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May 03, 2011

夢見る少女でいていたい ザック・スナイダー 『エンジェル・ウォーズ』

2011050314570000『300』『ウォッチメン』での緻密な映像センスにより、うるさがたのオタクたちさえもうならせたザック・スナイダー。そのザッ君の新作はいたいけな女の子が暴れまわる、妄想バトル女囚アクション? 『エンジェル・ウォーズ』ご紹介いたします。ちなみに原題は『サッカー・パンチ』というのですが、諸般の事情(笑)でこのタイトルとなった模様。

遺産を狙う狡猾なおじの企みにより、ある施設に囚われの身となってしまう少女ベイビー・ドール。希望を失いかけていた彼女だったが、突然その脳裏に何ものかのメッセージが届く。「戦って、必要なものをそろえ、ここから脱出しろ」
その言葉に勇気を得た彼女は、同じ境遇の少女たちと手を取り合い、脱走の計画を練り上げていく。

非常に説明しづらい映画です(笑)。予告編を観ますと巨大なサムライロボットやドラゴン、未来都市を走る超特急など、中二君たちが大好きなものが次から次へと出てきます。これが上のストーリーとどう絡むのかというと、「本編をみてください」としか言いようがありません。それほどまでによく言えば独特、悪く言えば強引な作品です。公開前の情報などから「頭の悪い『インセプション』みたいな映画かな~」なんて予想してましたが、「想像力」が重要な要素であることは同じであるにせよ、あちらよりももっと観念的な作りになっておりました。

では映像だけがキモで中身はすっからかんなのかというと、それなりにテーマらしいものもあったりして。その一つは『スラムダンク』の安西先生が言うところの名台詞「諦めたらそこで試合終了ですよ?」というもの。
スナイダー作品の主人公たちは大抵劣勢な立場にあります。300人で100万人と戦わねばならないスパルタ軍。政府から活動することを禁止されているヒーローたち。そして『エンジェル・ウォーズ』の少女たちは、ただでさえ非力な上に、厳重に警備された場所に閉じ込められているという状況。しかしそんな境遇にあったとしても、心だけは折れてはいけないのだということをザック監督は説きます。精神力と想像力さえ保っているならば、ほかの事は大抵なんとかなる・・・・んでしょうか? うん! そうだ! そうに決まってる! そういうことにしときましょう。

もうひとつのテーマは結末を割らないと書けないので、これから見ようかという方は避難されてください。

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必要なもの五つのうち、四つまではそろえたベイビードールたち。しかし最後のブツはなんとベイビー・ドール自身でありました。「現状を打破する・勝利を得るためには犠牲が必要不可欠」 ・・・・これまた『300』『ウォッチメン』と共通するテーマであります。バッドエンドとはいいがたいけれど、ハッピーエンドには程遠い、そんな結末。映像重視で脳天気なオタクさんだと思われがちなザッ君ですが、けっこう深刻というか悲壮なお話が好きなんじゃないでしょうか。

2011050314560000ただそれらのテーマも、女子高生がパンツ丸出しでロボと戦ってる映像と一緒では、イマイチ伝わりにくいかもしれません。本国でも日本でも興行が微妙な結果となっているところにそれが表れています。わたしはこういうの好きですけどね。永遠の中学二年生なので。
そんなわけで「我こそは中二スト!」という方は必見です。見逃してはいけません。
『エンジェル・ウォーズ』はまだ全国の劇場で(一部で)絶賛上映中であります。

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Comments

伍一くん、永遠の中二病!!?
いやー、中2ったらうちの息子だよねー
人生で一番バカな年頃なんだよねー
イースターの連休が2週続いてあるこの時期、塾が親素観ナノをいいことに、1週間まるまる遊んでいたからねー
何で宿題やらないの?と聞いたら、「旅行に行ってできない人に合わせている」とのたもうた。
もうこなるとバカ過ぎて、わが子ながら・・・

さて、そんな彼がいつもやっているゲームっぽいこの映画。
ハッピーエンドにならないゲームはやってても観てても辛いですね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 03, 2011 at 11:40 PM

あ、焦って変な変換に・・・
塾が、お休みなのをいいことに~でした。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 03, 2011 at 11:42 PM

個人的にはあんまり階層つくらず素直にドンパチして欲しかった
かなぁ。結局それが観たくて行ってるんで。(笑)
やっぱあのバトルシーンの映像やら設定が最高にスナイダー
らしいですもんね。

Posted by: KLY | May 04, 2011 at 12:28 AM

さてこれは賛否わかれてるけど私はどっち派になるかなー
とかいいながら興味ないんだけど(笑)catface

原題「サッカーパンチ」のままだったら観たかも。
なんで替えちゃうんだろ。
明らかにチャーリーズエンジェルからとってるよね〜。


最後の画、美人ちゃんshine

Posted by: mig | May 04, 2011 at 01:30 PM

>ノルウェーまだ~むさん

第二反抗キンスコ~
西原理恵子さんの『毎日かあさん』にもありましたよ。そんなエピソード(笑)。うーん、ご子息にはすごく親近感を感じるなあ。もしかすっとわたしより精神的に大人かもしれんけど・・・

