石の下にも六日間 ダニー・ボイル 『127時間』
よっしゃ! これでようやく本格再開!(書いてる途中で寝なければ・・・) もうだいたい公開終わってるであろう究極のマゾ映画『127時間』まいりましょう!
きままなアマチュア冒険家アーロンは、その日いつものように誰にも行き先を告げず、ユタ州の荒野へ出発した。途中ピチピチのギャル(死語)ハイカーと楽しい思いを過ごしたのもつかの間。岩山の上で足を滑らせたアーロンは、あとから落ちてきた岩石に腕を挟まれてしまう(左上の図をご覧ください)。腕を引っ張り出そうと試行錯誤するアーロン。しかし状況はなかなかに厳しく、やがて青年は次第に衰弱していく・・・・
一昨年オスカーを手にしたダニー・ボイル監督作品。そしてこの作品もまたアカデミー作品賞にノミネートされました。それで作品の一覧を観たとき、わたし知ってしまったんですよね・・・・ この映画の結末を。ばらしてくれてありがとよ、スポーツ紙。
それはともかく、前半のあらすじだけでとても痛そうな映画だということは十分わかります。だから最初は観る気なかったんですよ。だのになんかこう、時間とかちょうどよかったんでついふらふらっと観にいってしまいまして。
冒頭なんかはけっこう楽しかったりするんですよね。まるでアーロンやギャルたちと一緒に自然の中でキャピキャピ遊んでいるような気分になれて。そんでいい気持ちでいるところに、突然例のアクシデントのシーンがやってきます。ここですごくがっかりします。え・・・ この映画まだ一時間以上あるわけでしょ・・・ この状態をわたしらその間見守ってなきゃいけないわけ・・・ あああ~~~あ~~~ わかっちゃいたのになんでこんな映画観にきちゃったんだろ~~~ と、自分で自分がよくわからなくなりました(笑) いや、単に退屈なのならまだいいんです。辛いのは痛いのに一時間以上つきわなきゃいけないこと。
さらに痛さに拍車をかけるのが、ダニー・ボイルお得意の感覚にびんびんと訴えてくる映像。まあ彼にもそれなりの思いやりはあるようで、時々回想場面や幻想シーンなどを盛り込んで、終幕までなんとか耐えられるようなつくりにはなってます。それでもやはり、下手なホラー映画なんかよりはとっぽど胃袋にギュルギュリと来るでしょう。
痛みのほかにもうひとつ際立っているのが「乾き」の描写。それこそありとあらゆる映像テクニックを用いて水のおいしさや、水が少なくなっていく不安感をみせつけてくれます。そういや減量中のボクサーも、食べ物より何より水が猛烈にほしくなる、という話を聞いたことがあったっけ。まあそんなわけで見ている間は非常にのどがかわきます。お金をけちってコンセッションで飲み物を買ってこなかったことを非常に後悔しました。
しかし・・・・以降はたいがいネタばれですが・・・・・
それだけの苦行を乗り越えたあとにはすさまじい開放感がまっています。やっぱり真に爽快な気持ちを味わいたいなら、できるとこまでガマンしなきゃいけないんだな、ということをこの映画から教わりました。
そして鑑賞後に飲むビールがものすごくうまい。東のビール映画代表が『カイジ』だとすれば、西のビール映画代表はこの『127時間』としてまずまちがいないでしょう。ただし飲んでる途中でうっかり劇中のあるシーンを思い出してしまうと、せっかくのビールも吐き戻してしまうかもしれません。まあビールってのはぱっと見アレによく似てるものでね・・・ あわ立ってるところなんかが特にまた。
自然でサバイバルで実話というと、少し前の『イントゥ・ザ・ワイルド』を思い出したりもしました。主人公がちょっと若気の至りで「痛い」ところもよく似ております。そういえば『イントゥ~』のエミール・ハーシュ君は『ミルク』で主演のジェームズ・フランコ君と共演して・・・いるのかな?
『127時間』は東京のメイン館ではおおむね上映終了してしまったようですが、地方ではこれからかかるところもいろいろあるようです。ガマン大好き!という方やもっと痛くして!という奇特な方に特におすすめします。
Comments
寄生獣とか漫画好きじゃないとわからんてばww
いや、言わんとしてることは解るけど。
ってだから普通の人は意味解らんて^^;
あの痛みは凄いよね。まじビンビン伝わってくるし。
思わず足に力入れてつっぱっちゃったもん。
Posted by: KLY | August 03, 2011 11:52 PM
>KLYさん
いやいや。寄生獣は日本国民の一般常識ですよ
しかしこの漫画もかれこれ十五年前の作品かあ
これまでわたしの痛い映画ナンバー1は「パンズ・ラビリンス」や「ラストキング・オブ・スコットランド」だたんですが、この映画はその上を行きました とても全部は見てられませんでした・・・
Posted by: SGA屋伍一 | August 05, 2011 10:14 AM
あれー?カテゴリのリンク貼り直したんだけどまたこちらになってる??
やっぱりダニーボイル作品好きだな♪
今年の一応、10位には入れるかなー
まだ今年これっていうのがないかな、ゾンビ以外、、、
あ、伍一君運転手やってくれるんだ?
