« 俺たちアメコミヒーロー ミシェル・ゴンドリー 『グリーン・ホーネット』 | Main | 恐るべきお年より ロベルト・シュヴェンケ 『RED』 »

February 16, 2011

謎のブラックボール 奥浩哉・佐藤信介 『GANTZ』(劇場版)

110216_174435就職活動中の大学生、玄野とその旧友・加藤は、駅のホームに落ちた男を助けようとして、列車にはねられる。だが次の瞬間、二人はとあるマンションの一室にいた。すでにそこにいた人々から、二人は自分たちがその部屋にある謎の球体「ガンツ」により「転送」されてきたことを知る。そしてガンツは玄野たちに、「ねぎ星人」と呼ばれる宇宙人を倒すよう命令する。まるでたちの悪い夢のような状況に当惑する玄野たち。それは玄野がこれから経験する地獄のほんの入り口にすぎなかった・・・

週刊ヤングジャンプに長期連載されている人気漫画『GANTZ』が、この度二宮和也・松山ケンイチという二大スターを主役にすえて映画化されました。わたくし前々から原作を愛読していて、その迫力あるビジュアルに「これが映画化されたらなあ」と思う反面、色々と容赦ない描写に「無理だろな・・・」とも思ってました。果たしてその結果は? ちなみにわたしのどうでもいい原作レビューはここです

そもそも現段階で30巻発行されており、まだまだ終わりそうもない作品をたった二部作で締めるということに無理があるわけです。でもその割には今回の劇場版、かなりがんばっていたと思います。そりゃもちろん「ああ、ここを抜いちゃったか・・・」というのはありましたが、原作のだいたい十巻分くらいをコンパクトにまとめておりました。

わたしがうまいな、と思ったのは主人公・玄野のキャスティング。玄野って原作ではどう見てもイケメンに描かれてるのに、普段はすごく目立たなくて「昼行灯」なんて呼ばれていたりします。しかしここぞという時には無敵の戦士へと変貌を遂げます。こう言っちゃなんだけど、二宮くんってわりとどこにでもいそうな風貌ですが(ファンの人すいません・・・)、さすがスターだけあって決めるところはびしっと決めます。そんなところがある意味原作以上に玄野らしかったです。

特に印象に残ったのが冒頭で流れる「「わたしの持論は、人にはかならず役目がある」「人それぞれに、力や才能があり、それを最大限に発揮出来る場所がある」というモノローグ。これ実は原作にはないセリフです。最大の就職難と言われる今、多くの大卒の若者が「自分の存在に意味があるのかな?」と感じていると思います。原作では高校生だった玄野を就活中の大学生にしたのは、そういう若者たちへのメッセージなのかもしれません。

もちろん悪い部分もいろいろあります。駆け足にしたせいか、原作では丁寧だった登場人物の感情の流れがやや不自然なものになってしまったり。日本映画の悪いくせでセリフが微妙にかみ合ってなかったり(笑)

でもわたしはこの映画を全力をあげて支持したいと思います。わたしが映画を飽きもせず見ている理由のひとつは、ただ一瞬でもいいから、全身があわ立つようなそういう感動を与えてほしいからです。この映画でいうと原作でいうところの「おこりんぼう星人」編。恐らく世の中というのは、我々には止めようのない大きな力によって動かされていると思います。わたしたちはおしゃかさまの手の中で暴れまわってる孫悟空と似たようなものです。そんなおしゃかさまの巨大な「手」を絶叫しながら粉砕していく玄野。まるで「どんな厳しい運命にさえ、オレは立ち向かってみせる」と言っているかのようで。多少のアラはこのシーンの興奮の前に全て忘れさりました。就活中の学生諸君もぜひがんばってほしいものです(つか自分、人の心配をしている場合じゃないんですが・・・)

