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March 04, 2011

猫目キックを見せてやれ 『Mr.バブルガム』『くらげくん』『ゲルニカ』 片岡翔作品特集

110304_183729みえたみえたぞ あやしいかげだ
きいたきいたぞ あやしいこえだ
がんばれ がんばれ ねこめくん
(『猫目小僧の歌』より)

先日当ブログで勝手に応援している自主映画作家、猫目映画主催の片岡翔氏の特集上映を見にいって参りました。ので、今回はさらっと氏の作風等についてご紹介できればと思います。
今回上映されていたのは『Mr.バブルガム』『くらげくん』『ゲルニカ』の三本。各作品に関するつっこんだ感想は、タイトルを踏んだ先に書いてありますが、一応ごく簡単にあらすじを紹介しておきましょう。
『Mr.バブルガム』は遺書をしたためていたサラリーマンの前に、突然ポエムクラブの女の子が現れ、強引に遺書作りに強力する話。
『くらげくん』はいつも女の子のかっこうをしている少年「くらげくん」の、友達コタロウくんへの淡い思いを描いた作品。
『ゲルニカ』は父を失った少女ミナミと、その幼なじみシズクの切ない別れをつづった作品。

これらの作品すでに一度見た(『くらげくん』は二度・・・)ものなのですが、通して見て気づいたのは、全体的に「死」の匂いがうっすらと漂っているなあ、ということでした。
時にコミカルに時にシリアスに。そんなムードがまったくないように見える『くらげくん』も、『Mr.バブルガム』と『ゲルニカ』の間に見ると、二人の小さな旅行がまるでくらげくんの「心中ごっこ」のように見えてくるから不思議です。

まあ普通「死」を描いた話というのは、どどーんと陰鬱jになったり大仰になったりするものですが、わたしが見た片岡作品においてはそんなことはなく。淡々と物静かにそれは語られていきます。血が流れるシーンもありません。これらの短編における「死(し)」は限りなく「止」に近いものであります。

そんな風に感じたのは、現在YOUTUBEで唯一見られる片岡作品『食卓』を見たせいもあるかもしれません。食卓を囲んだ不気味な人形たちがくねくねと動き回る3分ほどの短編ですが、これまた「死」の匂いが濃厚に立ち込めております。そしてこの映像においては本来動かないものである人形をコマ撮りで撮影することによって、反対に擬似的な命を与えてもいます。

上の三作品に出てくるヒロインたち(くらげくん含む)も、どことなくお人形さんに似ています。美しい顔立ちで、生活観に乏しく、可愛らしい衣装を身にまとっていて。そしてよくできた人形というのも、じっと見ている内に時として「これ生きてるんじゃね?」という錯覚に囚われることがあります。片岡作品に出てくる登場人物(特にヒロイン)たちは、まるで彼によって命を与えられた人形のようです。彼の手により息吹を宿し、時として取り去られ。氏の撮る映画にはそんな魔法のような不思議さが秘められています。

「シ」といえばもう一つ、これらの作品は「詩」的でもあります。文字通りの詩が語られたり歌われたりすることもあれば、詩のようにはかなげな会話が交わされたり。
そうした叙情的な詩や、バックを流れるクラシック、キュートな小道具などが、作品世界をとても透明感のあるものにしています。男性でこういう無垢な感覚に溢れている作家というのは、とても稀有な存在であります。

最もわたしはまだ彼の作品の一部しか見ていないので、他の作品も見たらまた印象が変るかもしれません。温暖化の防止を訴えたホラー作品や、「コタロウ三部作」のほかの二作品もぜひ見てみたいもの。いつかそれらを収録したDVDが出ることを切に望みます。

110304_183806そんなわけで片岡翔監督の最新三作品は、現在下北沢はトリウッドにて18日まで上映中(火曜定休)。くわしいスケジュールはコチラをご覧ください。
さらに今月は六本木のミッドタウンホールにおいても新作『Lieland』が発表されます。(詳しくはここを
今年も次々に作品を発表される予定の片岡監督。ますますのご活躍を祈っております。


