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February 02, 2011

貨物線大爆破? トニー・スコット 『アンストッパブル』

110202_182856それは2001年、オハイオ州で起きた出来事。一人の機関士の不注意により、39両からなるディーゼル列車が無人のまま線路を走り出してしまう。列車の行く先には石油タンクが真下に位地する大きなカーブがあり、そこで脱線したら爆発は免れない。会社は列車を止めようと手を尽くすが、作戦は失敗に終る。誰もが諦めかけたその時、二人の男が立ち上がった・・・・ 

プロジェクト・・・ エッエッエックス・・・・・

ではありません。本日はベテラン、トニー・スコット監督の最新作『アンストッパブル』をご紹介します。最近本当に多いですけど、これまた「実話をもとにした話」
鉄の怪物と化した特急を、どうやって止めるのか。お話はそのただ一点に集中しています。
暴走する特急を見ていて、映画づくりも似ているな、と思いました。

アクション・サスペンスにおいて傑作を作るのには、ブレーキ・アクセルの微妙な加減が求められます。まあこういうのは出来るだけ派手な方がお客さんはワクワクするものですけど、監督が計算もなしにどんどんアクセルを踏んでると、いつの間にか作品は暴走して誰にも止められなくなってしまい、ついには内容も興行も大惨事・・・ということがよくあります。かといってブレーキばかり踏んでると作品は地味でこぢんまりしたものになってしまう。
だからお客さんにはアクセル全開で行っているように見せて、こっそり要所要所でブレーキを踏んでいる。そんなやり方がベストだと思います。
で、トニー氏のお兄さんのリドリー氏はこういうのがなかなか上手な方であります。対してトニー氏は乗り物が暴走するお話が好きなくせに、どうも安全運転というのがわかってしまう人。マシン(作品)もお兄さんのに比べて地味というか没個性的というか。ですがこの『アンストッパブル』においては「実話が元になっている」という触れ込みのせいか、トニー氏のブレーキ加減が作品にリアリティを増し加えていて、うるさ方のファンからも賞賛されるという奇妙な効果を生み出しました。

それではトニーさんのがどの辺でアクセルを踏んで、どの辺でブレーキをかけたのが、実際の事件と比べて検証してみましょう。・・・と、ここから先はネタバレだな。未見の方はこの辺でお引取りください。

train

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マイミクさんの日記の受け売りなんですけどcoldsweats01
実際の事件では

・列車は大カーブに達する前に止められていた
・列車に乗り込んでブレーキを踏んだのは、グラサンの溶接工のネッドだった

とのこと。ですからこの辺でトニーさんも地味ながらも脚色というか、自分なりにアクセルを踏んでたことがわかります。ただこのあたりで止めておくのがさすがはトニーさんというか。

もっと派手好きな監督だったら、事実は無視して人気のないところで列車を大爆発させちゃうと思うんですよね。そんでデンゼル・ワシントンの方が「娘に伝えてくれ・・・」とかなんとか言いながら、一人壮烈爆死。そんな展開になりそうな気がします。実際予告見るといかにも『海猿』みたいな死亡フラグ立ちまくりのテロップ・ナレーションが流れてるし(笑) しかしそんなノリでやってたら、こんなに高い評価は得られなかったことと思います。

クリス・パイン演じる新人車掌が「奥さんともめていて別居中」というのは、アクション映画によくある設定なのでてっきり脚色かと思いきや、こちらは本当だったみたい。前からどうしてアクション映画の主役はバツ1とかシングルファザーとかそういうのが多いのかな、と思っていましたが、やっぱりアメリカでは単にそういう家庭が多いということなのでしょうか。

100317_182820そんな『アンストッパブル』はまだ全国の劇場で上映進行中のようです。鉄道好きなら見ておいて損はないかと。あとトニーさんの次回作は、またデンゼル・ワシントンが主演だと思います。


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Comments

ぶ、プロジェクトエックスキターーーーw
ちなみにトーマスじゃないでしょがww
内容も興行も大惨事って確かにあるよね。私はこの作品は
映画も元ネタもすっごくアメリカンだなぁと思いました。
笑い事じゃないけど、規格外れの事故が起きるから映画に
なるわけだしねぇ。^^;

Posted by: KLY | February 02, 2011 at 10:01 PM

>KLYさん

かぜのなかのすーばるー ほしのなかのぎーんがー

おはようございます。毎度アリガトウございますcoldsweats01

ええ、事件が起きる時のうっかり加減とか、いかにも大陸的なアバウトさですよね。日本の鉄道ではこんな事件は起きないだろうけど、上司に逆らってまで電車を止めようとする機関士もいないかも・・・

それにしても、本当にこんなアクション映画を地でいくような事件があったとは驚きです。探せばまだいろいろあるのかな? 例のチリの事故なんかもすごく映画的でしたからねえ。映画になるようだけど(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | February 03, 2011 at 07:29 AM

SGAさんこんばんわ♪コメント有難うございました♪

事実に着想を得て作った作品との事なので大分変更されてる部分もあると思ってましたが、その事実を知るとやはり脚色して良かったかも?と思えちゃいますね。
大カーブで止まっていたのなら、あの貨物を手動で止めていく手に汗握るクライマックスシーンも現実には無かっただろうし、何よりブレーキを掛けたのが溶接工のおっちゃんなら盛り上がりも欠けるでしょうから、ああいうヒーローっぽい終わり方にしたのはエンタメ的にも良かった気がしますね。


でも個人的にはアルマゲドンっぽい最後を想像してましたcoldsweats01

Posted by: メビウス | February 09, 2011 at 10:14 PM

>メビウスさん

こんばんは! 返事が遅れてすいません
「事実を元にした映画」は星の数ほどありますが、全く脚色を加えていない映画なんてなきに等しいでしょうね
で、事実を知ると大抵興ざめしてしまうものですが、この映画はあまりそんなことはなかったかな

実は大カーブのところで列車が絶妙に片輪走行をしているところ、「演出っぽいなー」と思いながら見てました。でもまあ映画の場合それはサービスってもんですよね。こういうウソはかわいいものです。どこぞの国技のウソとちがって(あわわ)

Posted by: SGA屋伍一 | February 11, 2011 at 07:49 PM

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