« あなたの罪を数えましょう 湊かなえ・中島哲也 『告白』 | Main | 明日の映画の星新一 ショートショートフィルムフェスティバル アジア2010 A&J プログラムG 『Mr.バブルガム』ほか »

June 21, 2010

会長・島鋼鉄 ジョン・ファヴロー 『アイアンマン2』解読編

100621_172711自らの正体が「アイアンマン」であることを明かしたトニー・スターク。だがそのために彼は悪の怪人たちから絶えず狙われる身となった。まず人工心臓「エンゼル・ハート」を取り付けて蘇生したレスラー、ランディ・ザ・ラム・ロビンソン。前作で倒したはずのジェフ・ブリッジスも、心臓強化装置「クレイジー・ハート」の力で復活する。強敵たちを前にピンチに陥った彼は、謎の男に助けられる。彼はトニーに手を差し伸べて言った。「君も我々の仲間に加わるんだ。ようこそ、Gフォースへ!!

本当のあらすじはコチラ前作の記事もついでに。おふざけはこれくらいにして今回はトニー・スタークという男に関してじっくりと語りたいと思います。
アイアンマンというのは実に特異なヒーローであります。ヒーローというのは普通正体を隠し、普段は目立たないよう行動するものです(例外といえばファンタスティック・フォーくらい?)。しかし彼は正体を明かしたあともそれまでと変わることなく、派手なセレブライフを満喫します。マスコミや国からバッシングを受けてもどこ吹く風。スターよろしく舞台の上で踊るわ、レースに参加するわ、豪勢なパーティーを開催するわ。
底抜けに脳天気なのか? いや、わたしはそうしたポーズは、彼の心を守るための「もう一つの鎧」であると思っています。

原作ではトニーは精神的にもろいところを多く持った人間として描かれています。そのもろさのあまり、酒びたりになってアル中になったことすらありました。
映画ではそこまで極端には描かれていませんでしたが、セリフの中に時折そういう面が垣間見えます。恐らく彼は生まれてから様々なプレッシャーにさいなまれてきたのでしょう。
偉大な父親の威圧感、大会社の社長としての緊張感、ライバルたちからのねたみ・・・ 前作でテロリストたちにとらえられてからは、会社が犯した罪に対する自責の念や、徐々に毒素に蝕まれていく恐怖も加わったはず。
しかし彼はそうした弱みをみせまいと、時として傲慢とも思えるような態度を取り続けます。そのように「全然平気だよーん」とツッパリつづけることで、目に見えない鎧をまとうことで、自分のもろい心を守ってきたのだと思います。

そんな彼がピンチに陥った時、文字通りの鎧を作って脱出しようと考えたのは、至極当然のことだったのかもしれません。この「パワードスーツをまとう」というところがまた、他のメジャーなアメコミヒーローと異なるところであります。
スパイダーマンやスーパーマンを彼らたらしめているのは、あのスーツやマスクではありません。彼らはスーツやマスクを身につけていなくても、基本的にはなんら変わることはありません。そのままでも使おうと思えばその能力を使うことができます。超能力を持たないバットマンでさえ同じです。あのコスチュームを着なくても、ブルース・ウェインの身体能力は低下したりはしません。せいぜい隠し武器が使えない程度でしょう。

しかしアイアンマンはそうではありません。あのスーツがなければ、彼の戦闘力は常人とほぼ変わらないでしょう。人工心臓というハンデがある分、下手をすると一般人よりも「弱い」存在であると言えるかも。劇中で「アーマーはわたしの一部だ」というセリフがありますが、ある意味確かにそう言えます。

ただ鎧を着ていては人の体温を感じることはできません。心の鎧に関しても同じことが言えます。誰に対しても弱みを見せまいとするその姿勢にゆえに、トニーは愛する人や親友にさえ、その本心をさらけ出すことができません。助けようと差し伸べられた手もつかめないし、余命がいくばくもないというのに、そのことを誰にも言えない。
とはいえ彼を想う人たちの気持ちは、やがてその心にわずかな変化をもたらしていきます。

いつかトニーが心の底から誰かに頼ることができるようになったら、自分の気持ちを素直に打ち明けられるようになったら、その時彼は「アイアンマン」から卒業できるのかもしれません。ただ、きっとそれはまだまだ先のことになるでしょう。

