« フランコなんか大嫌い エミリオ・アラゴン 『ペーパーバード 幸せは翼にのって』 | Main | 嵐が来たりて船沈む ジュリー・テイモア 『テンペスト』 »

September 08, 2011

トラック大将 月夜の大激闘 マイケル・ベイ 『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』

19780全米を巻き込んだあの抗争から二年・・・(またですか) 正義の走り屋軍団「追徒暴斗(おーとぼっと)」の名誉メンバーだったサムは、族からきっぱり足をあらい、しがないサラリーマンとしての毎日を送っていた。そんな彼のもとに、かつての仲間たちがピンチに陥ってるという報せが入る。先代メンバーの裏切りによってチームが機動隊と敵組織「泥背腐体魂(でぃせぷてぃこん)」の両方から追われているというのだ。その裏には地球と宇宙を巻き込む巨大な陰謀が隠されていた。男の仁義を守るため、サムは上司に休暇願いをたたきつけて再び抗争に身を投じる。

久々に嘘あらすじ書いてみましたが・・・ つまんね~~~ 
はい、それではハリポと並ぶ今夏の目玉映画であった『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』、ご紹介・・・というかネタバレ気味で感想書きます。あとついでに第一作と第二作の記事のリンクも張っておきます。
『トラック大将 夜明けの一番星』
『トラック大将 復讐の流れ星』 

序盤のキモは「アポロ計画は実は月に飛来したトランスフォーマーを調査するために立案されたものだった・・・」というMMR的な流れですね。アホくさ~とは思いますが、これがなかなかアホなりに史実に上手に組み込んでありまして。マイケル・ベイとしてはこれまでで一番頭のいい脚本だったのではないでしょうか。序盤に限っては
続いてTFシリーズおなじみのサムくんのへたれエピソードがえんえんと続きます。まあわたしはこういう定番の流れも嫌いじゃないですが、興味ない人はぶっちゃけ寝てても支障ないでしょう。3D効果も一番意味ない部分だし。
ただ下着モデル出身のヒロインのでっぱり具合に関しては一見の価値があるかもしれません。

で、ようやく本題の部分に入ります。今回ビックリしたのは、コンボイたち・・・(すいません、面倒くさいのでオプティマスはこの名で呼ばせてください)のボス敵となるのがディセプティコンではなく、自分たちの身内であったセンチネル・プライムであったということです。この『トランスフォーマー』、単純な勧善懲悪もののように思われがちなようですが、この辺ちょっぴり深いものがあります。本当に単純な勧善懲悪ストーリーでは、見た目でどちらがイイ者かワル者かが決まります。すなわちかっこよく丸っこいオートボットは善玉、とげとげしくグロっぽいディセプティコンは悪玉、という具合に。ところがかっこいい善玉であったはずのオートボットから悪者が出てしまう(まあセンちゃんって微妙に悪者よりのデザインではありますが)。
ここから子供たちに、善悪は見てくれや生まれではなく、個々のそれぞれの決断・行動で決まるということを教えられるのではないでしょうか。この映画でいうならば、異なるものと和解し、共存していこうと考えるコンボイたちが善。力ずくで弱い者たちをおしのけようとするセンチネルたちが悪、ということです。アメリカ建国の歴史と正反対なのが辛いところではありますが。ちなみにセンチネルの声を演じてるのは元祖スタトレでおなじみのレナード・ニモイ。冒頭でスタトレを観ていたチビフォーマーが、「スポックがおかしくなる回だ」とつぶやいていたのは心憎い伏線でした。

それはともかく、そんな手を差し伸べようとしてくれてるコンボイたちを、米国政府は悪者の脅しに屈して追い払おうとします。それでも苦情ひとつ言わず強制送還用のロケットに乗るコンボイ。このあたりは涙流しては観られません。普通だったら「今までよくしてやったのにずいんなおもてなしですね! もうお前らのことなんか知んね! ぺっ!!」とか言いたくなるのが人情というかロボ情です。まあコンボイたちは「自分たちは不法入国者だから・・・」という引け目を感じているのかもしれませんが。

しかしアホな人類が案の定ピンチに陥ると、どこからともなく現れて、イヤミも言わず助けてくれるオートボットたち。滝のようにあふれ出る鼻水が止まりません。そして彼らを信じていた庶民や現場の人間とガッチリと握手を交わします(比喩表現です)。わたしにとってはこの辺がクライマックスでした。このあとは何も考えず、3Dの最新技術によって産み出された映像サーカスを楽しめばいいと思います。

