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October 12, 2010

宇宙からの物体ELSE 水島精ニ 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』

101012_180013テレビシリーズの終了から約一年半。満を持しての劇場版が、ようやく公開となりました。『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』ご紹介いたします。この長ったらしい副題、未だに意味がわかりません

ソレスタル・ビーイングの奮闘により、ようやく落ち着きを見せた世界。だが争いの火種は、まだいたる頃にくすぶっていた。そんな折り、はるか昔に地球を立った宇宙探査船が木星より姿を現す。そのままの針路では地球と衝突するため、連邦軍は探査船の破壊を決定。たやすく終ると思われた作戦だったが、いかなる攻撃を受けても、探査船には傷ひとつつかない。同じ頃、地球では電子機器が暴走したり、謎の金属が人々を襲うという事件が頻発していた。

テレビシリーズの適当なまとめ・感想はこちら
ファーストシーズン前半
ファーストシーズン後半
セカンドシーズン前半(というか水島精二論)
セカンドシーズン後半
総まとめ

いきなり中バレくらいしちゃうので、未見の方はご注意ください。
今回はなんと・・・

ガンダムに宇宙人が登場してしまいます。
ま、正確には「人」からはおおよそ程遠いので「宇宙物」といった方がいいかもしれませんが。劇中では「エルス」と呼ばれるこの存在、なかなか独特な設定となっています。まず無数の固体に分裂できるものの、基本的には全体でひとつの巨大な生命体であるということ。そして液体金属のような体を持っているので、いかなる形にも変形することができます。そしてここが最も興味深かったところですが、エルス自体には地球を滅ぼそうという攻撃的な意思はなかったりします。ただこの物体はある目的から手近なものにどんどん融合してしまう傾向があるので、他の生物としてはたまったものではありません。

そこで我らがガンダムマイスターたちの出番となります。特殊な粒子を散布させることで、周囲一帯の意思を共有させることのできるマシン「ダブルオークアンタ」。テレビシリーズラストで「イノベイター」として覚醒した刹那は、この機体を駆ってエルスの核とリンクして、未知なる物体との「対話」を試みます。

SFといえど、これまであくまで地球人しか出てこなかったガンダム。そのガンダムに外宇宙からの物体が登場することに違和感を覚える方もいらっしゃるでしょうが、ある意味においては、これ、非常にガンダムらしい話だと思いました。ガンダム一作目には、「人は他者と理解しあうことができるか?」というテーマがありました。敵陣営の人間といえど、彼らとて主人公らと変らぬ感情を持っており、それぞれにポリシーがあったわけです。そして主人公アムロ・レイはクライマックスで敵側の少女と革新的な交信をするにいたり、全ての人がいつかわかりあえる時が繰るのでは、と期待します。
で、今回の『ダブルオー』劇場版。相手を殲滅しようとするためではなく、「話をするために、理解しあうために戦う」というところがいいじゃないですか。そういう意味では第一作の精神を確かに受け継いでいると思います。

もちろん、立場の異なる相手との相互理解は容易なことではありません。「どうしてこうもすれ違う」という刹那のセリフがそれを象徴しています。しかしどんなに道が険しくても、対話するための努力を続けることを作品は訴えます。その試練の中で、かつて父を呪ったアンドレイが、ガンダムへの復讐に凝り固まっていたグラハムが、そして「戦うことしか生きる道が見つからない」と言っていた刹那がそれぞれに「変っていった」ところに深い感動を覚えました。

欠点がないわけではないですし、ぶっちゃけテレビシリーズを見てないとなにがなんだかわからない映画ではあります。しかしテレビ版を見ていた人には50話分の重みがしっかりと味わえるでしょうし、「オレはこういうのが見せたいんじゃーッ!!」「わしゃこういうことを訴えたいんじゃーッ!!」というスタッフの本気力をビンビンと感じさせられました。

101012_181918個人的には『カラフル』と並んで本年度のベストアニメムービーでもある『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』。現在全国の劇場で絶賛公開中であります。

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Comments

待ってました(笑)!

いやあ、絶賛ですね。

仰るとおり、テーマ的には
大変ファーストを踏まえたものだと思います。

とは言え、素直にファーストコンタクトモノとして観るのがいいですね。
バトルシーン以降、もっとSF的なエルスとの色々が
あっても良かったかと思いますが。

一つ気になるのは第1シーズンで木星の宇宙船のエピソードが
ありましたが、あれは今回の映画の伏線だったのかしら。

Posted by: かに | October 13, 2010 10:57 PM

>かにさん

おはよっす。こんなんでよかったでしょうか(笑)
まあこの「他者と理解しあえるか」というのは、ガンダムに限らずイデオン、エヴァと日本SFアニメのメインテーマのような気もします

「地球に何か攻めてくる!」という話は今までもたくさんありましたが、それとファースト・コンタクトものを見事に両立させていて感心しました
ちなみにmixiで言っていた文句云々は、できれば刹那が旅立ったところで終らせて、帰ってくるところまでは描かなくてもよかったんじゃないかな・・・と。いつ戻ってくるかは客の判断にゆだねてね

>第1シーズンで木星の宇宙船のエピソードが
ありましたが

すいません、それ忘れてます ただ劇場版はその時点ではまだ企画にあがってなかったんじゃないかな

Posted by: SGA屋伍一 | October 14, 2010 07:37 AM

SGA屋伍一さん、

唐突にコメント入れてます。何せ、ガンダムの映画が公開されているなんて、びっくり。とても興味あります。
英語字幕つきで海外でも早めに公開してもらいたいものです。
hino氏の所は女の子2人だから、おそらく皆で観る事はないかな?私や亡き母から息子が買ってもらったガンダムの模型の数、数えておけばよかったなぁと後悔。

