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June 23, 2010

明日の映画の星新一 ショートショートフィルムフェスティバル アジア2010 A&J プログラムG 『Mr.バブルガム』ほか

100623_182053先日原宿ほかで行われていた短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」、ちょこっと行ってまいりました。仲良くさせていただいている我想一個人映画美的女人blogのmigさんの弟さんが出品なさっているということで、微力ながら応援に参加してきたというわけ。

わたしが見たのは「アジア・インターナショナル&ジャパン」部門のプログラムG。それではてきぱきと紹介してまいります。まず目的だった片岡翔監督の作品から。

『Mr.バブルガム』 片岡翔(日本)

公園で遺書を書いていたサラリーマンの宇佐美。そこへ風変わりな女子高生がやってきて、強引に共同制作を申し出るが

タイトルにある「風船ガム」のように、ポップではかなく可愛らしい作品。さえない中年男のもとに使わされた、キュートな死神のお話と考えることもできるかも。
死のうとする者は生き、生きようとする者は死ぬ。そんな人生の皮肉が込められた一本。
ヒロインの噛んだガムを宇佐美がくちゃくちゃと噛み直すシーンがありましたが、まあ彼女の噛んだガムだったらわたしも喜んで噛むかもな。あと地面に落ちたガムは洗って食べればいいと思います。

この作品、見事に本大会のジャパン部門観客賞を受賞。おめでとうございます!

他の作品もご紹介しましょう。

『Yakiniku』 大眉俊二(日本)

鉄板の上の焼き肉をモチーフに温暖化防止を訴えた作品。「ストップ!温暖化部門」にも入っている一本で、本プログラム中最短の1分41秒。
こういう一発ネタみたいな作品はけっこう好きです。問題はこれを見て「焼き肉食いてー」と思う人はいるだろうけど、「地球を大切にしなきゃ」と思う人がどれほどいるか、ということですね。


『撮影禁止!』 Bahman Moshar(イラン)

街中で無許可で写真を撮っていたため、逮捕された若い女性。彼女は自分を見張っている兵士になんとか逃がしてほしいと頼み込むが・・・

監督の実体験に基づくお話。イランでは普通の町並みでも写真を撮るには許可がいるそうで。全く関わりの無かった二人が写真を通じてひと時心を通い合わせるという、ちょっとリリカルなお話。
女性にだまされやすいわたしとしては、主人公に感情移入しつつも「お前脇が甘いんだよ!」とつっこまずにはいられませんでした。息切らせて戻ってみたら、ヒロインがにっこり、なんてあんなラストありえません。逃げた女は戻ってこないのです


『Midnight Bar』 渡辺浩司(日本)

深夜のバー。一人の客が「実はガンを宣告された」と告白したことから、重苦しい雰囲気に包まれる店内。同席していた女性の言葉が、さらにその場を凍りつかせる。

短い中に二段オチを盛り込んだことを、「詰め込みすぎ」と見るか「意外な展開」と見るかで評価が分かれそうな一本。監督は亡くされた友人のレクイエムのためにこの映画を撮られたそうなので、どうしてもああいい風にもっていきたかったのでしょう。
わたしが思ったのは「バーテンさんって本当に大変だな」ということ。去年の新年会でおばさんに絡みつかれて困惑していた若いバーテンさんのことを思い出しました。「オヤジが倒れてわたしが切り盛りしなくちゃならなくって」と言っていたあの彼は、今もまだあの店を続けているのだろうか。


『宿題』 Hye-ryeom Yoon(韓国)

問題が解けない少年に業を煮やし、こめかみに銃を突きつける母親。果たして少年の運命は。

これまた3分44秒とごくごく短い作品。永井豪は『ススムちゃん大ショック』か筒井康隆の某短編(タイトル忘れた)を思い出しました。韓国のお受験というのは相当厳しいそうなので、その辺を風刺しているのかもしれません。
何より怖いのはこの映画を笑顔の素敵な美人さんが撮っておられるということです。


