とーい昔の君へ リー・アンクリッチ 『トイ・ストーリー3』
あのウッディとバズが10年ぶりに帰って来た! んだけど、今度の彼らはなんだか深刻そう・・・ 本日はピクサーの原点である『トイ・ストーリー』シリーズの完結編?をご紹介いたします。
ウッディが日本の博物館に送られそうになってから数年。いまや持ち主のアンディは大学進学を控え、もうオモチャで遊ぶ歳ではなくなってしまった。行き違いから彼に捨てられたと思ったオモチャたちは、自ら「オモチャたちの楽園」と噂される託児所「サニーサイド」へ向うが、そこは楽園などではなく、ぶっ壊れるまで子供たちに虐待され続けるオモチャの強制収容所であった・・・
だれですかっ こんなおっかねえ話を思いついたのわっ
それはひとまずおいといて、前作「2」のラストを思い出してみましょう。一件落着した後、ウッディに語りかけるバズ 「いつかはアンディだってわたしたちを必要としなくなるぞ」 それに対し答えるウッディ 「仕方ないさ。でもたとえそうなっても俺にはバズという相棒がいる。それで十分さ」
・・・ってちょっと待て。いますごく重要な問題をさくっと流しただろ!
そう、いつか子供が大人になった時、オモチャの居場所はなくなってしまうのです。中にはいいトシこいてオモチャでコキコキ遊んでる大人もいますが・・・ げふんげふん
ま、ともかくこの問題に正面から取り組んで、納得のいく結論を出すには十年の歳月が必要だったということなのでしょう。
思えばこの十年でピクサーもすっかり日本に定着した感があります。実は『トイ・ストーリー』の1と2というのは日本においてはそれほど目立ったヒット作ではなかったそうですが(それぞれ15億と35億)、今回は初日の二日間だけで9億を稼ぎだすほどの快進撃。それだけピクサー、そして『トイ・ストーリー』が一大ブランドとなったということなのでしょう。
中には「いきなり『3』から見た」という方もおられるようですが、やはりここは前二作を見てからトライしていただきたい。でないと、三つ目の宇宙人たちがなぜクレーン車を見て「かみさま~」と駆け出すのかわかりません。ぶっちゃけ、ここ一番大事なとこなんで。
また前二作を見ることによって、「オモチャは子供に遊ばれてこそオモチャ」「しかしやがては捨てられてしまう身」という彼らのバックボーンが一層深みを増します。
果たして旅立つことになったアンディはオモチャたちにどんな決断をくだすのか? そしてウッディたちの運命は。
考えてみればオモチャと人だけでなく、人間同士でも大抵は必ず別れがつきまとうものです。たとえどんなに親しい間柄でも。
ここでこの「別れ」の儀式をきっちりやっておくなら、お互い次のステージへと気持ちよくステップアップできるわけですが、その辺がおざなりだったり不幸な形で済まされてしまうと、本編に出てくるロッツォ・ハグベアのように一生を左右するトラウマを負いかねない。「別れ」って大事だなあ、とつくづく感じ入ったのでございました。
とまあ深刻なところばかり語ってしまいましたが、いつものピクサー節は健在です。本当にもう、ネタ、詰め込みすぎなんですよあなたたちは!
まあなんつーかオモチャっていうのは、もう姿かたちだけで十分キャラ立ちしてるからずるいですよね・・・
仮面ライダーと思しきカマキリ男やら、おなじみのシンバルを連打するおサルやら、ウン年間逃亡生活をしている走る電話やら、不幸な過去から笑わなくなってしまったピエロ人形やら・・・ もう一度言います。ネタ、詰め込みすぎです。
なかでもはっちゃけてたのがバービーのボーイフレンドとして作られたケン人形。女の子のオモチャとして作られた男の子、という矛盾をはらんだ出自ゆえか、性格もかなり一筋縄ではいかないようで。来年のアカデミー助演男優賞は、まず彼と見てまちがいないでしょう。
さらには絶対脱出不可能なサニーサイドからどうやって脱出するのか? 脱出できたとして彼らに明日はあるのか? 最後の最後まで、本当に目が離せません。
正直言うと最初は「なにもいまさら続編なんか作らなくても」と思ってたんですよね。作れば悲しい話になってしまうのがわかっていたから。
でも今は、ちゃんと彼らとお別れができて本当によかったと思います。これこそが最高の別れ方というものでしょう。
ちなみに次のピクサーの新作は『カーズ2』に『モンスターズ・インク2』。安易に続編を作らないところがピクサーの良いところだったのだが・・・
あと捨てられたオモチャたちにもそれなりにハッピーな毎日が待ってるかもよ?という作品には『屋根裏のポムネンカ』という素敵な作品があるのですが、こいつがどういうわけかまだDVDになっていないようで・・・ 納得、いきませんよ! というわけで、出すなら今です。「東欧版トイ・ストーリー」というコピーで売り出せば、きっとバカスカ売れますから!
