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April 30, 2011

現代ギリシャ悲劇 テオ・アンゲロプロス 『エレニの旅』

2011042915340000「旅」をテーマにした叙情的な作風で知られるヨーロッパ映画の巨匠テオ・アンゲロプロス。前から興味はあったのですが、なかなか作品を見る機会がなく。しかし先日ようやっと某名画座で拝見することができました。2004年の作品『エレニの旅』です。

お話は1910年代から始まります。ロシア革命から逃げてきて、祖国にコミュニティを築いたギリシャ人の一団がありました。その中にはリーダーに拾われた幼い少女エレニの姿もありました。時は流れて、美しく成長したエレニを、村長のスピロスは妻に迎えようとします。しかしスピロスの息子アレクシスと愛し合っていたエレニは、彼と二人手に手を取って、村から駆け落ちするのでした・・・

この辺でまだ序盤のストーリー。ここでめだたしめでたしとなるお話も少なくありませんが、エレニはこのあとひたすらかわいそうな運命に弄ばれます。
彼女を翻弄するもののひとつは育ての親でもあるスピロス。エレニをあきらめきれないこの老人は、彼女と息子をその後もしつこく追い回します。本当に年寄りが若い娘にトチ狂うというのは、見ていて非常に情けないものがありますが、自分も将来そんな風になりそうな気がしてちょっとイヤでした

ギリシャの圧政や内戦もエレニを苦しめます。この映画はギリシャ版『女の一生』であると同時に、かの国の近代史の側面ももっています。ギリシャといえばまっさきに神話とか文明とかが思い浮かんでしまって、二十世紀はどんなだったかよく知りませんでしたが、第二次大戦前後はそれは悲惨な状態だったようです。そんなやるせないムードに、アレクシスの奏でる物悲しいテーマ曲がよく似合っておりました。

巨匠アンゲロプロスはそんな激動の物語を極めてまったりとした、おごそかなタッチで語ります。ロングにひいたカメラで、美しい絵をじっくりと見せるような手法。時として映画を観ているというより、美術館を巡っているような錯覚に陥りました。
そしてその絵には、よく大河や海といった雄大な水の深みがモチーフとして使われています。悠々とたたえられたそのイメージは、個人ではどうすることもできない歴史や運命をさしているのかと思いましたが、どうにもしっくりきません。あるいはエレニそのものの象徴なのか。・・・いや、ほら、よく「女は海」とか言うじゃないですか。

2011042915350000そんな『エレニの旅』は現在紀伊国屋書店よりDVDが発売中。アンゲロプロス作品はちょくちょく特集上映も行われているので、そのうちこの作品もどこかの名画座で見る機会があるやもしれません。
アンゲロプロス氏は『エレニの旅』を「二十世紀三部作」の第一部として構想。そして第二部にあたる『第三の翼』がすでに2009年に完成しているのですが、いまだ日本では公開されておりません。でもどうやら今年中にはなんとかなりそう・・・・とか? 煮え切らない締めで恐縮ですがcoldsweats01ファンの方々のためにも実現するとよいですね。

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April 25, 2011

走り続けて40年 『レッッゴー 仮面ライダー』

2011042416460000開始当初から仮面ライダーをひいきにしてきた当ブログ。その仮面ライダーも今年で40周年、放送通算千回を迎えました。本当におめでとうございます。それを記念して作られたのがこの作品、『レッッゴー 仮面ライダー』。現在放送中のオーズから、元祖の一号まで総登場! まずはあらすじから。

仮面ライダーオーズこと火野映児とアンクは、戦いの最中時空を越えてやってきたNEW電王たちと遭遇する。彼らはオーズの時代に飛んできた「イマジン」を追ってきたのだった。なりゆきで電王チームと40年前にタイムトラベルすることになった映児たちだったが、アンクがその時代にメダルを置いてきてしまったことにより、時間軸に異変が起こる。映児たちの元いた時代は、悪の秘密結社「ショッカー」が支配する暗黒の世界になってしまっていた。オーズ、NEW電王、そして仮面ライダー1号、2号らは世界に平和を取り戻すことができるだろうか?