『変わりゆく地、プーケット』 Aditya Assarat(タイ)

休暇でプーケットを訪れた有名女優のジン。どこか浮かない様子の彼女を元気付けようと、雇われた運転手のポンはとっておきの場所へ案内する。
家族の崩壊を描いた作品のあとに、絆の再生を描いた作品をもってくるとは、本プログラムなかなかに心憎い構成です。
飾り気のない女優さんの笑顔と、風光明媚なプーケットの景色に心癒される一本。ただとなりで見ていた×××さんはお疲れだったのか豪快に寝ておられました。


090207_191431六本中四本が「見知らぬ者同士の出会い」を描いていたのが印象的でありました。映画もそうかもしれません。見知らぬもの同士が出会い、共に一本の作品を作り上げ、また別れていく。わたしは別に何かを作っているわけではありませんが、偶然でもふとした機会に訪れたそんな出会いをこれからも大切にしていきたいな、と思いました。

・・・おお、なんか知らんがうまくまとまったぞ!

片岡監督の作品は近日開催される「ぴあフィルムフェスティバル」でも上映される予定。上映されるのは監督によると「こっちの方が評判が良かった」という『くらげくん』なる作品。小学生のボーイズラブを描いたという実に風変わりな題材。ご興味おありの方はぜひ足を運ばれてみてください。

場所・時間は東京国立近代美術館フィルムセンター(京橋駅)で7/18(日)16:15~と 7/27(火)13:15~の二回となっております。

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Comments

伍一くんこんばんは。
なんて客観的にひとつひとつ捉えたレビューでしょう!
今回は本当にわざわざありがとう


しかも猫目の絵に笑った!!
翔、今新作の脚本の書き直し時間なく切羽詰まってやってるところなのでここへの書き込み遅くなるかもだけど
必ず読んでもらうわ♪

>問題はこれを見て「焼き肉食いてー」と思う人はいるだろうけど、「地球を大切にしなきゃ」と思う人がどれほどいるか、ということですね。

あはは!同感。

くらげくん、伍一くんはこちらとどっちが好きか気になるので、ぜひ観に来てね。
第二回オトナ会は、まだ〜むが命名するとのこと。
次回はもっと人を集めようか?
これからも応援よろしくねー☆

あ、質問してくれたこと書いてない〜
わたしもだ!
ここの記事をリンクに貼り直します。

Posted by: mig | June 23, 2010 09:53 PM

爆睡していた人がきましたよっと♪
だって、単調で面白くないんだもの。というより今回の6作品、私的には『Mr.バブルガム』と『宿題』以外は全部駄目でした。去年見た作品の方が断然よかったなぁ…。
あ、第二回オトナ会。もしかしてぴあの日に合わせた方がいいかな?伍一くんも何度も上京するの大変だろうし。希望があったら遠慮なく言ってください。
って、既に参加確定で話してるけど…(笑)

Posted by: KLY | June 24, 2010 12:27 AM

きてくださって本当にりがとうございました!

褒めてくださったからではないですが、
じつに素晴らしいレビュー!

同感であったり頷かされたり、伍一さんの観察眼の鋭さに驚きました。
今後とも宜しくお願いいたします!!

Posted by: ネコメ | June 24, 2010 02:40 AM

>migさん

おはようさんです。こちらこそ先日は調子悪い上に忙しいところ、おもてなしありがとうございました!
お話した方々、みなさん個性的な方たちばかりだったし、雨の中バスで移動とか、なんかわけもなく楽しかった(笑)

『焼き肉』、みなさんには総じて不評のようで・・・ わたしあれからずっと「焼き肉食いて~」と思ってるよ。今度一人で行ってくるか・・・

ぴあの方も18日だったらなんとか行けそうです。チーム名は猫目映画にちなんで「チーム・キャッツアイ」でいいんじゃないの? と、今にも四方から「却下!」の声が飛んできそうな

