お米の国の旗の下 ジョー・ジョンストン 『キャプテン・アメリカ』
ハルク、アイアンマン、ソーと続いた「アヴェンジャーズ・プロジェクト」も、ようやく最後の一人となりました。長い道のりだったなあ! おい! それでは満を持しての登場となった世界最初のアヴェンジャー『キャプテン・アメリカ』、ご紹介いたします。
第二次大戦もたけなわのころ。熱意あふれる青年スティーブン・ロジャースは、軍に入隊して国の役に立ちたいと願っていたが、生まれついての病弱な体質ゆえ、何度も試験に落とされていた。しかしそれでも諦めないロジャースを見て、一人の男が彼に近づく。男の名はアースキン博士。軍の依頼で「超人兵士」を開発するための被験者を探していたのだった。やがて正式にその被験者に選ばれたロジャースは、常人をはるかに越えた能力を持つヒーロー「キャプテン・アメリカ」として生まれ変わる。だが最初に彼に任された仕事は国民へのプロパガンダとして「国債を買おう!」と呼びかけることだった・・・
え~~~!? と驚かれた皆さん、ご安心ください。ちゃんとその後にはヒーローらしい活躍場面が準備されています。その前にまず「キャプテン・アメリカ(通称キャップ)」というキャラクターについてちょこっとだけ説明いたしましょう。
数あるマーベルコミックスのキャラクターの中でも、キャプテン・アメリカとサブマリナーは特別な存在と言えます。なぜかというと、この二人はマーベルが創設される(1967)以前に別の会社で作られたキャラだからです。つまりマーベルさんよりも年長というわけ。出自はほぼ映画と同じで、当初はあからさまに戦意高揚をウリにしたキャラでした。第一号の表紙では思い切りヒトラーにパンチを食らわていたりするんですが、そういうわかりやすい位置づけが映画の中では上手にパロディ化されておりました。しかし当然戦争が終わってしまうと人気は低下。出版が途絶えていたところをマーベルが権利を買い取り、アメリカの理想と現実に悩むキャラとして再生させ、現在にいたります。
そんなわけで今では見かけほど右翼なヒーローではないのですが、スタイルも名前も微妙だし、X-MENやスパイダーマンほど愛着のあるキャラではありませんでした。でもこの映画の「キャップ」のことはずいぶんと気に入ってしまいました。。
原作のキャップは歴戦の勇士ということもあり、不安定な(笑)ヒーローの多いマーベルの中では、群を抜いて大人であり人格者であります。そこが頼もしいっていや頼もしいんだけど、反面親しみにくかったりもして。
しかし映画版では改造前のスティーブン・ロジャースが、いかにもやしっ子であり非モテ系であったかということをこれでもかこれでもかというほど強調します。そんなスティーブン君に感情移入しないわけがないでしょう!! そして彼の悩みは改造後も国の客寄せパンダとして利用されることでなおも続きます。
以下はさらにどんどんネタバレしていくのでご了承ください。
そういえばなぜスティーブンはあそこまで軍に入ることを志願したのでしょう。たぶんわたしは「家族のために何かしたかったから」ではないかと考えています。映画でははっきり語られませんでしたが、一応原作では彼は少年時代に両親と死に別れたことになっています。兄弟も親しい親族もいない天涯孤独の彼にとって、残った家族と言えるものは、親友のバッキーとアメリカ以外に何もなかったのでしょう。
そして持ち前のガッツでがんばり続けることによって、スティーブンの周りにはいつしか「家族」と呼べるような人々が集まり始めます。しかしそれは本当につかの間のことで。
ようやく得た家族が遠く過ぎ去った時代で、再び目覚めるキャプテン・アメリカ。そこには(少なくとも表向きは)清く正しかったころの「アメリカ」はもうありません。迷子のように見知らぬ土地に放り出されたキャップがあまりにもかわいそうで、わたしはただハラハラと涙を流したのでした
はたして彼は七十年後の世界で新たな家族を得ることができるのか・・・ それについては来年いよいよ公開される『アヴェンジャーズ』で語られる・・・のかな? いやあ、これ本当に実現するんだなあ・・・ 来年までは何があっても死ねないでやんす。
『キャプテン・アメリカ』は現在全国の劇場で細々と公開中 近所ではもう一日一回になっちゃったよ! まだ観に行ってないひとは早く行ったほうがいいよ!
あと映画化記念で最近邦訳された『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』という作品がすんごくいいです! 映画を観て興味を持たれた方はこちらもぜひ!
