すっとこ七番勝負 エドガー・ライト 『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』
カナダはトロントに住む冴えないバンドマン・スコットは、ある時不思議な美少女に会う夢を見る。目覚めた翌日、スコットは驚愕する。なんと夢に出てきた女の子と再会?したのだ。運命の恋とばかりに、彼女・・・ラモーナに告白するスコット。だがそのことにより、彼はラモーナの凶悪な七人の元カレ(女子一名含む)と対決することに・・・・
『ホット・ファズ』のヒットで日本でも知られることになった鬼才エドガー・ライト。その彼のハリウッド・デビューとなったのがこの作品。人気アメコミが原作ということでヒットは間違い無しと思われたのですが、これがどういうわけか大コケ。日本での公開も危うくなってしまいました。しかしまたしても(笑)バカ映画ファンの皆さんの署名により、当初より遅れながらも公開が決定。『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』、ご紹介します。
先ほど述べたように、この映画、アメコミが原作であります。ただアメコミの主流はリアルな絵柄のヒーローもの。コミカルタッチの『スコット・ピルグリム~』は、アメコミの中ではどちらかといえば異色な部類に属します。
このヘンテコな漫画の源流は、実は『うる星やつら』や『らんま1/2』といった日本のラブコメ作品にあるようで。それらの高橋留美子作品はアメリカでも熱心なファンを獲得し、『ニンジャ・ハイスクール』なんていうヒット作も生み出すことになりましたが、まあそれはまた別な話。主人公が優柔不断で、唐突に恋に落ちて、唐突にバトルが始まってしまうあたりはたしかに高橋作品を彷彿とさせます。
この映画にもうひとつ深い影響を与えているのがテレビゲーム。それも最近の実写とみまがうようなものではなく、ピコピコといった電子音がなり響く80年代調のもの。バトルが始まると上にHPのゲージが表示されたり、敵が倒されるとコインになってしまうあたりは、スーパーマリオやスパルタンXに熱中した者としては懐かしくてたまらない気分になりました。・・・まあ、ぼくんちではゲーム機は買ってもらえなくて、友達の家でやらせてもらうしかなかったんですけどね・・・・ ふううう・・・・ あ、また脱線した
では単なる中身空っぽのアホバカ映画かというと、原作に込められたテーマか、エドガー・ライトの資質ゆえか、なんだかラブコメ漫画にしては意外なほどの叙情性も(時々)漂っていたりします。
ヒロインのラモーナがなぜスコットの夢に出てきたのか。これに対して何の説明もありません。さらにはどこでもドアのような扉が出てきたり、キャラたちが「ありえねー」必殺技を繰り出したり、おおよそ現実世界の話とは思えません。それこそ誰かの夢の中をずっと覗き込んでいるような気分にさせられます。加えてトロントの夜に広がる雪景色が、ムダにファンタジックなムードをかもし出してもいます(笑)
あと前作『ホット・ファズ』でもありましたが、誰かと思いを分かち合いたい、だけどそれがなかなかうまくいかない・・・ そんな孤独感についても描かれていました。シュールなギャグでごまかしてはいますが、エドガー・ライト氏、けっこう寂しがり屋さんなのかもしれません(笑)。
『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』は現在首都圏を中心に公開中ですが、徐々にその他の地方でも巡回していく予定のようです。ちなみに渋谷のシネマラ○ズにはエドガー・ライト監督へ贈るでかい寄せ書きが置いてあるのですが、そこへ空気も読まずパンダの落書きを書いてきてしまいました。これから行かれる方はぜひ注目し・・・ いや、やっぱりいいです・・・
Comments
まーなんともゲームチックでした。
でもちょっと長かったです。3人目ぐらいまでは楽しく観てたんですが、これが7人目まで続くのかとおもったらちとウンザリしちゃった。(苦笑)まあ斉藤兄弟なんかまとめて1人にされちゃってたけどねー(爆)
Posted by: KLY | May 29, 2011 08:37 PM
>KLYさん
こんばんは! さっそくありがとうございます
