« ザ・コブ クリストファー・ノーラン 『インセプション』 | Main | ウィンディ・シティ・コップ 『仮面ライダーW』を語る③ »

August 14, 2010

ニッポン救世主伝説 神山健治 『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』

100814_183434これ見たのもう二週以上前だなあcoldsweats01 よって静岡東部でもすでに上映終了しております。今日はテレビシリーズから始まった『東のエデン』の完結編についてちょっこし書きます。オリジナルについてはコチラを、劇場版第一部についてはコチラをご覧ください。

元総理の息子という肩書きを与えられ、日本に戻ってきた滝沢。その周囲が再び騒がしくなる中、咲は滝沢に頼まれて彼の母親を懸命に探す。一方滝沢は勝利のためにはミサイル攻撃も辞さない「セレソン」の一人、物部に対抗すべく策をめぐらす。そして「セレソン」たちの生き残りゲームも終局にさしかかったその時、ずっと謎だったゲームの主催者「ミスター・アウトサイド」の正体がようやくその姿を現した・・・

セレソンたちが次々と脱落していく中で、滝沢の前に最後に立ちはだかったのは「No.1」物部でありました。元官僚であり、恐らく「No.2」の辻と並んで、最も高い知力と行動力を持つ男。そして将来の日本に対する自分なりのヴィジョンもしっかり持っております。
ただ彼のヴィジョンというのがかなりクセモノでありまして。聞いているとまるで戦前の治安維持法を復活させて、全体主義的な時代に戻そうとしているとしか思えない。しかし物部の言い分にも一理あり、一方的に「悪」とも処断しがたいところがあります。主人公の滝沢ですら、「じゃあ物部さんが総理になってよ」とまで言い出す始末。
けれども、人を集団としか見られない物部と、個々の人の心に訴えようとする滝沢とは決裂することになります。

そんな二人の対決を離れたところでじっとうかがっているのがミスター・アウトサイド、こと亜東才蔵。これまでほとんどわたしたちに近い世代しか出てこなかったこのアニメですが、彼の登場により、作品世界は戦中や高度経済成長期といった日本の近代史とつながることになります。
ともかくお金を儲けなくては、ということで動いてきた戦後日本。しかし20世紀末においてその方向にも限界が見えはじめ、この国は進むべき場所を見失ってしまいました。そんなわけで用意されたのがこの「セレソン」のゲームだったわけです。
しかし作品としてははっきりと具体案は提出せず、結論としては「一人一人、真剣に考えよう」という程度のものでありました。でもわたしはそれでいいと思ってます。そんなに簡単に解決策が出せれば誰も苦労はしません。このアニメを見た若者が社会や周りの人々に対して、少しでも積極的に考えるようになれたなら、作品には十分価値があったと思います。

強いて神山氏が残したヒントを探るとするなら、それは「世代を越えた協力が必要」ってことではないでしょうかねえ。上の世代は若い世代のためにもっと道を開くようにして、下の世代はもっと社会に関わっていくようにがんばる。社会から脱落したようなわたしが言うのもなんですが、もっと多くの大人たち・若者たちがそう努力するなら、日本はもっと住みよい国になると思います。

このアニメは一応ラブストーリーの一面もあったと思うのですが、この劇場版においては、むしろそんな「日本の行く末」の方が大幅にクローズアップされてしまった感があります(笑) 滝沢と咲の恋については、はっきり決着が着いたというよりはまだまだ発展途上のような。まあそれはそれで先を想像する楽しみもあるというもの。

100814_183510「先を想像する」といえば、亜東という最強のカードを手に入れたタッ君は今後どんな活躍を見せるのでしょう。世界の各国を相手に痛快なパワーゲームでも繰り広げるのだろうか・・・ なんて考えると楽しいですね。
ともあれ『東のエデン』、全編見られて本当に良かったです。上映してくださったジョイランド沼津さまに、感謝半永久的に(ハンパ)

|

« ザ・コブ クリストファー・ノーラン 『インセプション』 | Main | ウィンディ・シティ・コップ 『仮面ライダーW』を語る③ »

Comments

最近ようやくテレビシリーズと劇場版1を観ました。
見た目は羽海野チカ先生のキャラクターでほのぼのしてるけど
神山監督らしさが感じられる社会派で、攻殻っぽいところもあって
まあまあおもしろかったです。
ラブストーリーなところはかなりくすぐったかったsweat02

なぜか広島人なパンツくんと黒羽さん、あとジュイスがお気に入りですshine

Posted by: kenko | August 20, 2010 at 11:22 AM

>kenkoさん

こちらにもどうも!
全体通して、個人的に一番盛り上がったのはテレビシリーズラストかなあ。もちろん完結編のラストもそれなりに見ていて力が入りましたが

これと攻殻機動隊って全然結びつきませんね(笑) 似ているところといえばネットワークが重要なテーマになってるというところかなあ。攻殻関連は『イノセンス』しか見ていないんですけど

わたしもラブものは苦手なんですが、羽海野先生の『ハチミツとクローバー』は感動しましたよー

お気に入りのキャラはkenkoさんとほぼ一緒。あと「東のエデン」のボンクラ二人組も気に入ってます

Posted by: SGA屋伍一 | August 20, 2010 at 06:19 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/49146153

Listed below are links to weblogs that reference ニッポン救世主伝説 神山健治 『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』 :

« ザ・コブ クリストファー・ノーラン 『インセプション』 | Main | ウィンディ・シティ・コップ 『仮面ライダーW』を語る③ »