Comments
おはよー☆
相当感情移入しちゃったのね、
伍一ちゃんもやしっこだったの??
華奢にはみえないけど
クリスくん好きだけどやっぱり小柄で華奢なシーン(CG)は魅力なく、逞しくなった途端に魅力が!
強い男はやっぱりいいなーマッチョ好きというわけじゃないけど。
感想はそのくらい(笑)
Posted by: mig | November 02, 2011 09:40 AM
>migちゃん
またまたお返しありがとー
うん・・・ 昔はね、これでももうちょっとやせてたのよ・・・
クリスくんのビフォー・アフターは本当にすごいね。やせるにしてもマッチョになるにしても、役者って本当にご苦労さんだなあと思った次第。『ソー』の方のクリス君も相当プロテイン飲まされたそうだし。まあすべての役者さんがそういうの要求されるわけじゃないだろうけど(笑)
>感想はそのくらい(笑)
ちょっと冷たくない!? 幾ら氷漬けのラストだからって(爆)
Posted by: SGA屋伍一 | November 02, 2011 08:15 PM
伍一君、キャプテンアメリカンスコ☆
さすが!アメコミキャラ博士♪
彼らに対する暑い情熱も伝わってきたよー
migちゃんの感想も面白い!
もやしっこでも、伍一君は背が高いんだから、あとはちゃんとプロテイン飲むだけじゃん。
頑張れ!マッチョへの道☆
Posted by: ノルウェーまだ~む | November 03, 2011 06:15 PM
>ノルウェーまだ~むさん
筋肉ムキムキンスコ~
うん。日本では売り上げ的にも評判的にもこの映画イマイチなんで、ちょっとムキムキ・・・じゃない、ムキになっておりますw
いや~、プロテイン飲んだらおなかまわりに肉がつきそうで怖いですねw 外見じゃなくてハートを見てほしいの!
Posted by: SGA屋伍一 | November 03, 2011 10:29 PM
こんばんは!お邪魔するのが遅れました。
そうそう、なんでそんなに軍隊に入りたいのかなって最初そこがよく分からなかったのですが
キャプテンの人柄の良さを知るにつれ、あまり気にならなくなりました。
ただマッチョなだけでは魅力的ではないけど、心が男前だからこそすてき。
私の王子、ソーもそうだけど
アヴェンジャーズたのしみですね!
スターク父や、ソーの国の謎のエネルギーなど、アヴェンジャーズへ向けてのネタもちょいちょいあったし・・・
トニー・スタークに会ったら、ビックリするだろな。
Posted by: kenko | November 04, 2011 12:28 AM
>kenkoさん
こんばんは~ 『ロストアイズ』、間に合ったでしょうかw
あとから思いついたことですけど、スティーブンは単に一人前の男として認められたかった、という気持ちもあったのだと思います。童て・・・十代の青年にはありがちな傾向かと
>ただマッチョなだけでは魅力的ではないけど、心が男前だからこそすてき
ソーソー(爆) 男は筋肉じゃないです。金です(じゃあもっとダメじゃん!)
ああ、そういえばキャップはよみがえったあともまだ童○なんですよね・・・ そんなわけでやりたい放題なスタークJrにはやっぱりコンプレックスを感じるのではw
Posted by: SGA屋伍一 | November 04, 2011 10:59 PM
なんだか「アベンジャーズ」の予告編みたいな作品でしたが
万能な楯くらいしか武器がないので、ちょっと心配です。
そこはまあ、男前の心でカバーするというこでしょうか?(笑)
でも、70年も浦島さんはちょっと気の毒でしたよねー。
スタークJrに合コンに誘われても、
真面目すぎて浮いちゃうよねーきっと(^^;)
Posted by: ルナ | November 05, 2011 11:36 PM
>ルナさん
こちらにもありがとうございます
>万能な楯くらいしか武器がないので、ちょっと心配です。
009の名ゼリフを思い出しますね
「武器はそれだけか?まさか加速装置だけというのではあるまいな?」「あとは・・・勇気だけだ!」
勇気があればなんでもできる、とアントニオ猪木も言ってましたし(あれ?)
>スタークJrに合コンに誘われても、
真面目すぎて浮いちゃうよねーきっと(^^;)
「まったく最近の若いやつらは・・・ わしが若いころは」とくだまいて煙たがられるのが目に見えるようですね(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | November 07, 2011 08:57 PM