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July 06, 2010

バンディッツ・オブ・アラビアン マイク・ニューウェル 『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』

100706_184806ああ。もたもたしてるうちに公開大体終っちまってる 大味なアドベンチャーを作らせたら天下一!(あわわ)なジェリー・ブラッカイマーのプロデュース最新作。『プリンス・オブ・ペルシャ』ご紹介します。

かつて中東において大いなる権勢を誇ったペルシャ帝国。貧民街で育った少年ダスタンは、その勇気により国王から王家の一員として迎えられる。それから数年が過ぎ、立派な戦士として成長したダスタンは、隣国との紛争の際、奇妙な道具を手に入れる。それはなんでも願いがかなうという伝説のランプだった・・・

最後の一文だけウソンコです。

わたくしがこの映画を見た理由というのは、実は「ほかに見るものが見当たらなかったから」というものでした(爆)。中東を舞台にした時代劇というのはそうそうあるものではなく、その点に関しては興味をひかれたものの、それ以外はどうも目新しい要素がなさそうで。はっきり言ってしまうと『パイレーツ・オブ・カリビアン』の中東版という感じ。怪獣も出てこなさそうだし。
だいたいわたしは王子というものが好きではありません。生まれた時から苦労を知らず、親の権威の上にあぐらをかき、おまけに女子からはもて放題。そんなヤツに感情移入などできるわけがないだろがああ!! うがうあああ!!

ところがどすこい実際に見てみたら、これがなかなか面白い。
まず「王子問題」ですが、冒頭でダスタンが「拾われた貧乏人の子」というのがわかった時点でクリアされました。すまなかった、ダスタン。君はぼくらの仲間だ。
あとわたしこういう「血のつながらない親子」の交流みたいのに弱いんですよ~ 例をあげると『スパルタカス』とか『グラディエイター』とかね。

あと最初に抱いた不安のひとつに、「ジェイク・ギレンホールに果たしてヒーロー役が務まるんやろか・・・」というのもありまして。わたくしこの人ってどうも「変なあんちゃん」というイメージで(BBMファンの皆さん、すいません)。なんせこの人を知ったのが『ジャーヘッド』と『ゾディアック』だったもんですから。
それがその変な・・・いや、やさぐれた・・・いや、エキセントリックなところが、単なる正義漢とは一風異なる面白いヒーロー像を作り出していたように思います。かといってジャック・スパロウほど世慣れてもなく、まだ青臭いところも多少残されていて。まるでジャックとウィル・ターナーを足して割ったようなキャラにしあがっておりました(どうしてもそこに戻ってきてしまうな

さらにツボだった点としては、最近そんなに珍しくもないけど、屋根の上をぴょんぴょん飛び回るアクションなど。チャンバラは意外と少なめで、どっちかといえば投げナイフやらロープを使ったアクロバティックなものが多かったです。そう、アラビアン・ナイトのはずなのに、なんかいちいち忍者風なんですよね。『NARUTO』に影響を受けたのかどうかは知りませんが、その辺とてもなじみやすかったし、興がのりました。

この映画の重要なアイテムとして出てくる、「時間の砂」が入った短剣も面白い。この剣、柄のボタンを押すと数十秒ほど時間を巻き戻すことができます。しかし数十秒ではできることは限られてるし、砂を消費するので巻き戻せる回数も無限ではありません。その辺どうやって上手に使うか?というところにも興味をそそられました。

そんな『プリンス・オブ・ペルシャ』、予告編からはイマイチその面白さが伝わらなかったせいか、日本でも本国でも売り上げはそれほど伸びなかったようで・・・ そもそももう終っちゃってるし。わたしだって余裕がなかったら見なかっただろうし。やっぱり先にディズニーランドで、派手なアトラクションを作っておくべきでしたね。

100706_184833とりあえず近所の名画座でかかったならば、ご覧になってみることをおすすめします。やっぱりこういうのはDVDよりスクリーンで見たほうが楽しいと思うので。
スタッフの皆さん、なんのお力にもなれず申し訳ありましぇーん


