猫目ジャンプも見せてやれ Movies-high11 片岡翔スペシャル 『Lieland』『ぬくぬくの木』
はう! 気がつけばもう観てから一ヶ月近くが経ってしまった… 先日新宿で行われていた自主映画祭(なのか?)「Movies-high11」において、当ブログが勝手に応援している片岡翔監督の特集が一回こっきりだけ上映されました。今回初めて観た『Lieland』『ぬくぬくの木』を中心にご紹介します。
まずは『Lieland』から。小さな人形劇団の団員バンビとダンボは、クリスマスイブの夜、事務所の倉庫にひとりの女の子がしのびこんでいることに気づく。どうやら女の子には帰るに帰れない事情があるらしい。二人は少女を喜ばせるためにある一計を案じる。
この作品のテーマはタイトルにもある「嘘」。自分のためにつく嘘はみにくいものですが、誰かのためにつく嘘は悲しいもの。その嘘がやさしければやさしいほど、悲しみは増します。
主演のひとりは『ごくせん』の太ったヤンキー役で知られている脇知弘さん。わたしは『さよなら、小津先生』などで彼のことを知っておりました。やっぱりヤンキーの役で田村正和の胸倉をつかんでいたりしたなあ(笑・ちなみに共演は森山未來・瑛太 ・忍成修吾 ・勝地涼とすっごい豪華)。そんなこわもてだった脇くんが、これほどまでに情が深いというか、母性豊かな役にはまっていることにとても感心しました。
キャストで他に印象的だったのは、ヒロイン原菜乃華ちゃん。愛らしさ・演技力ともに芦田愛菜ちゃんにも決してひけをとってません。そしてこの乃華ちゃんのお母さんがホラークイーン三輪ひとみ嬢というのが本当にシャレにならないわけですが・・・・
もう一本の『ぬくぬくの木』のあらすじ。ぬいぐるみの供養をしているある神社に、ひとりの女が「これ、おねがい」とボストンバッグを置いていく。中には本物の赤ん坊が入っていた。やはり本当の親から捨てられた巫女のはりこは、赤ん坊に自分の姿を見たのか甲斐甲斐しく世話をするが・・・
これまた「母性」が非常に深く感じられる作品。昨今の「赤ちゃんポスト」や幼児虐待の話題を見ると、人間の母性とはお母さんになったからといって、自動的に備わってくるものではないのかもな・・・という気がします。では母性とはいかにして生じるものなのか? それはやはりその人の生まれ持った性質と、与えられた愛情から生じるものではないのかな、という気がします。
先の乃華ちゃんもそうですが、片岡監督はその作品の空気にぴったりあった女優さんを見つけるのが上手ですね。こちらのハリコさんもまだお若いだろうに菩薩のような眼差しで、縁もゆかりもない赤ん坊をいつくしむ姿が非常に絵になっていました。そしてハリコさんが赤ん坊のために作ったぬいぐるみが、監督自ら「会心の出来」というだけあってキュン死するほど愛らしい。たしかこんなだったか・・・・・
なんか微妙に違うような・・・・ すいません、うろ覚えなもので・・・
他に上映された作品はおなじみ『くらげくん』(わたしもう五回目)、『ゲルニカ』(四回目…)、『SiRoKuMa』及び『ゆきだるまとチョコレート』。
ワタクシ最初に観た片岡作品が『Mr.バブルガム』、ついで『くらげくん』だったゆえに氏の作風がコミカルなもの、というイメージがあったのですが、今回6本通して観るとなんというか「無力感」が伝わってくる作品が多いな、と感じました。『SiRoKuMa』(これはコミカルでしたが)のお父さん、『ゲルニカ』の少年、そして『Lieland』のバンビと『ぬくぬくの木』のハリコ。子供たちや愛しい誰かをなんとかして助けたいのだけど、どうしてあげることもできない。いま世界でも多くの子供たちが泣き、悲しんでいる子供たちがいますが、そんな子供たちに対しわたしたちはほとんど何もしてやることができません。できることがあるとするなら、それは「思うこと」「忘れないこと」それだけなのでしょうか。
・・・・といつになく暗くなってしまいましたが、今回も見ごたえのある特集上映でした。今後も新作そのほか上映の機会があるようなので、ひきつづき片岡監督のいっそうのご活躍を願っております。
とりあえず渋谷のユーロスペースにおいて近々『Lieland』か『ぬくぬくの木』、両方だったかどちらかだったか(またうろ覚えだよ)レイト限定で上映されるそう・・・なのですが、まだ公式にはあがってないな。ご興味わいた方はこの機会にぜひ。
Comments
伍一さん、
恐れ多くも、初っ端にコメント入ります。どうも。
伍一さんのセンテンスの嘘についての深さ:
>自分のためにつく嘘はみにくいものですが、誰かのためにつく嘘は悲しいもの。その嘘がやさしければやさしいほど、悲しみは増します。
、、、を見て、片岡翔監督の『LIELAND』に興味わくじゃありませか!サブタイトル? っていう感じ?