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Comments

伍一君、またまた宣伝ありがとう!
そして来てくれてありがとうでした。

こたちゃんシリーズは温暖化の「ニタンカサンソ」は未DVDだけど、彩花ちゃんが気に入ってくれてるという「いちおくまんえん」(井手らっきょさんがお父さん)は、
一応、他の人との同時収録でDVD販売してるのよ〜♪
ぜひ観て欲しいな☆

ほかには今年の温暖化で出る予定の新作を観たばかり。そしちらは笑えるのでお楽しみに、、、

下北沢で1本、+上映になったようで、、、半券まだある?私捨てちゃったけど顔見せたら大丈夫みたい、、、

最後の、チムチム!?
ドラえもん+チム!?(笑)

Posted by: mig | March 05, 2011 12:23 AM

楳図の猫目小僧!最初のひとことでわかった(笑)
翔がそっくりなんだよね(笑)

Posted by: mig | March 05, 2011 12:24 AM

伍一くん、風邪引きンスコー
ガタイのいい中1息子が、風邪を引いて寝込んではや1週間。
お友達との送別ランチも断って、1人DVD三昧の日々ですわ。
翔さんの新作映画もできたそうで、まだまだ楽しみがいっぱいだね。
「バブルガム」も「ゲルニカ」もまだ観てないから、早く観たいな~
最後の絵は、mig ちゃん上手いこと言うなぁ。
私もドラえもん+チムチムに1票!

Posted by: ノルウェーまだ~む | March 05, 2011 02:09 AM

>migさん

おはよっすー こちらこそ先日は、とゆうか毎度どうもありがとう
コタロウくんのお父さんが井出らっきょさんだったとは・・・・ 衝撃の真実! あ、でもコタロウくんそれなりに似てるかもしんない(笑)

『いちおくまんえん』か。タイトルがまたそそられるね。DVD探して見るけど、やっぱり作品を集めたDVDをどっかで出してほしいな

>下北沢で1本、+上映になったようで、、、半券まだある?

あああー! それを知ってたらとっておいたのに・・・ さすがにもうどこにいったのかわからない・・

最後の絵はチムえもんということにしておこう。秘密道具とかはなさそう。次回作は監督が主演で『猫目小僧』を希望!

Posted by: SGA屋伍一 | March 05, 2011 07:25 AM

>ノルウェーまだ~むさん

キャッツアインスコ~ 息子さんの看病お疲れ様です。まあ看病できるうちが華ですよ。そのうちガールフレンドが・・・ ごほんごほん

翔さんすごいハイペースで撮ってますね。もう待機してる作品が三本はあるんじゃないかな。まだ~むさんが帰国の際はまたみんなで一緒に見られたらいいですね

最後のやっぱり某猫ロボットに似てますか・・・ 絵描き歌でも作ろうかな? ♪丸書いてチョン 丸書いてチョン(パクリ)

Posted by: SGA屋伍一 | March 05, 2011 07:30 AM

あ、井出らっきょさんは役の上でのお父上よ
猫目小僧、翔主演実写だったらかなりおもしろーい(笑)

半券は私もすぐ捨てちゃった、
最初から決まってて騙したわけじゃあないからネ、、、
小学生とゆきだるまの短編ここで学校側のスタッフ書いた撮影日記ありますー☆

http://inschool.exblog.jp/

まだーむ賛同ありがと

Posted by: mig | March 05, 2011 08:37 AM

>migさん

またまたどうも~ 猫目小僧が実写化されたらmigさんは猫娘の役かな?(笑) というか、猫目小僧って少し前に映画になってたよね。猫目くんの頭がかぶりもので・・・

>最初から決まってて騙したわけじゃあないからネ、、、

そりゃもちろんわかってるよ~ その雪だるまの話とlielannd、あともう一本ですぐにまた特集上映ができそうな。求む!
リンク先も見たけど楽しそうな撮影風景。これもやっぱり見てみたいなあ

Posted by: SGA屋伍一 | March 05, 2011 08:49 PM

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