わたしは長くは感じませんでしたが、なかなか冒頭バトルに入っていかなかったじゃないですか。その辺が不満だったかな~
むしろ最近観た『ミスター・ノーバディ』の方が「もうちょっと編集で短くできんのかな・・・・」と思いました。こちらも面白かったですけどね。おいおい記事に書きます・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 29, 2011 08:54 PM
伍一くん、ピルグリムんすこー☆
これは伍一くんにぴったりな映画でしたね。(笑)
前から観る見るって言ってたのを知っていたので、私も観てみることにしたのよ。
最初の漫画ちっくに対して、めっちゃ可愛い最後の人は・・・誰?可愛すぎてわからんかった・・・
私はラスト死んだのにライフで復活!っていうところが、子どもを持つ親としてはやって欲しくなかったなーと思いました。
Posted by: ノルウェーまだ~む | May 30, 2011 09:12 AM
>ノルウェーまだ~むさん
スーパードンキーコングスコー♪
そー 『ホットファズ』のエドガー・ライトがアメコミを手がけるというんで、すごい楽しみにしてたんですね
もしわたしのせいでうっかるハズレ作品をひいてしまったならすいません
最後の子は一応ラモーナちゃんということで・・・ 毎度似てないけどねー!
そうですか・・・ お母さんとしてはそんな風に感じるものなんですね。わたしはもうこの映画は夢の中の話と割り切って見ていたので、さくっと生き返ってしまうのもアリだと思いました。そんな夢、よく見ませんか?(見ないか?)
Posted by: SGA屋伍一 | May 30, 2011 09:28 PM
あれー?更新分からなかったわ☆
ミスターノーバディ観たのね?
わたしはこちらの方が長く感じたなぁ。
でもこちらの方が断然 伍一君向きだよね。笑
もうちょっとキャラが皆魅力的だったらなぁ。
ゲーム(対決自体をもっと面白くするとか)一人一人が弱かったかも。
Posted by: mig | May 31, 2011 01:18 AM
>migさん
こんばんばん
そう、これを観たのはGWに某ギャラリーに寄った日だったね・・・ そいつを今頃書いてるわけだ
おっしゃるとおりこっちの方がわたし向き。みんなスコピルに冷たいよな・・・ なんか無性にこの映画のことをかばいたくなってきたよ! 例えば元カレ君たちの倒し方は一人一人違ってて工夫してたんじゃないかなあ。中には「おいおい」というのもあったけど
『ミスターノーバディ』の記事書いたらまたお邪魔するね。その前に二本ばかり宿題をかたずけてから・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 31, 2011 08:41 PM
ユニバーサルのロゴからして、ピコピコゲーム風にアレンジしてあって好きでした。
いろいろ腑に落ちない点もあったけど・・・
(ラモーナの魅力が分からんとか・・・)
邪悪な元カレのキャラは、最初のカレを筆頭にどれもツボでしたし
結果的には非常に楽しめました。
慣れ親しんだ高橋留美子的なノリも、もちろん。
そういえば先日、『ファンタスティックMr.FOX』観たときに初めて
『メアリー&マックス』の予告編観たのですが
予告でもう、ちょっと泣いてしまいました。
うちの方では7月に上映されるようです。
いつもよく行く映画館♪たのしみです。
Posted by: kenko | June 02, 2011 12:01 AM
>kenkoさん
こんばんはっす! おかえしどうもありがとう
ラモーナも微妙でしたが、チャイニーズの子もバンド仲間の子も微妙でしたね~ しかしこの年になると、はっとするような美人よりも美人と微妙の境界線にいるようなルックスにドキッとしたりするものです(単にマニアックとも言う)
微妙といえば元カレさんたちもそろって微妙なルックスでしたねw 斉藤兄弟もすっかりくどくなっちゃってまー 『タッチ』でさわやかだったころが懐かしい・・・
『メアリー&マックス』、そちらでもあと少しで上陸ですか。本当にもう・・・すごいよ?
すでに今年の暫定的マイベストです。特別な事情もあって(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | June 02, 2011 10:49 PM