開けてびっくりパンドラの箱 クリスチャン・アルバート 『パンドラム』
♪パンパンドラドラ パンドラム~
パンパド~ラ パンパド~ラ パンドラム~
(作詞・作曲 SGA屋伍一)
すいません・・・ ついさっき歯を抜いてきたばかりなので、少し疲れ気味です。
『バイオハザード』シリーズで知られるポール・W・S・アンダーソンが、ドイツの気鋭の監督の作品をプロデュース。『パンドラム』、ご紹介いたします。
西暦21XX年・・・ 地球は人口の爆発によって滅亡の危機に瀕していた。人類の希望は一隻の船に託された。巨大宇宙船ヤマ・・・じゃなくてエリュシオンは、六万の人間を乗せ、はるか遠くの星「タニス」を第二の地球とすべく旅立つ。それからどれほどの時が経ったのか・・・ 乗組員バウアーは、突如としてコールドスリープより目覚める。だがしかし人々の多くはまだ眠ったまま。自分は果たしてなんのために目覚めたのか? 船は今どのあたりを航行しているのか? 多くの疑問を抱えたまま、バウアーはエリュシオンの中をさまよう・・・
宇宙を開拓すべく果てしない航海を続ける移民船・・・・ こういう話、SFでは時々見かけますね。日本の漫画では『超人ロック』の1エピソードや、『トライガン』などを思い出します。
表題となっている「パンドラム」とは、長期のコールドスリープによりひきおこされる平衡感覚や精神機能の障害のこと・・・だったかな。すいません、この辺少しうろ覚え。本当にそういう用語があるのかもよくわかりません。
むしろこの語から連想されるのはギリシャ神話にある「パンドラの箱」。この地上のありとあらゆる災いがかっ詰まっていたという、例の箱です。
この映画もまた、ひたすらパンドラの箱開けまくりなストーリー。なんせ主人公が目覚めるのがまず箱というか冷凍睡眠の棺の中。ほんで巨大と言ってもそこは宇宙船なので、艦内は非常に多くのしきりでもって区切られています。主人公が情報を得ようとしたり、問題を解決しようと思ったら、幾つもの扉やフタを開け続けねばならない。しかしそこで待っているのは貰ってうれしいプレゼントなどではなく、見たくもなかったあんなモノや、知りたくもなかったそんなことばかり。次の扉には果たしてどんな災いが待っているのか・・・ そんなすこぶる心臓によくないストーリーが展開されます。
あとタイトルが精神障害を表していることからもわかるように、この映画では「狂気」も重要なテーマとなっています。限られた空間の中で、あまりにも異常な状況に遭遇してしまうと、デリケートな人は心を病んでもの。果たして誰が正常で誰が狂っているのか。どれが現実でどれが妄想なのか。暗く無機質な背景の中で、じりじりと精神を圧迫されていく登場人物たち。見ているこっちまで参ってしまいそうです。
ここでこのテーマをリアルに追求していけば、この映画は『2001年宇宙の旅』や先の『月に囚われた男』のような格調高い作品になったかもしれません。しかし途中からアンダーソン氏がお好きな怪物さんたちとか、妙に場所に不釣合いなムチムチっとしたお姉さんが出てくるあたりから、お話はB級スタイルをまっしぐら。
惜しい・・・ でもどうせ宇宙SFをやるなら、モンスターとか半裸の姉ちゃんとか出したいよな! ウンウン!
そんな『パンドラム』はもうほとんどの劇場で上映終了(・・・)。来年二月にはDVDが出ます。
『バイオハザード4』や『トロン・レガシー』といった大作SFの谷間にひっそりと公開されたため、来年のいまごろにはもう存在を忘れられてそうです。カワイソウ!
一応伏線とか宇宙船とかよくできてるので、その手のものがお好きな人はどうぞご覧ください。
Comments
あははそうね。割とよくまとまったB級SFなんですけどねぇ。
少なくともデニスさんの最近の作品の中ではわたしは一番好き。
こういう作品にありがちな、ムチャや矛盾を放り出しっぱなしに
しないところも好感が持てましたよ^^
Posted by: KLY | December 10, 2010 11:24 PM
>KLYさん
本当に毎度どうもありがとうございます~
こういう風にきちっとばら撒いたものを片付けるところは、ルールを重んじるドイツ人の気質ゆえなのでしょうか
デニス・クエイド氏は最近では『バンテージ・ポイント』が印象深かったかな。『G.I.ジョー』にも出てたようだけど、ほかがインパクト強すぎてなにも覚えてない・・・
Posted by: SGA屋伍一 | December 11, 2010 09:13 PM