ハチとの遭遇 J・J・エイブラムス 『SUPER8』
『ゾンビ』が公開され、スリーマイル島の事件が起きた1979年。仲間たちと8ミリ映画を作っていたジョーは、撮影中大規模な列車事故に遭遇し、九死に一生を得る。おっかなびっくり現場のあとをさまよっていたジョーたちは、そこで不思議な形のキューブと何かにこじあけられたコンテナを発見する。そして翌日からジョーたちの町では奇妙な事件が頻発し始めたのだった・・・
約一年前から謎めいた予告で期待を煽っていた『SUPER8』、ご紹介いたします。監督は『LOST』などで知られるヒットメイカー、J・J・エイブラムズ。『クローバーフィールド』を思わせる宣伝の仕方からして、また怪物が暴れまわる絶望的なパニック・ムービーなのかな・・・と予想していましたが、それは半分当たって半分外れました(笑)
製作にはあのスティーブン・スピルバーグが名を連ねていますが、この映画、エイブラムズによるかつてのスピルバーグ作品へのオマージュなんだそうです。言われてみれば確かに田舎町にムニャムニャがやってくるあたりは、いかにも『未知との遭遇』や『E.T.』っぽい。得体の知れない怪物が断片的にしか姿を見せない手法は『激突!』や『ジョーズ』を思い出させます。これはもう、子供のころ『E.T.』が特別な映画だったわたしたち30代のために作られた映画といっていいでしょう(笑)
そう、今の若い人たちからすればスピルバーグって『ジュラシック・パーク』や『シンドラーのリスト』の人かもしれませんが、わたしらにとってはやっぱり『E.T.』や『ジョーズ』の人なんですよね。
しかしこの映画は単にスピルバーグのまねっこに終っているのではなく、独自の要素も盛り込んでいます。それは主人公たちが映画のロケ隊であるところ。そもそもタイトルの「スーパー8」とは、かつてコダックが発売していた8ミリフィルムの商標なんだとか。子供たちが映画作りをする、という点では昨年『リトル・ランボーズ』という作品もありました。『リトル・ランボーズ』も大変良かったけれど、わたしはどちらかといえば『SUPER8』の方が気に入りました。それはもっぱら二人で撮影している『リトル~』に比べて、こちらはチームものだから。
やる気まんまんのリーダーに、火薬に狂ってる効果係、大人の役ができるノッポくんに、演技力抜群の女の子・・・・ と、映画を作ってみたいと思ったことのある者としては、「こんな仲間がいたらいいなあ」と思わずにはいられませんでした。
特によかったのがチームのリーダーであり、主人公の親友でもある太っちょのチャールズくん。単なる映画バカかと思いきや、お話の途中で急にやる気をなくシーンがあります。その理由というのがなんとも涙なくしては聞けないものでした そう・・・ 映画オタクのみなさんはジョーよりも、むしろこのジャイアン君にどっぷり感情移入してしまうことでしょう。
キングの方のスティーブンを思わせるようなモダン・ホラー的な展開と並行して、映画では実に健康的なテーマが語られます。以下は中バレしてるので、ご了承ください。
そのテーマとは「仲直り」。ジョーとヒロインのアリスは、それぞれシングルのお父さんとあまりうまくいっていません。そして二人のお父さん同士にもこれまたややこしい因縁があります。しかし町を見舞った災厄をきっかけに、みんな自分の本当の気持ちに気づいていきます。ついにはモルモット扱いされていた宇○人とも仲直りしてしまいます。
まあさっきまでバクバク食われてた人たちはかわいそうだな・・・とか、E.T.とはともかく、宇宙版ジョーズとはコミュニケーションできないんじゃないかな・・・・とも思うのですが、見逃します。それほどにあちこちツボな映画でした
この『SUPER8』ですが、やはりスピルバーグの名がものをいったのか、日本では『パイレーツ・オブ・カリビアン』を押しのけて三週連続のトップを記録。ただアメリカでは二週目2位→三週目4位と順調に下落しているので、こういうノスタルジーものというのは日本の方がウケがいいのかもしれません。
すでに先週末からはあの『ハリポ』完結編が始まってるので、世間的には「あ」というまに忘れられてしまうかもしれませんが、『SUPER8』、今年を代表する一本として、覚えておきたいものです。はい。
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でも友人が観たら結構良かったそうで。
やっぱり観てみないとね。
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Comments
伍一くん☆すーぱー8ッスコ
実は我が家でもスーパー8使っていました。
うんうん、懐かしい。
この映画、こんなに忙しいのに観たよー(爆)
もう体力もたないくらい疲れているけど、やっぱり映画は栄養ドリンクだね。
最後の絵がすごい似てる!!
