スウェーデン・プロミス スティーグ・ラーソン ダニエル・アルフレッドソン 『ミレニアム2 火と戯れる女』
スウェーデンのベストセラーを映画化したシリーズの第二弾。主要キャストはそのままですが、監督・脚本を交代しての『ミレニアム2 火と戯れる女』、ご紹介いたします。ちなみに第一作『ドラゴン・タトゥーの女』のレビューはコチラ。
ヴァンゲル家の事件を解決してから一年。ミカエルは姿を消したリスベットのことを思いながらも、記者としての仕事にいそしんでいた。だがある時、売春組織の取材をしていたミカエルの同僚が、何者かの手によって殺害されるという事件が起きる。警察の捜査上に浮かび上がった事件の容疑者は、なんとリスベットだった。
前作はひょんなことから他人の事件に関わることになった主人公コンビですが、今回は彼ら自身の事情に大きく関わる問題と直面することになります。ミカエルは自分の仕事をやりとげ、同僚の無念を晴らすために、リスベットは呪われた過去との決着をつけるために厳しい戦いに身を投じていきます。
また、前作は地方の名家を題材とした横溝正史っぽいお話でありましたが、今回は売春という社会問題に政治的背景も絡んでいて、むしろ松本清張的であります。映し出される風景も、野山よりストックホルムの美しい町並みが目立っていました。
で、突然なんですが、このお話、こんなに世界的に売り出ししちゃっていいもんですかねえ・・・ だってスウェーデンってただでさえ「フリー○ックス」とか、「ポ○ノ先進国」とか、そういうイメージが強いじゃないですか(ワタシだけかしら?)。だのにこのシリーズ、やりたい放題の変態さんばかり次から次へと出てくるんですよ? これじゃ世界中の人たちに「やっぱりスウェーデンはスケベばっかりなんだな」と思われてしまうじゃないですか!
・・・ただ、そんな中だからこそミカエルとリスベットのピュアな関係が引き立つのかもしれません。まあ彼らも前作でついついやっちゃってるし、お互い別にセックス友達がいたりするのですが。
離れ離れになってからの二人の関係は、そういう性愛とはまた別のもののような気がします。そう思った一つの理由は、「友達でいてくれてありがとう」というリスベットのメッセージ。個人的には「愛してる」というありふれたセリフよりも、胸にせまるものがありました。
今回リスベットはなかなかミカエルの前に姿を表しません。弱くなってしまいそうだから、という理由もあるでしょうが、恐らくはミカエルを危険に巻き込みたくないからでしょう(第一作を見るかぎりじゃミカさん腕っ節はからきしのようだし・・・)。しかしミカエルはひたすらリスベットの力になろうとあらゆる手を尽くします。もちろん事件の犯人が彼女だとはこれっぽっちも思っていません。なんて一途なミカエルの思い。つくづく乙女臭いオヤジであります。
でもそうですね。恋愛感情というのは割りとたやすく冷めてしまうものなのかもしれませんが、友情も含められた愛情というのは、いつまでも炭火のように根強く、心の中で燃え続けるものなのでしょう。
・・・・あれ、なんか上品にまとまりましたよ?
お話はなんか色々解決してないまま、第3部『眠れる女と狂卓の騎士』へと続きます。こんなパターン、つい最近もあったような・・・
そんなわけで『ミレニアム2』『ミレニアム3』はそんなに間を置かずに全国を巡回中。ちなみに『1』は既にDVDが発売中です。各上下全六冊を読むのはとってもしんどいので、地元で上映してくれるのは大変ありがたいです。いけない! 活字離れSTOP!
Comments
伍一さん、
面白いです、マタマタ。
スェーデンは、マルモというデンマーク寄りの町に電車で寄った事しかなく、そこは、コペンハーゲンに比べて物価が安い感じだったという印象しか無いですが。
『おそらく青二才少年臭いオバン』 より
Posted by: hino氏の義姉 | November 22, 2010 07:29 PM
>hino氏の義姉さん
さっそくおいでいただきありがとうございます
すごいなー 実際に行かれたことあるんですね、スウェーデン。そういえばmigさんがイギリスからスカンジナビアはそんなに遠くない、と書いていたような
スウェーデン出身の映画作家ではラッセ・ハルストレムがいますね。彼の作品は子供が生き生きと描かれていていいです
>青二才少年臭いオバン
なんで? ガンダムがお好きだから? いずれそちらについてもじっくり語っていただきたいものです(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | November 22, 2010 09:06 PM
こんちゃ~!
スウェーデンてそうなんだっけ?何かオランダとかもフリーってあれはドラッグだったかな?って食いつくとこ違うだろうがって感じ…orzもうすぐ公開の「ノルウェーの森」はmigさんも実際に行ってたけど、スウェーデンの森はどんなんなんだろうなぁ…。
この作品、離れていてもリスベットとミカエルの結びつきが感じられましたよね。これが公開されたということはすぐに3も公開かな?法廷劇に舞台は移っていくけど、ますます面白くなっていきますよん^^また記事楽しみにしてます。
Posted by: KLY | November 22, 2010 09:56 PM
>KLYさん
こんばんにゃ~ 返事が遅れてすいません
フリーむにゃむにゃの方は『パッチギ』という映画でオダギリジョーがそう言ってました。ムニャムニャ先進国は確か『僕らのミライへ逆回転』で使われてた「スウェーデン製」という言葉に、実はそういう含みがあるとか
こちらでは「3」は今週末より公開です。二週間限定なんで、時間が空いたらささっと行かねば
KLYさんのような人気ブロガーから「期待している」とおっしゃられると恐縮します。たぶんまたアホアホな記事になりそうな予感・・・
Posted by: SGA屋伍一 | November 24, 2010 07:43 PM
こんばんは!(*^^*)
フリーむにゃむにゃの真意はよくわかりませんが(笑)、作品に出てくるのは変態さんというような可愛いモノではなく、犯罪者さんですから・・・・(~_~;)
私は、前作のようにミカエルとリスベットが協力して謎をつきとめるのかと、勝手に想像していたので、思っていたのとは随分違う展開でしたが、無謀すぎるリスベットには、かなりハラハラしました。
しかし、ミカエルがつくづく乙女臭いオヤジ!ってホント言えてますね〜。
Posted by: ルナ | November 24, 2010 11:28 PM
>ルナさん
こんばんばんです
むにゃむにゃの意味は深く考えないでください
>作品に出てくるのは変態さんというような可愛いモノではなく、犯罪者さんですから・・・・
つまり・・・犯罪はいけないけど、変態はOKってことでしょうか? ・・・違いますね、きっと
わたしはどんな敵だろうとあのリスベットならどうにかするだろうと思っていたのですが、終盤の方、あまりにも無謀でしたよね。「警報機が全部なってたぞ」とか言われてたし
やっぱり彼女にはブレーキ役が必要なのかも。ミカエルさんのような
Posted by: SGA屋伍一 | November 26, 2010 12:13 AM
ヒサシブリ☆
お祝いコメント素早くありがとー!
これに関しては何も言う事ないので、、、、
新しい記事を待つわ(笑)
Posted by: mig | December 01, 2010 08:41 AM
>migさん
おばんでやんす~
何も言うことがない・・・・ くらい満足な出来だったということ?そうじゃないか
とりあえずこちらでも「3」がもうかかってるので、こうなったら最後までつきあうでごわす
Posted by: SGA屋伍一 | December 01, 2010 07:44 PM