ブラックボールによろしく 奥浩哉・佐藤信介 『GANTZ:PERFECT ANSWER』
♪ヘイヘイへヘイヘイ 屁にいれーろ ヘイヘイヘヘイヘィ屁にいれーろ
予想を越えたヒットとなった『GANTZ』第一部から三ヶ月。劇場版完結編が満を持しての公開となりました。てか、何をいまさらって感じですよね。『GANTZ:PERFCT ANSWER』参ります。ちなみに第一部のレビューはコチラ。言うまでもありませんが、一応第一部を観てからご覧ください。あとこの記事もそこそこネタバレしてるのでご注意のほど。
おこりんぼう星人との激闘で親友・加藤を失ってから半年。玄野は彼を取り戻すためになおも過酷な戦いを続けていた。加藤を復活させるまであと少しとなった時、突然玄野の前にその加藤が姿を現す。困惑する玄野をよそに、「星人」たちはひそかに勢力を結集。最終決戦が迫る中、ガンツに異変が生じ始めた・・・
単行本にして現在30巻が刊行され、しかもまだまだ終わりそうもない『GANTZ』原作。しかし映画は「二部作で完結」ということが決められています。そんなわけで第一部では原作どおりだった劇場版『GANTZ』も、第二部ではしょっぱなからオリジナルな展開を突き進みます。果たしてその選択が凶と出たか吉と出たか・・・・
前半はなかなか良かったと思います。GANTZがなぜ特定の人間を殺すよう命令を出し始めたのか? その中に何の関係もなさそうなタエちゃんがなぜ入っているのか? まだ死んでるはずの加藤がなぜ生き返ったのか? そういった謎で観客をひっぱると共に、走行中の地下鉄でのアクションがハンパなくすごい。
猛スピードで走る車両から弾きだされたと思いきや、ガンツスーツのパワーを極限まで引き出して、またその中へと飛び乗っていく描写なんかは鳥肌が立ちました。・・・で、問題は後半ですね(笑)
先ほども述べましたように、「終らなければならない」という命題を与えられた劇場版『GANTZ』。しかしその「終る」ということに力を入れすぎたためか、あんだけがんばってたアクションが普通のチャンバラになってしまったのはなんだかさびしいものがありました。あと第一部に出てきたヘンテコな星人連中が、人間スタイルになってしまったのも物足りなかったりして。
加えて第一部はクライマックスに向けてどんどんボルテージが上がっていくような作りになっていたのに対し、こちらはヤマ場が近づくにつれ人間側が壮大な仲間割れを始めたりして、なんだかゲンナリしてきてしまいました。
まあその分内容は深くなったかもしれません。こういう流れにしたことで、「自分が生き残るためなら敵・誰かを殺してもいいのか?」「いったいどうしたら戦いを止められるのか?」ということを考えさせる作りになっていますし。
しかしこちらはエンターテイメントを存分に楽しむつもりで観に来てるので、そう簡単にはシフトできないのです
そしてある意味一番ショックかもしれないのが、題名にもうたわれてる「完全な答え」。これ、設定上の謎の解明を期待すると思いっきり肩透かしを食います(笑)。要は決着のつけ方というか、最良の解決方法、みたいな意味ですね。しかしこの完全な答えというのがなんともかわいそうなものでして・・・ 劇場を出たあとなんだかしばし呆然としてしまいました。
ただ、時間が経ってこの映画のテーマ曲を繰り返し聴いているうちに、不思議なことにあのオチはあれでいいんじゃないかと思えてきたのですね。この映画の最も優れたもののひとつは、川井憲次氏の作り出したこのサウンドかもしれません。作品にこめられた恐怖、哀しさ、生きようとする意志、誰かへの思い、そしてわずかな希望・・・ そういったもの全てがよく表れた名曲だと思います。
『GANTZ:PERFECT ANSWER』は現在全国の劇場で大ヒット公開中。黒玉、黒鳥、黒ひげ・・・ 今年の上半期の映画、やけに「黒」が目立つのはなぜ?
Comments
完全なる答えは私はあれもありかなって思ってます。
でも前作がクライマックスに向けてどんどん盛り上がっていったのが、今回はげんなりしたってのは解る気がする。
最後はうおー!ギュイーン!ボカーン!ウッシャー!ニコニコ^^と劇場を後にしたいもんだしね。この作品の場合。(笑)
Posted by: KLY | May 18, 2011 10:28 PM
>KLYさん
毎度どもー!