そんなわけで十二分に楽しませてもらった『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』ですが野暮を承知で三つだけつっこませてください。

・3D効果映像、確かにすごかったけど、一番すごかったのがロボじゃなくて人がかっとんでる映像だったのはいかがなものかと
・敵のアイテムを破壊しようとしてビルに上るものの、あっさりあきらめて撤退していくサムたち。お前らいったい何がしたかったのかと(「ビルを滑り台にする映像が撮りたかったんだよ」←?)
・絶体絶命のピンチを(結果的に)助けてもらったのに、一寸もためらわずメガトロンにとどめをさすコンボイ。せめてお礼の一言くらい言おうや(言えばいいという問題だろうか・・・)

ま、このガードが甘いというか脇がガラ空きなところがベイやんの持ち味でもあるんですけどね。

19789一応今回を持って終了という予定だった『トランスフォーマー』ですが、あまりに大ヒットとなったためにあっさり継続が決定したようです。ただしベイやんと主演のシャイア・ラブーフ君は続投せずとのこと。次はおそらく設定を一新した形での『トランスフォーマー』が観られることでしょう。この際ずっと未来というか宇宙へ飛んでいってしまうのもいいかもしれません。『ビーストウォーズ』でもいいしね。『ビースト』を知らない人はこの動画をご覧ください。

|

« フランコなんか大嫌い エミリオ・アラゴン 『ペーパーバード 幸せは翼にのって』 | Main | 嵐が来たりて船沈む ジュリー・テイモア 『テンペスト』 »

Comments

実は現在「TFは面白い!」周期から外れてるので………。現在は「ゾイド」と「けいおん!」あたりが旬か。
本家TF人気も下火になってるみたいだしね。

>強制送還用のロケットに乗るコンボイ。
昔、無印TFにも同じようなネタありましたな(笑)。ただし、メガの助の奸計で行き先は太陽だったよ〜。

Posted by: まさとし@葛城 | September 08, 2011 06:42 PM

>まさとし@葛城さん

実はわたしも最近のアニメの方のTFは全然知らんとです。ただおもちゃはたまにトイザラスで見かけたりして。あの丸っこいデザインはなかなか好きですよ。手を出すとキリがないので買うのは我慢してますが

わたしはこの展開ねえ、桜多吾作版の『グレートマジンガー』を思い出しました。知ってるかなー

Posted by: SGA屋伍一 | September 08, 2011 10:15 PM

追徒暴斗と泥背腐体魂ていいねー(笑)
そうかサムは名誉メンバーだったんだ!どうりで人間のクセに
やたら友人ぽく振舞ってたわけね♪
あの落下部隊って実際に人間が飛んでるってんだからすごい
でさーね。CGも凄かったけどやっぱ実写の迫力ってこと?

Posted by: KLY | September 09, 2011 12:22 AM

>KLYさん

どもー
どっちかというと今度やる『ワイルドスピード』の方が族っぽいですけどねw 『カーズ』とこれと車モノが続きます

トランスフォーマーは直訳すると「変形者」ですからね(ホントか?)。変形できなきゃ正式なメンバーにはなれないと思います。わたしはがんばって正式メンバー目指したいな!

>CGも凄かったけどやっぱ実写の迫力ってこと?

それもあるけど、ベイやんにはそれなりに「構図を作る力」があるってことなんじゃないでしょうかね。こいつがない人には3Dはやらせない方がいいと思います

Posted by: SGA屋伍一 | September 09, 2011 04:15 PM

伍一くん、トランスフォースコー☆
そうそう、ビーストウォーズ!よく息子と見てました。
アレはなかなかいい話だったよ。それでハリウッドがパクったのね、と思っていたわけです。

で、何故かトランスフォーマーは1を何度見ても、途中寝ちゃうし、2もやっぱり寝ちゃったしで、3を見るのをためらっています。

どうしてビーストウォーズは好きなのに、トランスフォーマーは寝ちゃうのか??
そして、敵と味方が途中からいつもわからなくなっちゃう私。おばさんには難しいな。

Posted by: ノルウェーまだかrあむ | September 09, 2011 07:26 PM

>ノルウェーまだ~むさん

スピルバーグンスコ~

うーん、1,2を観て寝ちゃうなら、3もあまりおすすめできないかな~
ぶっちゃけだいたい同じことをスケールアップしてやってるだけなので(笑)

