ダンシング・パートナー ドミニク・アベル フィオナ・ゴードン 『ルンバ!』
と、いうわけで昨日に引き続きドミニク・アベル氏とフィオナ・ゴードンさんのサイレント風喜劇をご紹介しますよ。本日は第二作となる『ルンバ!』です。
教師として働いているドムとフィオナは仲の良い夫婦。お互い息のぴったりあったダンスパートナーでもある。ある日いつものようにダンス大会に参加した二人は、帰り道の途中災難に逢い、フィオナは片足を失ってしまう。ドムも重度の記憶障害を患う身となってしまった。それでもけなげに支えあう二人だったが、彼らの災難はまだ終ったわけではなかった・・・
前の記事でわたしがこの同時上映を見に行った理由について少し述べましたが、もうひとつ付け足しますと、それはズバリ二本立てだったから。同じ監督の作品を続けて二本って、リバイバルならともかく、新作ではかなり珍しいと思いませんか? それに一本の料金で二本見られるって、かなりお得な気がしますしねえ。
上映の順番は『アイスバーグ!』の方が先立ったので、こちらはついつい一本目と比較しながら見てしまいました。『アイスバーグ!』がかなりシュールな話だったのに比べると、こ『ルンバ!』はかなり分かりやすいお話です。ネタバレになるかもしれませんが、某メジャー韓流ドラマとちょっと似たところがあります。
また、淡色系が多かった印象の『アイスバーグ!』に対し、こちらは緑・紫・黄色などヴィヴィッドな色がたくさん用いられていました。
面白いのは夫婦を引き裂く「第三の男」として、前作にひきつづき長髪の大男が登場してるところ。彼の名はフィリップ・マルツといい、やはりアベル&ゴードンと一緒に道化師の修行を積んだ方だそうです。
冒頭のあらすじからわかるように、『ルンバ!』というタイトルとは裏腹に、二人は始まって早々に踊りができない体になってしまいます。たぶんこのタイトルは、二人の人生をも意味しているのかもしれません。まるでルンバのように、時に物悲しく、時にユーモラスで、時にゆるやかに、時に激しく。そんでもって出し抜けにぴたっと終る(笑)。そんな感じの映画です。
ですから全体的に見ればダンスのシーンは決して多くはないのですが、そのわずかなダンスのシーン(全部で三回あります)がどれもなかなか斬新でございました。体育館の床でレコードのようにぐるぐる回っていたり、打ちしおれた二人の後ろで影だけが躍っていたり。あるいは水平線上をまるでフロアのようにしてステップを踏んでいたり。『アイスバーグ!』もそうですが、こうした遊び心溢れる構図作りもこの二本の魅力です。
以下結末を明かしてます。ご了承ください。
死んだと思っていた夫に、再びめぐり合うことのできたフィオナ。もっとも彼の記憶障害は全然治ってない感じなので、これから大変だろうな~と思いました(笑)。でもそう、生きてさえいればきっとなんとかるものなのでしょう。そんな風に感じるのは、つい先日亡くなったアニメ作家、今敏氏の壮絶な遺書を読んでしまったからかもしれません。
現在アベル&ゴードンは第3作『妖精』を製作中。今度はファンタジーに挑むのでしょうか? ともかく、他に類を見ない面白い監督コンビなので、ひきつづきがんばってほしいものです。
Comments
こちらも例によってお約束ネタも多くて楽しかったです。
子供たちとビールとか、突っ込みながらもおかしくて。
良く解らんルンバも、さもそれが当然であるかのごとく
突き抜けてしまうところに芸人魂をみましたw
Posted by: KLY | September 11, 2010 10:11 PM
>KLYさん
こちらにもありがとうございます!
『アイスバーグ』同様楽しみましたが、あまりにも二人がかわいそうで、ちょっと辛いところもありましたです
子供たちとビールはうけました(笑) 子供に「ビール」と言われて普通に出すマスター。さすがベルギービールの国!
ダンスシーンはお見事でしたね。が、ここでもまたドミニクさんの脱ぎたがり癖が・・・
Posted by: SGA屋伍一 | September 13, 2010 08:51 PM