ジェームス・ディ-ンとは関係ありません 神山健治 『東のエデン』
本日は昨年好評のうちにテレビ放映されたアニメ『東のエデン』を紹介いたします。なぜいまごろかと申しますと、ついこないだようやく劇場版のパート1『The King of Eden』を見ることができたから・・・という全く個人的な事情。それではまずあらすじから。
近未来の日本。いずこからかミサイル攻撃を受けるも、死傷者が一人も出なかった「うかつな月曜日」事件から三ヵ月後。女子大生・森見咲は、卒業旅行で訪れたワシントンで、素っ裸の青年に遭遇する。彼の名は滝沢朗。滝沢は謎の大物「ミスターアウトサイド」により選ばれた「セレソン」の一人で、他の11人と共に日本の救世主を目指す生き残りゲームに参加させられていた。偶然行動を共にするうちに、咲は次第に滝沢に魅かれていく・・・・
この生き残りゲームというのをもう少し説明しますと、セレソンは各々100億円がチャージされている携帯を持たされています。この資金をしょうもないことに使い続けたり、日本を救えないまま使い果たしたりすると、「サポーター」と呼ばれる12番目のセレソンにより抹殺されます。また一人がみごと日本を救った暁には、他の生き残ったメンバーはやはりこの世から消え去ることになります。
そうした大掛かりな生き残りゲームは、『バトル・ロワイヤル』や『デス・ノート』、はたまた『仮面ライダー龍騎』などを連想させます。が、『東のエデン』がそれらと違うのは、すんげ~ほのぼのとしているというところ。
セレソンたちが必死にタマの取り合いをしている脇で、ヒロインの咲ちゃんの恋や将来への悩みがえんえんと語られたりします(正直この辺ちょい恥ずかしかった・・・)。『ハチミツとクローバー』の羽海野チカさん原案のキャラクターが、さらにふんわか度を増していたりして。そんな一見不釣合いな要素が同時進行で語られていくところが、このアニメの独特な点でした。
次々と現れる個性的なセレソンたちと、滝沢の相対。失われた滝沢の過去についての謎。滝沢と咲の恋の行方。誰が果たして生き残るのか。そしてゲームの主催者である「ミスターアウトサイド」とは何者で、何が目的なのか・・・・ そんな風に巧みにストーリーをひっぱりながら、スタッフは現代の若者たちに積極的にメッセージを送ってもいます。
どんづまりのようでありながら、のんびりとした空気も漂う日本。この日本をどうしたらいいのか。一人一人は日本のために何ができるのか。決して押し付けがましくならない程度に、そんなテーマが織り込まれていました。ここんとこ「世界を変えたい」系のヒーローをよく見かけますが、範囲を一国に狭めただけで、ぐっと現実感が増してくるから不思議です(笑)
このアニメが放映されていた「ノイタミナ」という枠は基本的に全13話なのですが、話数が十話を越えても一向にセレソンが出揃わず、「どうするのかいな・・・・」と思っていたら案の定劇場版につなげられてしまいました
。その劇場版は「The King of Eden」と「Paradise Lost」の二部からなっており、既に主要都市では公開を終えています。
そんなわけで次の次くらいに、劇場版第一部について語りたいと思います。
Comments
こんばんは。
この作品、ちょうど観始めたところでまだ2話しか観ていないのですが、引き込まれますね。
ツカミは序盤の裸騒動でバッチリでした。(^^; って、そうではなくって!
劇場版はレンタル屋さんで見ましたが、なんとこのTV版の続きでしたか!しかも1になっていましたよね。
先に借りなくてよかったです。
第2巻目を観るのが楽しみです。
Posted by: 白くじら | June 06, 2010 09:31 PM
>白くじらさん
こんにちは!
自分の都合でいまごろテレビ本編について書いてみたのですが、はからずもタイムリーな話題になったようでよかったです そっか・・・ もう劇場版1ってDVDで出てるんだ・・・
滝沢君の初登場は、アニメ史上に残る衝撃的なシーンだったと思います。たぶん「エデン」ということでアダムが最初すっぱだかだったを意識してああいう風にしたのでしょうけど、それだったらヒロインも脱がなくては!
二巻め以降も加速度的に面白くなるので、どうぞお楽しみください
Posted by: SGA屋伍一 | June 07, 2010 12:15 PM
こんばんは
羽海野チカ先生がキャラデザをされてる、ということでオンタイムで見てました。
100億を使った英雄ゲームと恋や仕事など自分探しに迷う若者たちの物語のギャップで、一気に引き付けられましたね。
そのギャップと羽海野先生のキャラクターの愛らしさのお陰で、ちょっと緊迫感は欠けてたかな?
ジョニー狩りあたりからは、シリアス度も上がってどんどん面白くなっていったんですけどね。
所々に挿まれる映画からの引用なども、作品を支えた柱でしょうか。
(私は滝沢君の説明がないと、さっぱりでした。どこまでが映画の引用なんでしょうかね?)
映画公開時にNHKでやってたアニメギガで、神山監督のインタビューをやってたんですが、面白い人ですね。
監督曰く、最初期はニートもふんぞり返ってる人もやっつける話だったらしいです。
五話あたりだったかな?
そこら辺から、監督の中で「ニートって、現代のパンク性じゃないのか?」みたいな話になっていった、とか。ニートもひとつの社会への反発だ、って。
面白い発想だと思いませんか?
Posted by: 大吉 | June 12, 2010 04:12 AM
>大吉さん
おはようございます。ご来訪ありがとうございます
わたしも羽海野先生がキャラデザじゃなかったら見なかったかな。『ハチクロ』にはけっこう泣かされたクチなので
上の記事には書き忘れたんですが、滝沢君がどうしても森田先輩とだぶって見えて仕方ありません(笑)
映画の引用に関してはもうほとんど忘れてしまったのですが
m(_ _;9 たぶん最初の方で咲ちゃんが語っていた「思い出の映画」はリュック・ベッソンの『グラン・ブルー』が元ネタなのでは、と思います
>「ニートって、現代のパンク性じゃないのか?」みたいな話になっていった、とか。ニートもひとつの社会への反発だ、って。
確かに「何も働かない」という点ではニートってヒッピーやホーボーと同じですもんね。違うのはニートは大体お家から動かないこと
古代の思想家・哲学者の多くも、今生きてたらきっと「ニート」とか言われたんだろうなあ。『聖☆お兄さん』の二人はバイトくらいしてたかな?
Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2010 08:41 AM