100505_104216『アイアンマン2』に関しては、もう一回オタクの視点から、ムダ知識をダラダラと述べた記事を書く予定。ご期待せずにお待ちください。


|

« あなたの罪を数えましょう 湊かなえ・中島哲也 『告白』 | Main | 明日の映画の星新一 ショートショートフィルムフェスティバル アジア2010 A&J プログラムG 『Mr.バブルガム』ほか »

Comments

再読の前に、コチラにお邪魔します♪

>わたしはそうしたポーズは、彼の心を守るための「もう一つの鎧」であると思っています。
ううう・・・その通りだと思います~
セレブを気取って、人間的に欠陥品みたいなノリでいても、本当はナイーブで一本気なんだと思うわ~~~可愛いトニー♪
で、、、つくづくロバート・ダウニー・Jrがハマり役だったと思うわ。
他の俳優さんで哀愁を出したら、下手したら辛気臭くなっちゃうもの(笑)

Posted by: 由香 | June 23, 2010 at 01:53 PM

>由香さん

こちらにもありがとうございます♪happy01

先日某誌のインタビューで、ダウニーさんが「やればやるほど、トニーと自分が似ていることに気づく」とおっしゃってました
まあダウニー一世・二世の間柄はスターク親子ほどぎこちないものではないようですが。お父さんは確か役者さんではなく監督さんだったかな

ダウニーさんはどん底を経験しているだけに、哀愁漂わせるのがやっぱり様になってますよね。ドーナツ屋の看板の中であのスーツ着てさびしげにドーナツ食ってる絵は笑っちゃいましたけど(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 23, 2010 at 08:41 PM

SGAさんこんばんわ♪

アイアンマンのド派手アクションなどは前作以上に満足出来たものの、その実内容に関しては軽いな~とちょこっと苦言を吐いてしまっていた自分だったり・・^^;
あ、でもトニーのように『自分の事は自分で何とかするっ』という、ある意味頑固な性格を持つタイプの人って現実にもいますから、そういう人達から観たら今回のトニーの心情は凄く共感出来るのかもしれませんねぇ?
まあ敵も増えればトラブルや体調不良も増してと、そんな厄介事が立て続けに起これば自暴自棄になる気持ちも分かるってものですし、観てる人にしかそれが伝わらないというのもなんかもどかしい。だから個人的には長年連れ添ってたペッパーさんか親友のローディどちらかは、トニーの気持ちにいち早く気付いて欲しかったかなというのもありましたね。

の内面を紐解けば

Posted by: メビウス | June 25, 2010 at 01:09 AM

すいません・・。↑書き損じの文章も消さずにそのまま入れてしまいましたcoldsweats01

Posted by: メビウス | June 25, 2010 at 01:12 AM

>メビウスさん

こんばんは。毎度出遅れてすいませんcoldsweats01
不評というほどではないにせよ、前作に狂喜した方たちは「いささか物足りない・・・」という意見が多いようですね
どうも今回スケジュールがかなりタイトだったようで、もう少し時間をかけたらもっと自然なものができたのかなあ・・・と

>『自分の事は自分で何とかするっ』という、ある意味頑固な性格を持つタイプの人って現実にもいます

そうですね。ただどっちかといえばすぎ弱音吐いて「なんとかしてくれよーん」という人の方がずっと多いかな。わたしもそんなタイプ(笑)
トニーのようなタイプの人はどんどん自分にストレスためこんじゃって、しまいには・・・・となってしまう例が多いので、それこそ周りが気づいてあげなきゃいけないんですよね
まあ今回のラストではトニーとペッパーさんの関係もぐっと近しくなったようなので、一安心というとこでしょうか

書き損じの件はお気になさらず。わたしなんかしょっちゅうですから(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | June 25, 2010 at 09:25 PM

こんばんは!(*◕‿◕*)
SGA屋さんのトニーに好意的なご意見なるほどですね〜。
>「全然平気だよーん」とツッパリつづけることで、目に見えない鎧をまとうことで、自分のもろい心を守ってきたのだと思います。
たしかに、そんなトコあるような気がしますが・・・・
ただねぇ〜、会場とか豪邸とか平気で爆破しちゃうし、
スカヨナほしい!って言ちゃったり、会社を彼女に押し付けちゃったり
かなりのおぼっちゃんだからねぇー。
庶民の事、気にしているようには全然見えないです(~_~;)
まあ、そこが他のヒーローと違っていいとこなんですけど・・・(笑)