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Comments

ジェイクのアクションが素晴らしかった!だけかな…(笑)まあそれは言い過ぎにしても、途中から王女のポジションが変わっちゃったりして、アドベンチャーとしては結構グダグダかと思います。というか王女あんま可愛くない…私はね、私は。
ジェイクにパルクールアクションを教えたのは「アルティメット」の俳優という情報があったんで、多分パルクールの創始者の一人でもあるダヴィッド・ベルが教えたんじゃないかな~と推測してますです。

Posted by: KLY | July 06, 2010 08:27 PM

伍一くん、キンスコック

中東、アラビア〜ンも好きなので、興味を持っていた作品でした。
ジャスミン似って言われたこともあるし
水タバコ吸ったこともあるし

めずらしくかっこいいイラストだね!目元うまい=!

そっか、KLYさん曰くの、王女が絶世の美女じゃないのね。残念。

Posted by: hino | July 07, 2010 08:48 AM

>KLYさん

毎度ありがとうございます
そういえば王女のこと何にも書かなかったな(笑)
ポジションが変わったとはツンからデレへ変わったということでしょうか。違うか

>アドベンチャーとしては結構グダグダかと思います

いやいや、このグダグダというか、あんまし緊張感が持続していかないあたりがブラッカイマーの持ち味ってやつじゃないでしょうかね!(ほめてんのかソレ)

実はパルクールって知らなくて調べてみましたら、いろんな映画で使われてるんですね。『007/カジノロワイヤル』のアクションと似てるな、と思ったらそういうところでつながってたとは。勉強になりました

Posted by: SGA屋伍一 | July 07, 2010 07:16 PM

>hinoさん

キンスコンスコンスタン・ティノープルです
hinoさんもほんに趣味の広い方ですな~ あのイスラム建築の幾何学的なところとかエキゾチックなところにひかれるのでしょうか

ジャスミンって誰でしたっけ? 幸田?(それはシャーミン)

ヘボ絵にお褒めのことばありがとうございます。本物のほうはもう少し目がギョロっとしてます

王女、わたしは十分きれいと思ったんですがね。KLYさんが「可愛くない」と言ったのは性格のことかも? 

Posted by: SGA屋伍一 | July 07, 2010 07:26 PM

こんばんは~♪

これは、なかなか面白い映画でしたよね。
もっとヒットしてもいいと思ったんだけど、、、やはりジェイクの知名度がイマイチなんでしょうか。それとも変なあんちゃんで定着しているんでしょうか(笑)
私なんて何気に気に入っちゃって2回も観に行っちゃいました~
やっぱり冒険活劇って好きだわ~アクションがカッコ良かったし。ほぼ自力でアクションをこなしたジェイクの株が私の中でうなぎ登りですよ♪

ところで、悪童日記の感想ですが、多分金曜日にアップします。
遊びに来て頂けると嬉しいです^^(催促してゴメンなさい・汗)

Posted by: 由香 | July 07, 2010 11:46 PM

>由香さん

おはよっす。お返しありがとうございます
なんかこの映画、予告もそれほど見なかったし、公開時期も微妙だったし、配給さんもあんまり力入れてないのかな・・・と思いました
『アリス』『告白』とガチンコでぶつかってしまったのも痛かったですね

それはともかく、アクションはほとんどスタントなしだったとはすごい! わたしも見習って姫の沢のアスレチックで特訓してこようかしら

『悪童日記』の記事、喜んでお邪魔しますよ♪ わたしの記事はいつになるかわかりませんが(笑) 実は五年前に書いたのがあることはあるんですが、続編・続々編についてちょこっと触れてるので、あえて検索されないことをおすすめします