今回は最初っからオーズと電王チームががっちり絡むのが良かったですね。ライダーの共闘映画って、これまで大体クライマックスだけ申し訳程度にタッグを組む、というものがほとんどだったので。
以下は完全に見た人向け。ネタバレしまくり、ツッコミまくりで参ります。これから観ようかという方は避難されてください。

typhoon

typhoon

typhoon

typhoon

・40年前の事件が解決したあと、メダルを拾うショッカー戦闘員。今回の元凶ってアンク以外の何物でもないですよね。とんでもねえ野郎だ。

・ショッカーの支配する世界で会議を開いている悪の組織の首領たち。ここすごい興奮しました。これは『仮面ライダーSPRITS』からのインスパイアでしょうか。テレビでの「歴代戦闘員大集合」にも興奮しました。

・最初に悪の走狗として登場する1号・2号。これはかなりショックながらも、意外な展開でなかなか考えたな、と。「脳改造から逃げることができなかった」って、わずかな運命の差でいかにもありそうなことだし。

・40年前に再度戻り、ショッカー基地に殴り込みをかける1号、2号、NEW電王、モモタロス。明らかに一人違うのが混ざっています。今回は制作陣のモモタロスへのえこひいきぶりが特に目立っていました。

・公開処刑の直前、現れる歴代ライダーたち。一人現れるたびにスタンディング・オベーション状態の民衆たち。恥ずかしさと高揚感が絶頂に達したパートでした。ブラックとRXが同時に登場するのは?と思う方もおられるかもしれませんが、『ディケイド』ですでに経験済みの身には問題なし。

・そして悪の幹部が逃げた先で待ち受けているサプライズゲストたち・・・・ キカイダー、01、イナズマン、ズバット。まさしく特別出演という言葉がぴったりの登場でした。まあわたしはズバットが大好きだったので、彼の雄姿をスクリーンで観られただけでも嬉しかったです。あとこの流れだったらゴレンジャーも出てくるべきでは・・・とも思いましたが、そうなったら戦隊チームもドバッとやってきて収拾がつかなくなるのは火を見るより明らか。

・ラスボスは『ストロンガー』最終回でライダーたちの前に立ちはだかった「岩石大首領」。ウルトラ怪獣の上をいくビッグスケールで度肝を抜いてくれます。ある意味今回一番優遇されてるのでは? オリジナルは等身大の見るからにハリボテみたいなヤツでしたから・・・

・絶体絶命のピンチに駆けつける平成の脇役ライダーたち。明らかに死んだはずのやつとか、絶対に助けに来なさそうなやつまで混じってるような・・・ そして「遅くなって悪かったな!」 伊達さん出番こんだけcrying

・そして最後にもう一方サプライズゲスト。「時間修正されてないじゃん」と思いましたが、終わりよければ全てよし・・・なのか?


とまあ例によって設定上は「?」なところもありましたが、『ディケイド』の時の大集合映画よりいい出来だったと思います。最後はプロデューサーのブログにあった、あるベテラン俳優さんの言葉を無断拝借。

2011042416590000「被災地を思えば、映画がどうのと語るのはバカバカしく思える瞬間があるかもしれない。
だが、そうではないのだ。
私が子供の頃、東京は空襲を受けて焼け野原と化した。だが私は、映画に希望を与えられ、人生の何たるかを教えられた。この年まで育つことができたのは、映画のおかげだ。
まず生きなければいけない・生活を立て直さなければいけないというギリギリの局面で、映画人にできることなど何もない。だが、ここを乗り切り、復興のプロセスに入ったときこそ、私たちの存在が意味をもつ。人びとに、明日を生き抜く希望を持ってもらい、人生について考えるきっかけを持ってもらう。
そのためにも、私たちはここにいるのだろう?」

先の震災においても、石巻の仮面ライダーの像は壊れずに残ったそうです。その雄姿が、これからも子供たちに勇気を与え続けますように。


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April 20, 2011

父ちゃん熱いキツネ ウェス・アンダーソン 『ファンタスティック Mr.FOX』

2011041923000000『コララインとボタンの魔女』が公開されてからもう一年以上。いい加減気合の入ったコマ撮りアニメが見たいな~と思っていたら、ここにきてかねてより待ちかねていた作品がとうとう公開されました。『チャーリーとチョコレート工場の秘密』のロアルド・ダール原作を、『ダージリン急行』のウェス・アンダーソンが映画化。『ファンタスティック Mr.FOX』、参ります。

