ご本といえば理由隠さん アルバート・ヒューズ&アレン・ヒューズ 『ザ・ウォーカー』
西暦200X年、人類は核の炎に包まれた。だが人類は、まだ滅んではいなかった・・・ って、この書き出しも何回使ったことでしょう。ええと、これはまだ少しやってますね! 『マトリックス』などで知られるジョエル・シルバーのプロデュース最新作、『ザ・ウォーカー』紹介します。文明が崩壊した世界を舞台に、三十年間一冊の本を持ち歩いて旅する男の物語。彼の目的は? そしてその本の正体とは?
主演に演技派デンゼル・ワシントン。アナーキーな世界ゆえに旅には無法者の危険がつきまとうわけですが、そんな時は自慢の大型ナイフでもってシャキシャキ悪者を裁きます。といって「正義の味方」というには程遠く、自分と無関係な人が襲われてる場合には、「あっしには関わりのねえことで」と、文字通り「見てみぬフリ」を貫く彼。序盤はそんな風に「ケンシロウが人助けをしない『北斗の拳』」のように進んでいくのですが、これが中盤あたりから段々と宗教色が濃くなってまいります。そんな感じな話なんでキレのいいアクションだけを期待していくと、後半なんかかなりフラストレーションがたまるかもわかりません。
んんん~ こっから先はどうしても「あの本」について触れないと話が進んでいかないな・・・ というわけで、未見の方でカンのいい方はここから先はご注意ください。
「莫大な力を秘め、世界を変えることができる」この本、ご存知のように実在する書物です。お話では大々的にバッシングが行われたためほとんどが焼かれた、と言われていましたが、この本は実際に世界で何度も迫害を受けてきました。その教えが危険だと判断されたことにより、あるいは権力者が民衆が知恵をつけることを恐れたがゆえに、集められて火にくべらたということです。
一方でこの本の内容をひろめるために、命をかけた人も多くいます。本の一部を書いた人もそうですし、権力者に逆らって翻訳しようとした多くの人々が、残酷な仕方で処刑されました。
ある人たちはこの本のおかげで生きる目的を知ったといいます。先に何があるかわからぬこの世界において、それは確かに人々の支えになってきたわけで。
一方でこの本は多くの戦争をひきおこすきっかけとなったとも言われています。とにかく人類史を通じて、この本ほど人々に大きな影響を与えてきた本はないでしょう。
とくに欧米の人たちは多少の差はあれ、その影響をずっしりと受けています。あちらの映画や小説を読むと本当にそのことがよくわかります。完全にわからずとも一回通して読んでみると、映画に対する理解もまた深まるのではないでしょうかね。わたしも一応読んだことあります。ええ、わからない部分の方がずっと多かったですけど。
原題は『The Book of Eli』。イーライ=エリというのは、「主よ」という意味じゃなかったかな。キリストが亡くなる前に言った言葉が、たしか「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」 ・・・・はい、この辺でもう大概にネタバレですね。すいません。
ちなみにデンゼル氏は、「『実は彼の持っていた本は、世界で最後のプレイメイトだった』とかそういうオチでもいいと思った」なんてさるインタビューで語っておられました。バチあたりでございますわよ! デンゼルさん!
あとこの映画、ちょうどiPadが発売されたころに公開されたのが実にタイムリーだなあと。紙の本というのは場所を取るのでいっそ全部電子化しちまえ、という意見もあるそうなんですが、電子化しちゃうとロードする機械や配信元がおしゃかになっちゃったりすると全く読めなくなってすまうわけですよね。そういうわけでやっぱり最終的に頼りになるのは神の本、いや紙の本なんではないでしょうか。
活字離れが叫ばれている今、書物に親しむのは非常に大切なことだと思います。中高生のみなさん、この暑い時期に読書感想文も大変だとは思いますが、がんばっていろんな本にトライしてください。
Comments
あら?UPされたばかりですね。いちばん乗りだ☆
SGAさん、あの本も読まれたことがあるとはサスガです。
子供の頃なぜかガールスカウトをやってたことがあって・・・
強制的に読まされてたんですけど、そこでの教えはなにひとつ
身に付いておりません。。。
デンゼル氏のインタビューおもろ(笑)
なかなか言いますね〜 でもそれ、確かにおもしろいかも。
コメディになっちゃうけど。
ipadはipadとして、やっぱり本は紙をめくって読みたいです。
Posted by: kenko | July 10, 2010 05:44 PM
世界で最後のプレイメイトだったら最高だったのに。(笑)
私はデンゼルの最初の殺陣に魅せられました。それだけに
むしろガンアクションなんかやめて殺陣一本でいってくれたら
よかったのにとすら思ったり。
弾丸斬っちゃえ、五右衛門のように!ってね。w
聖書なのはすぐ解りましたけど最後のオチは流石に想定外
でしたんで驚きました。ただまあ誰しもみんな30年もどこ
ほっつき歩いてたんだよ!とは思いますよね…^^;
Posted by: KLY | July 11, 2010 01:42 AM
>kenkoさん
一番乗りありがとうございます
いやいや、動物を愛し、旦那さんにつくし、十分その精神を反映されているではないですか!