あとひとつあらためて映画を見て気づいたのが、この珍妙なゲームというのは、実は徴兵制の比喩ではないかということ。徴兵制のある国の人々は、自分の意思とは関わりなく召集され、国に命を預けることになります。そして時には「民間人を殺せ」とか、「到底かなわない敵と戦え」などという、理不尽な命令を受けることもあります。しかし兵たちたちに拒否権はありません。ついでに書いちゃうとゲームの最初に流れるラジオ体操の歌は、「君が代」の代わりなのかもしれません。果たしてそんな画一的な環境の中で、人は自分のアイデンティティを保つことができるのか? この映画にはそんなテーマも込められています。

110216_174458『GANTZ』劇場版はただいま全国にて大ヒット上映中。これは頭のやわらかい人じゃんないと楽しめないだろうな・・・と思っていたら、意外と日本の皆さんは脳みそがやわらかいみたいで。完結編となる『GANTZ PERFECT ANSWER』は4月23日より公開。「全ての謎を明らかにする」という触れ込みですが、たぶん無理なんじゃないかなcoldsweats01

|

« 俺たちアメコミヒーロー ミシェル・ゴンドリー 『グリーン・ホーネット』 | Main | 恐るべきお年より ロベルト・シュヴェンケ 『RED』 »

Comments

こんばんわ、SGA48のみなさん。。。

ぜったいイラストそれだと思ったわ。。。しかもいつもよりデカイし(自信作?)。。。

マンガ読んだことなかったんだけど、この設定ボクが大学生のころ考えてたのとそっくりなんだよね(漫研)。パクられたかな?

ボクがエキストラ出演して話題沸騰中の 『あしたのジョー』 が公開中ですが、、、まったく見る気がおきません。つまんなそう~。。。見てね(ボクの身代わりに)。。。


Posted by: ウラヤマ星人。。。 | February 16, 2011 at 11:35 PM

>ウラヤマ星人さん。。。

どうもはじめまして。。。 ってあなたみ~んちゃんでしょ!
そうです。自信作です。と言いたいところですが、普通にサイズを間違えたのでした(で修正しました)。いやん! あたしはずかしい!

そうか。。。 ぱくられたのか。。。 それは訴えたほうがいいよ。。。 あわよくば大金もらえるかも
ぶっちゃけ元ネタは『ロボコン』と『必殺仕事人』だそうです。み~ん。。。

『あしたのジョー』、見る気満々だったんだけど。。。 そんなにつまんないならよそうかな。。。

Posted by: SGA屋伍一 | February 17, 2011 at 07:35 AM

こんばんは!(*^^*)
原作コミックは読んでないので、かなり不思議な世界感には
ちょっとビックリでした。
あのブラックボールの正体はすご〜〜く気になりますが、
原作30巻もあるし、(おまけにまだ続いている)
かなりエログロ感も強いみたいなので
とりあえずは、映画の続編を待つことにします。

Posted by: ルナ | February 18, 2011 at 12:01 AM

>ルナさん

こんばんは~happy01
ええ、これかなり頭のやわらかい人でないとついていけないだろうな・・・と思ったのですが、この大ヒットぶりを見ると、意外と頭の柔らかい人が多かったようで。それとも嵐人気でしょうか

正直、原作は映画以上にきつい描写も多いので、あまりルナさん向きではないような気がします。ともあれ、続き気になりますね

Posted by: SGA屋伍一 | February 18, 2011 at 10:36 PM

SGAさんこんばんわ♪コメント有難うございました♪

このガンツに限らずですが、原作モノってやはりファンありきな所もありますから、どことな~く初見殺しな内容になったりもすれば、ファンじゃない監督さんが作ったせいで逆にファンを怒らせる内容になったりする時もありますから、結構デリケートなジャンルにも思えちゃうんですよねぇ原作映画って^^;
でも今回のパート1はイチファンの自分としましても合格点あげれるくらい良く出来てたと思いますねぇ。星人にしてもガンツスーツにしても、『忠実にしよう』っていうスタッフさんらの意図を汲み取る事が出来るシーンも多く見らたように思えてそこも高評価のひとつ。似てる似てないは別で松ケンやニノも雰囲気出して頑張ってましたしね。夏菜という女優さんに到っては全裸w・・・犬も出て来て限界に挑戦して欲しかったものです。


