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March 08, 2011

ひょっこり竜宮島アゲイン 鈴木利正・沖方丁 『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』

2011030819580000人類を突如として襲った謎の生命体フェストゥム。その戦いにひとまず決着がついてから二年。かつて幾多の死闘を潜り抜けた少年たちは、竜宮時まで穏やかな日々を過ごしていた。だが敵を消滅させることにこだわる人類群の攻撃により、フェストゥムは再び牙をむきはじめる。
竜宮島にも危機がせまったその時、真壁一騎はフェストゥムの側にとり残された友、皆城総司の声を聞く。そして彼は総司から遣わされたという少年・来栖操と出会う・・・

みなさんは『蒼穹のファフナー』というテレビアニメのことをご存知でしょうか。かれこれ6年まえに放映されたSFロボットアニメでございます。こちらでもこんな記事を書いたりしておりました。キャラクターデザインに『ガンダムSEED』の平井久司氏、脚本・シリーズ構成に人気SF作家沖方丁氏(昨年歴史小説『天地明察』で大ブレイク)を迎え万全の体制で臨んだものの、やはり深夜という時間帯のゆえか一般的にはそれほど知名度は上がらなかったような。その後一本の特別編が作られて以降、久しく名前を聞きませんでしたが、いいかげん記憶も薄れた今頃になって劇場版が作られることになりました。これもまた、パチンコの恩恵というほかありません。見てまず目を奪われたのはブルーレイ上映による画面の美しさ。フィルム派からは嫌がられているようですが、やはりアニメに関していうならば、DLP上映の方が美しくきめこまかであります。

自分実はこのアニメ後の『ゼーガペイン』『グレンラガン』ほど思いいれのある作品ではなかったのですが、久々に一騎くんらと再会して彼らががんばっている姿を見ていたら、なんだか泣けて泣けてしょうがありませんでした。歳を食って涙もろくなってることもあるでしょうけど。なかでも泣かせてくれたのは名前も忘れかけてた近藤剣司くん。旧作ではおっちょこちょいのへタレくんなキャラクターでしたが、今回は亡き友のお父さんの身の回りの世話をしていたり、後輩が自信をつけるために損な役を買って出たり、二年の間にずいぶん大人になったのだなあ・・・と。
ほかの少年少女たちも決して理想的な「いい子ちゃん」ではありませんが、その純粋さやひたむきさに一々心打たれました。

旧シリーズから引き続き受け継がれているのは「実存」というテーマ。総司から使わされた来栖という少年は、フェストゥムでありながら戦いが無くなることを願っております。ですが彼はフェストゥム全体からすればごく一部にすぎません。「おれは指みたいなものだ」と自嘲する来栖君。そんな彼に一騎は例の「お前はそこにいるのか?」という問いをぶつけます。存在するということは物質的な問題ではなく、周囲の流れに飲み込まれずに、自分の意思をはっきりと保つこと。ある意味このテーマに関しては旧作よりもわかりやすく伝わってきました。
そして先の『ガンダム00』劇場版と同じく、この作品も敵の殲滅ではなく、相手との「対話」を成し遂げようとする話です。まあ対話に持ち込むためにドンパチで道を切り開かねばならない、というのが多少ひっかかりますが、ロボットの見せ場も作らなければいけないので、そこはいたしかたなきことでしょう。

で、自分が一番感動したのはやはり・・・・(以下ネタバレ)

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ラストで総司くんが帰ってきたところ。「いつか必ず帰る」そう言って終った作品はたくさんありますが、実際に数年後に帰ってきたところまでできた物語がどれほどあるでしょう。
「おおお~ えがったの~ えがった~crying
と例によって鼻水駄々漏れ状態でした。この映画見た時ちょっとスケジュールが厳しかったのですが、がんばって見にいってきて本当に良かったです。また平日の昼間で、既に二週目に入っていたにも関わらず、意外にもお客さんが十四五人入っていたのも嬉しかったです。

2011030819580001『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』は昨年暮れから公開されておりますが、まだまだこれから上映されるところも多いので、かつてテレビシリーズをご覧になった方は足を運ばれてみてはいかがでしょう。
自分はやはり『ゼーガペイン』、あるいは『ヒートガイ・ジェイ』の続編なんか見てみたいのですが、それにはやっぱパチンコ化されないといかんのかなあ。

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