質問・・・ そんなこともありましたね・・・ 少しは場をにぎわすのに貢献できたのだろうか。ああいうのも一歩間違うと会場中をドンびき
させかねないから怖いよね(といいながらいけしゃあしゃあとやってたけど)

それではまた、よろしく~

Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2010 07:31 AM

>KLYさん

ああ、せっかく伏字にしたのにわざわざ自己申告されなくても(笑) ほんにあなたは男らしい人や・・・

わたしは見た映画の八割くらいは楽しめちゃうクチなんで~ あとああいうイベントは初めてだったので、浮かれててかなり気分が良かったせいもあるかも
ただ『プーケット』では普通に起きていたのに、その直後に見た『鉄男』でうとうときてしまう自分の肉体構造がよくわかりません・・・

>もしかしてぴあの日に合わせた方がいいかな?

そうしていただけると大変助かります! 上映後でしたら夜通しでもお付き合いできます。ただ上映前だとその日はちょっと厳しいんですよね。そっちのほうになりそうでしたら、どうぞ皆さんの都合の方を優先されてください
いろいろ骨折ってくださってありがとうございます

それでは晩にでもそちらの記事にお邪魔します~

Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2010 07:40 AM

>ネコメさん

こ、これはこれは・・・ 脚本執筆でお忙しいところわざわざまかりこしていただきありがとうございます! マスコットの無断借用申し訳ありません

前にもあったんですけど、作者の方にレビューを読んでいただくというのは、なんというかキンタ・・・、いや、肝が縮みあがる思いです・・・
でも作り手の方はそれこそ容赦ない批評の嵐にさらされるわけですから、もっともっと大変ですよね

幸いなことに悪の組織との戦いで命を落としたりしなければ、来月のぴあの上映も行けると思います。『くらげくん』期待してます!

Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2010 07:47 AM

伍一くん、キンスコー (ここではさすがに躊躇われましたが

太文字文、ぶぶぶぶぶーーっ(爆) 
極上の一発芸が7連発した感じ。

イラスト、無許可 

大爆発


焼き肉作品、私的には好評だよ!
自分の箸も出したくなってしまった。

チームキャッツアイ、イイネ〜。
猫の衣装かなんか着ていかなくっちゃだ。


KLYさんの きましたよっと も可笑しかったー(爆)

Posted by: hino | June 24, 2010 12:18 PM

>hinoさん

キンスコ~っす。何をためらわれる!
知ってしまいましたね・・・ わたしの赤裸々な恋愛感を・・・

いやん、恥ずかしい!

焼き肉、食べたいですよね~
ロース、カルビ、クッパ、タン塩・・・
ああ、あたしもう我慢できない!

なんか次回はスケジュールがいろいろ錯綜してるようですが?またお会いできたらいいですね
hinoさんは着ぐるみよりも例のレオタードの方がお似合いかもしれませんよ。ほんでわたしとmigさんで三姉妹ということで ♪街はきらめくパッション・ブルー

Posted by: SGA屋伍一 | June 24, 2010 11:34 PM

mig再び、来ましたよっと。

いや〜、KLYさんのそのセリフに私もかなりツボ☆
しかも伍一ちゃんとゆきえちゃんのやりとりもウケた!
そもそもそのキンスコーってなんなの(笑)

じゃあわたしは着ぐるみの方が似合いなの?
さてどんな衣装着ようかなっ
しかし肝心のゆきえちゃんがこれないようじゃねぇ。
日曜だからって家庭奉仕してないでその日くらいは
夜遊びママになってもらいたいよね〜

Posted by: mig | June 25, 2010 12:33 AM

migさん、こんばんは
ハングオーバー見てきたんすね。興味あるんだけど、たぶんこっちではやらないだろうし、東京にまで見に行くほどのものかな、と

キンスコというのは『ラストキング・オブ・スコットランド』の略称です・・・ わたしがそう書いてたらhinoさんがいたくお気に召してくださいまして、いつのまにか二人の合言葉になってしまったのですね

>じゃあわたしは着ぐるみの方が似合いなの?