Comments
ご無沙汰です。
実は「トイストーリー」まともに見た事ありません……………。
レビューとプラモMSの説明だけでガンダム00の世界観知ってるのと同じレベルぐらいしか知らない(苦笑)。
あとは、楽しいCMか。
2人のバズがホンモノを主張する奴ね。
話それますが、アキバや日本橋で私達が買うプラモやフィギュアと、ウッディたちとはどれほど差があると言うのか……。
中古玩具店やその山を見て日本人は、物の有り難みを実感しないといけませんね。
因みにウチは、ガンプラのVGは完成して陳列。魂スペックのレイズナーは永久保存ですよ。
Posted by: まさとし3055 | August 04, 2010 10:36 PM
いやぁ、それにしてもウッディたちが「ホッタラケの島」に行かなくて本当によかった!あそこ行っちゃうと助けるのほんっと大変なんだから。エイリアンたちも落っことしてたら大変でしたね。下の取り出し口からポロっとは出てこないし…。
第1作を5歳で観たねえねがも20歳ですよ!そりゃ感慨もひとしおでエイリアン10セットも買うわけです。いや買いすぎです。(笑)作品と共に我々も成長してきただけに、思い入れがその分強いってこともあるんでしょうね^^
Posted by: KLY | August 04, 2010 11:29 PM
伍一っちゃん
こんばんは、今日はサングリア3杯でちょっとだけ酔いはいっちゃってまぁす
>三つ目の宇宙人たちがなぜクレーン車を見て「かみさま~」と駆け出すのかわかりません
そうなんだよね〜、よくぞ書いてくれた!
え?『カーズ2』に『モンスターズ・インク2』?!
モンスターズインクは好きだから許すとして、
カーズ2はぜったいイラナイ〜!
(ダメ派)
それにしても今回の3はこんなに傑作になろうとは☆
今年のベスト5は確実だな〜♪
ポムネンカはDVD出たら観るね☆
Posted by: mig | August 05, 2010 12:29 AM
>まさとし3055さん
こちらこそご無沙汰ですいません
未見ならとりあえずDVDになってる1と2だけでも見てほしいですね~ たぶんこれまさとしさんが好きそうな話だと思うので
まあオモチャにもいろいろあって(上ではひとまとめに書いてしまいましたが・・・)ガンプラとか超合金魂とかはもう「工芸品」でいいんじゃないかと。対象年齢もぐっと高くなってますし・・・
本作品では「要らなくなった子供向けのおもちゃをどうするか」ということについて、とても建設的な結論が出されたりもしています
あ、Vガン組みあがったんですね。最近ガンダムエースでもGとかWとかこの辺に力入れてますね
Posted by: SGA屋伍一 | August 05, 2010 06:57 AM
>KLYさん
毎度本当にありがとうございます
そしてすいません・・・ 『ホッタラケの島』見てません・・・
なんとなくスルーしてしまったのですが、あとで皆さんの高い評価を読んでちょっぴり後悔いたしました
あのクレーンの前後のくだりは本当にもう「クライマックス」のひとつの完成形だと思います。数年かけて脚本を練り練りするピクサーならばこそですね
ねえねさんは確か邦画派でアンチハリウッドではなかったかな? その彼女をも号泣させてしまうとは恐るべしトイストーリー
わたしも側においとくならあの宇宙人かな~ でも10セットはさすがに要らない(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | August 05, 2010 07:03 AM
>migっちゃん
おはようございます。ゆうべはいい気分だったみたいで。つぶやきがいつもと違うノリで面白かったよ
実はわたしも「1」の「かみさま~」のあたりとかすっかり忘れてたんだけどね~ だってあんな大事な場面であれが来るとはねえ・・・ これは読めんですばい
『カーズ』はわたしもピクサーでは評か低い方なんだけど(メビウスさんゴメン)、情報読んだら「レーシングカーの主人公とおんぼろ車が世界中を旅する」というあらすじでなんかワクワクしてきちゃいました
『ポムネンカ』は公開から一年も経つのにまだDVDになってないんだよね。単館系の作品ってそういうもんなのかな?