かつて名うての泥棒として名を馳せていたキツネのフォックスさんは、妻の妊娠を機に、泥棒稼業から足を洗う事に決めた。それからはや数年。中年の危機を迎えたフォックスさんは疑問を感じていた。この地道な生活を続けたまま、自分はいつか死んでしまうのだろうか・・・・ フォックスさんはかつての野生を取り戻すべく、丘の上にある警戒厳重な工場群に盗みに入る。それは野生動物と人間たちの、壮絶な戦いの幕開けとなるのだった。

この作品の存在を知ったのは2009年のスティーブン・キングの映画ベスト。なにやら『ファンタスティック・フォー』を思わせるタイトルに(全然関係ありませんでしたけど)、早く見たいと期待に胸を膨らませていましたが、その後まてど暮らせど情報が入ってこない。いい加減諦めた去年の夏ごろになって、ようやく日本公開が決まりました。

楽しみにしていた理由のひとつは、これが『チャリチョコ』『ジャイアント・ピーチ』のロアルド・ダール原作であったから。彼の映像化作品に望むのは、何よりもまず馬鹿馬鹿しいこと。その点に関してはもう期待ど~りの出来でした。キツネさんは穴掘りが得意ということで、ピンチになるとものすごい勢いで穴を掘り始めるのですが、そのスピードが幾らなんでも速すぎる。地上を全力疾走してるのとほぼ変らぬ速さで掘り進んでいきます。その辺の無茶さ加減にまず感動しました。
脇のキャラクターたちもいちいち突き抜けてます。フォックスさんの相棒となるネズミさんはすぐにグルグルと目を回すし、丘の上の工場主らはこれ以上ないくらいわかりやすい悪人面で欲深。そして彼らに雇われたガードマンのネズミさんがまた強烈です。酒に溺れて人間側に寝返ったという設定で(笑)、声をあてているのがウィレム・デフォー。はっきり言って似合いすぎです。

彼らがスクリーンせましと走ったり飛んだり躍ったりしている姿をを見ているのは本当に楽しい。一方で、これがなぜシネコンで拡大公開されなかったのかもわかるような気がしました。
このアニメ、子供向けの体裁を取ってますけど、まず大人に向けて作られた映画なんですよね。そもそも主人公がまずおじさんですし。そして作品の中で、そんな落ち着いてしまった大人たちに「野性を取り戻せ!」と訴えております。
あととても騒がしいようで、ギャグがいちいち静かというか、シュールというか。この辺はジョージ・クルーニーやメリル・ストリープといった中の人のせいもありますかね。メインキャストに落ち着いた渋い演技をする人が多いんです。加えてウェス・アンダーソンのギャグセンス自体がもともとシュールですし。

そんなマニアックな作品だからでしょうか。登場するお人形さんひとつひとつに、監督の惜しげもない愛情が感じられました。たかが人形と侮るなかれ。その目に宿る光とキビキビした動きは、「これ生きてる!」と錯覚させるほどのパワーが宿っています。まさにファンタスティック。これもまた映像の魔術ということができるでしょう。

2011041923010000『ファンタスティック Mr.FOX』は、現在シネスイッチ銀座ほか、全国の劇場で上映中・上映予定。いつのまにかまた近場の劇場で公開決まってるし。そういう情報はオレが東京まで見にいく前に出してくれよなああ!!
あとコマ撮りアニメでは、一昨年の東京国際映画祭で好評を博した『メアリー&マックス』が今週末から公開されます。これまたすんばらしー作品のようなので、とても楽しみにしております!

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April 18, 2011

図書館暴動 アレハンドロ・アメナーバル 『アレクサンドリア』

20080312163527これまたモタモタしてる間にメインの劇場では公開が終ってしまいました。スペインの鬼才、アレハンドロ・アメナーバルが手がけた一大歴史叙事詩『アレクサンドリア』、ご紹介いたします。
西暦四世紀、エジプトの都市アレクサンドリアは学問の都として大いに栄えていた。天文学者ヒュパティアは女性の身でありながら、その類稀な才能により、多くの若者たちから師として慕われていた。だが数を増すキリスト教徒と、支配階級の確執が深くなっていくにつれ、アレクサンドリアには不穏な空気が流れはじめる。やがて二つの勢力は激突し、ヒュパティアもそれと無縁ではいられなくなっていく。