だったら先日言ってた件、本気でゆきえちゃんとまだーむに言ってみよっか(笑)
Posted by: mig | August 07, 2011 02:05 PM
なになに…吾一君があっしー君になるのか?(笑)
Posted by: KLY | August 07, 2011 09:59 PM
>migさん
ごめんごめん ひきつづきこちらでよろしくね
ダニー・ボイルとゾンビといえば『27日後・・・』(28だったっけっか?)だけどまだ観てないんだよね。本当に作品の幅が広い人だなあ。なんかこう、人が追い詰められていく姿を描くのが好きなのかな、という気はする
運転手いいよー(笑) ラパンもへこみ直したし。旅行は海外派のmigさんも、たまにはひなびた温泉街にどうぞー
Posted by: SGA屋伍一 | August 08, 2011 02:35 PM
>KLYさん
ええ、上のお三方の命令には逆らえません(特にhinoさん・・・w)
Posted by: SGA屋伍一 | August 08, 2011 02:41 PM
こんばんは〜
ブログの方はお久です。
ココログ上手くコミュ出来ない事がおおいけど、今度は大丈夫かな。
全く夏休みに相応しいマゾえ映画でしたよ。
観終わった後で勿論ビール飲みましたとも(笑
Posted by: ノラネコ | August 09, 2011 10:10 PM
>ノラネコさん
こちらもご無沙汰しててすいません。ていうか覚えててくださって感激です
夏休みってマゾと関係あるのでしょうか。まあガマン大会とかあれはマゾでなければできない気がしますが・・・ダニー・ボイル氏は確実にサド系だと認識していたのですが、この映画での主人公との一体感を考えると、マゾも入ってるのかな、と人間の奥深さを感じました
16日はご一緒してくさるそうで。ぜひビールのみましょう! あのシーンを思い浮かべながら・・・ うごえ
Posted by: SGA屋伍一 | August 09, 2011 11:12 PM
伍一先生、こんにちは。
感情移入すると、痛すぎる場面が未だに印象深いです。
ちょっと違うけど、日本の横井さんの様な方にも、後で驚きましたが。
hino氏が元気そうなので、よかったです。良いお友達って大切だし。何か、こちらまで嬉しくなっちゃいます。
Posted by: まみっし | August 10, 2011 08:23 PM
>まみっしさん
いまロンドン大変なことになっていますが、まみっしさんは大丈夫でしょうか。こうしてコメントくださってるということはひとまずご無事というこなんでしょうけど、どうぞお気をつけください
わたしはこの映画を観て思い出したのは、安曇野名産わさびマヨネーズをなめなめして、長野の山中から14日ぶりに救出されたおじさんの話でした・・・
hinoさんからは最近は呼び捨てで呼ばれてます(笑) 彼女からはわたしも元気いただいております。まみっしさんの義妹を思う気持ちにも、心温められておりますよ
Posted by: SGA屋伍一 | August 10, 2011 11:37 PM
伍一さん、お久しぶり〜♪
え!これってマゾ映画だったんだー(違
でもわたし、なぜか全然平気で最後までガン見しちゃいましたわ
エミール・ハーシュはもちろん『ミルク』でジェームズと共演してるわよー、ゲイ役で。イントゥ〜とは全く違った印象で、気づかなかった人もたくさんいたみたい。
ネタバレの部分、どうやったら見れるのかしら、、(泣
Posted by: tomoco | August 15, 2011 10:25 AM
>tomocoさん
ども、ブログではご無沙汰しててすいません
いやあ、tomocoさんて美しいものが好きな方というイメージがあったんですが、こういうえぐいのもいけるクチだったんですね・・・ しかもガン見
エミール・ハーシュくんは才能ある役者として個人的に注目してるのですが、フランコくんに比べると日本ではあんまし知られてませんねえ。やっぱりマッハGOGOGO(スピードレーサー)でこけたのが痛かったのか・・・
空白の部分はもともと何も書いてないっす。避難しやすいように間を空けてあるだけなので(空白の次の文章からがネタばれってことですね)
ややこしゅうてすいません~
Posted by: SGA屋伍一 | August 15, 2011 12:03 PM
この映画にミギーのイラスト持ってくるセンス、さすがSGAさん(笑)
とても痛くて、とても喉が乾く映画でしたねー
結末は予告観たときから予想ついちゃいましたが
それでも例のシーンの衝撃は相当でした。
あそこまで容赦なく映し出して、痛覚にビンビンに伝わってくるのって
かなり過激なホラー映画でもなかなかないと思うんですよ。。。
途中、もしかして感覚が麻痺してそんなに痛くなく処置できるとか
なればいーなーと淡い期待を抱いたりもしましたが
現実はそんなに甘くなかった。。。
でもまあ、おもしろかったです。好きな映画という感じではないけど。
Posted by: kenko | September 01, 2011 11:14 PM
>kenkoさん
あはは ほら、漫画では多いでしょ。片腕なくしちゃうパターン。ほんでごっつい義手つけたりして
本当にもう「あなたを見てるとのどがカラカラ・・・」でした。おいしいラガーが飲みたいです。←って、やっぱりそこかい!おまけに古い!
ホラー映画って、展開がスピーディーですからねー 腕一本切るだけで、あんなに時間かけたりしないでしょ。もっとズバーンとやってブシューっと血が飛び出るような、そんな感じですよね。でもそれじゃあ、ああいうじくじくしたリアルな痛みは感じられません。いや、別に感じたくはありませんが(^^;
うんそう、人間の感覚ってけっこうしぶとく残ってるもんなんだな・・・というのも勉強になりました
わたしは一人ではたぶんもう観ないと思いますが、この映画、意外とみんなでギャースカ騒ぎながら観たら楽しかったりして・・・
Posted by: SGA屋伍一 | September 02, 2011 08:48 PM