Posted by: ルナ | June 25, 2010 at 10:48 PM

>ルナさん

こんばんはhappy01 ご来訪ありがとうございます

まあ確かにトニー・スターク、傍で見てる分には面白いですけど、友達としてつきあうには骨が折れそうなタイプですよね・・・
平たく言ってしまえばすごく賢い中二の子がそのまんま大人になったようなキャラ(笑) 同じく中二的な部分を多く残しているわたしとしては、彼に共感せずにはいられないのですよ

あと彼は中二の夢というか妄想を実現させているようなキャラでもありますね。あー、わたしもあのスーツがほしー スカ代はんもほしーwobbly

Posted by: SGA屋伍一 | June 26, 2010 at 08:52 PM

伍一さん、こんにちは☆
アイアンマンをこよなく愛していらっしゃいますね!
私もそんな心に鎧をまとって気丈に頑張っているトニースタークが大好きです。
きっと父の愛情を感じられずに育った過去が、今回残してくれたテープによって、心の鎧が取れて、人間としてもスーツとしても、更に進化できたんでしょうね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | July 04, 2010 at 01:34 AM

>ノルウェーまだ~むさん

またおいでいただきまことにありがとうございますhappy01
まーもともとアイアンは「見かけがロボットっぽい」ってとこだけで十分好みのヒーローなんですが、「辛いのについやせ我慢してしまう」というところもドツボだったりします

お父さんですが、テープ越しじゃなくて直接息子に伝えとけばトニーもあんなややこしい性格にはならなかったと思うのですが、まあ父親と息子の関係ってのはそういう不器用なものなんですよね・・・(しみじみ)

Posted by: SGA屋伍一 | July 04, 2010 at 08:20 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/48686830

Listed below are links to weblogs that reference 会長・島鋼鉄 ジョン・ファヴロー 『アイアンマン2』解読編:

» 『アイアンマン2』(2010)/アメリカ [NiceOne!!]
原題:IRONMAN2監督:ジョン・ファヴロー出演:ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、スカーレット・ヨハンソン、ミッキー・ローク、ドン・チードル、サム・ロックウ... [Read More]

Tracked on June 23, 2010 at 12:30 AM

» アイアンマン2 [★YUKAの気ままな有閑日記★]
『ゾディアック』の時は、な〜んとも思わなかったけれど、『アイアンマン』そして『シャーロック・ホームズ』でシッカリとハマってしまったロバート・ダウニー・Jrに会いた〜い【story】自らが“アイアンマン”であることを明かしたトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)だが、トニーの勝手なヒーロー行為は問題視され、国からパワードスーツの受け渡しを命じられる。そのニュースを憎悪に満ちた目で見つめる男“ウィップラッシュ”(ミッキー・ローク)は、一撃で金属を真っ二つにする武器を観につけ、トニーの前に現れる― ... [Read More]

Tracked on June 23, 2010 at 01:49 PM

» 「アイアンマン2」感想 [狂人ブログ ~旅立ち~]
 人気アメコミシリーズの映画化第二弾。 メカニックデザイン、アクション、ストーリー、そしてトニーのエロ社長っぷりと、全てが前作よりパワーアップして帰ってきた本作だが、い... [Read More]

Tracked on June 24, 2010 at 10:31 PM

» アイアンマン2 (Iron Man 2) [yanajun]
映画『アイアンマン2』は、2008年の映画『アイアンマン』の続編です。前作同様、ジョン・ファブロー監督が手がけ、アイアンマンことトニー・スターク役にロバート・ダウニー・Jr、そしてトニーを支えるペッパー・ポッツ役にグウィネス・パルトロウが続投しています。先日、劇場に観に行きました。●導入部のあらすじと感想... [Read More]

Tracked on June 25, 2010 at 11:51 AM

» アイアンマン2 [ルナのシネマ缶]
昨今の苦悩するヒーローが 多発する中、派手好き!女好き!な ナルちゃんヒーロー アイアンマンは、 こちらもお気楽に見れて 楽しめます。 今回は、「レスラー」で復活した ミッキー・ロークの悪役も なかなかでした。 自分がアイアンマンだと正体を公表した科学者兼経営者の トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、 米軍からパワードスーツの提供を求められるが拒否する。 その頃モスクワでは、トニーに恨みを持つ ウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が自家製のパワードスーツを ... [Read More]