ビーストウォーズはギャグ満載だったからロボに興味ない人にも面白かったんじゃないでしょうか。「ごっつんこ」とか「いーとーまきまき」とかわけのわからんアドリブが爆裂してましたよね
なんかまた観たくなってきたなー

Posted by: SGA屋伍一 | September 10, 2011 08:15 AM

コンボイの「共には戦えない」(だったかな?)という趣旨の言葉が、予告と実際とでは意味が逆でしたね。

スカイダイビングの3Dは見ごたえがありました。

最初、月に何かがある、って聞いたときは「月の正体は、実はユニクロンだった!?」と妄想しましたが、そんなことはありませんでした。
メガちゃんがやられちゃったので、今度はユニクロンはどうでしょう?(無印ビーストぐらいしか見ていませんので、これが限界)

Posted by: 大吉 | September 11, 2011 03:26 AM

>大吉さん

こんちはー
そう、あの予告編はまぎらわしかったですね。「前作では『私たちにとって君は重要な存在だ』って言ってたのに、つめてえじゃねえかよコンボイ!」とか思っちゃいましたよ。その直前に「よくも黙ってたな」とか怒ってたシーンを使ってたからなおさら

しかしユニクロンとは大吉さんもなかなかお詳しいですね・・・ わたしは実はアニメの方のTFは上っ面の知識しかなかったりして。 JIVEで邦訳コミックが出たときもどうしようか迷いつつ結局スルーしちゃったりして・・・

でも次回作でユニクロンというのは確かに面白そうですね。観てみたい!

Posted by: SGA屋伍一 | September 12, 2011 11:43 AM

センチネルさんて、声レナード・ニモイだったのーー!?
気付いてなかった・・・・・(ρ_;)

お話をきちんと分析してきちんと書く、SGAさんやさしい。
ぶっちゃけこれ、かなりダメだったです。。。すぐに集中力をなくしてしまい・・・
やっぱり1作目がいちばん好きで、イマイチと思ってた2作目も
これに比べたらずいぶん好きだった(笑)

ま、続編きたらまた観ますけどねー

Posted by: kenko | September 12, 2011 10:19 PM

>kenkoさん

おばんですー
あはは、実はわたしも人から指摘されて気づいた口でして

kenkoさんがこれダメだったとはちょっと意外ですが、「一作目が一番よかった」という声もちらほらありますね
わたし一作目は疲れてたせいか劇場で観たとき途中でうとうとしてしまったんですが、あとでテレビで観て「こんなに面白いのに!なんでオレは!」と、ふがいなかった自分に腹が立ちました

Posted by: SGA屋伍一 | September 13, 2011 07:47 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference トラック大将 月夜の大激闘 マイケル・ベイ 『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』:

» トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン [LOVE Cinemas 調布]
大人気「トランスフォーマー」シリーズ第3弾。製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、そして監督マイケル・ベイというお馴染みの超人気コンビによるSF大作だ。最終章の本作では、いよいよディセプティコンの本格的な地球侵略が始まり、それにオプティマスたちオートボットと人類がどう対抗してゆくかが注目だ。主演はシャイア・ラブーフ、新ヒロインをロージー・ハンティントン=ホワイトリーが務める。... [Read More]

Tracked on September 09, 2011 12:20 AM

» トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン [C note]
3Dって最初は立体的なんだけど、観てるうち目が慣れて、ちっとも3Dに見えなくなっ [Read More]

Tracked on September 12, 2011 10:20 PM

» トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (Transformers: Dark of the Moon) [Subterranean サブタレイニアン]
監督 マイケル・ベイ 主演 シャイア・ラブーフ 2011年 アメリカ映画 154分 アクション 採点★★★★ 猛烈にお腹が空いている時って、一つのメニューに絞り切れずついつい食べたい物を二つ頼んじゃうことってありますよねぇ。「カレーも食べたいけど、このチーズハ…... [Read More]

Tracked on December 18, 2011 03:01 PM

« フランコなんか大嫌い エミリオ・アラゴン 『ペーパーバード 幸せは翼にのって』 | Main | 嵐が来たりて船沈む ジュリー・テイモア 『テンペスト』 »