アレクサンドリア・・・ エジプト好きにとっては、特別な響きをもって聞こえる名の都市です。当時世界最大の蔵書量を誇る図書館と、いわゆる「七不思議」にも数えられた大灯台を有する都市。しかしながら時経つうちに大図書館も大灯台も滅びを余儀なくされ、多くの遺跡が海に沈んでいきました。そのアレクサンドリアが映像で甦ると聞いては、これは観にいかないわけにはいかないでしょう! ヨーロッパ映画史上最大級の制作費を投じただけあって、その再限度は大したものです。青い空と広大な海をバックに、そびえたつ巨像や神殿。道を埋め尽くして行きかう様々な人々。多くの名作史劇がそうであるように、この作品もまた当時の世界へとわたしたちをタイムスリップさせてくれます。ただ・・・ 一つ残念だったのは、肝心の大灯台の登場場面がものの数秒だったことcrying ま、この点に関してはまた別の映画で扱ってくれることを願いましょう。

さて、主人公となる女性ヒュパティアですが、実在の人物です。時代が多神教からキリスト教にシフトしていき、多くの人々も改宗を余儀なくされる中で、彼女だけは自分の信じる道を変えません。それは人が様々な学説をとなえようとも、天文における真実はただひとつであることとシンクロいたします。当時のキリスト教は支配階級を屈服させ、大図書館を破壊しましたが、このただ一人の女性の信念を変えることはできませんでした。そんなヒュパティアの気高い姿に、胸を打たれました。
そんなヒュパティアとは対照的に、彼女を愛する男たちは揺らぎまくりだったり、大事なところで役に立たなかったり。これには監督の男性観が反映されてるような気もします。ちなみにアメナーバル監督はゲイだそうで・・・ 同性のダメなところが好きなんでしょうか。よくわかりません。

これだけ観ると、「キリスト教ってとんでもない宗教だな」と思う人もいるかもしれません。ですが私自身はキリストは偉大な人であったと思いますし、聖書も人に良い影響を与える本だと思ってます。厄介なのは、その教えを自分たちの都合のいいようにねじまげてしまう連中ではないかと。
実際キリストは劇中でも言われているように、自分を殺そうとしてる人々すら愛しました。だのにこの映画に出てくる「クリスチャン」たちはわけのわからぬ理屈でもって、その重要な教えをスルーし、権力を得るために暴力をふるいます。恐らくキリストがその場にいたならば、彼らを決して弟子とは認めなかったことでしょう。
それに比べると、先の『神々と男たち』に出てきた修道士たちは、本当の意味でキリストに倣おうとしている人たちだと思いました。

2011041319470000図らずもこの映画が日本で公開される少し前、エジプトでは長期に渡って君臨してきた政権が民衆によって覆されました。新しい政権が、多くの人にとって寛容な政治を行うことを願うばかりです。
そんなわけで『アレクサンドリア』は現在全国各地で転々と上映中。カタルシスは得られないかもしれませんが、エジプト好きな方はぜひ。

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April 12, 2011

ハナタレの錬金術師 C・S・ルイス マイケル・アプテッド 『ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島』

2011041121060000ホントにホントにホントにホントにライオンだ~!! C・S・ルイス原作の大河ファンタジーもいつのまにやら三作目。『ナルニア国物語第3章 アスラン王と魔法の島』、参ります。第一章の記事はコチラ。第二章の記事はコチラでがんす。

前回の冒険から数年後。共に思春期を迎えたエドマンドとルーシーは、おじの家にあずけられていた。ある時、その家の絵にひかれるものを感じた二人は、従兄弟のユースチスとともにナルニアに舞い戻る。エドマンドたちを待っていたのは朋友カスピアン王子だった。子供たちはカスピアンと共に、彼の七人のおじを探す旅に同行する。

前作までは四兄弟がそろって冒険をするお話でしたが、今回、大人になってしまった長男ピーターと長女スーザンはナルニアを卒業しております。そんなわけで残った二人に新顔ユースチスが加わり、新たなパーティーが構成されます。最もこのユースチス、性格がひんまがっている上にまるで役に立たず、前半はみなの足をひっぱるばかり。あれ、こんなパターン前にも・・・ そう、第一章のエドマンドと全くポジションが同じなのですね。
そんなエドマンドの教育係となるのが、これまた前作から引き続き登場するネズミの騎士リーピチープ。最初は彼のことをキモいドブネズミとしか見ていなかったユースチスが、次第に友情を感じ始めるあたりがこの映画の見どころかと。