いやいや、三人でレオタードを着ようってことですよ。むふふ

でもhinoさんは難しいようで・・・ 良妻賢母の鑑のような方ですからね!(ゴリゴリ) 

ま、そのうちわたしもなんか企画しますんで、そういう時にご一緒できたらいいですね。とりあえず18日(で決まったんかな?)よろしく!

Posted by: SGA屋伍一 | June 25, 2010 09:16 PM

キンスコッ

伍一くん、おんなやったか。
どうりで。。

3人でレオタード?
じゃエアロビクス時代のスタイルで、
マドンナの Hung upを踊ろうよ
あーーノってきた↑
忘年会の出し物にもなりそうだ!

migちゃん、ようやく聞いてくれたー!!
キンスコ
もうちょっと加筆すると、migちゃんのマーダーズで痛い話になり、伍一くんとまだ〜むが、それは観たくねーけど「ラストキング オブ スコットランド」は痛かったというので、観てみたら良い作品。
で伍一くんの昔のレビューみたら、ちょ−ウケ。
キンスコがちんすこうにみえるというカキコもウケたよ。

伍一くん、ゴリゴリきもちいい〜。
migちゃんの肩、首もやってぇ

なぬっ?伍一くんの企画
どうか、オタク系な妙なのじゃありませんように

Posted by: hino | June 26, 2010 09:51 AM

>hinoさん

きーんすこっす! ウェルカム良妻賢母

ひとつだけ教えてあげる。あたしはね、男でも女でもないの。もしかしたら人間ですら・・・

アホはこのくらいにして

痛映画でもうひとつ挙げといた『パンズ・ラビリンス』は覚えてらっしゃるでしょうか。こっちもなかなか・・・ すごいぜ?

>キンスコがちんすこう

なんだかだんだんまずい方向に来ちゃったなあ。かーぜもないのに(略)

企画というのはもちろんメイド喫茶にフィギュアの買出しに・・・ではなくて、そちらにも書いたブリューゲル版画展のことですよ!
今一生懸命道連れを探しているのです。ただmigさんはあんましこーゆーのに興味なさそうだな~

あと六本木ヒルズで行われる「世界最古の恐竜展」も行きたいのですが、こっちはさらに一緒に行ってくれるひとがいなさそう

Posted by: SGA屋伍一 | June 26, 2010 09:00 PM

伍一さん、キンスコ☆
明日帰国の途につきますが、その前にご挨拶を~
って、なんだか私の名前が何度も・・・

チーム名考えてくださっていたのですね。
もうそれにしようっ!
私ぼんやりして、今更に発表したのが「ショウサンズ(翔さんS)14」
でも、実は結構前から考えていたんだYO
出席人数が確定してから発表しようかと。(笑)

当日はねえねと二人で参加します。
またよろしくね。

Posted by: ノルウェーまだ~む | July 09, 2010 09:21 PM

>ノルウェーまだ~むさん

キンスコ~! このあいさつもワールドワイドになったのね・・・

またまたお越しくださりありがとうございます。今頃は機上の人でしょうか。内緒で噂ばなししててすいませんw やっぱりレオタード着るのはわたしより奥方様の方がふさわしいと思います。ぜひお三人さんでキャッツアイのコスプレをやってほしいなと
かわりに「ショーサンズ14」でのブラピのポジションは、わたしがやらせてもらいましょう!

ねえねさんには先日一足お先にお会いさせていただきました。うら若いお嬢さんとお話させていただいてとっても楽しいひと時でしたが、わたくし少々不気味がられていたかもしれません

ともあれ、18日お会いできるのを楽しみにしております。よろしく~

Posted by: SGA屋伍一 | July 10, 2010 04:53 PM

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