Tracked on June 25, 2010 at 10:50 PM

» 「アイアンマン2」 [或る日の出来事]
アイアンマンとの初戦のミッキー・ロークが、プロレスラーに見える。 [Read More]

Tracked on June 29, 2010 at 07:41 AM

» アイアンマン2 [C'est joli〜ここちいい毎日を〜]
アイアンマン2'10:米◆原題:IRON MAN 2◆監督:ジョン・ファヴロー「アイアンマン」「スパイアニマル Gフォース」◆出演:ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、スカーレット・ヨハンソン、ミッキー・ローク、ドン・チードル、サム・ロックウェル、サミュエ...... [Read More]

Tracked on July 02, 2010 at 04:50 PM

» 「アイアンマン2」それいけ!アイアンマン☆ [ノルウェー暮らし・イン・London]
ストーリーが散漫・・・など、前作ほどのインパクトが無かったと言われていた「アイアンマン2」 あまり過度な期待をしないように~と心しての鑑賞がよかったのかな。 やっぱり私は「アイアンマン」が好き♪ トニー・スタークの人間的な部分もより強調されて、さらに魅力を増した今作は、盛り沢山で十分楽しめたエンタメ映画に仕上がっていた。 それいけ!アイ アン マーン!!... [Read More]

Tracked on July 04, 2010 at 01:07 AM

» 『アイアンマン2』'10・米 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじパワード・スーツ受け渡しの国家命令を拒否した科学者兼経営者のトニー・スターク。ある日、トニーの前にウィップラッシュなるアイアンマンと互角のパワーを持つ敵が現れ・... [Read More]

Tracked on July 23, 2010 at 09:19 PM

» 【映画】アイアンマン2…今回もそれなりに燃えました。 [ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画]
三連休最終日{/kaeru_fine/}です。 先週までの豪雨{/kaeru_rain/}が嘘のように急に晴れちゃいましたね{/face_nika/}。梅雨明けって前からこういう風にクッキリとするものでしたかね{/eq_1/}{/eq_1/} で、この三連休の過ごし方ですが、ごく安近短とはいえ、まぁ色々。 一昨日2010年7月17日(土曜日){/kaeru_fine/}は(その日にもちょっと書きましたが)、鳥栖プレミアムアウトレットに行ってお買いもの。 今回、私のもので買ったのは…半袖シャツ2枚と... [Read More]

Tracked on August 01, 2010 at 02:27 PM

» アイアンマン2 [★★むらの映画鑑賞メモ★★]
作品情報 タイトル:アイアンマン2 制作:2010年・アメリカ 監督:ジョン・ファヴロー 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロー、ドン・チードル、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、ミッキー・ローク、サミュエル・L・ジャクソン あらすじ:パワード・スーツ受け渡しの国家命令を拒否した科学者兼経営者のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)。ある日、トニーの前にウィップラッシュ(ミッキー・ローク)なるアイアンマンと互角のパワーを持つ敵が現れたことから、トニーは再びパワード・... [Read More]

Tracked on October 27, 2010 at 01:22 AM

» アイアンマン2 [RISING STEEL]
「アイアンマン2」を見てきました!今年はこれだけは見ておかないとね。 オフィシャルサイト アイアンマン2 / IRON MAN 2 2010年 アメリカ映画 パラマウント/マーヴェル・スタジオ製作 監督...... [Read More]

Tracked on February 08, 2011 at 11:14 PM

» ヒーローになった男、トニー・スターク。次なる試練。「アイアンマン2」 [Addict allcinema おすすめ映画レビュー]
【関連記事】 「アイアンマン」映画レビュー アイアンマン壁紙 アイアンマン2壁紙 [Read More]

Tracked on November 19, 2011 at 01:21 PM

« あなたの罪を数えましょう 湊かなえ・中島哲也 『告白』 | Main | 明日の映画の星新一 ショートショートフィルムフェスティバル アジア2010 A&J プログラムG 『Mr.バブルガム』ほか »