あと今回は一作目以上に「旅日記」的な要素が強いですね。そんでこれまでのように命が脅かされるような切羽詰った事情がないもんですから、全体的にのんきなムード。時々トラブルにも見舞われますが、あんまし深刻な事態には陥りません。
その辺は子供向けですけど、わかりやすい敵がおらず、自分の内にある欲求や、もやもやした霧みたいなもんと戦うことになるストーリーはなかなか奥が深いです。
個人的な萌えポイントはやはり怪獣。あんまし詳しくは書きませんが、意外な形で二体の怪獣が出現します。サイズ的にはシリーズ中最大と言えるかも。やはり海洋冒険モノには怪獣がなくてはダメです。『パイレーツ・オブ・カリビアン』新作のスタッフはそこんとこちゃんとわかってるのかな・・・ とても心配です。

この劇場版『ナルニア』、一応一定の人気があり、今回もまずまずのヒットとなっておりますが、やはりアレに比べるといまひとつ影が薄い感は否めません。アレとは、ホウキにのったメガネ君が主人公のアレです。
ファンタジー文学に多大な影響を及ぼしてきた『ナルニア』。しかし元祖であるがゆえに後続にパクられまくれ、今の子供たちから見るとちょっと新鮮味が薄いのかもしれません。って二作目の時とまた同じようなこと書いてるなcoldsweats01 

『ナルニア』が独自性を発揮するのはむしろこれからで、以降は主人公が完全に交替してしまったり、時系列が前後したり・・・という興味深い展開になっていきます。ただスタッフは早くも全作の映画化を諦めてしまったようで、次は4,5をすっとばして六作目となる『魔術師のおい』に取り組む・・・という噂。実は『ナルニア』はこれまでにもアニメが一作目だけしか作られなかったり、ドラマ版が四作目で終わってしまったりという歴史があります。それを思うと途中をすっ飛ばしてでも、完結編にこぎつけたほうがいいのかなあ。長大な原作者を映画化するというのは、本当にむずかしいものですね。

2011041121070000公開時期がもろ地震とかぶさるという不幸があったものの、『ナルニア国第3章』はいまだ全国の劇場で上映中。吹替え版では朴路美さんがユー坊の声を演じてらっしゃるのですが、「エドがエドが」というセリフには「お前がエドだろ!」とツッコミたくなりました。アニメファンにしかわからないことですんません!


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April 05, 2011

反レボリューションNo.4 波多野貴文 金城一紀 『SP THE MOTION PICTURE 革命篇』

2011040519280000♪じゃ~じゃらら~ たりららりらら~ら~
このテーマソングもいよいよ聞き納め! 2007年より続いてきた『SP』も、この劇場版第二作で大団円です。本日はそのレビューをさらっと。ちなみに野望篇の記事はコチラです。

それはいつもと変らぬある日の出来事だった。国会で総理の進退をめぐり、激しい舌戦が繰り広げられていた時、突如として場内に武装した一団がなだれ込んできた。その中には井上ら四課のリーダー、尾形の姿もあった。議員たちに銃をつきつけ、「革命」を成し遂げようとする尾形ら。議事堂内にとり残された井上たちは、SPの誇りにかけてテロリストたちに決死の戦いを挑む。

「野望篇」の時から、どうやってあんだけの人数で革命なんか起こすのかな~と疑問に思ってたんですが、なるほど。こう来ましたか。でもキューバやフランスの例を考えると、これと革命ってほどのもんじゃないですよね。政変か政権交代、くらいのものかと。それをあえてなぜ「革命」というのか・・・ 理由は単にこの言葉を金城先生がお気に入りだからじゃないでしょうか。なんせデビュー作が『レボリューションNo.3』ですからね~ それはさておき。

これまでず~っと「守る」ことを主体にしてきた井上たちSPですが(それが仕事だし)、今回は一転して「攻め」に挑みます。でも場内は多数のテロリストたちに占拠されているのに、井上たちはたった4名。そして外部からの救援はあてにできそうもない・・・ このノリ、まるで『ダイ・ハード』か『沈黙の戦艦』じゃありませんか。金城先生、あなたも本当にアクション映画がお好きですねえ。ただそういうハリウッドの孤軍奮闘ムービーと違うのは、あちらが大抵たった一人で反攻を試みるのに対し、こちらは一応四人のチームプレイであること。

違う点はもうひとつあります。その手の映画ではテロリスト側はわかりやすい極悪人どもなのに対し、『革命篇』で井上が戦うことになるのは、長い間共に戦ってきた上司・尾形。スタローンなら迷わず弾丸をぶちこむことでしょうけど、彼を助けたいと願う井上にはそれができません。「殺すか殺されるか」と判断を迫る尾形ですが、それに対し井上が選んだ行動とは・・・・