パート2は長大且つ壮大なガンツワールドをどういう風に〆るかが一番気になりますけども、予告編で多恵ちゃんが絡んでた(?)辺りからすると、原作で多恵ちゃんが標的にされたあのストーリーの窓口をちょっと拡げたような展開になるのでは?と自分は予想しております。

Posted by: メビウス | February 23, 2011 at 11:10 PM

>メビウスさん

こんばんは! レスが遅くなって大変すいません!
おっしゃるとおりだと思います。ちょうど一昨日『あしたのジョー』を見てきたのですが、これもやはり原作への愛が深ければ深いほど、厳しい作品だろうな・・・と思いました。原作のことを考えなければ、いろいろいいところのある映画なんですけどね

でもこの映画はホントよくがんばっていたと思います。過激なところはなるたけ自粛しながらも。とくに最後のおこりんぼう星人のアクションはもう、観ていて鳥肌が立ちました。あとニノはたしか「すごい影響を受けた」というくらい原作のファンだったみたいですよ

はてさてパート2はどうなりますことやら。「たえちゃん星人編」で終ってしまったらかなりいやだ!

Posted by: SGA屋伍一 | February 27, 2011 at 07:31 PM

伍一くん☆おこりんスコ~
あー、おこりんぼ星人って誰かと思ったら大仏さんでしたね。(ちょっと忘れてた)
もうとうてい勝つわけないっしょ?って思いながらみていたので、かなり手に汗握ったよー

原作みてないと、どうも星人がふざけすぎ?って、スーツの格好良さとのギャップに戸惑うのだけど・・・
ニノの玄野はぴったりでしたね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | January 26, 2012 at 10:42 AM

>ノルウェーまだ~むさん

阿修羅観音スコー
わたしも「わたしかーらー あなたへー」と歌ってた星人の名前忘れてたし。さっきウィキで確認してきましたが「田中星人」でした・・・

原作はもっともっと絶望的なんですよ・・・ でも映画もがんばってました。なんせわたしの昨年のベスト3位だし(笑)
原作者の奥野さんは「実写化するなら玄野は二宮君がいいな」と思ってたそうです。すごいですね

Posted by: SGA屋伍一 | January 26, 2012 at 11:19 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/50889225

Listed below are links to weblogs that reference 謎のブラックボール 奥浩哉・佐藤信介 『GANTZ』(劇場版):

» GANTZ(前編) [ルナのシネマ缶]
原作コミックは未読なので 内容はまったく知らずに 観たせいか、なんか思った以上に 引き込まれた感じでした。 なんとも、謎めいていて 早く続きが知りたいなぁ〜。 特に思わせぶりな予告が 気になるぅ〜〜〜。 なかなか就職が決まらない大学生の玄野(二宮和也)と、 彼の幼なじみで正義感の強い性格の加藤(松山ケンイチ)は、 よっぱらいを助けようとして、電車にひかれてしまう。 しかし、死んだはずが不思議な部屋に集められていた。 そこには黒い謎の球体“GANTZ”がおり、“星人”と呼ば... [Read More]

Tracked on February 18, 2011 at 12:02 AM

» GANTZ [シネマをぶった斬りっ!!]
【監督】佐藤信介 【出演】二宮和也/松山ケンイチ/吉高由里子/本郷奏多/夏菜/千阪健介/白石隼也/伊藤歩/田口トモロヲ/山田孝之 【公開日】2011/1.29 【製作】日本 【ストーリー】 幼馴染の...... [Read More]

Tracked on February 23, 2011 at 11:09 PM

» DVDまとめてレビュー「GANTZ1・2」「メタルヘッド」「八日目の蝉」 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
お正月から見続けたDVDの数々。 今回はわたしのオススメ映画から。今回から独自に★採点つけてみたよ(★5つが満点) [Read More]

Tracked on January 26, 2012 at 11:04 AM

« 俺たちアメコミヒーロー ミシェル・ゴンドリー 『グリーン・ホーネット』 | Main | 恐るべきお年より ロベルト・シュヴェンケ 『RED』 »