Posted by: SGA屋伍一 | July 08, 2010 07:33 AM

ジェイクのファンの私でも全く期待してなかった作品で
いわばジェイクへの義理で(別に義理立てする仲でもないが)
観にいった作品です。
でもおっしゃるように,なかなか新鮮な要素と意外性が
この作品の魅力になっておりましたね。
私はBBMで運動神経抜群のヒースに比べると
乗馬シーンでもどうしても不器用に見えてしまったジェイクが
よもやこれほどアクションがこなせるとは思ってなかったので
スタントや特撮に頼っているんだろうな~と予想していたら
ほとんど自力でこなしたと聞いて見直しました。
ま,わたしは基本,強い男より弱い男にひかれるタイプなので
今作のジェイクよりはゾディアックのオタク青年の方が好きですが。

Posted by: なな | July 09, 2010 11:16 PM

こんばんは(*^^*)
えっと、ジャスミンはディズニーアニメのアラジンに出てくる
ヒロインですよ〜〜〜。
私もアラジンの実写版みたいな映像だなぁ〜と思って
観ておりました。
ストーリーはそこそこでしたが
テンポの良さとアクションで、それなりに楽しめる作品でした。
壁のぼりのアクションが気に入りました!!!

Posted by: ルナ | July 10, 2010 12:07 AM

>ななさん

こんばんは。お返しサンクスです。何度も書いてますけど、やっぱ映画は期待値低めでいったほうが楽しめますね。なんかどっかの日本代表を思い出します

へー、ジェイクくん、運動とかあんまし得意じゃなかったんだ。だのにあんだけ華麗にぴょんぴょん飛び回っていたのは大したものですね! 苦手だからといってチャレンジするのを怠ってはいけませんえ。この例、授業でも使えると思いませんか?

>わたしは基本,強い男より弱い男にひかれるタイプなので
今作のジェイクよりはゾディアックのオタク青年の方が好きですが。

わからない。この辺の女心がまったくわからない ・・・あ。だからもてないのか。

ジェイク出演作品では都市部より少し遅れて、うちの地域で『マイ・ブラザー』が始まります。兄弟モノ好きなのでこちらも見にいってこようかな、と

Posted by: SGA屋伍一 | July 10, 2010 05:01 PM

>ルナさん

ご教授ありがとうございます。ジャスミンは『アラジン』のキャラでしたか・・・
実は上にジーニーが書いてありますが、『アラジン』は見たことがなかったりして(殴) 

子供のころアラビアン・ナイトが好きだったものとしては、なかなか面白い映像世界でした。そうせなら魔法のランプとか空飛ぶじゅうたんなんかも出して欲しかったところです
CGがだいぶ幅をきかせている中、こういう生身のアクションに力を入れてる作品が見られたのは嬉しかったです!

Posted by: SGA屋伍一 | July 10, 2010 05:09 PM

私はゲームやってなかったら観に行ってなかったかも。
ジェイク・ギレンホールを知ったのは確か・・・『ドニーダーコ』だったと思います。
そこでもやっぱりヘンなあんちゃんでしたよ(笑)
でもジェイクよりウサギさんが印象深い映画。

このポスター見たとき、ジェイクだなんて分からなかったです。
ちょっとコリン・ファレルに見えた。
イメージ一新でアクションも見事にこなしちゃって、カッコよかったです。
ディズニーランドに派手なアトラクションがあれば
ぜんぜん違ったでしょうね(笑)

Posted by: kenko | July 10, 2010 05:30 PM

>kenkoさん

こちらにもどもー
『ドニー・ダーコ』ってこないだの『運命のボタン』の監督の作品ですよね。なんか不条理系の作家さんのようで

コリン・ファレルか・・・ 実はジェイクはわたしの中では「若いニコラス・ケイジ」というイメージ。面長で目がぎょろっとしてるあたりとか。まあケイジはこんなに髪フサフサじゃありませんけど

ジョニデは『パイレーツ~』で超ビッグスターになってしまいましたが、ジェイクはまだそこまで行きそうにないですね。アクションがんばってたのに

ディズニーのアトラクションといえば、最近『モンスターズ・インク』のヤツができたんですよね。姉貴にこないだ「乗ってきたぜ~」と自慢されました。きい! 悔しい!

Posted by: SGA屋伍一 | July 11, 2010 08:46 PM

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