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September 06, 2011

フランコなんか大嫌い エミリオ・アラゴン 『ペーパーバード 幸せは翼にのって』

091118_185501これは前から観たかったというよりは、たまたま東京へ出る用事があって、「なんかこっちでしかやってない映画ないかな~」ということでなんとなく鑑賞した作品。同じ時期に『ヒマラヤ 運命の山』もかかっていることに気づいていたらそっちにしたかもしれません。モントリオール映画祭で観客賞を受賞したスペイン映画、『ペーパーバード 幸せは翼に乗って』、ご紹介します。

スペインが内戦で砲火に包まれていた時代。喜劇役者のホルヘはフランコ軍の空襲により妻子を失い、悲しみの余り一座の下を離れる。それから一年後。内戦は終り、フランコの支配はゆるぎないものとなっていた。統制が厳しさを増す中、ホルヘは突然仲間の前に姿を現す。かつての相方と、一座に身を寄せる少年との三人で再び喜劇を始めた彼だったが、その背後にはフランコ軍の監視の目が光っていた。

さて、なんでこの映画に決めたのかと申しますと、ひとつには「スペイン内戦をモチーフにしている」という話を聞いたから。『パンズ・ラビリンス』などでたびたびその名前は聞いていましたが、そういえば実際にどんな流れだったのかはほとんど知らない。そこでお勉強を兼ねて鑑賞してみることにしたわけです。

これまでわたしが観たスペインの作品というと、先にあげた『パンズ~』や『永遠のこどもたち』などのギレルモ・デル・トロ関連作品。あるいは『アレクサンドリア』『ミツバチのささやき』『アラトリステ』など。またアメリカと共同製作ですが『宮廷画家ゴヤは見た』というのもありました。たまたまそういうのが重なってしまったからかもしれませんが、フラメンコや闘牛などのイメージとは裏腹に「実はスペインの人って根暗なのかな・・・」という思いが募っておりましたw 
ただ今回の『ペーパーバード』、これまた悲劇的な題材を扱ってはいるんですが、喜劇の一座が舞台ということもあり、あまり暗い印象はなかったです。むしろこの悲しい中にもお笑いや人情を忘れないという作風は、『ライフ・イズ・ビューティフル』や『ニューシネマ・パラダイス』といったイタリアのヒューマンドラマに近いものを感じます。親のない子と子のない親の交流・・・というあたりは日本の浪花節や山本周五郎を思わせるところもあり。ただホルヘさんは不幸が原因ですっかり気難しくなっている上に、子代わりのミゲルくんもちょっとこずるい部分があるゆえか、すんなりと「本当の親子のよう・・・」にとはいきません。

お勉強目的で観たわたしですが、一番興がひかれたのは一座の公演の様子とか、巡業であちこちを回るくだりだったりして。一輪車の芸人が本番直前にメガネを忘れたりとかね(笑) あと公演の合間に新ネタを練習する部分とか、スペインの田舎の風景などにも心安らぐものがありました。

そんな風にほのぼのとしたお話がずっと続けばよいのですが、一座に「反政府側のスパイが紛れ込んでいる」という疑いがかけられたため、ホルヘたちは当局からネチネチとした嫌がらせを受けることになります。果たしてそれは真実なのか、もしかするとそのスパイとはホルヘ自身なのか・・・?

終盤における展開には「憎しみ・圧制に勝てるものは愛であり、自由であり、お笑いである」というメッセージが強く感じられました。生まれてからろくな苦労も不幸も経験していないわたしですが、その主張には強く賛同いたします。

結局フランコ政権の顛末に関してはあんましよくわからず(笑) 家に帰ってからウィキペディアで調べてみました。フランコさんは安泰のままその生涯を終えられるわけですが、後継者の皇太子様が非常に出来た方だったために、おだやかに専制国家から民主国家へと移行していったようです。ってこれネタバレだったかしら・・・

110905_074333_2『ペーパーバード ~幸せは翼にのって』は現在銀座テアトルシネマほかで公開中。近場の沼津でもさくっと年末に公開が決まりました・・・ 『ALWAYS』なんかが好きな方なども、肩肘はらずに楽しめるのでは・・・と思います。


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Comments

伍一さん、

次の伍一さんのレビューの『トランスフォーマー』は観たのでコメント入れ易い私ですけど、あえて自笑した事について。。。
『ペーパーバード 幸せは糞にのって』って何だろうって、伍一さんのタイトル見て一瞬考えちゃったデス。ほんと。
『幸せは翼(つばさ)にのって』、と、なっているのにね。
日本語って難しいですよね。(><)

Posted by: まみっし | September 08, 2011 at 07:36 PM

>まみっしさん

こんばんは! コメントのない記事をにぎわせてくださってありがとうございますhappy01

「翼」「糞」 ううん、このくらいの大きさで見ると確かに間違えやすい・・・ 個人的に紛らわしいと思うのは「躑躅」と「髑髏」でしょうかねえ。あー目が痛い

ペーパーバードというのは向こうの折鶴みたいなもんなんですが、そういえばあんまし本筋とは関係なかったなあ

Posted by: SGA屋伍一 | September 08, 2011 at 10:19 PM

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