>最後はうおー!ギュイーン!ボカーン!ウッシャー!ニコニコ^^と劇場を後にしたいもんだしね
第一部はまさにそんな感じでしたからね!ここはぜひいなかっぺ星人や大阪の妖怪軍団をそんな勢いでけちらしてみせてほしかったんですが
原作完結ごろに第三作とか、作ってくれないかな・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 19, 2011 11:01 PM
私的には、ふぅ〜〜ん!って感じのオチで、
なんとなく肩すかしでした。
原作の完結はまだ先のようなので、なんか無難なトコで
しめておきました!って感じでしょうか。
地下鉄の戦闘シーンあたりまでは結構良かったのですが
人間側の仲間割れくらいから、私もちょっとげんなりしてしまいました。
で・・・私の最大の疑問!GANTZはエイリアン???
Posted by: ルナ | May 21, 2011 01:20 AM
>ルナさん
肩すかしでしたか~ まあわたしはそのあたり最初からあんまし期待してなかったので、「それなりに考えたじゃん」と思いました
でもあれで万事解決するのかな?と思うと確かに腑に落ちないものがありますね。GANTZさんもそれなりに理由があって、あのバトルを開催してたんだろうし。果たしてあれは誰が何の目的で作ったのか? その謎はぜひ第三作で明らかにしてほしいです(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | May 22, 2011 09:33 PM
SGAさんこんばんわ♪過去記事失礼します。
終わらせなければならない、纏めなければならないという括りを意識しすぎたせいなのか、自分も後編の本作は前編超えとまでは行かなかった気がしますね。前編は星人やガンツスーツなど、本当に漫画の方を忠実にしていた部分が多数見受けられたのでそれだけでも満足できたのですが、本作は映画のオリジナリティが強かった分忠実度が薄かったのが、イチファンとしては正直ちょっと残念。
・・ですがその漫画の方はまだ全然収拾付く様子もないだけに、ラストの結末は映画ならではの良い〆方なのもまた然り。まあ確かにPERFECT ANSWERという副題は、物語全体の謎の解明みたいに勘違いしちゃうのも無理はないですよねぇ^^;
それに戦いを終わらせるための自己犠牲決断っていうのは、やっぱりどこか『ブレイド』の剣崎も思い出しちゃうわけでっw
Posted by: メビウス | October 22, 2011 09:00 PM
>メビウスさん
今晩は~
鑑賞直後は「それじゃ玄野くんがかわいそすぎだろ~っッ!!」と絶叫した?わたしもさすがに五ヶ月も経つとだいぶ落ち着いてきました(笑)
第二部ではややトーンダウンしたものの、今年一番印象に残った邦画というとやっぱりこの二部作ですかね(すでに回顧モード)。てゆうか他に実写邦画というとジョーとSPくらいしか観てない
原作の方は最近ますます絶望的な展開になってきてますよね。むしろそっちの方がちゃんと終わってくれるのか非常に心配です。一応先生の頭の中ではすでにラストの構想はできあがっているようですが・・・・
それにしても『ブレイド』ってなつかしいなあ。剣崎くんはいまだにどこかをさまよっているのでしょうか。こないだの『オーズ』もアンクの自己犠牲的決断がなかなかに泣かせるラストでしたね
Posted by: SGA屋伍一 | October 23, 2011 10:19 PM
伍一君☆パーフェクトアンスコ~
そうかー、原作ファンほど1作目なんだね。
私はそもそも星人がクールな作品に奇妙だな・・・と思っていたので、敵が人間の姿でなんとなく安心しちゃったかんじ。
だけどその分、誰が敵で誰が味方かわからない(それはそれでスリルなんだけど)し、だんだん訳わかんなくなってきたし・・・
ラストの方は、もう判んなくても、彼の出した答えがパーフェクトだからいいやってなったよ。
Posted by: ノルウェーまだ~む | January 26, 2012 11:10 AM
>ノルウェーまだ~むさん
完全回答スコ~
うーん、原作と違う方向にいくのはかまわないんですけどね。もっと盛り上げてほしかったというとこですか
>そもそも星人がクールな作品に奇妙だな・・・と思っていたので
うん、このアンバランスさが面白い反面、ひいてしまう人はひいてしまうだろうなと。筒井康隆のブラックユーモア作品に似た世界だと思うんですよね
>ラストの方は、もう判んなくても、彼の出した答えがパーフェクトだからいいやってなったよ。
あはは ちなみに原作は最近ますますえらいことになってます・・・ あと前半で刀ふりまわしてた綾野剛くんはいま朝のドラマ『カーネーション』でブレイクしておりますね
Posted by: SGA屋伍一 | January 26, 2012 11:32 PM