Posted by: SGA屋伍一 | August 05, 2010 07:09 AM
こんばんは!(*^^*)
そうですねぇ〜、おもちゃだけでなく「別れ」の仕方は大事ですね〜。
間違えば、殺傷沙汰もおこりかねない事もありますからねー(笑)
ストーリーも良く出来ていましたが、ネタも充分楽しめました。
三つ目の宇宙人たちは、おいしいトコもっていきましたね。
それに、バービーではなくケンに焦点をあてているトコも
なかなか面白かったです。
Posted by: ルナ | August 07, 2010 01:09 AM
>ルナさん
お返しありがとうございます
>間違えば、殺傷沙汰もおこりかねない事もありますからねー(笑)
そ、それは確かに・・・ してみると、本当に大事なのは辛い経験をしても暗黒面に落ちない心の強さかもしれませんね
ピクサーのネタ密度にはいつも唸らせられますが、今回は特に濃かったです。ミセス・ポテトヘッドの片目とかね~
ケンはもうスピンオフが作れるんじゃないか、というくらいのキャラ立ちぶりでした。あのわざとらしそうな笑顔がなかなか頭から離れません(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | August 07, 2010 07:33 AM
伍一くん
キンスコックピット内 熱死〜
今日2回目、観ているころでしょうか。
私も3回目観たいよー。
ポテトヘッドと3つ目宇宙人たちのイラストだったのは、嬉しい驚きでした。
我が家の人気は、この2つのキャラクター。
うんうん、つめこみすぎなのわかるけど、
カマキリの動きも、シンバルサルの怖さも、ピエロの哀愁もたまんないほどいいよねーー。
さりげないところまで強烈。
あんなに素敵な楽園にみえたのに、子供達からの虐待、壮絶だったねー。
いもむし組からちょうちょ組に行きたいとの申し出に
あたしゃキュン死。
帰りにガチャガチャやった下の子。
出てきたのはロッツオでした(爆)
トラック野郎の飾りにものになったところも、、なんかせつなく。。おもしろいっ!!
また発見があったら聞かせてね〜!!
Posted by: hino | August 13, 2010 02:10 PM
>hinoさん
キンス・コドモの国
二回目は姉・友人ら六人と見たんだけど、一番人気はやっぱり宇宙人ズでした(笑)
最初一人で見たときはhinoさんと同じく溶鉱炉のあたりでちょい泣き、最後のお別れのシーンで号泣しますた
昨日はなんとかこらえましたがね~
いや、ピクサーはこのつめこみすぎなところがたまんないんですよ
わたしゃどっちかてえとオモチャを乱暴に扱ってぶっこわすような子だったので、イモムシ組のシーンは過去の罪を直視させられるような気分でしたね・・・
>出てきたのはロッツオでした(爆)
ここ大爆笑 お子様は「ゲッ」と思ったかもしれないけど、ぜひぜひたっぷり愛情を注いでやってください。さもないとまた新たな悲劇が生まれてしまうやも!