この映画、地震でいろいろ気が滅入っていたときに見にいったのですが、不利な状況においても一向にひるまない井上君に大いに元気もらいました。また彼がくだした最後の決断に、とても安心させられました。ドラマラストで復讐を否定した井上らしい、そして金城先生らしい決着のつけ方だったと思います。

2011040519280001今週とうとう首位の座を『仮面ライダー』に明け渡してしまいましたが、『SP 革命篇』は現在全国の劇場で大ヒット上映中です。左のイラストは全然似てないけど井上君のお母さん的な真木よう子さん。革命には戦う美女がよく似合う!?

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April 02, 2011

猿の妖精 アピチャートポン・ウィーラセータクン 『ブンミおじさんの森』

2011040215470000森へ行きましょう おやじさん
霊がよぶ あの森へ

・・・地震前に見た映画もこれがようやく最後の一本。昨年のカンヌ国際映画祭においてパルムドールをかっさらった世にも不思議なタイ映画『ブンミおじさんの森』、紹介します。

タイの山村で農園を営むブンミは病をわずらい、死後のことを相談するため、亡妻の妹とその息子を家に呼ぶ。三人で夜食事を取っていると、ブンミの隣にいつのまにか一人の女性が座っていた。彼女はブンミの死んだ妻だった。さらに近くの森の中から、驚くべき客がやってくる・・・

パルムドールを贈った審査員の一人、ティム・バートンがこんなことを言ってます。「世界はますます西洋的になっている」。その通り、アジアの一部である日本、もものの見方や生活様式はすっかり欧米式となりました。「人が死んだらその魂はどうなるか」ということについても、「電気が消えるように消えうせる」と考える人がほとんどでしょう。しかし世界にはまだまだ霊が身近に存在する国・地域も残っているようです。この映画に出てくる、ブンミおじさんの森のように。

ブンミの隣にすっと亡き妻が登場するシーン。欧米や現代日本であるなら、「ひいいい!!」という絶叫と共に迎えられると思うのですが、その場に居合わせた面々はちょいびびりつつも、「あ、そうなんだ」と自然に受け入れます。のんきに彼女が死んだあとのアルバムなんか持ってきたりして。
サプライズはそれだけにとどまりません。このあとブンミの息子がさらに驚くべき姿で現れるのですが、これまた彼らは「そうなんだ」と受け入れます。タイの人って懐が広いわあ・・・ まあ実際にタイでは霊(ピーと呼ばれている・笑)が、そんな風にとても身近なものらしいです。

恐らくアジアやアフリカだけでなく、電気照明が行き渡る前は、日本や欧米でもそうだったのだと思います。夜にあってもこうこうと世界を明るくするそれは、霊や妖怪にとって甚だ相性の悪いものなのでしょう。
ただでさえ暗い夜闇にあって、さらにあの世に近くなっている領域が森です。そこでは未だに文明の及ばない、人間の存在しない世界が息づいているようです。『もののけ姫』『ミツバチのささやき』(見てませんが)『アンチクライスト』などの映画、さらにはグリム・アンデルセンの童話、日本の民話でも、「森」はそんな風に描かれておりますね。小心者としては、夜には絶対に行きたくないところでありますshock

そんな風に感覚だけではなく、ストーリー的にもハリウッド流とはかけ離れた、定型を外した作品であります。ブンミおじさんのお話が進行してる途中に、何の脈絡もなくどこぞの王女様とナマズの話が始まってしまったり(笑) ひごろわかりやすい映画ばかり見ていると、こういうのがけっこう新鮮に感じられてわたしは悪くなかったのですが、観た方の中にはあっけにとられる方も多いことでしょう。
わたしも結末部分などはかなりポカーンとさせられました。バートンは「わたしたちは常にサプライズを求めている」とも語っておりましたが・・・ ええ、なかなかにサプライズでしたよ(笑)
この結末の意味、ああでもないこうでもないと、いろいろ考えることもできるのですが、なんか野暮な気がするのでやめておくことにします。

2011040215470001『ブンミおじさんの森』は現在渋谷のシネマライズで上映中。その他の地方にも順次回っていくようです。決して万人に薦められる映画ではありませんが、アジア的な感覚やヘンテコな映画が好きだという方はどうぞご覧ください。


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