自分に嘘ついて元気に過ごすっていう類の嘘では無いようですね。
Posted by: まみっし | August 23, 2011 10:48 PM
hiごいちゃん☆
もう書かないかと思ってたけど、書いてくれたのね
アハハ! 最後のぬいぐるみはちと違うなー
シンプルで笑った!
最初の絵は 一瞬見たとき「ゲルニカ」かと思って
左、えー悠椰くん?!ってびっくりした!
最初にみた作品ってバブルガムだったのね。
そっか〜、翔には怒られちゃうけど、(音とか悪いからみせたくないみたい)
いつか 最初に撮った「蹴缶」(1時間のコメディ)DVDになってるので貸しちゃおうかなー、なかなか面白いの
なるほどいつも共通点を見つけるよね〜、凄い★
>ハリコさんもまだお若いだろうに菩薩のような眼差し
うん、かわいいよね!
Posted by: mig | August 23, 2011 10:51 PM
伍一くん、おはよースコ☆
そうそう、翔さんの映画特集、良かったよね~
私は忙しくてずっとUPできないまま、このままいきそうだけど、伍一くん偉い!!
「SIROKUMA」かなーり、hinoちゃんがやらかしてくれて、これもまたいい想い出。(爆)
最後の人形は・・・・(汗)でもかわゆす♪
Posted by: ノルウェーまだ~む | August 24, 2011 10:08 AM
>まみっしさん
いえいえ、真っ先にありがとうございます
うん、『Lieland』いい作品でしたよ。終わった後もどこまでが嘘でどこまでが本当なのか考えさせられました。いつかまみっしさんもごらんになれるときがくればよいのですが
>自分に嘘ついて元気に過ごすっていう類の嘘では無いようですね
あはは。そういうのってあとでどっと疲れがくるんですよね もっと切ない系のお話でございました
Posted by: SGA屋伍一 | August 24, 2011 08:31 PM
>migちゃん
はい。ごいち~です
このぬいぐるみ、どっかに画像はないものか・・・ないよね
ていうか猫目公式グッズとして販売してしまえばいいのに。そしてマスコットの座を追われるチムチム・・・
監督と観客の評価が一致しない、という話はよく聞くよね。『蹴缶』、ないしょでこっそりぜひ貸してほしいな(笑)
ハリコさんはちょっと浅田真央ちゃんに似てると思った。舞台挨拶では本編と違って笑顔がはじけててかわいかったね
Posted by: SGA屋伍一 | August 24, 2011 08:36 PM
>まだ~むさん
ネコメンスコ~~~ ふふふ、がんばりましたよ。一応観た映画は全部UPしてるんですが、最近いろいろたまり気味でそろそろくじけそうです・・・
hinoさんは『SiRoKuMa』主演の芹澤さんにかなりうけてましたね。そうそう、わたしまだ~むさんとhinoさんにはさまれて鑑賞したのでしたっけ。静かにごらんになってたまだ~むさんと対照的にhinoさんは・・・ おっと
Posted by: SGA屋伍一 | August 24, 2011 08:41 PM
こんばんは。
もう1か月以上たっちゃったんですねぇ早い!
『Lieland』は初めて観たけれどかなり好きですねぇ。
観終わったあとどっちなのーと頭ぐるぐるしました。
ヒロインの子も可愛かったですしね。
『くらげくん』はもう5回目ですかー。
何回みても可愛いですよねぇ。
新作もあることですし益々片岡監督作品が楽しみですね♪
Posted by: yukarin | September 04, 2011 12:08 AM
>yukarinさん
こんばんは。お返しありがとうございます
ほんとに早いですよね~ この分じゃ暮れが来るのもあっという間だろうな…
『Lieland』は二回目の公には上映になるのかな。本当ならめでたしめでたしのところで、ダンボくんが一人いぶかしげな顔をしていて。どうしてかな、と思ったら・・・
わたしはやっぱり「嘘」だったんだろうな、と思ってます(←どれがだよ)
そうそう、『くらげくん』は何回観ても不思議と飽きないんですよね。夕焼けフェチのわたしとして、二人が電車の中で寄り添って寝ているエンディングが一番好きです
Posted by: SGA屋伍一 | September 04, 2011 08:47 PM