青春ムービーは、エイリアンが漠々人を食っているのに、なんだかさわやかで笑えるね。
Posted by: ノルウェーまだ~む | July 20, 2011 05:18 PM
伍一くん、スーパー8キンすこ。
まだーむと変わらない挨拶だわね
スピルバーグ、
シンドラー、
E.T シリアル人形実家から持ってきた。
LOST
なにやらびんびん連なっているのに、さっぱり知らい作品。
こりから調べてみます。スーパーエイト。
27日は楽しみです!!宜しくねー!!
Posted by: hino | July 21, 2011 05:36 PM
>ノルウェーまだ~むさん
スティーブンスコ~
いやア、意外とメジャーな商品だったのですね「スーパー8」
わたしゃタイトル聞いた時、新手のヒーローものかなにかだとばっかり(笑)
忙しいあいまを縫っての鑑賞お疲れ様でした。でもこの映画、それだけの価値はあったと思いますよん
そうそう、ゾンビ少女に恋してしまう少年のときめきがまぶしかったですね。そしてデブくんの切なさも忘れないでいてあげてください
Posted by: SGA屋伍一 | July 21, 2011 10:36 PM
>hinoさん
スピルバーグンスコー!
これ、わたしはすっごいツボだったんですけど、hinoさんはどうでしょう。正直、未だにあなたのセンスがいまだによくわかりません(笑)
むかしETに心ときめかせたならば、きっと楽しめるはず?
ところでわたくし、仕事変ってからブクブクと太ってしまいました
どうしよう・・・ こんなおなかじゃ憧れのhinoさんに会えない・・・
でも27日は行きます(笑) よろすぐ~♪
Posted by: SGA屋伍一 | July 21, 2011 10:41 PM
伍一くん同様ツボだったなぁ。
スピルバーグが基本的に好きじゃないとダメかもしれない
とは思うんだけどね。
今時の激しいSFもそりゃ面白いんだけど、このなんとも
80年代なテイストが好きです。落ち着きます(笑)
Posted by: KLY | July 22, 2011 12:58 AM
先にゆきえどんとまだーむが来てる
私はETに昔ときめかせて好きなんだけどこれは,,,,
あのバケモノとの交流でひいたわ(笑
(ゆきえちゃん向けではないかも 笑)
伍一君太ったんだ?