Posted by: hino氏の義姉 | October 14, 2010 10:11 PM

>hino氏の義姉さん

おはようございます。まみっしーさんですよね? 大歓迎ですよ~
いや、まさかそちらがガンダムに反応されるとは思わなかったな(笑) 海外在住のゴージャスなまだ~むさんだと思っているので

日本アニメは欧米でも人気のようですが、この『00(ダブルオー)』はどれくらい知られているんだろう。わたし脚本の黒田洋介という人を長いことひいきにしてまして。本当にいい話書くんですよ、この方は

Posted by: SGA屋伍一 | October 15, 2010 08:32 AM

「敢えて言うぞ!約20年ぶりの映画だ!!」

こんばんわ。フラッグ愛好会会長です(爆。
映画館で映画観るのは「スターウォーズEP3」以来、
6年ぶりだがガンダム映画は冒頭通りの歳月でした。
これもメンズデー@1000円の恩恵(笑)。

劇場版はガンダム映画としては色々な意見ありますが
ガンダムシリーズ共通のテーマが『対話』なら
ちゃんと風呂敷は畳めてると思える作品でした。

本編では平和の求め方があまりに違う故に
すれ違ってばかりの刹那とマリナが
年月重ね、ELSとの対話終えて再会し
互いを抱きしめあう・・・・・・これは

「人が分かり合うには時間がかかる・・・・」ととるか
「時間をかけても分かり合いたい」と信じるか・・・・・・
どう解釈するかで評価も分かれる気がします。

これがVS人類なら「結局戦争は繰り返されるね」という感じで
劇場版でやる意味ないし。
今更ゼントラーディーとか人類を出すのもどうかと。

難点はMSのスピードぐらいで、ELSのスピードより
ガンダムのメカアクションが全然判らん(えー
辛うじてティエリアのガンダムの背負い物が
実は「セラヴィーガンダム」だったって事は
判ったぞ。

僅か2ヶ月弱・・・・・・・「Vガンダム」よりも早い時間で
「ガンダムダブルオー」のファンになれました。

小説版は補足的材料として色々キャラの心理描写が
あるので読むことをお勧めします。

Posted by: まあくん@葛城 | October 17, 2010 10:08 PM

>まあくん@葛城さん

めっきり涼しくなりましたがお元気でしょうか~
そうですね。ビデオなどの再編集ではなく完全新規作成は『F91』以来でしたっけ。こうやって書いていて気がつきましたが、わたしガンダムを劇場で見たの初めてでした

『ガンダム』も最初こそ「対話」がテーマにあったはずなんですが、シリーズを重ねるにつれ、いろいろ違う方向に行ってしまったものもありましたね(笑) 『SEED』もがんばってましたが、こうやって最初の主題を忘れないでトライしてくれるのは嬉しい限りです

最後のシーンは納得がいくようでちょっと悲しくもあったり。せめてもう二十年ばかり早く帰ってこれなかったのかなと(笑) 二人の間に残された時間が少しでも長く続くことを祈るばかりです

メカのギミックについては副読本等でいろいろ補完しました。今回のオマケガンダムの正式名称は、一応「セラヴィーガンダムⅡ」だそうです。ティエリアの乗るガンダムにはいっつもビックリギミックがついていて楽しいですね~

Posted by: SGA屋伍一 | October 19, 2010 03:17 PM

SGAさんこんばんわ♪遅れ馳せながら自分もようやく観て来ました。

鑑賞前は自分もどこか頭ごなしで否定していたELSの存在。でも観たら観たでかなり00の世界観に合ってましたし、ガンダムらしいテーマを上手く強調している存在にも見えましたねぇ。こういったファーストコンタクトモノってSF映画作品には結構あるように思えますけど、アニメの方でこうも真摯に取り組んでる作品ってのは少ないのではないでしょうか?(自分が知らないだけかもしれませんが
でもELS側の事情を知った時、銀色の風貌も相まって自分はシルバーサーファーの事もふと思い出してしまいました。あの人も確か母星が激しくヤヴァイ!って感じじゃなかったでしたっけ?

何にせよ、00の完結編に相応しい良作だったと思います。カラフルはまだ未見ですが、これは自分も今年のベストアニメの1つかもしれません♪

Posted by: メビウス | November 08, 2010 09:44 PM

>メビウスさん

こんばんは! おいでいただきありがとうございます。今回はわりかし地域によって上映期間に差があるようですね

わたしは幸いまだ情報が飛び交ってないころに見たので、まさか地球外生命体が登場するとは夢にも思わず度肝を抜かれました(笑) でもそれほどガンダムのイメージを崩していないのは、水嶋監督の手腕ゆえでしょうか

あとで思い出したファーストコンタクトもののアニメでは、『アルジェント・ソーマ』というテレビシリーズがありました。いい作品だったんですけど、あまり話題にならずに終ってしまった不遇の作品ですね・・・ あと水島監督も『大江戸ロケット』というのを手がけておられます

ああ、そういえばシルバーサーファーとも色々似てますね(笑) わたしゃてっきりあの人?のスピンオフができるもんだとばかり思ってましたが、『ファンタスティック・フォー』の映画はまた一から仕切りなおしになるようで・・・

Posted by: SGA屋伍一 | November 09, 2010 08:24 PM

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Tracked on November 08, 2010 09:44 PM

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