Posted by: SGA屋伍一 | August 14, 2010 08:22 AM
やっとお邪魔しました
遅くなってどうもスミマセンです。
忙しい、忙しいとボヤいていたら、変な菌にやられちゃったらしくて、高熱と頭痛でダウン(恥ずかしいけど、腹痛に伴う下○も酷くて・涙)
もうスッカリどうでも良くなったけど、ブログに凹むようなコメントももらっていたので、一気に根暗と化し、只管ウンウン唸っておりました・・・
で、、、コチラの映画ですが、、、泣けました。とにかく泣けました。
どうせお別れなんでしょう?!って感じで、楽しみにしていたくせにイマイチ引き気味で観に行ったのですが、最初っから「うう・・・」って涙ぐんじゃったなぁ~
ラストは号泣ですよ
優しいさよならでも、やっぱりさよならはさよなら・・・切ないなぁ~
でもトイ・ストーリーのシリーズは名作だと思う。3のDVDが出たら3作続けて観てとことん泣こうと思います。
Posted by: 由香 | August 14, 2010 11:34 PM
>由香さん
こんばんはーっ
わたくし、由香さんのご復帰を心よりお待ちしておりましたのよ・・・
本当にいろいろ大変でしたね。お疲れ様でした
わたくしもこの映画、一度目はでろでろに泣きましたが二度目は友人たちと一緒だった手前なんとかこらえました。そう、泣けるシーンも多かったですけど、同じくらい笑えるシーンもたくさんありました
どうやっても悲しい話にしかならなそうなのに、あんなさわやかな仕方でお話をしめくくってくれた監督&スタッフには脱帽です
それでも由香さんはやっぱり切なかったみたいですね・・・
普通三部作というのはおおむねそんなに間をおかずにつくられるものですけど、『トイ・ストーリー』に関しては3だけだいぶ間が空いてますよね。でも本当にそこを上手に生かしてるなあ、と感じました
Posted by: SGA屋伍一 | August 16, 2010 08:03 PM
伍一くん、こちらにも☆
キンスコ進化しすぎーっ(笑)
キャッツアイ3人組で観たけど、hinoちゃん溶鉱炉で泣いたって・・・・わたしゃ、最初から最後まで号泣でしたわ。
それにしても続編でヒットなんてないって思っていたけど、なんのなんの!
確かに今年のベスト5確実ね。
伍一君の宇宙人かわいい!
ねえねも宇宙人くんボーリングセット買ってきたから、10人の宇宙人くんがいつも家でこちらを見ているよ。
Posted by: ノルウェーまだ~む | August 22, 2010 05:52 AM
>ノルウェーまだ~むさん
キンス国際通信! ・・・こちらにもありがとうございます
キャッツアイ三人組はきちんとキャラが別れていて面白いですね。わたしは勝手にまだ~むさん・・・人情派 migさん・・・クール hinoさん・・・天然 ととらえております。・・・この文章hinoさんに見られたら怒られそうだな・・・
1、2と順調に行ってても3でこける映画って多いですよね。例外は『ボーン・アルティメイトゥム』『シスの復讐』『王の帰還』くらいでしょうか。『新・猿の惑星』などもけっこうがんばっています
宇宙人好きですけど10人はいらない(笑) そんなに部屋に置いてたらクレーンに吊り上げられていく夢を見そうです・・・
Posted by: SGA屋伍一 | August 23, 2010 12:15 PM
おくればせながら、感想書きました。
たしかに詰め込みすぎ(笑)
でもどれだけ詰め込んでも、すべてのネタがちゃんと生きてるのが
すばらしいですね。
ほんとケンには助演男優賞あげたい(笑)サイコーだった。
ピクサーは続編が続きますねぇー
続編ってテンション下がりがちだけど
ピクサーは例外ですね。特に『モンスターズインク2』が楽しみ。
またしても泣かされそうな予感がします。
Posted by: kenko | August 27, 2010 09:12 PM
>kenkoさん
こんばんばんです 夕方ごろ急速に眠くなってしまい、今まで死んでました・・・
今夏は本当にハイレベレルなアニメが多かったのですが、やはり「ネタの密度」という点では『トイ・ストーリー』が一番高かったです
上にも書いてますけど、なにげに宇宙人がクレーンのオモチャを見て「かみさまー」という。そこで一作目のあのネタを思い出させて、クライマックスのあそこにつなげるとは本当に恐ろしいほどの高等テクニックですよ
個人的にケンの演技では明らかにバービーの同情をひこうとして「分かち合える人がいない・・・」とたそがれるシーンが気に入っています(笑)
この分だと他の続編も期待できそうですね~ わたしが一番見たいのは『Mr.インクレディブル2』なんだけど
Posted by: SGA屋伍一 | August 28, 2010 10:58 PM