を持ち崩してホームレスに成り下がった若旦那・・・と強そうな人が一人もいない(まあ強いて言うなら豆腐屋さんくらい?)。ところがいざ本番となるとそれぞれが一騎当千の猛者ぶりを見せるから驚きです。まあその辺は「もともと潜在的に強かった」ということで流しましょう。本当にそんな強引さが気にならないくらい、アクションがすごい。とくにすごいのが今年なんでか出演作がどしどし公開されているドニー・イェン。彼が香港の町並みを豪快にジャンプしながら疾走するシーンは、見ていて目が回るほどでした。
もうひとつすごいのが当時の香港の町を再現したという巨大なセット。なんでも作るのに八年を要したとか(ひえー)。世界不況著しい中、まっことスケールのでかいことをやってのけたもんです。

ただそんだけ色々すごくはあるのですが、ストーリーの方はどうにもフラストレーションがたまりました(笑) 革命派の皆さんは「誰もが平等な社会を作るため」孫文を守ろうとするのですが、その孫文一人を守るために大勢の若者たちがばたばたと死んでいきます。それこそ不平等以外のなにものでもないような・・・ わたしはこれを「プライベート・ライアン・ジレンマ」と名づけました。さらにその矢面に立つ若者たちの多くが、革命の思想に共鳴したわけではなく、成り行きとか義理人情で命を散らしていくのがまたなんとも切ない。
監督はその辺の皮肉に気づいていないのか、あえて狙ってやってるのかはよくわかりません。ラストの孫文の微妙~な表情を見ていると、やっぱ狙ってやってるのかな・・・という気はしますが。暗殺団のリーダーがステレオタイプの悪役ではなく、彼なりに国を憂いて行動しているところも、単純な革命万歳ものにはなってはいません。

以下、だいぶネタバレしてます。

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わたしが特に鼻水がダダもれしたのは、人力夫アズーとユータン氏の息子チョングアンの友情や、チョングアンと孫文の母があいまみえるシーンなど。フィクションでありながら、こうした若者たちの己の身をかえりみない純粋さには本当に心打たれます。ああ、なんとか助かってほしい・・・! 心からそう願わずにはいられません。だのにそんなわたしのささやかな願いを踏みにじる、鬼のような脚本。あああもう! どうして中華の人たちってそうなのよ!!

Sonnbunn1ほめてんだかけなしてんだかさっぱりわからないレビューになってしまいました。『孫文の義士団』はさすがに全国のどの劇場でも公開が終わってしまったようです。あと残ってるのは群馬のシネマテーク高崎くらいですかね。ていうか来月にはもうDVDが出ます・・・


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Comments

下はメガネを取った東条英機ですよね?
時代的にもぴったりだし~~♪

もうDVDでるんだ。もう一度見ようかな。
若い彼らが国の未来のために必死で頑張る姿、ああいうのって
心打たれますよね。
もちろん日本にだって同じような時期はあったけど…。

Posted by: KLY | October 18, 2011 at 11:21 PM

>KLYさん

毎度ども~

いや・・・ これ孫文のつもりで書いたんです・・・
似てませんか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E6%96%87
あ、似てねえや(笑)

私は国のためというか、理想や友、恩人のために身をなげうつところにじ~んと来ましたかね・・・ 自分がよごれつちまつた大人になってしまっただけに、よけいにね(^^;

Posted by: SGA屋伍一 | October 19, 2011 at 09:18 PM

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辛亥革命前の香港を孫文が訪れる。しかし清の西太后は彼の暗殺を命令するのだった。暗殺団500人を相手に名もなき8名の義士が立ち向かう姿を描いた歴史アクションが本作だ。出演はドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェーほか、アジアを代表するそうそうたる俳優が集結している。監督はテディ・チャン。劇中と実際をリンクさせた1時間の緊張感が強烈だ。... [Read More]

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