映画はともかくすんごく苦労してクリアしたゲームがバッドエンド不可避だったら、プレイヤーは怒るでしょうね~ それこそ金返せ!と思うのではないでしょうか

「お休み」・・・「親素見」 これ、なんか当たらずも遠からずな当て字ですね。も親としては黙って見ているわけにはいかんでしょうね(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | May 05, 2011 at 10:47 PM

>KLYさん

こんばんは~
そういう造りにしておけば、一般的な評価はもっとあがったでしょうね
この作風ならもっと予告編はアート系というかリンチっぽいものにしとかないと。それじゃ客は集まらないかもしれないけど(笑)
わたしはこれも楽しんだけど、ザック監督はいい原作があったほうが本領を発揮できる人のような気がします

Posted by: SGA屋伍一 | May 05, 2011 at 10:55 PM

>migさん

昨日はどうもありがとう~ そして仕事増やしてすいませんでした(_ _ ;

いやあ、この映画どっちかというとmigさん喜ぶと思うんだけどなあ。出てくる女の子たちがみんなあでやかでかっこいいし。あんまし時間ないようだから無理にはすすめないけど

タイトルを変えたのは、原題のままだとサッカーの映画だと思いこむ人がいそうだから、とか(笑)

絵の子は似てないけど、前に『夜にも不幸な物語』に出てた子なんだよね。すっかり変っててビックリした・・・・


Posted by: SGA屋伍一 | May 05, 2011 at 11:02 PM

こんばんは!(^_^)
そうそう、ベービードールは『夜にも不幸な物語』に出てた子なんですよね〜。
なんかイメージ違う大人になったんだなぁ〜って私も思いました。
私も精神年齢が中二?(高二くらいかな?)なせいか
結構楽しめましたが、ラストはねぇ・・・・・。
まあ、ハッピーに終わらせないとこがなかなか一筋縄じゃないですよねー。

Posted by: ルナ | May 10, 2011 at 01:49 AM

>ルナさん

おはようございます。返事が遅れてすいません
『世にも不幸な物語』、ちょっと懐かしいですね。大物のカメオ出演には「おっ」と思ったけど、全体的にあまり印象に残らない映画でしたcoldsweats01
『エンジェル・ウォーズ』はラストに賛否両論ありますが、あのラストのせいでそれなりに印象に残る作品になったと思います

ルナさんはブログやツイッターを読む限り「大人だなあ」という印象を受けますよhappy01

Posted by: SGA屋伍一 | May 11, 2011 at 10:31 AM

こんばんは!ご無沙汰してますー

ザッ君オリジナルなだけに、どストレートに趣味が出てて
ぼちぼち中二ストな自分としては楽しかったです。
どういう構造の話か飲み込むまでじゃっかん混乱したけど〜
『インセプション』のときみたいに、眠くはならなかったcoldsweats01
結末は思いがけずしんみりしてて、ザッ君あんがい真面目な人なのかもとも思いました。
ちょっとキリヤンムービー連想したりもしました。

Posted by: kenko | May 12, 2011 at 08:05 PM

>kenkoさん

お返しサンクスです。とても嬉しいっすhappy01

うん、kenkoさんならこの作品気に入られるだろうと思いました。いや、中二ストだからってわけではなくcoldsweats01 
あきらかに人間の能力を超えたジャンプを決め決めのポーズで飛んでるあたりに弐瓶先生の漫画にも似たところを感じたので。そういう意味では田坂に確かにキリヤンぽくもありますね。ちょっと物悲しげな物語展開も似てます

ちなみに今日はこれから『ザ・ファイター』と『ブラック・スワン』を観てくる予定~ 『ブラック・スワン』も言ってみれば「女の戦い」のお話ですが、こちらよりおっかなそうだshock

Posted by: SGA屋伍一 | May 14, 2011 at 09:23 AM

「我こそは中二スト!」 。。。だからボクも見ましたよ。。。

>ただそれらのテーマも、女子高生がパンツ丸出しでロボと戦ってる映像と一緒では、イマイチ伝わりにくいかもしれません。

いや、パンツ黒だったじゃん。純白はけよって話ですよ。。。『ダンサーインザダーク』の真反対みたいな映画だったという感想くらいしか、ないですが。。。

踊りそうで踊らない、あのおあずけ感だけは、まっとうな映画になっていた気がするのですが。。。ところで 『ブラックスワン』 ってもう記事書いたのかな? あした観にいくかも。。。

Posted by: 裏&山 | June 02, 2011 at 10:33 PM

>裏&山さん

はじめまして。。。 ってあなた裏山さんでしょー! み~ん。。。
そう。パンツは純白に限ると言ったのはダッシュ勝平でしたね
こないだの『GANTZ』完結編でも大胆なパンツ丸見えシーンがありましたが、すでに何色だったかは忘れてしまいました。。。
しっかりチェックしてる裏山さんは偉いなあ。。。
真っ白なパンツが印象的な映画といったら、やっぱりエイリアン第一作でしょうかね。なんでこう殺伐とした映画ばっかりなんでしょう。。。

ブラックパンツ、じゃなくてスワンは半月くらい前に観ました。あと二つくらいあとに書きます。いや、これウラヤマサン向きの映画だとおもうよ。。。 み~ん。。。

Posted by: SGA屋伍一 | June 02, 2011 at 10:55 PM

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