デンゼルさん、けっこうシャレのわかる人のようですね。この方も最近のデカプリオ同様、始終しかめっ面な役ばっかりやってるから意外でした
わたしもやっぱり本は神で読みたい派。というか、iPadを使いこなせる自信がまったくありません(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | July 11, 2010 08:54 PM
>KLYさん
毎度ありがとうございます。ここに「プレイメイト」支持派が(笑)
命かけて守ってきたお宝が、実はしょうもないものだった、っていうオチはよくありますよね。・・・具体例が思い出せないのが辛いところですが
わたしはあのぶかっこうなナイフが少し不満でしたかね。どうせ刃物を振り回すなら、日本刀で戦ってほしかった・・・ ってそれじゃ本当に座頭○か、あるいは「ブレイド」になっちゃいますけど
あのもう一つのオチはよかったですが、確か○○の○○版ってとても一冊ではおさまりきらなかったような・・・ 例えば日本語版は32巻もあります。・・・まあ超高密度に圧縮されたものだと考えて見過ごすことにします
>30年もどこ
ほっつき歩いてたんだよ!とは思いますよね…^^;
わたしは「実はすごい方向音痴で同じあたりをぐるぐる回っていた」という説をとります(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | July 11, 2010 09:04 PM
こんばんは(*^^*)
そっかぁ〜、30年もかかったのは方向音痴だったんですね〜(笑)
私も本はやっぱり紙が好きですが、
地震のとき、天井までの本棚が倒れたのを見た時は
本でも死ぬかも・・・って思い、半分ちかく処分しました。
(それでもかなり残っているんですが・・・笑)
そう言えばその中に、世界に1冊残った本もあるなぁ〜。
学校がカトリック系だったせいで、強制的に買わされたのですが
やっぱり処分するのは、バチあたりそうで・・・・(~_~;)
Posted by: ルナ | July 12, 2010 11:09 PM
SGAさんおはようございます♪
宗教色も濃いこの手の内容は確かに欧米や諸外国等で共感出来る部分はあると思いますが、それが日本となるとやっぱり漫画先進国らしく北斗っぽい世紀末な世界観の方ばかりに共感する人が割と多いみたいですね。実際自分もそう思っちゃいましたし、他のブロガー様もちらほらと・・・w
世紀末=北斗の拳ってのは鉄板ですね
>世界で最後のプレイメイトだった。
デンゼルは冗談交じりで言った可能性もあると思いますが、それでもこのネタは色んな映画作品をパロってるあの絶叫計画シリーズがいつか本当にやりそうで、心なしか期待しちゃいますねぇ。未公開になりそうですけど・・^^;
※それとこちらのTBがいつも不調なので、代わりにTB先をURLの方に貼らせて頂きました。
Posted by: メビウス | July 13, 2010 04:50 AM
>ルナさん
こんばんは! 毎度ありがとうございます
たしか聖書の中にもありませんでしたっけ。エジプトを脱出したあと、荒野をぐるぐる40年もさまよっていた、という話が。あれは方向音痴じゃなくて、神から罰せられた結果でしたが
わたしも本はそれなりに持ってます。実家にもだいぶ置いてきたし。たぶんルナさんと違うのは半分近く(以上?)が漫画だっていうことですね(笑)
ルナさんもあの本は強制的に読まされたクチですか(笑) まあ日本人ではそういう人の方が多いかもしれませんね。例の『エヴァンゲリオン』がヒットした時にはその影響で読み始めた、なんて話もちょくちょく聞きましたが
Posted by: SGA屋伍一 | July 13, 2010 07:14 PM
>メビウスさん
こんばんは! 毎度出遅れてすいません
なんなんでしょうね。一応今は「世紀初」なんですけど、ああいう荒廃した世界を見るとどうしても「世紀末」と言いたくなりますよね。それはやっぱり『北斗』世代だからでしょうか(笑)
北斗世代の人たちは、できれば最後は主人公とライバルの一騎打ちが見たかったでしょうね・・・ あ、でもゲイリーさん一人じゃ相手にならないか
絶叫シリーズは最初の一本しか見たことないです。それなりに楽しんだものの、あまりにも露骨な下ネタの数々にちょっとひいたりもして。映画ファンを自認するならそれでも全部見ておいたほうがいいのでしょうか?