yueもノルウェーと札幌の美味しいご飯で太ってたみたいだけど、、、夏って痩せるのにね。
最後のエルちゃんの絵が何気に似てるかも☆
Posted by: mig | July 22, 2011 08:27 AM
あ、⇧最初の1文は昨日書いたものコピペだったので。
KLYさんもきた☆ (余計な1文だったわ
Posted by: mig | July 22, 2011 08:28 AM
>KLYさん
おかえしども
そうですね。『トランスフォーマー』や『アバター』に慣れてしまった世代には少しものたりないかもしれませんが、
『ET』や『グレムリン』を観ていて「これ、どうやって撮ったんだろう?」と思ったときの感動がよみがえってきました。まあこれはCG使ってるわけですが
80年代の特撮映画は、そういう奇術のネタを探るような楽しみがありましたよね
Posted by: SGA屋伍一 | July 23, 2011 10:04 AM
>migさん
ども。おかえしありがとん
そうだねえ。あそこで怪物がゲロゲロっと食べちゃった人を吐き返してくれれば文句はなかったんだけどねえ(そういう問題じゃないか)
夏は体がエネルギーを逃さないために意外とやせないという話を聞いたことが・・・ こないだもズボンから肉がはみ出てたでしょ(笑) どげんばせんといかんことです・・・
27日は上のメンバーは全員集合だね。気がつけばもう4日後か。はやいな~
Posted by: SGA屋伍一 | July 23, 2011 10:10 AM
私もとってもツボでした〜
あとから他の方のレビューなど見て、たしかにツッコミどころいっぱいあるなーと思ったくらいで
観てるあいだはさして疑問にも思わず楽しみました。
デブくんはじめ、子供たちのキャラもとってもよかったですね。
とくに火薬少年がお気に入り☆
最後のゾンビメイクファニングちゃん、お上手。首のかたむきかげんといい(笑)
最初のはなにげにエイトマンだし
Posted by: kenko | July 25, 2011 09:01 PM
>kenkoさん
どもー 毎度ごぶさたですいません
まあご本家のスピルバーグ作品も、あとでふりかえればツッコミどころのヤマでございますが、観ている間は夢中ですもんね
火薬くんいいですよね。彼のイカレタ趣味のおかげで最後はみんな助かったようなものだし。がんばって立派な花火師か特殊効果係になってほしいものです。道をあやまって放火魔になりませんように・・・
エルちゃん、なんだかオカマっぽくなってしまいましたが、みなさんほめてくださってやさしい
Posted by: SGA屋伍一 | July 26, 2011 01:42 PM
自分も見てきました。
終了ギリギリ。
ノスタルジックさは感じるけど、映画を作ろうという発想が羨ましかったです。
ジョーにも、エイブラムズにも。
アメリカの子供はおもちゃに8ミリカメラを持ってるもんなんですかね?
自分なんか友達相手にヒーローごっこが精一杯でした。
エンドロールの短編も面白かったです。
Posted by: 大吉 | July 28, 2011 09:42 PM
>大吉さん
こんばんはー
アメコミ好きな大吉さんですが、まさかヒーローものと間違われて観た、というわけではないですよね
いまハンディカムが手ごろな商品であるように、あのころのアメリカには普通に八ミリカメラが置いてあるものだったのでしょうか。わたしが子供のころは写真を撮るカメラでさえ高級品でしたけどね・・・
わたしもエンドロール大好きです。あのデブくんはエルちゃんとくっつくことはないだろうけど、きっと将来、名監督として名を馳せるでしょう
Posted by: SGA屋伍一 | July 29, 2011 10:03 PM
こんばんは
最後のアリスのイラスト,ナイスですね!
私もこの作品、1か月も前に観てたのですが
なぜか億劫でアップしてなかったです。
億劫といえばブログ自身億劫になっちゃって
これではアカン,このままフェイドアウトはいくらなんでも・・・と
無理やり書いたのでなんとも気のないレビューになってしまいました。
一応TBしときますね。
SGAさんのレビューを読んで「そっか!テーマは仲直りか!」と
なんか嬉しくなりました。
鑑賞後の爽快感はそこから来ていたんですね・・・・
エル・ファニングちゃん,大人っぽく美しくなっててビックリ。
Posted by: なな | August 09, 2011 10:39 PM
>ななさん
こちらもご無沙汰しててすいません
上の記事を読んでいただければおわかりのように、ここんとこ引越しでばたばたしてまして。ちょっとだけライブドアに移行してたりもしてたのですよ(笑)
でもななさんとこはコメントこそ入れてませんでしたが、マメにのぞいていたのですよ。そちらがなくなってしまうのはとても切ないので、惰性でもなんでも続けてくださるとうれしいです。継続とは力なり~
やっぱり仲直り大事ですよね。ななさんも生徒さんたちがケンカしたときは仲直りさせるのに骨折ってらっしゃると思います
エル・ファニングちゃんの大人っぽさにはびっくりでした。お姉ちゃんがちょっと無理してるような印象なのにくらべ、とても自然体だなあと
Posted by: SGA屋伍一 | August 09, 2011 11:20 PM