TBの件了承しました。こちらからもFC2さんには全然届かなくなっちゃいまして。すいません2
Posted by: SGA屋伍一 | July 13, 2010 07:25 PM
こんばんは。
中高生の皆さんということは、ここの読者は年齢層低いのかな?
期待してなかったしオチが読めなかったから(ホントに最後の)
まあまあ楽しめたよ〜☆
デンゼルさんがこんなにかっこよく見えた事はなかったかも? 笑
Posted by: mig | July 14, 2010 11:01 PM
>migさん
おはよっす。お返しありがとうございます
>ここの読者は年齢層低いのかな?
他の映画ブログに比べるとたぶん・・・ アニメとかライダーも扱ってますからw
この時期よく来るんですよ。「○○○感想文」というワードで飛んでくる人が。読書感想文くらい自分で考えて書きなさいと
チャンバラアクションをするデンゼルさんはかなり新鮮でしたね。ただわたしはサングラスでああいうのをやられると、どうしてもウェズリー・スナイプスの『ブレイド』に見えてしまって
Posted by: SGA屋伍一 | July 15, 2010 07:30 AM
こんばんは~♪
忙しくなっちゃって、ブログの方が疎かになっております(泣)
だけど、飛んできました~^^
だって「ふたりの証拠」と「第3の嘘」を読了したんだもん♪
忙しいくせに読んだのか?と不思議に思われたことでしょう。
やたらと電車に乗っているので、本はかなり読んでいます(笑)感想を書く時間がないだけで(汗)
で、、、驚きましたよ~
あの悪童日記がああいう展開になるとは!
個人的には面喰っちゃって、感想が捻り出せない気がします。
結局どういうことなんだ?!3部作とも嘘ってことか?!みたいな。
是非是非お師匠である伍一さんに3部作を解説して頂きたい。
いつか記事を書いて下さいませ。
私の方は、夏休み向けに、島田さんの『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』の感想でも8月に入ったらアップします。
で、、、映画ですが、、、イマイチでした~
あの本は私も読んだことがあります。
外国文学を堪能するためには必須だ!!って思いたって。
かなり面白いと思っちゃって、暫くの間枕元に置いて、何度も読み返しました~
脳が古いのでちっとも覚えられませんでしたが(涙)
Posted by: 由香 | July 27, 2010 11:25 PM
>由香さん
大変お忙しいとこおいでくださってまことにありがとうございます
いやー、驚かれたでしょう。クールでシンプルだった『悪童日記』があんな風になっちゃってこんな風になっちゃって?
この一作読むごとに前作の世界観がガラッとひっくりかえってしまうところが、この三部作のすごいところだと思うのですよ
感想は必ず書きますが、気長にお待ちください・・・
ちなみに「悪童日記 あらすじ」でぐぐるとわたしが五年前に書いた記事が出てきます(笑) うーん、本当に大したこと書いてないな・・・ 『漱石と倫敦ミイラ』の感想、お待ちしてます
話変わって
あの本を「かなり面白い!」と思われたとはすごいですね!さすが由香さん
確かに物語部分はドキドキワクワクする部分もあるのですが、予言の部分や法律の部分なんかはけっこう難解ですよね・・・
一回読んだだけでは到底全てを把握するのは不可能なので、わたしもイーライのようにまた繰り返し読んでみないとなー
Posted by: SGA屋伍一 | July 28, 2010 07:54 PM